“目を覚ませ 今なにかが始まろうとしている”――マレーシアのボルネオ島で出会った自然や動物、環境問題などに直面して生まれた『Starting over』の一節だ。昨年11月のデビューから僅か7ヵ月。早くも届けられた浜端ヨウヘイの1stフルアルバム『BIG MUSIC』には、既発曲をはじめライブでお馴染みの楽曲や、新たな書き下ろし曲など全12曲を収録。インディーズ時代から現時点までの浜端ヨウヘイの旨みが贅沢に凝縮された1枚となった。果たして彼に、どんな変化が起こったのか? より一層色濃くなった“歌を届けること”に対する真摯な想いは、音楽と人への絶対的な信頼をもって、力強く脈を打っている。変わるために変わらないことの大切さ、当たり前のことの継続を大前提にした超“大型”新人・浜端ヨウヘイの音楽は、深化と拡張を繰り返し、決して鳴り止むことはない。
「“始まったな”という感じですね、ようやく。でも、その気持ちと同じだけ、インディーズの頃からずっとライブで活躍してくれてた曲たちが、ようやくちゃんと形になったなと思います。ちょうどその真ん中にあるようなアルバムになったなと」
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――1曲目の『Starting over』はボルネオ島の環境保全活動のチャリティソング(※)として書き下ろしたということですが、特設ページのレポート では、絶滅危惧種の動物たちが、ここぞとばかりに出てくる引きの強さを発揮したとありましたね(笑)。
(※)FMOSAKAの番組『LOVE FLAP』と、マレーシア・ボルネオ島環境保全活動に取り組むサラヤとのコラボ企画。ボルネオの環境問題への関心を喚起する現地取材ツアーに、今回は浜端ヨウヘイが参加した。
「野生のボルネオゾウも、テングザルたちも、僕は全部見れたそうです。しかも一滴も雨も降らず(笑)。アブラヤシの搾油工場とかをいろいろ見て廻ったんですけど、ジャングルを夜明け前から歩いて、何10メートルもある高い木と木の間に吊り橋が架かってて、そこを渡って森の中を移動する“キャノピーウォーク”というプログラムがあったんです。そのときに夜明けを迎えて…森の音が変わっていく瞬間みたいなものを、そのド真ん中で聴いて、感じて、とにかくすごい体験をしたわけですよ。あと、この5泊6日の期間中の裏テーマがあり…出発前の番組放送中に、一緒に同行した(谷口)キヨコさんが“1曲と言わず、1日1曲書いたらどう?”みたいなことを言ってしまったんですけど(笑)」
――(笑)。
「『Starting over』は、森ん中でみんなが“あ! あっちにオランウータンおるぞ! どこやどこや?”って写真を撮ったりしてるのを横目に、“ええなぁ~でも思い付いちゃったから書こう”と、森の中でポツンと書いてましたね」
――普段と違う環境になったから、何か感じることもやっぱりあったんですね。
「基本的にどの曲もそうなんかなって。“どこかに行ったときに何かを思って書く”のが=僕の書き方なのかもしれないなって、最近すごく思うんで。ボルネオに行ったのもそうやし、宮古島もそうやし、どの曲もどこか知らない土地で書いた歌ばっかりやから、家で机に向かっててもあんまりいい曲は出来ないなっていう(笑)。これからもいろんなところに行って、感じていきたいなと」
――そう考えたら、サビの“目を覚ませ/今すべてが始まろうとしている”が、全てを物語っていますね。
「朝が始まる=夜が終わるということやし、環境のこと思った歌=“地球を大切に!”みたいな感じだとちょっとダサいかなって。その夜明けを森の中で迎えたことによって、“今すべてが始まろうとしている=終わろうとしている”というところから、“アブラヤシのプランテーションが広がっていく=原生林で暮らす動物たちの住処がなくなろうとしている”と連想させられるような、ダブルミーニングになればと思いました」
――“Starting over”=“始まり”という使い方は常套句としてありますけど、“終わり”をこのタイトルで歌うのは、やっぱり全然意味が変わってくるというか。
「正反対のようで、すぐ隣り合わせのように感じましたね。ジョン・レノンの名曲と同タイトルでもあって、安易かなとも思ったんですけど(笑)、でもこれしかないなと」
――まさに“今”の浜端ヨウヘイみたいな。
「そう。この曲はアルバムに入るだろうなと思ったし、だからボルネオ取材で観たまんまのこと、環境のこと、それから僕自身のことも、みんな重なっていくのかなぁって」
――ちなみにアブラヤシから取れるパーム油の洗剤を、早速使い始めてるそうですね。
「もう帰ってすぐにヤシの実洗剤を買いましたね。売上の1%がボルネオ環境保全活動支援になるので。生活用品を変えることで、少しですけど僕が行った土地の危機的な状況を支えられるのであれば、それが一番いいなって。キレイに落ちるし、ちょうど洗剤もなくなったところだったんで(笑)」
僕はまさしく90年代のJ-POPを聴いて育った世代やし
同時進行で山さん(=山崎まさよし)とか
ルーツ臭がプンプンする人を聴いていたのが、やっぱりデカい
――『Starting over』のアウトロから『結-yui-』(M-2)につながっていって、まさにボルネオから日本に帰ってきた感じが強調されて、上手いなと思いました。あと、改めてデビュー曲である『結-yui-』がこうやってアルバムの中に入ると…メジャー感あるなって(笑)。
「アハハハハ!(笑) 今年の2月に2ndシングル『無責任』(M-11)が出たんで、『結-yui-』を少しずつ(ラジオとかで)聴かなくなっていって、アルバムを出すタイミングでまたあちこちでかけてもらって改めて再発見することもあったし、半年ぶりにしっかり聴くと、“お、久しぶり!”って(笑)」
――メジャー感で言ったら、『群青ホライズン』(M-7)もキラキラ感がありますね。
「まさに『結-yui-』と『群青ホライズン』は際立つというか、“ド直球のJ-POPを”と思ったら、こんな風になりました。僕はまさしく90年代のJ-POPを聴いて育った世代やし、同時進行で山さん(=山崎まさよし)とかルーツ臭がプンプンする人を聴いていたのが、やっぱりデカいなと思うんです。どっちも好きやし、それが自分の引き出しになってればいいなと思うところではありますね」
――時に“J-POP”って喜ばしくないワードにも取られがちですけど、そこを昇華する。
「そこには何もためらいもなくて、それもこれも僕が全部やりたいことやし、別の引き出しがあるというところが安心感というか。まぁその辺の試練は、この半年でありましたけどね(笑)」
――その王道感を継承するかのように曲の最後に転調があって。めっちゃキーも高いですね、この曲(笑)。
「うん。しんどい(笑)」
(一同笑)
――あと、『ノラリクラリ』(M-3)は、またちょっと違った肌触りというか。
「基本には一発録りで、ライブ感とか勢いをパッケージしたかったんですけど、この曲はめちゃくちゃ作り込みましたね。細かいブレイクとか遊びもあって、コーラスも一番重ねてるし。この曲はトビキリお洒落にっていうのもあってこうなりましたね。あと、『ノラリクラリ』とその次の『限りなく空』(M-4)、『無責任』、『MUSIC!!』(M-12)辺りを書いたのは29歳の“仕事辞めます!”っていうときの歌やから、だいたい迷って落ち込んでるっていう(笑)」
――アハハ!(笑) やっぱり環境が曲を作らせるんですね。
「やっぱりそうですね。始めた頃はガムシャラにやるしかないからとにかくライブしたし、知らないところにもドンドン行って。数で勝負してるわけじゃないですけど、“今月27本ライブやったぞ!”って思ってたら、当時から勝手に師匠みたいに思っていた(竹原)ピストルさんは、2月に28日間毎日ライブしてて(笑)。アカン、無理やわ!って(笑)」
――アハハハハ!(笑) それだけライブするのもすごいですけど、それだけ予定を入れられるのもすごいです。
「ブッキングするのも大変やし、移動時間と合わせて組み立てて行くのもやっぱり大変で。でも、自分の出来る限りはやらな、という気持ちの表れやったかなぁと。ただそれは、ライブしてれば得も知れぬ不安みたいなものも拭い去れるから。僕は旅先で曲を書くから、あの街に前乗りしたときにホテルで書いたなぁとか、今でも思い出すんです。思い出付きで曲が出来ていくから、忘れないんですよね。そのときの気持ちを」
――これから状況が良くなって舞い上がっても、この曲たちを歌うことで、そのときの気持ちを思い出せる。
「うん。気持ちを立ち戻らせてくれるような。しおりみたいな感じですよね」
声が出なくなってもギターが弾けたら ピアノが弾けたら
作曲が出来たら…どういう形でも やっぱり音楽をやっていきたい
と思えたとき、歌えることがすごく大事に思えた
――『限りなく空』は、『無責任』と『ハレルヤ』(『結-yui-』のc/w)と共に、ピアノ3部作なのかなぁと勝手に思ってるんですが。
「それは、マネージャーも言ってました(笑)」
――あら(笑)。『限りなく空』の歌詞の一節に、“「不安になるなよ」なんて歌聴いては/「無責任だな」って笑って言ってた”とありますが、もうこれ完全に『ハレルヤ』と『無責任』のことやなぁって。これは意図的に?
「そうです。書いた順番で言ったら『ハレルヤ』『限りなく空』、最後に『無責任』を書いたんですけど、『ハレルヤ』の歌詞にも“無責任だと君は笑うだろう”みたいな歌詞があるから。そのひねくれてるところが歌になったのが『限りなく空』で(笑)」
――そしてちょっと落ち着いた後に、問題の…(笑)。
「『限りなく空』は、救いはないけど空は青かったっていうだけの歌で(笑)、『大男のブルース』(M-5)への流れは、サウンド的な種類で言ったら一緒かなっていうことで並べてみたんです。マイナーコード感とか、ちょっとアダルトな感じ」
――でも、アウトプットがこれだけ変わるというね(笑)。
「『大男のブルース』は、名古屋のライブハウスの楽屋で、共演者を笑わせようと思ってやっただけで(笑)。いろいろとネタを考えて、延々とベースのルート音を弾きながらポロッて言ったらめちゃくちゃ受けたから(笑)。しかも、この曲では山さんがブルースハープを吹いてくれてて。寄りによって!(笑)」
――アハハハハ!(笑) でも、一発で“これは山崎まさよしだ!”って分かる音は、やっぱりすごいですよね。そして、曲中のリバーヴと、ビブラスラップがまた遊び心満載で。
「あの『与作』の音ね(笑)。“多くても1曲に2回とかだよなぁ”って言ってたのに、7、8回やったもんね(笑)」
――めちゃくちゃ楽しそうな現場ですね(笑)。続く、夕暮れからの時間経過と情景がすごい目に浮かぶ、ショートムービーみたいな『鴨川』(M-6)もいい曲ですね。
「本当に1テイク弾き語っただけなんですけど、実は一番新しい種類の曲で。去年ぐらいから、思ったことをバーッと吐き出すんじゃなくて、言わずに“描く”書き方をしてみようかなって。具体的に何を喋ったのか、何を言ったのかも書いてないし、何やったら“言いかけてやめた”やし(笑)。“もう涙拭ってあげられないけど/迷い雲 月を隠してくれた”って何やねんってなるんですけど、それは月が隠れたから暗くなって、見えなくしてくれたんだよっていうところやし。そういう風に言わずに思わせる部分は山さんがすごく得意だし、そこは僕もやっぱり身に付けなあかんなって、オープニングアクトの期間中に考えながら書いてましたね。そういうストーリーを書くにはって、自分の見慣れた京都の景色=鴨川をテーマにして書いたんです」
――シンガーソングライターは生き様を描いて何ぼみたいなところもありますしね。あと、『ラブソングみたいに』(M-8)は、以前とタイトルが変わりましたね。
「でも、これが正解なのかなって。この曲は女の娘に書いた歌じゃないから。音楽とか、歌えることに対してやし、とある先輩がもしかしたらもう歌えなくなるかもしれないっていうことがあって…僕にはそういう想像力が足りてへんかったなぁと思ったんですよね。“俺、明日から声が出ーへんくなったら、ただの大きい人やなぁ…”って。でも、声が出なくなってもギターが弾けたら、ピアノが弾けたら、作曲が出来たら…どういう形でも、やっぱり音楽をやっていきたいと思えたとき、歌えることがすごく大事に思えた。そこに対する歌やから、“ラブソング”ではなく、『ラブソングみたいに』で正解やったんです。これも長いこと歌ってきた歌なんで、ようやくちゃんと形に出来たなと。レコーディングもアコギ、バイオリン、パーカッション、ボーカル、3人で向かい合ってせーので録って。今でも聴いたらあの緊迫感を思い出します(笑)。あと、金原(千恵子)さんは、ホンマにすごいバイオリンやった…」
――ポップスにおけるストリングスで、やっぱり最初に名前が浮かぶ人ですもんね。
『BIG MUSIC』を1枚マルッと聴いたときには
みんな浜端ヨウヘイのことをだいたい分かってしまってるんちゃうんかな
――歴代のライブ曲もあれば、縁あって録り下ろした曲もありますが、そもそも1stフルアルバムのビジョンみたいなものはあったんですか?
「アルバム作るときって、コンセプトに沿った流れがあって、1枚の作品が仕上がるのが僕の中の認識なんですけど、今回はもう、バラッバラにしたろうと思って。だからそれが、人によってはゴツゴツした印象にもなったんやと思うんですけど、僕はそれでいいと思ったんです。それがいいと思った。『BIG MUSIC』を1枚マルッと聴いたときには、みんな浜端ヨウヘイのことをだいたい分かってしまってるんちゃうんかなと思うし、1本のライブを観たぐらいのボリューム感やと思うんですよね。且つ自分で思ったんですけど、録ってすぐって気持ちが昂ぶってるから、“最高!”とかは思わへん。ちょっと期間を空けて、もう一度冷静に1曲目から12曲目までを聴き直してみたら、最後の『MUSIC!!』のララララ♪が終わったとき、自然ともう1回リピートが出来て。今までにいっぱいCD買って、いろんな人の音楽を聴いてきましたけど、そういうCDはずーっと聴き続けるCDやから。これはいいものが出来たんちゃうんかなと、本当に思いましたね」
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――その『MUSIC!!』は、ビートルズの『All You Need Is Love』(‘67)のオマージュ的な曲でもあると。
「ビートルズのシングアウトの曲…『All You Need Is Love』(‘67)『Hey Jude』(‘68)『Yellow Submarine』(‘69)なんかもそうですけど、“大団円”みたいなところはやっぱりありますね。サウンド作りもビートルズが根底にあって、それはアルバム全体的でもあるんですけど。あと、これは聴いた人が見付けてくれればいいんですけど、『All You Need Is Love』の最後の繰り返しのところで“She loves you yeah yeah yeah♪”って別の曲を歌ってるのと同じように、一番最後に“目を覚ませ~♪”って歌ってるんですよ(笑)。そういうピースフルな部分はオマージュ出来ればいいなって。だからエレキギターの音色とか、いろいろと真似てみました」
――曲順として最後になるなっていうのはあったんですか?
「そのつもり満々で書いてましたね。『MUSIC!!』に関しては『Starting over』と同じで、テーマがデカいんですよね。“音楽”というテーマやから。それは今までに書いたことがなかった曲やし、ちょっと遠慮しちゃうぐらいのテーマやなと思ってたんですけど、今は心強いメンバーもいるし、スタッフの人たちもたくさんいるし、“これはもう胸を張ってやってやろう”って、ようやく歌えた気はしてます」
――MVもキュートな仕上がりですけど、あれは全部CGですか?
「CGですね。最後にギターを下ろすシーンで、背中に引っ付いてる人形がペロンッて裏返って、ペタンッてまた戻ったのもたまたま(笑)。撮影するときにいつも何かあるんですよ。『無責任』のときも一番最後に浜辺を歩くシーンでカモメがピューッて飛んでいくんですけど、“監督、デジタルでカモメ足しました?”って聞いたら“あれね、アナログカモメなんですよ”って(笑)。どれも素晴らしいビデオになりました」
――あと、この曲に参加しているBLACK BOTTOM BRASS BANDさんとは元々接点が?
「メンバーの人が、家がすごい近所で、よく行く飲み屋が一緒で(笑)。DEPAPEPEとかもみんな一緒」
――すごい飲み屋(笑)。
「ミュージシャンが集まるすごいパワースポット(笑)。(江川)ゲンタさんが常連なのもあるんですけど、それで個人的に仲良くなって、最後にシングアウトで賑やかしたいなっていうときに、“じゃあBBBBを呼ぼうか”って自然に決まりましたね。流石の演奏でしたね」
目の前で歌うっていう本当に当たり前のことを、ちゃんとやっていきたい
――今回のレコーディングで印象的な出来事とかはありました?
「オモシロエピソードが生まれるほど、余裕はなかった(苦笑)。フルサイズのアルバムを作るのは初めてやったし、シングルと違って1曲1曲を作るそれが長く続くわけであって。もちろん本当に楽しかったですけど、めっちゃ必死でしたね。集中しないといけないし、その間の体調管理もあるし」
――去年デビューシングルを出してから、ここまでの期間ってどんな時間でした?
「この半年間がもう濃厚過ぎて。しっかりと先を見据えて考えてくれる人がいるんで、僕はもう目の前のライブとレコーディングを大事にしていくだけかな、という風に必死こいてたら半年経ってたと。さすがにデビューのときのキャンペーンは初体験だったので、何だこれ~!?って(笑)」
――こうやって濃厚にインタビューで喋った後に、普通にもう1回別で喋ったりしますもんね(笑)。デビューシングルの発売前日は熱を出したと前回 は言ってましたけど、今回は?(笑)
「去年初めて『Augusta Camp』に出たときも、2日寝れませんでしたからね(笑)。で、発売日には熱出すし(笑)。今回はちょっと体調怪しい! ヤバい!っていうことで引きこもって風呂に入って…グッと持ちこたえた(笑)」
――しっかり“浜端ヨウヘイ”が入ってる、1stアルバムらしいアルバムな感じがします。
「あ~嬉しいです。でも、曲のキャラクターがみんな強いんで。あと、ボリューム感(笑)」
――曲数もしっかりあるのもありますけど、ガッツリご飯を食べた感じがしますね(笑)。
「丼モノがドンドンドン!って(笑)。ベスト盤を聴いてるみたいな感じですよね。聴き馴染みのある曲、ライブでやってきた曲っていうのもあると思いますし。次回からは知らない歌がいっぱい入ったりもするでしょうけど、結局ボリューム感は出ると思うんですけどね(笑)。あと、『BELONG-BELONG』(M-9)と『スーパーマン』(M-10)の2曲は、宮古島のライブバー、“ズビズバー”でRECして。ステージで全部マイキングして、マジで一発録りなんで。酔っ払い感も出つつ(笑)、笑い声とか、ちょっとフザケてるところとか、不真面目なコーラスとかね。何でそうしたかと言うと、グルーヴ感もそうなんですけど、やっぱり“宮古島で録ってるぜ”っていう雰囲気も録音したかったので」
――『スーパーマン』のゲンタさんのスネアもめちゃくちゃ気持ちいいですよね。このアルバムが完成したときに、思ったこととか感じたことはありますか?
「ある意味、集大成と言ったらちょっとまだ早いですけど、ここまでの1つの区切りみたいなものになりましたね。ここから始まるというだけじゃなくて、ここまでの区切り。まさに『Starting over』ですよ。次のレコーディングもドンドン始まってますし、ツアーもあります。旅に出れば歌が出来ちゃうというか、出来るだけいろんなことに挑戦しながら、新しい歌をたくさん作っていきたいと思います」
――そして、そのツアーの大阪公演は7月21日(火)umeda AKASOです。最後に読者へメッセージをお願いします!
「関西は死ぬまで一生変わらない僕の地元ですから、いつもあたたかく、というか熱過ぎるぐらいの歓迎をいただいてますけども(笑)。出来るだけ皆さんの目の前に現れて行きたいなと思うんです。“大っきい男が歌ってんねんで”というのを、直に体感してもらえれば(笑)。目の前で歌うっていう本当に当たり前のことを、もっと細かくちゃんとやっていきたいと思うし、毎回、同じ歌じゃアカンから、ドンドン新しい歌を聴いてもらえるように自分を変えて。それが“歌を届けに行く”っていうことなのかなとも思うんで、そういうことをちゃんとしていきたいと思います!」
Text by 松川沙織