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WHITE ASHから叩きつけられた“僕らのロックに対する礼儀”
自らの武器を磨き上げ突き詰めた
完全無敵の3rdアルバム『THE DARK BLACK GROOVE』
メンバー全員インタビュー&動画コメント

 「やっぱり、ロックバンドは我が道を行くのが一番いい」という堂々たる確信を得た4人。3月4日に投下されたWHITE ASHの3rdアルバム『THE DARK BLACK GROOVE』はHIP HOPやR&Bに通じる強靭かつフックの効いたリズムワークを土台に、タイトなアンサンブルからキャッチーなメロディに至るまで、細部が研磨された傑作となった。これまでも“シンプルかつカッコいい”をコンセプトに、独自の美学を貫いてきた彼ら。2000年代以降のUKロックをベースに、新旧の時代やジャンルを超えて自在にクロスオーバーし、自分たちのロックとして昇華する。リリースツアー大阪公演を前に、そんな現代的な姿勢で明るく自信作を語る、メンバー全員インタビュー!

 
 
このアルバム制作をしているときから
ホントに周りのことが気にならなくなった
 
 
――昨年9月にリリースされた6thシングル『Hopes Bright』(M-10)は、今作『THE DARK BLACK GROOVE』へとつながる重要な伏線だったようですね。
 



のび太(vo&g)「『Hopes Bright』はCM曲ではあったけど、自由に作らせてもらったので、ダークで尖った感じとか、攻撃性のある音という自分たち本来の武器を見つめ直して、今の自分たちが一番気持ちのいいノリやグルーヴをミックスして作っていったんです。そのとき、この方向性でもっと深く掘り下げてアルバムを1枚作れたらいいなと思って、“THE DARK BLACK GROOVE”というキーワードが頭に浮かんできたんですよ。それで、メンバーに次のアルバムは、“THE DARK BLACK GROOVE”がテーマだよって伝えました」
 
――今までとは制作工程も違ったのですか?
 
のび太「今まではどちらかというと、1曲1曲カッコいいものを作っていって、ある程度曲数が出来てきたら全体的なバランスを整えていくやり方だったんですけど、今回は先にテーマを決めてそこに向って曲作りをしていったので、初めてのコンセプトアルバムと言ってもいいですね。そういう意味で、今まで以上に統一感があるアルバムになったんじゃないかと思います。このアルバム制作をしているときから、ホントに周りのことが気にならなくなって。僕らは“自分たちがカッコいいと思うものを作り続けるだけでいいんだ!”ということに、意識を集中させて作っていった作品なんです」
 
――その結果、より自分たちの志向や嗜好が還元された作品になったと?
 
のび太「そうですね。今まで以上にそれぞれが音を探究して、一音一音すごく抜けがよくなり、楽曲自体のクオリティも格段に上がったと思います。そういう意味で、いいメンバーに恵まれたなぁっていうのを再確認しました」
 
――各パートのサウンドで意識したことは?
 
山さん(g)「今までは、のび太が作るメロに負けないフレーズを生み出そうと思って、闘いのような感覚で曲を作っていたんですけど(笑)、今回は土台となるリズムを活かすフレーズを、僕のクセのあるギターで作っていきました。よりクリアに聴こえるのは、そういう作り方にもあるのかなと思っています」
 
――リズムが土台ということに対し、剛さんと彩さんはどのように対応されたのですか?
 
剛(ds)「僕は元々70年代のソウルやR&Bのような、歌とリズムが強調されているジャンルと相性がよくて。歌を主役にしたリズムがあり、そこにギターとベースを重ねていくような楽曲がものすごく好きなんです。そういう自分の音楽的なスタイルと今作の方向性が一致したのが単純に嬉しくて、迷いなく突き進んでいけました」
 
彩(b)「ベースのフレーズを考えるときもスムーズに出てきたし、このアルバムは今までで一番苦労しなかったですね。だから、剛と同じように私も“THE DARK BLACK GROOVE”っていうやり方がそもそも好きだったんだなって思いました。でも、今回は今までのようにみんなで“せーの”で録っていくやり方ではなかったし、ドラムの一音からガッツリ決め込んで、その上に重ねていくというレコーディングだったので。バンドアンサンブルとしての整合性をすごく意識しましたね」
 
 
自分たちにとってカッコいいものを突き詰めた
僕らの1つの到達点とも言える作品になった
 
 
――HIP HOP的な要素もあると思いますが、それはどういったところから?
 
のび太「ネットラジオで海外のHIP HOPをよく聴いていたのと、アークティク・モンキーズの5枚目のアルバム『AM』(‘13)が70年代のハードロックとHIP HOPやR&Bなんかをミックスさせた作品だったので、そういうところからの影響もあります。他にも、昔よく聴いていたUKのカサビアンとかTHE MUSICのようなグルーヴィーなギターロックを聴き直して、カッケーな!と思ったりしてたし…。このアルバムのレコーディングをしていたとき、エド・シーランもよく聴いていて、HIP HOP的なアプローチはそういうところにも感じてましたね」
 
――洋楽的な要素を意識的に取り入れるようにしているんですね。
 
のび太「単純に好きなんです。カッコいいと思うことはジャンルにこだわらずに洋楽も邦楽も聴くし、古いとか新しいとか関係なく、いいものは全部吸収したいから。それを僕らはロックとして昇華する。だから、世界的に見ても今のシーンにすごくマッチした作品だと思うんですよ」
 
――WHITE ASHはそういう洋楽の最新潮流を敏感に吸収しつつ、日本人が好むキャッチーさがちゃんとあるのが面白いし、希有な存在だと思います。
 
のび太「そうじゃないと僕らの存在意義はないと思ってます。アークティック・モンキーズのコピーバンドとして大学の軽音楽部で結成して、当時流行ってたUKギターロックのブロック・パーティやザ・サブウェイズ、スウェーデンのマンドゥ・ディアオなんかをコピーするところから始まって。その後、シンプルでひと癖あるギターロックを自分たちで作ろうと思って、オリジナルに移行してきたんで」
 
――当初から、“シンプルかつカッコいい”をコンセプトにしていますよね。
 
のび太「2本のギターとベースとドラムとボーカル、この5つの音で構成されているのがシンプルだと僕は思っていて。その中で自分たちの全てを出し切ったのが1stフルアルバムの『Quit or Quiet』(‘12)だったんです。2ndの『Ciao,Fake Kings』(‘13)では、初めてプロデューサーの蔦谷好位置さんをお招きして作った曲も入っていて。そのアレンジでは、ギター2本とドラムとベース以外の音が鳴っているにも関わらず、余計なものが鳴ってないと思ったんです。それまでは、ライブで再現出来るかどうかを第一に考えていたんですけど、その曲において一番いい形に、その曲に必要最低限の音をちゃんと加えてあげるのがシンプルなんだって気付かされたんです。その瞬間、頭の中でいろんな音が鳴り出したんですよ。そういう過程を経て、自分たちにとってカッコいいものを突き詰めた作品が、今回の『THE DARK BLACK GROOVE』なんです。そういう意味で、僕らの1つの到達点とも言える作品になったんじゃないかなと思います」
 
 
自分たちを信じてこれからも突き進んでいけるなと
 
 
——今作でも英詞がメインとなっていて対訳も付いていますが、何か一貫したテーマはありましたか?
 
のび太「歌詞は、直接的な意味より音の響きと気持ちよさを重視して、メロディとマッチする言葉を選んで歌っているんです。でも、何だか始まりを感じるような内容になっていて、結果的に1つのドラマになっているかも…」
 
――『Orpheus』(M-1)のタイトルにもなっている“オルフェウス”はギリシャ神話に出てくる吟遊詩人ですよね。最後は死んでしまうんですけど。1曲目から対訳を読んでいくと、そういう悲劇の主人公が復活して、希望を見い出していく物語のようにも感じられます。
 



のび太「ああ~いいですね!」
 
山さん「っていうか、正解だと思います。各々が考えるイメージを膨らませて欲しいです」
 
のび太「基本的にふと頭の中に浮かんだフレーズとかキーワードが元になっているんですけど、『Orpheus』に関しては不意に“オルフェウス”っていう響きが降ってきたので、調べてみたらギリシャ神話の琴の名人で。オルフェウスは亡くなった奥さんを連れ戻すために冥界に行く。そこで魔王に“奥さんを生き返らせてあげるから、人間界に戻るまで絶対に振り返っちゃいけない!”と言われるんだけど、約束を破って振り返ったせいで、奥さんを連れ戻すことが出来なかった。その“振り返っちゃいけない!”っていうメッセージって、すごく始まりに相応しいなって。そこに合わせてストーリーを作ろうと思いました。でも、聴く側は素直にカッコいいな、いい作品だなって思ってもらえれば、ホントにそれだけでありがたいし、嬉しいですね。だから自由に感じ取ってもらえるのが一番です」
 
――想像力をかき立てられる歌詞や洋楽からのインスピレーションも含めて、いろいろと掘り下げていきたくなるような傑作ですね。このアルバムからWHITE ASHというバンドの真の魅力に目覚める人も多いはず。
 
のび太「周りを気にせず作ったのに、結果的にすごく開けた作品になって。ロックを普段聴かない人にもカッコいい!と言ってもらえるような、“すごく間口が広いアルバムになった”と言ってもらえることも多くて。やっぱり、ロックバンドは我が道を行くのが一番いいんだなって。自分たちがカッコいいと思った音を鳴らすのが一番ロックなんだなって気付けたし、自分たちを信じてこれからも突き進んでいけるなと思える作品になりましたね」
 
――このアルバムを引っ提げた、『WHITE ASH One Man Tour 2015 “DARK EXHIBISION”』もあります。
 
山さん「アルバムの中では打ち込みをループさせている曲もあるので、ライブで生まれるグルーヴ感とは全然違うと思うんですよ。ドラム自体は剛のノリが出ると思うし、それに合わせる彩さんのベースとか、僕らそれぞれのノリがあると思うので。それらが合わさって、ライブでどう4人のグルーヴになるのかを楽しんでもらいたいし、それがどんな風にお客さんたちとのグルーヴにつながるのか、それを会場でたっぷりと体感して欲しいです」
 
のび太「やっぱり生で体感してもらうのが一番気持ちいいと思います。ぜひ、アルバムをたくさん聴いて、ライブに来て欲しいです!」
 
 
Text by エイミー野中
 

 



(2015年4月 7日更新)


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Movie Comment

音とのギャップ!(笑)
メンバー勢揃いの動画コメント

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Release

モダンロックを貪欲に吸収し
己の道を邁進する強烈3rdアルバム!

Album
『THE DARK BLACK GROOVE』
発売中 2800円(税別)
バップ
VPCC-81832

<収録曲>
01. Orpheus
02. Just Give Me The Rock 'N' Roll Music
03. King With The Bass
04. Teenage Riot
05. Walking In A Cloudy
06. Night Song
07. Quandata
08. Speed It Up
09. Zero
10. Hopes Bright
11. Gifted

Profile

ホワイト・アッシュ…写真左より、剛(ds)、彩(b)、のび太(vo&g)、山さん(g)。'08年から本格始動。’10年、アマチュアバンドコンテストで優勝し大型野外フェスティバルへ出演。その後破竹の勢いで、CDのセールス、ライブの動員を伸ばし、’13年5月にメジャーレーベルへ移籍。アニメ『ガッチャマン クラウズ』のオープニング主題歌やJRAジャパンカップCMソングを担当するなど勢い留まらぬ中、2枚目のフルアルバム『Ciao, Fake Kings』をリリース。SHIBUYA-AXを含む全公演を即日ソールドアウトさせた。'14年4月、学校法人・専門学校 モード学園のテレビCMソングに大抜擢され、CM曲を含むシングル『Hopes Bright』を9月にリリース。12月には自身初の映像作品となるベストミュージックビデオ集『The Best Nightmare For Xmas』を発売。'15年3月4日には3rdフルアルバム『THE DARK BLACK GROOVE』を発表。4月には同アルバムを携え、約1年ぶりとなるワンマンツアー『WHITE ASH One Man Tour 2015 "DARK EXHIBITION"』を開催する。

WHITE ASH オフィシャルサイト
http://whiteash.jp/
 

Live

大阪ワンマンは彩(b)の誕生日!
5月にもイベントで野音に登場

Pick Up!!

【大阪公演】

『WHITE ASH One Man Tour 2015
“DARK EXHIBITION”』
チケット発売中 Pコード249-885
▼4月10日(金)19:00
なんばHatch
1Fスタンディング3500円
GREENS■06(6882)1224
※未就学児童は入場不可。
小学5年生以上は有料。

チケットの購入はコチラ!
チケット情報はこちら

 
【東京公演】
チケット発売中 Pコード249-838
▼4月17日(金)18:30
STUDIO COAST
スタンディング3500円
ディスクガレージ■050(5533)0888
※小学5年生以上はチケット必要。
未就学児童は入場不可。

Pick Up!!

【大阪公演】

『Rockin' Radio!-OSAKAJOH YAON-』
チケット発売中 Pコード258-919
▼5月10日(日)昼12:00
大阪城音楽堂
前方自由席3800円
後方フリーエリア3800円
[出演]赤い公園/a flood of circle/
アルカラ/go!go!vanillas/在日ファンク
/the telephones/フレデリック/
WHITE ASH/The Mirraz
GREENS■06(6882)1224
※雨天決行・荒天中止。中学生以上は有料。小学生以下は保護者同伴に限り無料。出演者の変更・キャンセルに伴う払戻しは不可。

チケットの購入はコチラ!
チケット情報はこちら

 
 
『WHITE ASH One Man Tour 2015
“DARK EXHIBITION” -back to basics-』

【仙台公演】
一般発売4月25日(土)
Pコード259-199
▼5月19日(火)19:00
LIVE HOUSE enn 2nd
オールスタンディング3500円
ノースロードミュージック仙台■022(256)1000
※小学5年生以上はチケット必要。
未就学児童は入場不可。

【福岡公演】
一般発売4月25日(土)
Pコード260-248
▼5月21日(木) 19:00
graf
オールスタンディング3500円
BEA■092(712)4221
※小学5年生以上有料・未就学児入場不可

【名古屋公演】
一般発売4月25日(土)
Pコード260-059
▼5月22日(金) 19:00
アポロベイス
オールスタンディング3500円
※小学5年生以上有料。未就学児童は入場不可。

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