「あらゆることに飽きてきた(笑)」 
 全編日本語詞で新境地を切り開いた前作『街の14景』(‘13)からシングルの『BONGO e.p.』(‘14)を挟んで、2年弱ぶりとなるアルバム『謎のオープンワールド』を完成させたthe band apart。“オープンワールド”というゲーム用語に合わせて電子音楽的な4つのスキットを挟みつつ、彼らならではのトリッキーな曲展開で駆け抜ける楽曲から、これまでになくストレートでシンプルなノリをみせる新機軸まで。もはや当たり前のものとなった日本語の歌詞面でもさらなる個性を確立しつつ、よりカラフルな世界を示した全14曲は、4人4様の個性の混ざり方においても新たな境地を感じさせる。通算7枚目のアルバムにして、また新たな扉を切り開いた感のある新作について、荒井(vo&g)と木暮(ds)に語ってもらった。
	 
	 
	作り込んだ曲もいいんですけど、それをいざライブでやるとなったとき 
	どういう音が今の自分の中で面白いだろう? 
	 
	 
	――かなり多彩な楽曲がそろったアルバムになりましたね。 
	 
	木暮(ds) 
	 
	――ということは、アルバムの前後と中盤に4つのゲーム音楽的なスキットが挟まれていてコンセプチュアルな流れも感じますけど、作っていた側としては最初から完成図がハッキリとしていたわけではなく。 
	 
	木暮 「それは全部、後付けですね(笑)。一番自然に、狙いなく作っていきましたね。(曲を)シンプルにしたかったということぐらいで」
	 
	――また、最近のアルバムは、4人のメンバーそれぞれが曲や歌詞を作り上げてくるという形が多かったですけど、今回はバンドとしてセッションしながら出来た曲が多くなったという点も、曲調の広がりにつながったのかなと。 
	 
	荒井(vo&g) 
	 
	――確かに、最近の作品の取材では、この曲は誰の作ってきた曲なのか?という話になることが多かったですけど、今回はそれが混ざり合っているというか。 
	 
	荒井 「スタジオに入ってセッションして様子を見るとかは前からやっていましたけど、さらに意識的にやってみた部分もあるし、僕も深く考える前にギターのフレーズだけを持っていって合わせて、そこから出てきたアレンジからインスピレーションを得て曲を完成させる、みたいな。今回のアルバムは多分半分以上、6:4か7:3くらいはそういうバンドっぽい作り方で出来ていった曲なので新鮮でしたね」
	 
	――これまでのバンアパにありそうでなかったような、ストレートにロック色の強い曲も出てきていたりして、それもその効果なのかなと。 
	 
	木暮 「録音から時間が経ってみると、そういうものが作りたかったんだと思います。作り込んだ曲もいいんですけど、それをいざライブでやるとなったときに、どういう音が今の自分の中で面白いだろう?ということが無意識のところであって。個人的には、シンプルで短いハードコアパンクやガレージロックなどを最近は聴いていたから、そういうものも出たかもしれないですね。モロに出ているかどうかは分からないですけど」
	 
	 
	長年連れ添っている連中ならではの、不思議な統一感 
	 
	 
	――バンドらしい作り方に戻ったという点では今回のアルバムは原点回帰的ですが、4人それぞれの音楽性の混ざり方というのは、以前と変わってきたところはありましたか? 
	 
	荒井 「やっぱり、おかげさまでいろいろと時間を経てきているので変わったところはいっぱいあると思うんですけど。元々4人とも聴く音楽の好みがバラバラな中にも、長年連れ添っている連中ならではの、不思議な統一感みたいなものはあるのかもしれないですね。似てないけど似ている、みたいな(笑)。同じことはやっていないんだけど何か共通してくる、みたいなことは思うことがあります」
	 
	――そうしたバンド独自のバランスの取り方というのは、前作の『街の14景』から歌詞が日本語になっている点でも発揮されてきているのでしょうか? 
	 
	荒井 「言葉の力が強過ぎてそれが先行してしまうと、自分たちの中ではハッキリ言って違うものになってしまう。言葉の表現が強くても、その聞こえ方がどうかという方がバンドにとっては重要で、その点ではバランスが取れて上手くいっているんじゃないかと思いますね。もちろん面白い言葉のチョイスとかはあるんですが、自分たちの目指すバランスは取れているかなと」
	 
	――前作以降に際立っている原(b)さんならではの言葉のチョイスは、今回も随所でインパクトがありますが、今回のアルバムでは全体的にSNS(※ツイッターやフェイスブックなどの個人発信メディア)が日常にある生活感みたいなものが、強く出ているように感じたのが印象的でした。 
	 
	木暮 「今回は(歌詞の表現も)素直になってきているのかな、と思いましたね。SNSのような、この数年でコミュニケーションとして一般化してきたものが歌詞の言葉の裏からにじみ出てきているのも、みんなが今の自分のことを素直に書こうとしているからだと思うので。日本語ラップとかを聴いていると、ヘンな言葉を入れたりしながら、ものすごく身近なことを言っていたりするのがおもしろいから、俺の場合はその影響もあるかもしれないですね。で、その独特の言葉使いを荒井が歌うと、そんなにうっとうしい感じにはならないというか。原もそれが分かっているから“気違い”とか“耳が腐る”という言葉を使ってきていると思うし、荒井じゃない人が歌うと結構ものすごい感じになってしまうと思うんですよね」
	 
	荒井 「もうどんな言葉が来ても、驚かなくなったというのもありますね(笑)」
	 
	――そして、アルバムに伴う全国ツアーが今月から幕を開け、関西は3月28日(土)の滋賀U-STONE、30日(月)に神戸の太陽と虎、4月11日(土)に京都のGATTACA、そして長いサーキットを経て6月5日(金)に大阪のBIGCATへ戻ってくるという流れになります。 
	 
	荒井 「アルバムの収録曲の幾つかはすでにライブでやり始めていますけど、ツアーでは自分たちでも新鮮な並びでやりたいと考えています」
	 
	木暮 「ライブ映えしそうな曲も多いので、自分でも楽しみですね」
	 
	 
(2015年3月25日更新)
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      開放的な躍動感にリフトアップされる 
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      ザ・バンド・アパート…写真左上より、木暮栄一(ds)、原昌和(b)、川崎亘一(g)、荒井岳史(vo&g)。’98年結成。オルタナやポストロック、パンクにグルーヴィーかつフュージョン的な要素なども独自に消化した音世界で支持を集め、’04年にメンバー自らが運営するasian gothic labelを設立。国内で精力的なツアーや野外フェス出演などを続ける一方で、米国ツアーや台湾、フランスでのライブも成功させ、’12年発売以降の作品では日本語詞での楽曲制作をメインとして新境地を切り開いている。今年の1月21日には7thアルバム『謎のオープンワールド』をリリース。the band apart オフィシャルサイト http://asiangothic.org/the_band_apart/ 
         
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
      
      
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          長期戦のリリースツアーがスタート 
          
        
        
        
            【滋賀/兵庫公演】 
          
        
        
        
          
          
          
        
        
        
          
          
          
        
        
        
          
          
          
        
        
        
          
          
          
        
        
        
          
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          【京都公演】 Thank you, Sold Out!! 【大阪公演】 
          
        
        
        
          
          
          
        
        
        
          
          
          
        
        
        
          
          
          
        
        
        
          
          
          
        
        
        
          
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