空きっ腹に酒が梅田CLUB QUATTROで10ヶ月の
歳月をかけて企画するイベント『10カウント』の
応援企画がスタート!メンバー自ら出演バンドを紹介!
そしてVol.2のライブレポートも!!
(2/2)
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10/7(火)に梅田CLUB QUATTROで行われた
『10カウント』ラウンド2、ライブレポート!!
熱を帯びたキレッキレなステージングで大阪・新世代を掻き乱すネオミクスチャーバンド、空きっ腹に酒による10ヶ月連続自主企画「10カウント」の2回目が開催された。梅田クラブクアトロを舞台に、ひとクセもふたクセもあるライブバンドを招いて激突するこのシリーズ。ラウンド2となる今回はバックドロップシンデレラと八十八ヶ所巡礼の2組を迎え、突き刺さる音楽とハンパない熱量に満ちた夜となった。
まずはニューアルバム『シンデレラはいい塩梅』を引っさげて登場のバックドロップシンデレラ。パンクにスカ、ハードコア、メタル、そこにアイリッシュや東欧音楽もブチこんだサウンドで、オーディエンスをどんどん煽っていく。「踊るヤツが偉いのだ! それがここのルールさ」とMCにもあったように、ヘッドバンギングにスカダンス、みんなで肩を組んで揺れたり走り回ったり(!)と、1組目からもみくちゃ&汗まみれのライブとなった。
続いて、こちらも新作『攻撃的国民的音楽』を8月にリリースしたばかりの八十八ヶ所巡礼が赤く妖し気に照らされたステージに現れる。ベース&ヴォーカルのマーガレット廣井の惹きつけてやまない存在感、切り裂くギター、重く打ち込まれるドラム。 胸元で構えたベースはさながらマシンガンのようで、ほぼノーMCで突き進んでいく。変な調和も共感もいらない、とばかりに、自分たちの世界観のまま、どんどん引き込んで、引きずっていく圧巻のパフォーマンスだ。
そして空きっ腹に酒。強烈な2組のライブを経て、さらにソワソワと浮き足立って待つオーディエンスを前に、1曲目「what's up」からフルスロットルで駆け抜けていく。「右手を上げてくれよ!」と拳を突き上げて、コール&レスポンスで煽って、どんどんフロアを巻き込んでいく。ヴォーカルの田中幸輝は裸足でステージを激しく動き回り、鋭く刻んでいくファンキーなギターと疾走するドラム、ベースは前に出たり引っ込んだりしながらグルーヴを加速させていく。
この「10カウント」では、毎回新曲を発表していく、という試みもしていて、自らハードルを上げているのも彼ららしい。今回の新曲となった「オサレ」は、今まで以上にラップの要素が前に出た内容に。攻撃的なラップとキャッチーなサビ、というバランスは、聴くごとにクセになりそうな曲だ。この曲もそうだが、「らびゅ」のリリックにしてもそうで、皮肉のようでいて、ピュアでねじれた愛情がそこにはあって。韻を踏んだ言葉遊びと言いたいことを飽和させて、暴れさせていく。「少年は自棄になった」では、激情のサウンドと感情のまま放たれる歌が、グググッと突き上げてくる。
「まだ2回目やねんなって。いつも通り、いつも以上やるから、それをあと8回、毎回更新していきたいと思ってる。どんどん成長して、新しいものを見せれたらいいなって」(田中幸輝)
ライブもいよいよ終盤。「みなさーん、今日、何しにしたの? パーティーしにきたんでしょ?」と始まったキラーナンバー「Pa」では、ミラーボールも照らされて、みんながみんな飛び跳ねるもんだから床が揺れるほどの大騒ぎに! 曲の途中、ギターのシールドが抜けたのか、一旦ギターの音が止まっても、他のメンバーの臨機応変さでなんなく切り抜けて、と思ったら次はストラップがとれる、という事態に。しゃがんでギターを弾き続ける西田竜大に、ヴォーカルの田中幸輝が歩み寄ってストラップを付けようとしたが途中で気が変わったのか「知らん」と言って放り投げてしまう、そうなると西田竜大も吹っ切れたようにギターをかき鳴らす。「ロックは、何もなくてもできるというのを証明しますよ」(田中幸輝)と畳み掛けていく。ハプニングを物ともせずに自分たちに引き寄せていくのは、ライブバンドだからこそだ。
アンコールでは、田中幸輝とバックドロップシンデレラの豊島”ペリー来航”渉とのフリースタイルMCバトルが勃発、という一幕も。最後はオーディエンス全員を座らせて、「我が家へようこそ」と切り出して、「ひとりひとりの顔を覚えておくことはできないかもしれないけど、今日のこの温もりだけは忘れません」と感謝の言葉で締める、というエンディングに。三者三様の音楽とピーク感があって、ヒリヒリしたり、飛び跳ねたり、一体感があったりそれを拒否してみたり。ライブでこそ感じられる熱気や感情、そして笑顔にまみれていた。次回「10カウント ラウンド3」は11月4日、MONOBRIGHTとミソッカスを迎え、場所はもちろん同じく梅田クラブクアトロにて。ますます目が離せない!
Text by 中谷琢弥
Photo by 押方宏