声帯嚢胞による休養、ソロワークスの拡大、そして大阪の男(笑)
1年3ヵ月ぶりにして挑戦と原点の新作『NEW ME NEW ME NEW』
活動休止前ラストライブ『真夏の3DAYS』に捧ぐ
HAPPY BIRTHDAYきさ&あっこインタビュー
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昨年、人気上昇中の真っ只中にバンドを襲った、きさ(vo&g)の声帯嚢胞の治療のため突然のライブ活動の休止。そのバンド最大の危機を乗り越え、持ち味の芝居を交えたミュージカルライブに加え、きさの弾き語り全国行脚、あっこの紙芝居ラッパー“あっこゴリラ”としての活動と(笑)、再びその勢力を取り戻した2人組ガールズバンドHAPPY BIRTHDAYから、1年3ヵ月ぶりのリリースとなるミニアルバム『NEW ME NEW ME NEW』が届いた。昨夏にはほとんど録り終えていたという楽曲の歌詞とメロディを再構築、タイトル曲である新曲を加えた全7曲は、ポップなメロディと女子ならではの世界観はそのままに、多岐にわたる活動の源泉と、1年3ヵ月という時間がもたらした未来がしっかりと刻まれた1枚となった。が、しかし。HAPPY BIRTHADAYはこの8月に東京・大阪にて行われる『真夏の3DAYS』をもって、一旦その活動を休止。バンドをブラッシュアップさせるため個々を磨く時間へとシフトする。インタビューはその発表前に行われたものだが、新作について、この1年3ヵ月の悲喜こもごもについて語る2人の言葉は相変わらずで、笑いが耐えない。HAPPY BIRTHADAYの成長と早々の帰還を願い、このインタビューを捧げよう。
“音楽だけになったら全然ダメじゃん!”っていうのは悔しいなって
――リリース自体が1年3ヵ月ぶりと、ただ時間が空いただけじゃなく、バンドとしても個人としても変革の時期だったと思いますけど、振り返ってみてどうですか?
きさ(vo&g)「いろんなことがあったなぁと思うんですけど、演奏のレコーディングは去年の夏には終わっていたので、やっぱりそこから今年歌入れをするまで、結構時間がかかったなぁとは思いますね。長かった」
――それに関してはきささんが声帯を痛めて休養したのがまずあって、完全に想定外のリリース延期やもんね。でも、ボーカリストのそれって、まぁ聞かない話ではないやんか。でも、休んだらオッケー、じゃない重度やったんやね。声が出ないかもしれない、元通りに歌えないかもしれないみたいな。
きさ「多分それは手術した人みんなが思うところなのかなって。術後すぐに歌が歌えるわけではなくて、やっぱりリハビリが必要だったし、本当に音程が取れなくなっていたので、上手く歌えなくてどうしようっていうときはありましたね。そんな中、曲は作ってたんですけど歌えないので、全部口笛で練習してたんですよ。もしホントに歌が歌えなくなったら、口笛奏者になろうと思ってました(笑)」
――(笑)。でも、それぐらい何とかしてやるぞっていう気持ちではあったんやね。
きさ「そうです。後ろ向きには全くなってないです、私」
――あっこさんはどうでしたか?
あっこ(ds)「もう皆さんに感謝の気持ちでいっぱいですよ。それに尽きます。ホントにお客さんと関係者の皆さんと。活動が止まっているときは…ドラムと向き合っていたんだと思いますね。あとは宣伝的なこととか、やれることをいろいろ頑張ろうって」
――そもそもあっこさんは何でソロをやり始めたんですか?
あっこ「まずきーちゃん(=きさ)が復帰後に弾き語りライブをやりたいって言って。それであの…えっと、うーん。ほんで…えーっと私の、えーっと、えーっと、えーっと(笑)」
――壊れた(笑)。
(一同笑)
あっこ「えーっと(笑)、事務所の人の企画に“あっこさん、ソロで出てみない? きささんも1人でやるし”みたいな感じで誘っていただいて。まぁありがたいお話だしと」
――そうやね。バンドのボーカリストがソロで出るのは見当がつくけど、ドラマーにソロで出てみない?ってなかなか言わないもんね。
あっこ「そうなんですよ。ありがたいお話だったので、“もう是非!”って即答したものの、ドラムで30分もたせられねぇぞってなって、そこから」
――誘った方もその辺考えてねぇだろ!みたいな(笑)。
あっこ「そうなんですよ!」
きさ「きっと何とか出来るだろうっていう気持ちでね、きっと(笑)」
あっこ「私のエンタテインメントのスキルとか、そういう部分で呼んでくださったんだなっていうのも分かってたんで、楽しめるものにしようとは思ってたんですけど、さぁどうしようと。そこからすごい時間を掛けてLogic(=音楽制作用のインターフェイス)を覚えて、曲作りしてラップを作って。そしたらドンドンアイデアが湧いてきちゃって楽しくなってきて(笑)。ソロライブをしたのをきっかけに、また続けてるって感じですね」
――ミュージカルライブの中でちょこっとやるだけじゃなくて、自分のものとして改めて表現するというか。
あっこ「そうですね。ミュージカルライブもお客さんとつながるために始めたことだったんですけど、それが意外と自分にしっくりくるのもやってみて初めて気付いたんで(笑)。じゃあそういう部分を伸ばそうかなって」
――そう考えたら、それこそ結成時とか、デビュー時には考えもしなかった展開になってきてますね(笑)。
あっこ「ホントですね(笑)」
――“女の娘の気持ちを赤裸々に代弁したユニット”っていうだけでもコンセプトが成立してるっちゃしてるのに、こんなトッピングがあるとはっていう(笑)。
きさ「アハハハ!(笑)」
――逆に、きささんが弾き語りライブを欲したのには何かあります?
きさ「純粋に弾き語りをやってみたかったのと、自分の身体とギター1本だけでステージに立って音楽を伝えるというシンプルなことを、ちょっとやってみたくなって。いろいろとお芝居とかもやっていく内に、観せ方の1つとしてそういう方法があるのはいいですけど、“音楽だけになったら全然ダメじゃん!”っていうのは悔しいなっていう気持ちもあったし。そこの部分をちゃんとやりたかったというのはありましたね」
歌は本当に一番大好きなものなので
――他誌のインタビューで印象的だったのが、以前はあっこさんがきささんに対して思うことが言えなかったと。
あっこ「あぁ~」
――それこそ、この1年3ヵ月でその辺は変わってきました? バランスというか、気持ちというか。
あっこ「そうですね、うん。変わってきましたね。純粋に私が、人とコミュニケーションを取る上で気を使い過ぎるので。気を使い過ぎて…こう、道化師的な?(笑) 何つーの?(笑)」
(一同笑)
――ピエロ的な立ち回りを。
あっこ「何ですかね。自虐だったり、わざと明るくする。私は元々いじめられっ子だったんで、そこで学んだコミュニケーション方法がそれだったんですよね。そうやって笑って人とコミュニケーションを取る。その癖がちょっと悪い方向にやり過ぎちゃって今まできてしまった歪みを、活動が止まったのをきっかけに見直せたんで。でも、やっぱり癖っていうのはすぐ直るものじゃないと思うんで今、徐々にこう…(笑)」
――どのさじ加減が一番いいのか、みたいな。
あっこ「そうなんですよ。やっぱりね、人とつながりたいし、人と楽しく笑い合いたいから、どうしても“私ってこうなんですよね~!”みたいについ言っちゃうんで」
――いろいろ考えることもあって、見直すことべきこともあって、案外ドッシリした時間が流れてたんやね。あと、去年夏にすでにレコーディング済みの素材は、録り直していないわけですよね?
あっこ「演奏はほぼそうですね」
きさ「ただ、歌詞とメロディはかなり書き直して。『NEW ME NEW ME NEW』(M-1)だけ今年作ったんですけど、変わっていないのは『MUSIC』(M-7)『ダイヤモンドブス』(M-2)ぐらいで、あとはほぼ変わりましたね。なので、かなり時間をかけて作った意識が強いです。1回完成していたものを、今の自分が歌うんだったらどんな歌詞にするのか、そのサウンドありきでまた変えて」
――復帰後は、歌えることの喜びだったり、自分の中で何か変化を感じました?
きさ「実は、声帯の手術をして治った後に、もう1回急性声帯炎になったんですよ(苦笑)。それで歌入れ前に1週間以上喋っちゃいけないみたいなことがまたあって」
――復帰後にようやく喉をチューンナップ出来たのに、またそういうアクシデントが。
きさ「本当にずっと歌っていくんだったら、改めてこの身体と付き合っていかなきゃいけないし、歌は本当に一番大好きなものなので、初めてちゃんと向き合ったというか。何となく出来ちゃった気になっていたんですけど、ちゃんとやらないと出来ないものなんだなって、ようやく知りました(苦笑)。治ってよかったです、ホントに。この喉と一生付き合っていけるようにって、今は思っていますね」
(2014年8月12日更新)
Check
Release
みなぎるポップ、キュート、ファニー
1年3ヵ月ぶりの新作にして充実作!
Mini Album
『NEW ME NEW ME NEW』
発売中 2037円(税別)
Sony Music Labels
AICL-2699
<収録曲>
01. NEW ME NEW ME NEW
02. ダイヤモンドブス
03. 週休5日の仕事がしたい
04. 何番目かの女の子
05. スターライトシティ
06. 電気を消したら始めよう
07. MUSIC
Profile
ハッピー・バースデー…写真左よりあっこ(ds)、きさ(vo&g)。’88年生まれ、東京都出身の2人組。’07年、美容専門学校の入学式で運命の出会いを果たし、同年9月にあっこが小説家になるために中退。翌’08年8月にはきさが音楽と恋愛に狂い中退。お互い別々のバンドで活動する中、’10年2月に新宿の270円均一居酒屋にてHAPPY BIRTHDAYを結成。4月には所属していたお互いのバンドが解散し、HAPPY BIRTHDAYに専念。6月にバンド名を飴玉音楽室に改名するものの、すぐに元に戻す。同年11月、1st アルバム『デートに行けない日曜日』をリリース。’11年10月にアルバム『ファーストキス』でメジャーデビュー。バンド名の由来は、ネット上で検索してもすぐにヒットしないような名前でも、いつか絶対に上位に出てくるバンドになる、との想いが込められている。
HAPPY BIRTHDAY オフィシャルサイト
http://www.happybirthday1988.net/
Live
東京・大阪メニュー違いの各3DAYS
活動休止前ラストライブ迫る!
Pick Up!!
【大阪公演】
『HAPPY BIRTHDAY真夏の3DAYS』
チケット発売中 Pコード236-691
〈~きさとあっこのファンシーナイト~〉
▼8月13日(水)19:00
南堀江knave
[出演]きさ(HAPPY BIRTHDAY)/
あっこ(HAPPY BIRTHDAY)
〈~恋愛編~〉
▼8月14日(木)19:00
〈~灼熱編~〉
▼8月15日(金)19:00
ROCKTOWN
全自由3000円
GREENS■06(6882)1224
※小学生以上は有料。未就学児童は保護者1名につき1名まで無料。
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【東京公演】
『CLUB Que 20周年
HAPPY BIRTHDAY presents
「OPERATION MAGOKORO」
HAPPY BIRTHDAY 真夏の3Days!』
チケット発売中 Pコード237-384
〈きさとあっこのファンシーナイト〉
▼8月25日(月)19:00
[出演]きさ(HAPPY BIRTHDAY)/
あっこ(HAPPY BIRTHDAY)
[ゲスト]堂島孝平
〈~恋愛編~〉
▼8月27日(水)19:00
〈~灼熱編~〉
▼8月28日(木)19:00
下北沢 CLUB Que
スタンディング3000円
ソーゴー東京■03(3405)9999
※小学生以上はチケット必要。未就学児童は保護者1名につき1名まで無料。
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