2年の葛藤と成長、レーベル移籍の意図から、東京⇔京都、
まさかのレコーディング秘話にツアー珍道中まで(笑)
名盤2ndアルバム『HUE CIRCLE』にまつわる全てのエトセトラと
YeYeの現在を総括する裏話満載インタビュー!
(3/3)
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自分はコーラスワークが強みになるんやって
――あと、YeYeはいろんな楽器が弾けるけど、今回の制作中に結局のところ自分の武器は声なんや、みたいなところに立ち返れたみたいで。
「元々楽器は好きなんですけど、演奏することに興味があるだけで、何の知識もないまま全部やっていますし。ただ、自分はアレンジ力は乏しいけど、コーラスワークを作るのが好きだったんです。『パレード』も全部自分でやったんですけど、必要だと思う音を入れてみても何かまだスカスカやし足りない。とりあえず声で入れとくかと思ったら、それがすごいよくて。今までは声は所詮は歌うためだけのツールだと思ってて。声だけやったらコードもチューニングも関係ないし(笑)。基本的にすごく面倒くさがりやなんで、手っ取り早い方をやりたくなるんです。しかも、自分の身体から出してるっていう意味では一番密接というか。今までは“声がいいですね”って言って頂いても、嬉しいんですけどあんまり自信が持てなくて。でも、自分はコーラスワークが強みになるんやって『パレード』で思い知って、それ以来ですね」
――なるほど。そういうきっかけの出来事も制作中にあったんやね。あと、この『パレード』のMVはどこで撮ってるん? ここもまためっちゃ独特の空間というか。
「代官山の美容室で。1~3階と屋上があって、同じレーベルの宮内優里さんが元々友達で、結構そこでミュージシャンの人が髪を切ってるらしくて。髪の毛は切りに来ないけど、たまに屋上で老夫婦がお茶飲むくらい地域に密着した美容室で(笑)、すごいいいところでした」
――踊りはやってみてどう? すごくキュートなMVですけど(笑)。
「最初のきっかけは、きゃりーぱみゅぱみゅとPerfumeを観て毎日踊り狂っている3歳の姪っ子を目の当たりにし、おばさんの歌でも踊って欲しいなっていう欲が出て(笑)。踊りは東京のflep funce!っていうダンサーユニットの2人が考えてくれました。1stから2ndにかけてYeYeとパーソナルな自分を切り離して考えられるようになってきて、 “YeYeをいろんな人に知ってもらうためにはどうしたらいいんやろう?”っていうのを…今まではレーベルの言われるがままにやってきたけど、Rallyeは自分がどうしたいかを尊重してくれるレーベルでもあるし、同時に自分でいろいろ考えていかないといけない。MVは世の中にいっぱいあるけど、自分は結構飛ばし飛ばしに見たり、最後まで見たくなるのって限られていて。けど、オーケー・ゴーとかきゃりーぱみゅぱみゅもそうですけど、ダンスって人を惹きつけるなって。今までやったら踊りたいとか言い出すなんてあり得なかったんですけど(笑)。本当に“何で音楽やってるんやろう?”って自分でも思うくらい人前に出るのも元々苦手ですし(笑)」
――人前に出るのが苦手って、音楽やったら絶対出ることになるやんっていうね(笑)。
「そうそう(笑)。いまだにちょっと疑問ではありつつ、目立ちたがり屋な方ではないので、今までだったら考えられないけど、撮影直前まで“何で踊りたいって言ったんやろう…”ってなってたんですけど(笑)」
これ初めて言いました(笑)
――YeYeを俯瞰で捉える中にも時折見え隠れする自分というか、それこそ『明日は来ないか』(M-4)の“ばれないように 泣いて帰る”とか、『プログレ』(M-6)の“時間がとまらないことは みんな知ってる/心がとまることは 誰も知らない”とか、『あるある言いたい』の“不本意に肩を並べて おかしくなるような話/いったりきたりこっちまで 連れてかないで”とかは、生身のYeYeが顔を出す感じですごくいいなって。ミュージシャンのYeYeと人としてのYeYeが乖離するとは言いながら、歌詞の端々からちゃんと滲み出てるところとか、人との繋がりで録った音が入っているところには、やっぱり体温があって。
「『プログレ』はソロで初めて作った曲で、一番とんがってた時代っていうのもあって(笑)。周りと全然音楽の話も合わないし、ちょっとですけどメディアに出て、そんな環境を羨ましいって言われるようになってきた時代でもあって…今でこそ過去に感謝していますけど、当時は気持ちがちぐはぐしていて、すごい悲しかったんですよ。でもネガティブだけでは終わりたくなかったので、ポジティブに終わる歌詞を書くようにしていて、それが最後のブロックの歌詞(“身から出たサビを きれいに研いて いつでもスタートできたら いいのにな”)になるんですけど」
――周りから見たら、前身のバンド時代に『閃光ライオット』で注目されて、若いしかわいいいし楽器も弾けてそらええやんっていうやっかみもまぁ頷けるけど(笑)。そして、不穏なタイトルの『あるある言いたい』について聞かせてもらいましょか(笑)。
「これは実は前のレーベル辞めたときに作った曲なんです。これ初めて言いました(笑)。この『あるある言いたい』っていうタイトルは、レイザーラモンのRGさんの90分間あるあるを言い続けて、それを浅越ゴエが実況中継する会に1回行ったことがあって(笑)、そのときにどれだけ滑っても折れない心の強さに感激して、自分も前のレーベルを辞めて、それでもRGのように強くあるっていう意味で(笑)」
――アハハハハ!(笑) そんな深い意味がここに込められてたん?(笑) マジか!
「アハハハハ(笑)。そのイベントに連れてってくれた人がRGさんの追っかけで、その人が“友達が『あるある言いたい』っていう曲を作ったんですよ”ってRGさんに言ったら、ツイッターで“あるある言いたいはアイラブユーみたいなものだから”って(笑)」
――すげぇ~!(笑)
「かっこいい~! と思って(笑)。それでますます尊敬してます(笑)」
このツアーが終わってからはYeYeという楽団として見て欲しいというか
――今までの話を聞いてたら、この旅のファイナルが地元のKYOTO MUSEとなると、これはいい日になりそう。
「そうですね。リッキーさんが自転車でこけない限り(笑)」
――(笑)。最後にYeYeの今後の野望を。
「元々弾き語りをやりたくて音楽を始めたわけじゃなかったので、今のバンドスタイルが自分にしっくりきているというか、このツアーが終わってからはYeYeという楽団として見て欲しいというか。本名からYeYeに変えたのもそういう意味があって、今後はバンド編成で、その内サポートメンバーもめっちゃ増えて(笑)。YeYeに変えたときって、やってることに名前が追いついてなかったんですよ。でも今はだんだんと身になってきている感じがあるので、YeYeっていう名前を聞いただけで、1人じゃなくてそういうイメージが浮かぶようなアーティストに持っていけたらなというのが野望ですね」
――うんうん。いい締めを。それではファイナルのKYOTO MUSEでお会いしましょう!
「はい! ありがとうございました~!」
Text by 奥“ボウイ”昌史
(2014年1月10日更新)
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