2年の葛藤と成長、レーベル移籍の意図から、東京⇔京都、
まさかのレコーディング秘話にツアー珍道中まで(笑)
名盤2ndアルバム『HUE CIRCLE』にまつわる全てのエトセトラと
YeYeの現在を総括する裏話満載インタビュー!
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作詞作曲はもちろん、全ての楽器演奏までをこなし、シンガーソングライター女子の通念を心地よく裏切る音楽的造詣とみずみずしいセンスが話題となった1stアルバム『朝を開けだして、夜をとじるまで』から約2年。後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)、古川本舗、永野亮といったクリエイターからのご指名も、持ち前の屈託のなさと愛らしさで血に変えて、ファンタジックでストレンジなポップアルバム『HUE CIRCLE』を完成させたYeYe(ィエィエ=中国語で“おじいいちゃん”の意)。半径3mをやわらかな空気に変えてしまう不思議な磁場をまとって、取材場所にふらりと現れた彼女は、カフェにギャラリーに教会、時には呉服屋の2階まで(笑)、全国のニッチな場所を廻ったツアー中に起きた珍道中から、前作を経て金沢のレーベルRallyeへと移籍した意図、地元京都のきんせ旅館をはじめとするレコーディング回顧録etcまで、YeYe自身も「これ初めて言いました(笑)」と思わず漏らすほど、今だから話せる裏話を次々と語ってくれた。長い旅路の終着点となる1月12日(日)KYOTO MUSEでのワンマンライブを前に、麗しき2ndアルバム『HUE CIRCLE』にまつわる全てのエトセトラと、YeYeの現在を総括するインタビュー。
YeYeからのぽわぽわ動画コメント!
――昨年9月のリリースからちょっと経って、どうですか? 反応も含めて今の感じは。
「ツアーに精一杯で、スタッフも誰もいなくて、物販とかも全部自分で持って行ったりしてるんで、毎回1本終わっては“はぁ”って感じ(笑)。ライブが終わるたびにアザが4~5つ出来てるんです、膝に(笑)。今修業中です(笑)」
――スケジュールを見てたら、山口県だと会場が“そごう呉服店2階”とか、すごいところでやってるよね(笑)。
「ライブハウスでのライブは、東京とファイナルのKYOTO MUSEだけで、あとはカフェとかお店だったりして。そごうさんは、山口の友達が誘ってくれたんです。ライブ中もドアも閉めずに開けっぱなしなんですけど、ジャズバンドがやって苦情がこなかったから大丈夫、みたいな(笑)。商店街の中にあって」
――それで言うと、山口にもYeYe来てよっていう人がいるのは嬉しいよね。音楽を持って旅が出来るのは。
「こんなにいろんなところに行けるのはありがたいけど、行ったことのないところばかりやったんで、ホンマにお客さん集まるのかなって最初は不安で。どうなるんやろうって思ってたんですけど、各地でお店の人が宣伝してくれたり、元々知ってくれてたり、行く場所場所で、すごいありがたみと実感が湧きましたね」
――ツイッターとかで反応は見れるけど、それこそ呉服屋に行っても待ってる人がいるっていうのは、行って初めて分かることというか(笑)。
「本当にそうですね(笑)。自分も東京じゃない地方でずっと音楽をやってて、ツアーで行く先々は若い人らがカフェをやっていたりする場所で、そこはそこで活気づいてて。何でもかんでも東京みたいなところが日本にはあるけど、海外は地方にしっかりしたシーンがあるし、今回のツアーに行くことによって、地方がわっしょいわっしょいなってるのを感じて…自分も今の場所にいたままでよかったなっていう、勇気づけにもなりました」
――ミュージシャンだけじゃなくて、音楽を盛り立てる人が各地にいる。この点が線になっていけばやっていけるんじゃないかっていう予感みたいなものも今の時代にはあって。今は音楽で商売するのがしんどい、特にCDに関してはそういうことがよく言われるけど、どこでも情報が手に入れられて、繋がれるのは時代の強みでもあるよね。
「本当に。SNSにもすごい感謝しながら。それきっかけで実際に行って、リアルな反応を体感するというか。そういう意味ではめっちゃラッキーな時代にミュージシャンしてるなって、すごい感じました」
音楽だけじゃなくて、メンタル面がこのツアーですごい強くなった(笑)
――充実した旅が出来た感じやけど、ただ東京ワンマンのときにメンバーが自転車に乗ろうと思ってこけて、首を痛めてライブに来れない事件があったと(笑)。2ヵ所しかないライブハウスのライブでそんなことが起きてたんや(笑)。
「そうなんです、前日にドラムのリッキーさん(妹尾立樹 from Sistertail、LLama)が(笑)。とりあえずどうにかしないといけないので、相対性理論とかトクマルシューゴさんで叩いてるイトケンさんに連絡をとって。レーベルのコネクションで何度か会ったことあって、前にもそういう急遽のドラムをすぐ叩ける方って聞いてたんで(笑)」
――そんな覚えられ方(笑)。
「それぐらいすごいドラマーさんとして(笑)。YeYeを聴いてくれてるのも聞いてたし、しかも東京って、もうイトケンさんしかいない!と思って。セットリストも最初は3人のセットにして、最後にドカーンと4~5曲くらいイトケンさんに入ってもらうように変えて。何とか華がある感じで終われたので(笑)、結果オーライじゃないけど」
――24時間切った状態で頼んで、ズバッと叩けるのはすごいよね。
「そうですよね。楽譜ぴったりで。助かりました」
――面白いですね~いろいろあるね。タフになるよね、そういう旅を続けてたら。
「こんなこと普通あり得ないんですけど、音楽だけじゃなくて、メンタル面がこのツアーですごい強くなった(笑)。本当に成長しているのを、自分でめっちゃ実感しています。(田中)成道さん(TANAKA OF THE YEAR!)とじゅんじゅんさん(浜田淳from Lainy J Groove)も、リッキーさん欠場の穴を埋めるために、急遽いろいろ変更してくれたりして。私、すごい泣き虫ですぐ泣いてしまうんですけど、あの日ばかりは絶対に泣かへんと思って。今までは末っ子でだいたい大人について歩んできたけど、ここは頑張って“リーダーや!”って感じで。あの東京ワンマンを終えた後に、“成長した!”って初めて実感しましたね」
――そう考えると、普通に東京でワンマンやれてたらちょっと違ったかもね。
「そうですね、本当に」
――首は大変やけど、ありがとうじゃないけど(笑)。
「アハハハハ(笑)。逆境をチャンスに変えたというか」
――ちなみに首は治った?
「まだ痛みはあるみたいなんですけど、とりあえず折れてはなかったので。最初に電話がかかってきたとき、“折れてるかも!”って言ってたんですけど、折れてたら電話もLINEも出来ひんし(笑)」
(2014年1月10日更新)
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