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ホーム > インタビュー&レポート > キュウソ、ねごと、[Champagne]、カランコロン、 Schloder、BIGMAMA、tacica、ガガガ and more!! アルカラの神戸愛が生んだ豪華主催イベント『ネコフェス2013』 初開催にしてソールドアウトした濃厚な1日をレポート!


キュウソ、ねごと、[Champagne]、カランコロン、
Schloder、BIGMAMA、tacica、ガガガ and more!!
アルカラの神戸愛が生んだ豪華主催イベント『ネコフェス2013』
初開催にしてソールドアウトした濃厚な1日をレポート!

 自由きままなロックンロールサウンドで人気を集めるアルカラ。神戸で結成され、自称“ロック界の奇行師”としてシーンを賑わす彼らが、“神戸の魅力をもっと感じて欲しい”とバンド自ら企画&主催したライブサーキット型イベント『ネコフェス2013』。神戸・三宮に拠点を置くライブハウスやイベントスペース、VARIT.、チキンジョージ、ART HOUSE、ウィンターランド、RAT、太陽と虎、Star Club、クラブ月世界に55組のアーティストが集結。全てのアーティストがアルカラと親交が深かったり(稲村(vo&g)と電話番号を交換したせいで仲良くなったバンドばかりとか!?)、神戸に縁のあるバンドだったりと、とにかく地元愛を注ぎまくったイベントは、初開催にしてソールドアウト! この濃厚な1日を、オーディエンスさながら駆け足で移動しつつレポートします!!

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 開場と同時にチケットをリストバンドに交換したオーディエンスたちが思い思いの会場へと足を運んでいく。ウィンターランドでは1番手、キュウソネコカミのステージが始まった。「ギリギリ入場規制かかってなーーーい!」というヤマサキ(vo&g)の叫び声が笑いを誘うも(笑)、会場はライブが始まる前から汗が止まらないほどに熱気が高まっている。『JP』や『DQNなりたい、40代で死にたい』と性急なギターがテンションを掻き立て、爽快感溢れまくりのリズムで会場を踊らせる。
 
 スタート早々入場規制がかかったVARIT.のトップバッターには、ねごとが登場。『ネコフェス』限定でバンド名を“ねこと(猫と)”にした彼女ら。蒼山(vo&key)のふわりと甘い歌声でオーディエンスを取り巻いていく。イベントとは言え攻めの姿勢で新曲も披露し、夏らしさ溢れる、水しぶきが弾けるような爽やかな楽曲には、会場の空気は清涼感いっぱいだった。なお、VARIT.では『ネコフェス』フードとして“ねこまんま”が限定で販売されており、音楽だけでなくお腹も満たしてくれる自由さが心地よい空間を生み出していた。
 

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 また、本イベントの最大キャパのチキンジョージも、[Champagne]がトップバッターとあって早々に入場規制に。会場はまるでワンマンライブかと思わせるほどのオーディエンスで溢れ返り、冒頭から激しいモッシュが客席で繰り広げられる。MCでは『ネコフェス』でバンド名の表記ミスがあったという話に。「バンド名に“[   ](カッコ)が付いてなかったんです。それって“カッコつけんな”ってことですよね?(笑) それなら汗だくでクソみたいにやります!」と『Stimulator』『Kick&Spin』と豪快なロックサウンドを投げ込む。ドラムが楽器ごとダイブしてくるような力強い低音のリズムが、川上(vo&g)の高く張り詰めた歌声がフロアの緊張感を煽る。オーディエンスもバンドの生み出す波に飲み込まれ、気持ちよさそうに体を揺らしている。最後の『starrrrrrr』のド真ん中のロックサウンドと美しいメロディがフロア中を煌かせる。30分という短い時間ながら、バンドの持つ魅力をしっかりと伝えたステージだった。
 
 街を見渡せば、アルカラのホームと言えるART HOUSEでは、ラックライフが力強いサウンドを鳴らし、RATでは千葉から参戦したkatyushaがジャジーなリズムに女性が隠し持つ芯の強さを歌声で聴かせるなど、どこかのライブハウスで必ず音が鳴っている。オーディエンスたちはタイムテーブル片手に、次は誰を観ようかと頭を悩ませ、神戸の町を行ったり来たり。お目当てが入場規制だったら、目の前の生田神社でお参りしたり、アルカラメンバーがブログで紹介していた神戸の名所を巡るのも楽しみの1つ。移動の合間にイスズベーカリーでパンを食べる女子、Star Clubに行く途中で焼肉十番でスタミナをつける男子、トアロードでオシャレな雑貨を見て、アルカラメンバーも思い出深い駅前の“パイ山”で小休憩を取ったり(体力のあるオーディエンスは中華街にまで足を運んだという声も!)。神戸・三宮という街中でのイベントだからこその楽しみ方、移動や休憩の時間も含め、全てが『ネコフェス』なのだ。“神戸の街を楽しんで”というメンバーの趣旨には“街を汚さないで”という想いも含まれている。その想いをきっちりと受け止め、道中にゴミを拾ってきちんと処分する『ネコフェス』Tシャツを着たファンの姿は、街の人にもきっと伝わっているのだろう。
 

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 再びチキンジョージでは、東京カランコロンも入場規制。1曲目の『少女ジャンプ』から、紅一点のせんせい(vo&key)の華のある歌声に、いちろー(vo&G)のクセになる歌声、ツインボーカルのオイシイところが全部盛りの楽曲に夢中になる観客たちの笑顔が微笑ましい。7月10日に発売されたばかりのメジャー1stシングル『16のbeat』では、疾走間溢れる力強いバンドサウンドが今のバンドのテンションをそのままに写しこんだようで、メンバー自身が思う存分楽しんでいるのが伝わる。『ラブ・ミー・テンダー』や『いっせーの、せ!』など彩り鮮やかな楽曲陣で魅せ、ラストの『泣き虫ファイター』までテンションを落とすことなく突き進んだ、瞬殺の全6曲だった。
 

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 『ネコフェス』の一番東側に位置するStar ClubではTAKE COVERが切れ味するどいギターサウンドとネコフェスに掛けた“ニャー♪”のコール&レスポンスで遊び心たっぷりのステージを観せ、お隣の太陽と虎では、Schloderが地元神戸で音楽で築き上げる人との繋がりを楽曲で感じさせてくれた。「決まったノリはない好きに遊んでいって欲しい。偶然出会って(それが良い音楽なら)ラッキー♪と思ってくれたら嬉しい」と、『ネコフェス』に参加する意気込みを語る。『きみのすきなひと』では、最初は手探りだった会場の空気をポップなメロディと、ami(vo&key)の自由奔放なボーカルで一気に明るくハッピーにしてしまう。ゴリゴリに攻めたかと思えば、ピコピコしてみたり、胸キュンしたり、楽曲ごとに目まぐるしく変わるステージは飽きることがない。彼らのステージが終わる頃、「(Schloderの)次のライブ、観てみ~ひん?」なんて話しながら会場を出て行った観客の姿に、このイベントの醍醐味の1つを目の当たりにしたような気がした。
 
 イベントも中盤に差し掛かる頃、UNLIMITSが体当たりのステージングでオーディエンスの心を鷲掴みにし、Jeeptaが中毒性のあるリズムで躍らせる。alcottはド真ん中ストレートなロックサウンドで初見の観客すらも前のめりにさせるetc…8ヵ所ものライブハウスを巡り続ける観客は疲れを見せることなく、「さっきのバンド良かったな」「あのバンドええらしいよ」と足を止めることなく、三ノ宮を練り歩く。
 

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 そして、チキンジョージではBIGMAMAでまたも入場規制に。1曲目の『until the blouse is buttoned up』で壮大なスケールを感じさせたかと思えば、「アルカラに向けて力を残してる?」と『荒狂曲“シンセカイ”』では剥き出しの狂気でオーディエンスを煽る。東出(vl)の高速バイオリンがフロアのモッシュサークルの速度を上げるように突き進むなどライブは終始大盛り上がり、金井(vo&g)の「イヌよりもネコよりも、ウマが好き…」というまさかの反『ネコフェス』宣言には(笑)、思わず笑ってしまった。
 

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 ウィンターランドではtacicaが優しく包みこむようなセットリストでオーディエンスを魅了。3人編成のシンプルで浸透力の強い楽曲は、夕日が沈み夜景の美しい神戸の夜にピッタリはまる。野太いベースラインは鼓動のように体に染み込み、猪狩(vo&g)の歌声は柔らかさだけでなく男臭い渋さも感じさせ、そのギャップにも思わず心掴まれた。
 

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 時間はあっという間に過ぎ、太陽と虎ではアルカラの大先輩でもあり、神戸を背負って活動してきたガガガSPがど根性ロックで会場を盛り上げた。「『COMIN’ KOBE』ではトリでやったのに…アルカラであぶれた客が来ると思ってたのに…なんでやねん!」とコザック前田(vo)が吠え、その鬱憤(!?)は楽曲に見事に反映(笑)。『燃やせ!!』や『ただひたすらの日常アナーキー』と豪快なサウンドで突っ走っていく。そして、「いつ歌っても、どこで歌っても、その日その場所で歌うのが初めてなら、それはいつも新曲や!」と披露されたのが『国道二号線』。年々説得力が増していく楽曲は、いつ聴いても泣けてくる。
 

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 全アーティストのステージが終わり、チキンジョージでは『ネコフェス』の主謀者であるアルカラが出番を待っていた。もちろん会場は早々に入場規制がかかっていたため、UST配信で他会場へ中継、さらに全国のオーディエンスも配信で参加と準備万端。待ち望んでいたアルカラの登場に、数え切れないほどの観客が一斉に沸いた! 『交差点』『キャッチーを科学する』と立て続けに感性爆発のアルカラ・サウンドをぶちまける。神戸で作り上げてきた土台、東京で積み上げてきた経験、このイベントのために培ってきたもの全てを注ぎ込んだ全力のステージは、“圧倒的”でしかない。中継先であるクラブ月世界でも、まるでそこにステージがあるかのように、オーディエンスたちがスクリーンに向かって歓声を上げている。きっとネットの向こう側も同じ気持ちだろう。
 

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 MCでは稲村(vo&g)が今回のイベントに出演してくれたアーティストに愛あるイジリで感謝を伝え、スタッフやライブハウス、集まってくれたお客さんにも全身全霊で言葉を届ける。ラストには、かつてART HOUSE時代に作ったというキラーチューン『メランコリア』も披露。複雑に絡み合うギターサウンド、強靭なグルーヴを放つリズムはバンド初期より健在だと改めて思い知る。
 

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 アンコールでは、稲村が今いくよくるよ師匠ばりの真っ赤なワンピ姿で登場し(笑)、またも出演者をイジリ倒しながらも感謝の言葉を伝える。そして「来年もやって再来年もやる! 梅雨の神戸の名物イベントにしたい! アルカラのイベントじゃなく、みんなのイベントです!」とこれからの『ネコフェス』も約束し、アンコールラスト『ボーイスカウト8つの掟』で、“ロック界の奇行師”らしいクセになるロックンロールサウンドで、『ネコフェス2013』をガッチリと締め括ってくれた。
 
 「神戸が好き過ぎて立ち上げたイベントです。愛しています。神戸は夜景もキレイやから、帰りはご飯でも食べて、もちろんゴミは出さんとキレイに! また帰ってきます!」と、最後まで地元愛を叫び続けた彼ら。これから先も、オーディエンス、アーティスト、そしてスタッフに愛し愛されるフェスになることは間違いないだろう。
 
 
Text by 黒田奈保子

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(2013年7月31日更新)


Check

DATA

神戸・三宮を舞台に繰り広げられた
アルカラ主催ライブサーキット!

『ネコフェス2013』
6月30日(日) at
ART HOUSE
[出演]UNDER NINE/ラックライフ/BUGSLUMP/高木誠司/alcott/the coopeez/UPLIFT SPICE/KNOCK OUT MONKEY
チキンジョージ
[出演][Champagne]/東京カランコロン/mudy on the 昨晩/BIGMAMA/folca/アルカラ
クラブ月世界
[出演]Bugって花井/リバーシブル吉岡/いずこねこ
RAT
[出演]ユーノ/katyusha/toi toi toi/Boiler陸亀/The Spring Summer/THE BLONDIE PLASTIC WAGON/GRIKO/Anny
Star Club
[出演]GOOD ON THE REEL/POINT-UP/TAKE COVER/アカシアオルケスタ/A(c)/バックドロップシンデレラ/DOOKIE FESTA/ircle
太陽と虎
[出演]セックスマシーン/アナル玄藩/Schloder/Liaroid Cinema/chaqq/plane/クリトリック・リス/ガガガSP
VARIT.
[出演]ねごと/FLiP/UNCHAIN/Jeepta/bradshaw/HERE/0.8秒と衝撃。
ウィンターランド
[出演]キュウソネコカミ/つしまみれ/The SALOVERS/UNLIMITS/ecosystem/tacica/Sound Schedule

Release

“おとぎ話”をテーマに制作された
6thアルバムが9月にリリース!

Album
『むにむにの樹』
9月4日(水)発売
2300円
SPEEDSTAR RECORDS
VICL-64055
※初回生産分のみデジパック仕様

<収録曲>
01. 名探偵ミスタ相棒はジョニー
02. 藤壺のキミ
03. おうさまと機関車
04. むにむにの樹のおはなし
05. 踊れや吸血鬼
06. はとのさんぽ
07. ネコとおさかな
08. お花売りの少女

Profile

アルカラ…メンバーは、稲村太佑(vo&g)、田原和憲(g)、下上貴弘(b)、疋田武史(ds)。'02年神戸にて結成、'03年現メンバーに。自称“ロック界の奇行師”。ギターロックやオルタナティヴロックなどの音楽性を基調としながら 一筋縄でいかない自由奔放さで唯一無二の世界を構築。'09年にはアメリカはワシントン州シアトルでの公演を敢行、音楽が言葉の壁を超えた瞬間を体験する。'10年、愛し愛され続けた地元神戸を飛び出し“遅れてきた青春”を取り戻すべく上京。その後、数々の大型フェスへの出演を果たし、'12年は初の全国7ヵ所のワンマンツアー全公演をソールドアウトさせた。'13年9月よりニューアルバム『むにむにの樹』に伴う、全国25ヵ所のツアーを行う。

アルカラ オフィシャルサイト
http://arukara.net/

『ネコフェス2013』 オフィシャルサイト
http://nekofes.net/


Live

OTODAMAやカンラバ出演&
全国ツアーとライブも盛りだくさん!

 
『OTODAMA'13~音泉魂~』
チケット発売中 Pコード201-698
▼9月7日(土)11:00
泉大津フェニックス
自由6800円
[出演]アルカラ/OKAMOTO'S/奥田民生/クリープハイプ/SAKANAMON/THE COLLECTORS/THE STARBEMS/四星球/東京カランコロン/モーモールルギャバン/MONGOL800/0.8秒と衝撃。/レキシ/N’夙川BOYS/レイザーラモン(入浴宣言)/ピエール中野(湯上りDJ)/他
清水音泉■06(6357)3666
※雨天決行・荒天中止。小学生以下は無料(入場券をお持ちの保護者の同伴が必要)。出演者変更に伴う払戻しは行いませんので、予めご了承下さい。

『ア・ル・カ・ラ6枚目
“むにむにの樹”レコ発ツアー
【むにむになるままにJAPAN TOUR】』

一般発売8月11日(日)
※発売初日は、インターネット、電話にて受付。店頭での販売はなし。
Pコード205-847
▼9月8日(日)18:00
神戸ART HOUSE
スタンディング3000円
[共演]有
清水音泉■06(6357)3666
※未就学児童は入場不可。小学生以上はチケット必要。

『KANSAI LOVERS 2013』
チケット発売中 Pコード203-699
▼9月23日(月・祝)12:00
大阪城音楽堂
前売1000円
[出演]北川けんいち/MOLE HILL/ラックライフ/THE ORAL CIGARETTES/plane/Sound Schedule/アルカラ/DOOKIE FESTA/サクラメリーメン/ひらたゆうや/Feeling Drive/大督/前田なつみ/ジャスティン・ベーコン [オープニングアクト]charmant coco
HEADLINE■06(6886)1390
※雨天決行・荒天中止。

『ア・ル・カ・ラ6枚目
“むにむにの樹”レコ発ツアー
【むにむになるままにJAPAN TOUR】』

一般発売10月6日(日)
Pコード205-609
▼11月21日(木)19:00
心斎橋BIGCAT
オールスタンディング3500円
清水音泉■06(6357)3666
※小学生以上は有料、未就学児童は入場不可。

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