日本一泣けるコミックバンドが結成10周年に仕掛ける
11曲入りシングル(笑)『オモローネバーノウズ』制作秘話
アニバーサリーイヤー後半を駆け抜ける
四星球(スーシンチュウ)の爆笑インタビュー&動画コメント!
今の時代にもはや絶滅寸前の“コミックバンド”と自ら謳い、“おもしろい”を追求する執念にも似た探究心と、オーディエンスを掌握し鼓舞する膨大なライブで培われた反射神経、笑いあり涙ありのライブを武器に、徳島から全国にその名を轟かせる4人組、四星球(スーシンチュウ)。今年で結成10周年を迎える彼らのアニバーサリーアイテムが、あのMr.Childrenのメガヒット曲『Tomorrow Never Knows』をモジった、その名も『オモローネバーノウズ』(笑)だ。昨年の震災を経て、迷い、覚悟を決めた彼らのアティチュードが隅々にまでいき届いた今作は、ボーナストラック7曲を含む全11曲入り(!!)シングル。そこにはただおもしろいだけではない人生の機微が沁み込んだ楽曲から、只々おもしろい楽曲まで(笑)、彼らの真骨頂とも言えるライブ音源を含めて、存分に四星球とは何なのかを伝えてくれる強力な1枚だ。昨年、台風で中止となった関西の名物イベント『OTODAMA’11-‘12~音泉魂~』への念願の初出演をはじめ、2012年のアニバーサリーイヤー後半を駆け抜ける彼らに、『オモローネバーノウズ』制作秘話からおばあちゃんの話まで(!?)、多方面に飛び火したトピックをインタビュー。真剣にフザける愛すべき男たちの生き様を感じ取って欲しい。きっとあなたも、四星球の虜になる。
四星球からの仲良し動画コメントはコチラ!
――今回のシングルの話を聞かせてもらう前に、四星球にとってここに向かうまでのこの1年はどんな年だったのかをまず振り返って頂きたいなと。
北島康雄(vo)「まぁライブをずっとやってるバンドではあるんですけど、去年はやっぱり震災が…」
――特にそういうのと四星球の関係って、よく考えたらちょっとデリケートな感じも。
北島「そうなんですよ。どこで交わればいいのかが、やっぱり1年を通して大きな課題というか、僕らの在り方を問われるというか、存在理由を考える年にはなりましたね。おもしろいこととか楽しむことが、人にとってどれぐらい大事なモノなのかを考えた年になりましたし、そんなとき『OTODAMA’11~音泉魂~』が台風で中止になって…楽しみにしていることがなくなるのはこんなに辛いのかということを経験した上での、今年のこの『オモローネバーノウズ』(M-1)かなぁという気はしてます」
――やっぱり去年のそれがないと、ここには辿り着いてないという。
U太(b)「何でしょうね…僕らはコミックバンドなわけで。でも震災が起こった当初は笑わせることが良いのか悪いのか、世の中的にも“今笑いなんているのか?”みたいなムードがあった中で、それでもライブを続けてたわけなんで。そこを乗り越えることによって、コミックバンドを続ける上での決意みたいなものを、ちょっとは持てたかなぁっていうのはありますね。続ける意味だったり、続ける故の責任感とか、そういうのを全部持ってやらなあかんのやろうなって。そういう意味では、10周年迎える前に、続けることに対して腹をくくれたんじゃないかなぁと」
――こういうことでもなければ、考えもしなかったことというか。四星球は徐々に存在も知ってもらって、昇り調子ではあると思うんですけど、なかなかフラットな目線で自分たちがやる意味とかを…。
北島「考えることはなかったですね、やっぱり」
モリス(ds)「まぁ相変わらず年100本以上ライブをした年だったんで、そういう機会がなければただガムシャラにやってただけだと思うんです。けど、ある意味そういうきっかけみたいなものがあって、10周年という集大成の年の前にそういうことを考えられたのは、貴重な年だったなぁとは思いますね。今となっては」
北島「実際なくなったライブもありますからね。まぁ年に120本とかやってると、普通にライブハウスに行ってライブやって、お客さんに来てもらってっていうことに対して麻痺するんですよね。やれることに対して感謝出来るように…ありがたさは感じるようになりましたね」
――それがあっての『オモローネバーノウズ』という意味では、今まで以上にテーマや意味合いを考えたと思うんですけど、去年1年を経て出た答えって何やったんですか?
北島「やっぱり真面目過ぎたらあかんなっていうのは思いました。震災があったとき、次に出すCDはホンマにアホみたいなやつにしようっていうのは思いましたね。でもその気持ちとは裏腹に、書く詞はどうしても生々しいというか自分をさらけ出すモノになっていく。それをちょっとでもおもしろさでコーティングしようと思ったら、タイトルがダジャレっぽくなったり、リリース形態が特殊な形になったり。なので自ずとこういう形になったのかなと。この暗い時代に逆うモノを出したい気持ちがどんどん強くなりました」
――それでも俺らは続けるとなったとき、今まで以上に強いモノというか、俺らは遊ぶぞって見た人がハッキリ分かるシングルというかね。だってもう、シングルやのに去年出したミニアルバムより曲数多い。
(一同笑)
U太「もういろんなモノの定義がね、グチャグチャなっちゃってるんですよ(笑)」
北島「それでもね、ある意味メッセージがあるんですよね。MCでもよく言うてるんですけど、いろんなバンドの人とかがシングルを出すとき、何かメッセージを持って歌うじゃないですか。今回僕たちがシングルで社会に向けたメッセージは、“シングルって何なん!?”っていう(笑)。もっと言うと“定義って何なん!?”っていうところに行き着くと思うんです。そんなんも全部取っ払えるようなことがしていきたいんです」
――シングルが2曲とか3曲とかって…。
U太「誰が決めたん?っていう(笑)」
――でもそうなったら、シングルとかアルバムとか、もうどうやって決めていいか分からんくなってくんで(笑)。
(一同笑)
北島「ホンマに、それ!」
U太「2曲入りアルバムとかね(笑)」
――そうそうそう(笑)。逆もあるもんね。
北島「そうなんですよ。だからベストアルバムっていう表現もおかしいじゃないですか。オリジナルアルバムも全曲ベストを尽くしてるから、言うてみたらベストアルバムやし。もっと言うとマキシシングルって何!?みたいな(笑)」
――アハハハハ!(笑)
北島「もういろいろ分からんくなる。だからもう言うたもん勝ちやなって」
――その観点に行き着いたらもう何でもありやんな(笑)。
北島「もうバンドの形がそれなんで。でも僕たちって、それをライブでは堂々と出来ても、音源ってやっぱビビってしまうんですよ。CDを出すっていうことを貴重なことやと思い過ぎるところがあって。今までライブではムチャクチャなことしてるし、普通のバンドじゃないことをやりたかったはずやのに、CDに対してはちょっと臆病になってる。もっと破天荒になっていいんじゃないかっていう結果、めっちゃくちゃ曲入れるっていう(笑)。振り切り具合で言うと一番今までで満足してますね」
――いずれ“形とかも…”とかなってくるかもね(笑)。
北島&U太「そうなんです(笑)」
――CDが三角でもいいやんって(笑)。
北島「そう! なってくるんですよ(笑)。まぁでも三角やと再生出来ませんからね。それはちょっと困るんで(笑)」
――そう考えたら四星球っていうバンドのおもしろさはライブを観た人の間でちょっとずつ広まっていったと思うけど、それが10年目にしてようやく作品にも及んできたというか。逆に今まではその発想にはいかへんかったんやね。
北島「そう。何かどうしても音源だと臆病になるんですよね」
――何でなん? あんなにライブで無茶してるのに(笑)。
U太「(笑)」
北島「そこは考えたことなかったな。何でかな? ちょっとコントを入れるとかそういうことで、冒険してる満足感があったのかもしれないです。CDでも笑えるでしょ? ネタ入ってますよ、で止まってたんですよね」
――あと今回の『オモローネバーノウズ』っていうタイトルはあからさまに何かを彷彿とさせますが(笑)、今!?みたいな。まぁまぁ前やし(笑)。
北島「まぁまぁどころじゃないですよね(笑)。まぁ一番は言ってしまえばゴロなんですけど。もう僕らも今年28~29なんですよね。それでもやっていくぞと。CD売れないのは分かってると。でもCD売りたいんだと。だったら大ヒット曲にあやかろうかなと」
(一同笑)
――『Tomorrow Never Knows』の意味は、明日のことなんて分からない=明日は明日の風が吹くみたいな感じやけど、Tomorrowがオモローなってもーたら、もうよく分からん(笑)。
(一同笑)
――オモローがネバーノウズって考え始めたらこれ、意味が分からない(笑)。
全部が全部の曲の振りであって、全部がメイン
――『オモローネバーノウズ』の収録曲はいつ頃出来た曲ですか?
北島「この一番最後に入ってるバラード『旅BEAT ~子守唄へのアンサーソング~』(M-3)とかは、もう前のミニアルバムのツアーのときには作ってましたね。ワンマンの度にちょっとずつアレンジして小出しにしていって、ファイナルで会場限定で売ってた曲です。『オモローネバーノウズ』もツアーを廻りながら。『万引きGメン 名は幸子』(M-2)は、音源に絶対コミック要素は入れたいと思って、最後に出来た曲なんですけど。『万引きGメン 名は幸子』を1曲目にする案もどこかであったと思うんですよ」
――まぁパンチはある。
北島「パンチはデカイんですけど、ただ10周年で出す曲としてそれはどうなん!?っていうことになってきて(笑)」
――アハハハハ!(笑) そやね。取材でも「今回、震災後に『万引きGメン 名は幸子』というシングルが出ましたけど…」って(笑)。
(一同爆笑)
――去年1年何やったん!?っていう。
北島「まぁそれくらいバカバカしいことがしたかったんですけどね。間を取って『オモローネバーノウズ』っていう、ちょっとタイトル重視でいったという」
――四星球の全てがコミックソングというよりは、その中での役割がちゃんとあって。やっぱり引きがあるから、押しが効いてくるというか。さっき冒頭で話してくれたように、去年の1年で感じたことを考えながら、そして10周年を迎えることを想定しながら作ったのなら、出来上がったときは今までとちょっと違う感覚がありました?
北島「この曲はいい曲やけど何回も聴いてもらわんと良さは伝わらんなぁとか、これ位の世代の人はハマるけど他はどうかな、みたいなことは作ってる段階でだいたい分かるんです。もう『オモローネバーノウズ』はモロにそういう曲で。何回も聴いてもらって初めて良さが分かったり、自分たちの同世代にドンピシャにハマる曲やなぁと思ったんですよ。シングルだったら即効性があってかついろんな世代に向けて歌わなければいけないかもしれないけど、それを押してまでこの曲をシングルにしたいと思わせてもらえた曲かなぁ」
――そこまで思ったのは何なんでしょうね?
北島「やっぱりちゃんと気持ちが歌えたというか。でまぁ茶目っ気も込みというところかなぁ」
――ただ笑えるだけじゃなくて、四星球のマジな部分とオモローな部分がいいバランスで出た感じはありますね。タイトルでまたアホな曲やろ~と思って聴いたら、ちょっと感動するというか。だからこそ次の『万引きGメン 名は幸子』が活きてくる(笑)。
U太&モリス「(笑)」
北島「全部が全部の曲の振りであって、全部がメイン的な感じで考えてるんですよね」
――『万引きGメン 名は幸子』でまず思ったのは、僕、昔付き合ってた子が幸子やったんです(笑)。
U太「実は僕もです(笑)」
(一同爆笑)
――でも何かこう、幸薄そうな人に多いというか、アッパーな人には付いてない名前。
北島「アハハハハ!(笑) アッパー(笑)」
――あと、ボーナストラックでライブ音源を7曲もぶち込んだっていうのが。これだけの曲数を録ったっていうことは、昨年のツアー中からこのアイディアがあったんですよね?
北島「まぁ急遽ではあるんですけど。当初は初回盤だけに収録しようかと言ってたんですけど、これから10周年の記念でずっと売るわけじゃないですか。このときこんなライブやってたんだなぁと分かって、その結果ライブハウスに来てもらえたらなぁと思って。でも、ボーナストラックという売り文句なので、感謝の意味も込めてこれだけ入ってたらまぁインパクトありますし(笑)。最終的な決定打はもうインパクトですよね」
――全11曲入ってたら、シングルとは言え1260円出して買う理由にはなる。
U太「まぁ4曲位ですよね。最近売られてる普通のヤツは(笑)」
――(去年出たミニアルバム)『フーテンの花』(‘11)は何円やったんやろ?
U太「あれね、1785円(笑)」
――アハハハハ!(笑) 8曲やのに?ってなってまう(笑)。
北島「そうなんですよ(笑)」
――ライブ音源のこのテイクを選んだのは?
北島「今まではやっぱりライブを観てもらって笑ってもらうことが前提にあったので、視覚的な要素が強かったんです。じゃあCDになったときにどうやってライブのおもしろさを伝えるのかを考えたんですよね。その一番分かりやすいモノとして、MCが入っているだとか、普通にしゃべってる中で動きが止まって心の声が聞こえてくるとかで、“こいつら変わったライブしてるんやな、おもしろいな”って思わせたかったのと、もう1点は聴き手が家で聴いてたら置いてかれるぐらい、ムチャクチャなテンションになってるおもしろさ。想像が追いつかないというか、こりゃライブハウスに行かな!!って思わせるようなね。その2点で今回は選びましたね」
――そういう意味では作戦成功かも知れないですね~。でも、これがもしDVDやったら…。
U太「もう分かっちゃうんですよね。僕たちが」
――楽しいのが観て分かるかもしれないけど、ライブハウスに行ったときの驚きがないというか。このシングルは想像出来る要素がちゃんとあるけど、見せてないところは見せてない。でもホンマ、おかんのねずみ講のくだりの『MC』(M-8)がめっちゃオモロい(笑)。
(一同笑)
――このシングル全国発売やから(笑)。ていうか、このインタビューwebに載るから、全世界におかんのねずみ講のくだりが広まる(笑)。
北島&U太「アハハハハ!(笑)」
――でもまぁ四星球の良いトコがギュッと詰まったシングルな感じはしますよね。それこそ関西のお客さんからすると、心斎橋JANUSのライブ音源が入ってるのは、ちょっと嬉しいと思います。そこでまた、初のタイアップ曲『絶対音感彼氏』(M-7)がね。自分が脳内で考えたアニメのオープニング曲という(笑)。
北島「アハハハハ!(笑) そうなんですよね。それが今までの音源に入ってない曲っていう。そこでちょっとした贅沢感を出してるんですけど」
――しかしもう、脳内言い始めたら全部いけるけどね(笑)。
(一同笑)
北島「間違いない(笑)」
――出来上がって聴いてみてどうでした? 自分たち的には。
北島「シングルを出すバンド自体、今はもうだいぶ減ってるじゃないですか。まずシングルが出せること、これだけ好きにさせてもらってることを喜ばなあかんなぁっていう想いと、これを作ったときは28だったんですけど、4月生まれなんでもう29になって。自分の書いた歌詞ではあるんですけど、歳を取るごとに分かるわ~って。この先長く付き合える曲になったかなぁと思いましたね」
U太「CDなっていざ改めてしっかりした音で聴いて、歌詞を口ずさむことによって、今の状況とか気持ちとリンクして、鼻歌なんかで歌える位までなって来ると、この歌はちゃんと理解出来ると思う。だから昔ほど衝動的なバーン!っていう感覚は、このシングルには実際ないんです。でも、聴けば聴くほどに“いいやん!”って思える出来にはなってるんじゃないかな。例えばONE OK ROCKとかやったら、“CDとライブと歌一緒やん! うまいやん!”みたいな。このCDって逆の意味で、CDとして聴いてもあんまり歌上手くないから(笑)。ライブとの違いがあんまりないCDっていうのも珍しいなって、自虐的に(笑)」
(一同爆笑)
――四星球はやっぱりライブの躍動感をCDに落とし込めるかどうかが肝みたいなところもありますけど、四星球の躍動感は普通のバンドとはちょっと違うところから生まれてくるから(笑)。今回のシングルはちゃんと地続きで、違和感なく入れられている感じはするんですけどね。
U太「それを受けて、うちの1曲1曲って結局ライブを構成する上でのツールなんやろなっていう認識は強くありましたね。それありきのライブ。向く先はライブやなって」
モリス「シングルとして入ってる3曲に関しては、3曲入りベストアルバムみたいなガツッとキャラが立ってる曲を入れて。あとはネタありライブありで、ホンマに僕らが凝縮されてる1枚になってると思うんで。いざ人の意見とか評判聞かないと怖かったりするんですけど、今回はもうずっと自信あるって言い続けてます」
北島「ふふふふ(笑)」
モリス「いろんなインタビューでずっと自信あるって言ってる」
――どこ読んでも自信ある(笑)。
モリス「多分メンバーも薄々気付いてると思う(笑)」
北島「アハハハハ!(笑) その自信はどこから来るんでしょう」
モリス「多分それは、ジャケを僕が書いてるからかもしれないです(笑)。初めてですね、ハイ」
――そういう意味ではちょっと思い入れありますね。(ジャケットを見て)でも、どういう意味なんやろこれ…。
(一同笑)
モリス「進化論のパロディみたいなモノです(笑)」
――今回は自分たちの旨みが出た曲・コミック部分を強く出した曲・聴かせる曲とあって。でもその3曲の軸となるモノが絶対にあるわけじゃないですか。それって何なんですか?
北島「これはライブから来てる考え方なんですけど、人間味だとか、人がやってる感じを僕は一番大事にしたいと思ってますね。人がやってるからこそおもしろいし、人が観てくれてるからこそおもしろい。人が聴いてくれるからこそ、“僕こんな辛いことありました”みたいな歌も歌う。そこは大事にしてますね」
そろそろ“10年やってたんや”って気付いてもらいたかった
――例えばおもしろいことをやるのは別に音楽じゃなくてもいいわけじゃないですか。まんまお笑いでもいいし、演劇でもいい中で、四星球がそういう衝動の表現の場とか人とコミュニケーション取る手段として音楽を選んでいるのがおもしろいなぁって。
北島「最近は真面目な歌を歌うとき、自分ではもうカッコ付ける時間だと思ってますから(笑)」
――普通はステージでカッコつけて、たまにくだけるのに、四星球は基本くだけてて、たまにカッコつける(笑)。
北島「そうそう(笑)。でもどこが欠けても10年続かんかったなぁって思いますね」
――四星球ってまぁまぁ長いんやなぁって思うよね。
北島「そうなんですよ。ホンマによく言われるんです。多分、20年以上やってる先輩とかと絡むことが多くて、いつまでも年下キャラでそのイメージが(笑)。まぁ僕らはコミックバンドなんで、腰は低く、でもライブではちょっとビッグマウスでっていうアピールの仕方もあるんで、ちょっと小僧的なキャラやったんですよね。でも、そろそろ“10年やってたんや”って気付いてもらいたかった。自分たちで言うと何かダサいんですけど、10年間このスタイルでやり続けてるからには、何かあるんやろうなっていうところを観てもらいたかったCDではあります」
――このやり方で1~2年駆け抜けることは出来るけど、10年やり続けるのは確かにキツい(笑)。
(一同笑)
――でも、仕事でも趣味でも習い事でも何でもそうなんですけど、10年続くものは向いてるらしいです。やっぱり人間ってそこまで続けられる物事がなかなかないみたいで。
U太「人生の節目節目がありますもんね。そこでバンド辞めたりもしますし」
北島「確かに。僕らは年上の人と付き合わせてもらうことが多過ぎて、10年やってきたことにそこまで重みを感じられないというか。25周年とか20周年とかを観ちゃってるんで。僕らは10周年で、20年、25年続けてる人たちとどう勝負するのかをやっぱり考えますよね。あとは、30歳を目前に控えた僕らの悶々とした感じだとかを、もっと出せたらなって」
――でもやっぱ30過ぎたら絶対に変わりますよ。
北島「って言いますよね」
――絶対に変わります。絶対に変わるけど、オモロなると思う。僕はオモシロくなりました。最近、藍坊主の取材で、彼らも今回のツアー中に全員30になるみたいな話があって、めっちゃビビってたもん(笑)。30になったら何かを失う、みたいな。“大丈夫やから。30なってからの方が100倍オモロい”って伝えたら、ちょっと安心して帰って行きました(笑)。
北島「その言葉には安心しますね~それはね」
――だから、四星球が40のオッサンになってもこのままやってたらめっちゃオモロいのに。
(一同笑)
北島「そこなんですよね! 20代は出来るんです。40のオッサンたちが四星球やってたらオモロいでしょ?(笑)」
――例えばその頃には子供もおってね、お父さんがツアー行く前にパンツ用意してるのを見て、何やってんの?みたいな顔される(笑)。
(一同笑)
北島「20代前半でちやほやされてもそれは勢いでやれること。コミックバンドが評価されるのは20代後半からとは思ってるんで、ここからが本番かなぁとは思ってますけどね」
――10周年を振り返って、解散の危機とかはありました? バンドの一番のピンチというか。
U太「極端な話、上京するか辞めるかみたいな話をどこかで1回した気はしますね。でも、今の状況から抜け出すための選択肢というか。結局、気が付けば乗り越えてた」
北島「何かそのタイミングで、今までと違うことがちょうど起こってるんですよ」
――フェスに出ないか?とか。
U太「そう。そしたらそんな話もう吹っ飛んできますから(笑)」
北島「で、辞めるにも辞めれんくらい、1年後の予定が入ってたりするじゃないですか。それをなかった話にするのもめんどくさいんですよ。そんな感じでずーっとやってきてる中で、いい話があって続いてる感じですね」
U太「どうせこのままほっといたら続いていくけど、実際音楽的に天井な部分も細かいことを言い出したらあるんですけど、でもまぁそんなものも一瞬で変えれるよなぁ~と思ったりもするんです」
北島「ねぇ。年に120本も宴会=ライブやってたら、そこを考える時間がなくなるんですよね(笑)」
でも、おばあちゃんとかは無理です
――関西での四星球の現状ってどんな感じですか。
北島「それこそ清水温泉(=四星球の関西担当イベンター)さんによくしてもらって、僕らの関西での立ち位置がハッキリしたのは強いですけど、それぞれの県で行ってる回数がやっぱり違いますから。京都は大阪に比べるとやっぱり少ないじゃないですか。そんな場所で僕たちのキャラをどれだけ出していいモノか…例えば大阪だとしたらコアな部分まで出せる=おもしろさも濃くなる。京都はちょっとライブ数が少ない分、おもしろいことはしますけど、“これなら安パイやろ”みたいなところについ行ってしまう。そこの違いですね。だから結局はやる側の安心感の問題なのかもしれないですけど」
――今年は10周年イヤーで何か企画してることはあるんですか?
北島「
10周年イベントみたいなのを毎月やってて。ちょっとした冒険というか、例えば東京のなぜか八王子でワンマンをやってみるだとか(笑)。八王子でワンマンするバンドっていないんですよ。でも結成当初からそのライブハウスにはずっと行かせてもらってたんで、いないのを逆手に取ってやってみようかって。結果、集客的にも内容的にもとりあえずよかったし。そういうちょっと冒険的なワンマンとか3マンイベントをやって。でも、僕らみたいなバンドはそれがもし失敗に終わっても、ちょっとネタに出来るっていう保険があるんで。これはホンマはあかんことなのかもしれないですけど、無茶は出来る」
――そうか。“この間八王子ワンマンやったらね、うまいことお客さん8人やったんですよ~”とかでもOKと(笑)。
北島「そういう感じなりますね(笑)。それはもうバンドカラーの勝ちやなって思いましたね」
――転んでもただでは起きない。それを次のライブの武器にする。まぁでもそれをやって来れたからこその10年で。それにいちいち凹んでたら…。
北島「もうライブ出来てないです(笑)」
――四星球って、基本ライブを観てて窮地に陥ることがないように見えるんやけど、“あれ、全然反応ない”みたいなことってある?
北島「お客さんさえいれば大丈夫です」
――うわ、それは頼もしいなぁ~。
北島「その場を成り立たせることは出来るんです。今までに使った技を使う。“これをやればイケる”みたいな、自分が取っておいたヤツってあるじゃないですか」
――鉄板ネタみたいな?
北島「そう。それをやればその場を…」
U太「盛り上がってる風に見せることは出来る(笑)」
北島「6割笑ってるとか、そういうのは出来るんですけど、それがやっぱり全部で客12人とかになってくると、もうキッタナイんですよ、やり方が(笑)」
――アハハハハ!(笑) どうなるの?
北島「もう1人ずつイジっていったったりとか(笑)」
――アハハハハ!(笑)
北島「そういうライブも最近はあんまりないですけど、たまに山陰地方とかに行くとなるんですよ。ホンマにもう泥試合というか(笑)。だからもうほとんどフロアの方にいて歌ってるみたいなことになるんですけど(笑)。結果、こじ開けれますね。12人でも」
――すごいねぇ~。
北島「でもここ5年とかで、この押し引きがようやく分かって来た。5年前とかはもう押ししかなかったから。ホンマこそばしてでも笑かしたろっていう(笑)。例えば12人しかそこにいなかったとして、僕らを見に来てくれてる3人とかは、すごく共感してくれる3人やと思うんですよね。残りの9人にも必死さだったり何かが残るじゃないですか。それってミュージシャンが伝えるものじゃないかも知れないですけど(笑)。そういうライブが年に何回かあるんでめっちゃ燃えますけどね」
――そう考えたら全方位でいける。12人でも燃えるし、200人でも燃える。
北島「でも、おばあちゃんとかは無理です」
(一同爆笑)
U太「笑いの感覚も違うし。微笑みかけてくれてるだけかもしれんし(笑)」
北島「数に対してはもう散々やってきたんでどうにかなるんですけど、おばあちゃんはまだちょっとね、予習してないんで(笑)」
――ワァーってステージに出たのに、客席におばあちゃんが1人いたら…。
北島「50人の若者より1人のおばあちゃんが勝つんですよね。おばあちゃんを気にしてしまいます。やっぱり」
――みんな盛り上がってるけど、“あれ、おばあちゃんあんまり楽しくない?”みたいな(笑)。
北島「例えば若い子があんまり笑ってなくても、内心オモロいと思ってても笑えんかったりするパターンがあるじゃないですか。あとは俺の方がオモロいとか意地張ってる。コミックバンドって100人おったら80人笑わすもんやと思ってるんで。残りの20人だってサシで話したら絶対に笑う。だからもうその20人はほっとくんですよ。何となくオモロいなとは思ってるはずなんで。でも、おばあちゃんに関して言うと、オモロいかどうか自体が伝わってない(笑)」
U太「何やってるんやろこの子ら?っていう(笑)。元気やねぇ~って言われて終わってしまう(笑)」
――いろいろ仕掛けてるネタとか流れとか振りじゃなくて、元気やねぇ~でまとめられる(笑)。
U太「まぁいろんな格好して~みたいな(笑)」
北島「コミックバンドとしてはそこは超えていかないと。やっぱりね、おばあちゃんにも認めてもらいたい」
――四星球はまだ30手前やけど、20年後には50になってるわけやから、おばあちゃんも笑かしていかなあかん。この先、おばあちゃんとかがライブハウスに来てる世の中なってたらオモロいな~。それこそ、ライブにおばあちゃんがいたことあったの?
北島「ありますよ。ジェロとかとやるときにいました」
――アハハハハ!(笑) あんま見-ひんもんね、やっぱり。だって“オーディエンスにおばあちゃんいたらどうしよう”って心配してるバンドおらんで!(笑)
(一同笑)
北島「おばあちゃんだけはね~印籠とか出せば多分笑うんでしょうけど(笑)」
――ムズイなぁ~。でも、1人のおばあちゃんを笑かすために、10人の若者を失うかもしれへん。
北島「アハハハハ!(笑) いや、若者はおばあちゃんに必死な僕らを見て、笑ってくれるはず!」
――確かにそう考えたら、おばあちゃんって何したら笑うんかな? 思い付かへんね。どうやったらいいんやろ? 何がオモシロいんかな。
北島「ホンマに難しい。さっきまで天気よかったのに雨降るとかちゃうんすか(笑)」
(一同爆笑)
――むっずいなぁ。そう考えたら10周年ぐらいやとまだまだやることありますね(笑)。
北島「だからこそ『オモローネバーノウズ』(笑)。そういうことですね」
後で思い出してふと笑ってもらう。そんなんが一番ええかなぁと
――今年の四星球はそうやってちょっとずつ上乗せで挑戦もしながら、『OTODAMA’11-‘12~音泉魂~』みたいなデカいステージもあり。あとは次の10年でどう変わっていけるかってところやね。他のバンドとやっぱりちょっと違うもんね、課題が。
北島「そうなんですよ(笑)」
――もうネタないわ!ってよくならへんね。
北島「ならないですね。まぁ絞り出してるだけなんですけど(笑)」
――だって『オモローネバーノウズ』も取材のために結構聴いたけど、普通ライブテイクって何回か聴いてたらもう…。
U太「飽きる」
――ねぇ。笑いの要素があったら展開分かってるから尚更。でも今んとこ毎回オモロいからすごいなぁって(笑)。
(一同笑)
U太「内容は実際なかったりするけど(笑)」
北島「後で思い出してふと笑ってもらう。そんなんが一番ええかなぁと」
――最後にこの先の目標というか、目指す何かがあるなら、おぼろげでもいいんでそれぞれ聞いておきたいなと。
北島「CDを出したことによってライブも変わるっていう定番の流れがあるじゃないですか。四星球のライブが、この『オモローネバーノウズ』出したことによって、劇的に変わればいいなぁと思ってるんです。プラス今までの10年のネタとか曲とかも詰め込んで、例えば19歳のときに作った曲と、28歳のときに作った曲がうまいこと混ざれば、それはオモシロくていいライブになるんじゃないかなぁと」
U太「僕は四星球の中ではまだ“ミュージシャン”やと思ってて。ただ、さっきの(北島)康雄の言うてることとかを受けて、いかに作品に、音楽に落とし込むか。曲の広がりをしっかりと持った上で、もうちょっと深めていって、もう一段上のステージに行きたいなというのはあります」
モリス「今年は10周年でワンマンだったり長い時間ライブさせてもらう機会も多いんで、より個々のメンバーの役割が表立ってくる。最近は自分のキャラ確立させていきたいなぁと、ちょっと意識してるんですよ。それをこの1年で完成させられたらいいなと思ってます。あとは絵を描いたりカレーを作ったり、マルチな活動をしていきたいなぁと。自信はあります(笑)」
北島「あるんですね(笑)」
――アハハハハ!(笑) 『OTODAMA’11-‘12~音泉魂~』が終われば、お次は『SUZUDAMA‘12~鈴木魂~』ですな。本日はありがとうございました~!
北島& U太&モリス「ありがとうございました~!」
Text by 奥“ボウイ”昌史
(2012年9月 7日更新)
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