『荒川アンダーザブリッジTHE MOVIE』主題歌に抜擢された
『涙のスターダスト・トレイン』も話題を呼んだ
ザ50回転ズの3部作完結編は『ロックンロール・ラブレター』!
4/20(金)なんばHacthツアーファイナル直前インタビュー
濃厚かつ強烈なライブパフォーマンスで、国内外を問わずワールドワイドに活動を続ける真性ロックンロールバンド、ザ50回転ズ。’10年11月より(後付けて!?)始まったコンセプトミニアルバム3部作は、ロックの名盤を大胆不敵にオマージュした『ロックンロール・マジック』、ハワイアン/ロシアン/タンゴ/スカ/チャイナetc世界の音楽を濃縮還元した『ロックンロール世界旅行』を経て、2月に発売された『ロックンロール・ラブレター』で遂にフィナーレを迎えた。林遣都、桐谷美玲、小栗旬、山田孝之、城田優ら豪華キャストで実写化された、人気漫画の映画化作品『荒川アンダーザブリッジTHE MOVIE』の主題歌に抜擢された『涙のスターダスト・トレイン』を発端に生まれたこのアルバムは、ザ50回転ズのロマンチックな部分を拡大解釈(笑)、スイートで一筋縄ではいかないラブソング全6曲に仕上がった。4月20日(金)には地元・大阪なんばHatchでツアーファイナルを迎える彼らに、本作の制作のきっかけから3部作を経て掴んだザ50回転ズの核まで、とことん喋り倒してもらいました~!
3人からのナイスコンビネーション動画コメントはコチラ!
――3部作も遂に完結ですけども、前回のインタビューで発覚した事実として、まさかの後乗せサクサク3部作という…(笑)。
ダニー(vo&g)「ですよね~(笑)。2作目の『ロックンロール世界旅行』から急に言い出したという(笑)」
――1作目の『ロックンロール・マジック』の資料には載っていなかった“3部作”の表記が、突如現れるという衝撃の展開でしたけども(笑)。それを決着させるのがこの3作目『ロックンロール・ラブレター』ということで。過去の音楽いいとこどりの『ロックンロール・マジック』、世界の音楽いいとこどりの『ロックンロール世界旅行』があって。さぁ最後はどこに行き着くねんというところで、今回の『ロックンロール・ラブレター』に辿り着いた理由をまず聞きたいなと。
ダニー「最初は全くノープランだったんですね。2作目までで曲もすっからかんになって、スッピンから始められるのはあったんですけど。ギッシギシの一発録りワンテイクみたいなアルバムもいいなぁとかは話してたんですけど、前作『ロックンロール世界旅行』のツアー中に、映画『荒川アンダーザブリッジ THE MOVIE』の飯塚健監督から、“曲を書いて欲しい”と直接ラブコールというか、それこそラブレターが届いて。“あら~マジですか!? 他にもっといいバンドがいるでしょうに!”って話したら(笑)、“僕は50回転ズに、自分の作品の最後を締めてもらいたいんです”って言ってくださって。これはバンド冥利に尽きるなと」
――それは嬉しいですね~。
ダニー「“絶対にふさわしい曲を書いてみせます”って二つ返事で受けさせてもらって。映画の撮影スケジュールとの兼ね合いもあって昨夏から曲を書き始めて出来たのが、映画の主題歌になった『涙のスターダスト・トレイン』(M-1)で、その1曲だけ先にレコーディングからマスタリングまで終わらせたんですよ。僕らが1曲単位でリリースするのもまぁ難しいんで、じゃあ今ちょうど2部作まで来たこのタイミングに合わせるしかないでしょうと。この曲は映画の胸キュン感にちょっと寄せるところもあってホーンやらピアノも入ってるから、ロマンチックというかもうキラッキラ。そうなると当初言うてたギッシギシの一発録りっていう感じでもないので、何ならもうサウンドのコンセプトごと寄せてしまおうと。イメージはちょっとグラマラスに。きらびやかな、華やかなロックンロールアルバム。そこにロマンチックでキラキラの1曲がもうあって…これはもうラブレターなんじゃないの?と。ロマンチックに行こうよと。もうロックンロール付けるしかないだろうと(笑)。と言うわけで『ロックンロール・ラブレター』だろうと」
――なるほどね(笑)。じゃあもうホントに3作ともまるで生まれ方が違いますね。今までは50回転ズ主導で遊びまくるところがあったんですけど、今作はいいお題をもらって、自分たちが何にトライ出来るのか、みたいな面はありますよね。
ダニー「頂いた『荒川アンダーザブリッジ』の荒編集の映像を観ながら曲を作ったんですけど、そこにも『I can not be a good boy』(『ロックンロール・マジック』収録曲)を使ってくれてはったので、“50回転ズのこの部分を求めてくれてるんかな?”みたいな、かなり分かりやすいヒントがあったので僕らもそこを汲んで」
――それにしても、何で知ってどこが好きになってくれたんですかね?
ダニー「ねぇ!」
――それ聞いてないんですか?(笑)
ダニー「何でしたっけ? 理由あるんでしたっけ?(笑)」
ドリー(b&vo)「普通にCD買っただけやったと思うんですけど」
――アハハハハ!(笑)
ダニー「別に話題性のあるバンドじゃないんで(笑)」
ボギー(ds)「テレビで観てもらったみたいな話でしたけど」
ダニー「ごくごく少ないテレビ出演を(笑)。それこそ1stアルバムから聴いてくれてはるみたいで。ご自身の以前の作品では、(甲本)ヒロトさんに直接アポ取って許可得て楽曲使いました、みたいな、そういう心根のアツいところがあったりして」
――それはバイタリティのある人ですね。
ドリー「やっぱり直接話をくれると頼まれる側もすごく嬉しいし、どういう気持ちでこの曲を使いたいのかがすごく伝わってくる」
――望んでオファーしてくれてるのがすごく伝わりますよね。
ダニー「いろんなしがらみでお願いしますっていうんじゃくてね」
――このアニメはソニー枠やからそこから選ばな、じゃなくてね(笑)。
ダニー&ドリー&ボギー「アハハハハ!(笑)」
“バンドってこうでなくちゃ”ってちょっと感じましたね
――そもそも『荒川アンダーザブリッジ』自体は知ってたり読んだりしてたんですか?
ダニー「原作は一切読んでなくて、ドラマも“何か変な特殊メイクの人がおるな”ぐらいの認識でしかなかったんですけど(笑)」
ボギー「何となく被りもん的な雰囲気だけは知ってたんで、“えっ、実写化ってどないすんの?”って思ったらあのクオリティで」
ダニー「フルCGしか無理ちゃうんかみたいなね(笑)。僕らはそんな状況やったから、初めにお話を頂いたときにまず漫画喫茶で全巻読んで、読めば読むほど分からない(笑)。“しかもコレの実写で主題歌!? どうしたらええんじゃ~!”と。でも、実際映像を観せて頂くと、結構胸にキュンとくる分かりやすいエンタテインメントで助かりましたけどね(笑)」
――オーダーを受けて曲を作ることで、50回転ズとして新たな発見や刺激みたいなものはありました?
ダニー「まぁ言うてみれば“作家”みたいなもんじゃないですか。だから、オファーしてくれた側がどういう曲を欲しているのか、どういう曲を50回転ズがやるべきか、二者がいい形で楽しめるものが一番いいと思ってたんで、創作上のやり甲斐はありましたね。ツアー中に1人ホテルに泊まらせて頂いて歌詞を書いたりして、“おぉプロっぽい!”みたいな妙な刺激もあったり。あと曲作りとか音作りの面で、前作『ロックンロール世界旅行』でちょっと手がかりを掴んだところが僕らの中にはあったんで、今回はこんなロマンチックな曲やし、もちろんギターがガーン! ベースがドーン!っていうところは殺さずに、フレーバーとして新たな楽器入れるのはやぶさかじゃないなと。そういう意味で新たな試みも多くて面白かったですね」
――いざ実際に曲が画に乗ったところを観たときどう思いました?
ドリー「なるべくフラットに観ようと思ったんですけど、フラットに観れなかったですね、嬉し過ぎて(笑)。“ジャーン”って鳴った瞬間に“うわ~!!”って(笑)」
ダニー「もう予想を上回るハマり具合で。映画館に入って客電がパッと落ちて…ああいうロマンチックな雰囲気、ドキドキワクワク感にはかなり思い入れもある方なんで、そこにさらに自分らの曲が乗るなんて、ちょっと夢見心地でしたね」
ボギー「もうダニーくんの詞曲がね、全てを物語ってるわけで。台詞とカブり気味のドラムの入り方とか、もう完璧でしたね。元々スタッフロールが流れてる時間がロマンチックで好きで」
ダニー「映画館で本編が終わったらすぐに席を立つ人がいっぱいいるじゃないですか。忙しいんでしょうけど、僕ら立たない派ですね。最後まで余韻に浸って、しっかりじっくり最後の曲までを頂くスタイルなんで」
ドリー「やっぱあの時間を含めて映画よね」
――そこに自分たちの曲が乗ってるっていうのは、すごく感動的ですよね。
ダニー「ちょっと震えましたよね。だって映画の最後にすごい重要なファクターを担うわけじゃないですか。映画って後々パッケージングされて永遠に残っていくイメージがあったんで、そのプレッシャーというか責任を感じながら、でも、そこに加われる幸せも感じながら、やりましたね」
――やっぱりある種ザ50回転ズっていうブランドが、どういう音楽をやる者かがハッキリしてるから、わざわざ選ばれたわけで。
ダニー「僕らの音も知ってくれてるし、何が求められてるかを俺らも認識出来たのでやり甲斐があったのはもちろんですけど、なんかこう“仕事ってこうじゃなくちゃ、バンドってこうでなくちゃ”ってちょっと感じましたね」
やっぱり俺たちらしくないと意味がない
――『涙のスターダスト・トレイン』がまずあって、それを軸に曲を追加していく作業はどうでした?
ダニー「この1曲があることで締まるし、この1曲を盛り立てる要素も求められる。だから『涙のスターダスト・トレイン』を聴いて聴いて聴いて、この曲の次に何が来たら楽しいかをイメージしながら書きましたね。その中で例えハードな曲が生まれても歌詞でロマンチックな方向にシフト出来るし。50回転ズ、意外とやれば出来るんです(笑)。ロマンチックと胸キュンとキラキラは合言葉的にあって、音色自体はゴリっと、リフがボーンと出た曲があってもいいかなとか、そういうホワっとした話だけしておいて。メロウになり過ぎても50回転ズとしては物足りんところもあるんで…バランス取りながらグググッと5曲にした感じでしたね」
――今回はメンバー全員が曲を書いてるのもいい試みですよね。
ドリー「ミニアルバムでは初めてかな? 『涙のスターダスト・トレイン』があったことで、ダニーがこういう曲で、ボギーがこういう曲だから、じゃあ俺はこういう路線で攻めようみたいな画が早い段階で頭にあったので、割とスムーズにはいきましたね」
ダニー「同時期に曲書いてるじゃないですか? テーマとか曲調がカブったらどっちかが諦めなきゃいけないんで」
――それは嫌やな~(笑)。
ダニー「どうせやったら報われる形にしたいんで、お互い牽制しながら“俺今こんな感じやねんけど~”って(笑)。ラブレターネタは俺が書くから触れるなとか(笑)」
――ボギーさんはどうですか?
ボギー「僕は基本ゴリゴリな感じが好きなんですけど、やっぱり『涙のスターダスト・トレイン』がちょっとスイートな感じやったんで。まぁロマンチックな感じも得意やしイケるんちゃうかと、まず『エイトビートがとまらない』(M-2)のメロディだけ持って行ったらみんなポカーンとなって」
ダニー「“この曲のどこがロマンチックやねん!”って」
ドリー「完全にハードロック(笑)」
ボギー「まぁそれでも歌詞をラブソングに寄せたら、結果的に結構セクシーな感じになったんじゃないかと思ってるんですけど」
ダニー「こんなもんね、歌詞抜きで聴いたらもう“地獄の悪魔”みたいな(笑)」
ボギー「最初に出来上がりを聴いたときは笑ってまいましたけどね(笑)。でも、このアルバムの中でいい逆サイドに振り切れたんじゃないかな」
――曲順的にもこの『涙のスターダスト・トレイン』『エイトビートがとまらない』『ロックンロール・ラブレター』(M-3)の流れがすごくいいですよね。
ドリー「あんまり話し合ったわけじゃないけど、“甘くなり過ぎないように”みたいなところはみんなにあったんじゃないかな」
ダニー「計らずもっていうよりは、やっぱり心のどこかで全員が思ってたんでしょうね。“甘過ぎたらコケる”って」
――アハハハハ(笑)。
ダニー「それは売り上げとかじゃなくて、自分たちの中で“あれっ?”っていうのが残ったままリリースすることになるっていう」
ドリー「やっぱり俺たちらしくないと意味がないから」
――なんかやるの恥ずかしい曲、みたいなってもね。
ダニー「そうそう! 1年後は聴かれへんみたいなのはね」
ボギー「やっぱライブで出来る曲をやろうと思うし」
ノープランでことを進めていく俺たち(笑)
――あと、今回はボーカルの肌触りが全然違う気がしたんですけど。それは意識してやったことなんですか?
ダニー「今までも『I can not be a good boy』っていう曲があったり、感情の境目というか、ロマンチックな歌を淡々と…伝え過ぎないように、ある種抑制させて歌ったりしたことはあったんですけど、今回は確かにその歌い方を押したというか分量が多いアルバムなんで、そう聴こえるんですよね。まぁ最後の最後でね、ちゃぶ台をひっくり返すこともあるでしょうし(笑)」
――このアルバムはまさにそれですよね(笑)。
ダニー「アハハ(笑)。“ロマンチックなアルバムやな~”って聴き進めて最後の曲にいった瞬間、“アレレレレレレレ?”っていうズッコケ感、3枚目感はやっぱ残しつつで(笑)」
――最後の最後の『ぶっちぎりのラブソング』(M-6)でやっぱり“キタ――――!”っていう感じが(笑)。
ダニー「この歌い方やっぱりするんやって(笑)」
――今回はこのテイストで貫き通すと思ったら、やっぱココいくんやって(笑)。
ダニー「僕らもそうですけど、聴き終わってホッとしましたもんね(笑)」
――やっぱりその声のテイストがまずは一番、“おっ”っと思った点ですね。だから会社で流してても、“コレ誰ですか?”って聞かれましたよ(笑)。
ダニー「アハハハハ(笑)。実は…」
――“50回転ズやで”って。
ボギー「真面目な声も出せるんですねって(笑)」
ダニー「それこそ1stアルバムの頃には、音楽的にももちろんやし、志向的にもやろうとは思わんかったやろうし。どんどん転がってきてるなぁ50回転ズ」
――お題があるということは世界が狭まる、ある種絞り込むことなんですけど、どう転んでも50回転ズになるっていうのは、この3部作で証明された感じはすごくありますよね。
ダニー「ロマンチック縛りでも、振り切ることが出来るんだと。ちゃんと振り切った上で50回転ズの音を鳴らして、かつスッキリしたいいレコードが…“出来るもんだね~!”って。3人が並行して曲を作り始めたのが、まとまりにもつながってると思うし」
――バンド内の役割分担じゃないですけど、何となくアイツはこうしてくるやろうからっていう…。
ダニー「そうそうそう! ある種付き合いも長いし読める」
ドリー「5年前やったら同じ様な曲ばっかりやったかもしんない(笑)」
――ロマンチック路線を必要以上に真に受けてね(笑)。やっぱりそのバランス感覚は、長年やってきたバンドの妙みたいなのもありますね。
ダニー「そうですよね。せめてそれぐらいは覚えていきたいねっていう(笑)」
――前のインタビューでは、『ロックンロール・マジック』で時代を行き来する四次元、『ロックンロール世界旅行』で世界を旅する三次元と来たから、次のアルバムは二次元や!とか言ってたのに。
ダニー「アハハハハ!(笑) どこがやねん!」
ドリー「適当なこと言って(笑)」
――それが全然違うとこいったな~と思ってて(笑)。
ダニー「ノープランでことを進めていく俺たち(笑)」
ボギー「結構『ロックンロール・ラブレター』の字面が良くて決めたところもあるし(笑)」
ダニー「よっしゃコレで決定でしょ! でもラブソング僕ら書けるんでしたっけ?みたいな(笑)。『ロックンロール・ラブレター』っていうタイトルはね、元ネタはベイ・シティ・ローラーズの超有名な曲であるわけやから。そこをまるっきり無視(笑)」
――世間にはやっぱりラブソングが多いじゃないですか。でも、50回転ズによるラブソングという意味では面白い。
ダニー「そうなんですよね。もうラブソングは山のようにあるじゃないですか。毎週水曜日のリリースをチェックしてみると、ほっとんどラブソングですから。それに対してチクっといった『ぶっちぎりのラブソング』みたいな。てめぇらなめんじゃねぇよ!って」
ドリー「こういうロックンロール、こういうラブソングの表現の仕方もありますよって」
ダニー「いわゆる恋愛だけじゃなくて、俺らの好きなことやって、踊れて、楽しくて、パーティーで騒げるような音楽に対する憧れとか想いを歌うのもラブソングなんやってね」
――そもそもラブレターってもらったりあげたりしたことあるんですか?(笑)
ダニー「アハハハハ(笑)。まぁね、ある日ラジオから流れてきたロックンロールに、ラブレターをもらいましたよ」
(一同笑)
ボギー「キレイ!」
――(笑)。恋愛の手段としても、ラブレターって今はもうなかなかないですよね。
ダニー「でもバンドやってるんで、ファンレターとラブレターの間みたいなものはもらったりしますけど」
ドリー「アハハハハ!(笑)」
――電話番号とか書いててね(笑)。
ダニー「“待ってます!”。“う~ん待たれても”みたいな(笑)。そもそも今は携帯電話とメールがあるじゃないですか。だから便箋と封筒っていう、いわゆるレターはなかなかない。ラブレターの言葉の響きもそうですけど、ロマンチックな、ドラマチックなところに憧れもあるんで、例えばツイッターとかメールとか、君からの着信がないとか、そういう生々しい歌は作られへんなっていうのはあったんですよね」
――でも50回転ズがそれを歌ったらめちゃ面白いですけど(笑)。まぁラブレターっていう行為自体が甘酸っぱくてロマンチックの極みみたいなところはありますもんね。
ドリー「本気じゃなきゃラブレターは出せないですから。すごい労力を使うわけじゃないですか。その労力がやっぱりロマンチックやから。メールとかじゃやっぱりそこまでの…気持ちは本気なんやろうけども」
ダニー「なんか携帯やパソコンのメール画面にはないものが絶対にある気がするね」
――便箋を選んで、何回も書き直して。
ダニー「でも今どきの若い子らは違うんちゃう? もう携帯電話の申し子やから、インターネットの工事も自らやって(笑)、携帯で恋の相談を友達にして、何なら告白もメールでするみたいな。そういうヤツらに、ちょっと届いて欲しいよね」
――青さ加減も含めたアツさがありますよね、ラブレターには。
ダニー「確かにその青さも含めたアツさみたいなものは、今回の気持ちとしても入れましたね」
今回の3部作ではそれぞれがいい振り切り方をしてるんですけど
結局どれもロックンロールで。よそ見してない音が鳴ってる
――3部作をやり遂げた、今の気持ちはどうですか?
ダニー「フルアルバムだと、自由に曲を書いてみてバンドにとって一番気持ちいい、カッコいい曲を12~13曲とかいうことになるわけですけど、3部作で、ミニアルバムで、しかもコンセプトアルバムっていうことで、コンセプチュアルなだけに縛りもあって、そういう制約の中でこそ生まれた曲がすごく多くて。特に前作の『ロックンロール世界旅行』なんか、そういう縛りがなかったら絶対に全曲出来てないだろみたいな(笑)」
――アハハハハ!(笑) アレはホンマに衝撃的なアルバムでしたね。
ドリー「『ロックンロール世界旅行』は確かに衝撃的なアルバムではありますが(笑)、アレも50回転ズのひとつの方向であることは間違いないし」
――震災が起きて、もう未曾有の停滞ムードの中、重苦しい1年にあのアルバムが出たことにはホントにビックリです(笑)。
ドリー「アハハハハ!(笑)」
ダニー「もう聴く人全員ずっこけたという(笑)。まぁ俺たちは自分たちが聴きたいレコードを自分たちで作ってるだけやから。あれ自体はかなり遊び心溢れるパーティーアルバムやったんで、確かにすごい。今の時代にはフィットしづらいアホさ加減(笑)」
ボギー「家でイヤホンで親にバレんように聴いてキュンとするのもロックンロールなんですけど、やっぱりバカ騒ぎするのもロックンロールやから。僕らも家に帰って聴いて、もう何べん笑ろたか分からないです(笑)。でも今回の3部作ではホンマに3色がちゃんと出て、それぞれがいい振り切り方をしてるんですけど、結局どれもロックンロールで。さっき“どう転んでも50回転ズ”って言ってもらいましたけど、そういうことが出来るんやぁと若干楽しくなりました(笑)。だからその3枚の中の全曲をライブでやったとしても、今までの俺らのスタイルと何ら変わらない」
――どっしりと腰を落ち着けてフルアルバムを1年かけて作るのとは違う、プレッシャーややり甲斐もあったと思うんですけど。
ダニー「まぁロックバンドなんてね、曲作ってレコーディングしてレコード出してツアー廻るだけですから。あと、制作期間のタイトさ加減によって妙な一丸さというか、メンバーの音の塊もそうなんですけど曲にも妙な統一感があって面白いなって。コレは短期間で作らな出来ひんかった曲やと思いますね。よそ見してない音が鳴ってる」
――ツアーに向けてはどうですか?
ダニー「もうドカーンとデカい音で、自分たちの持ってる曲を、120%カッコいい形で出す。以上。なんですよね~。僕らがやるのは全力で、汗かいて、ロックンロールを鳴らすだけ。基本的には1stレコードを出す前から、ずっとそういう感じですね」
――そして、ツアーが終わったら、3部作を経たフルアルバムはどうなるのか!?っていうね。
ダニー「読みが鋭い! コレが5部作になったらどうすんねんと(笑)」
――次のアルバム資料でまだ続いてたらビビりますけどね(笑)。3部作を経てどんな音が出てくるかも楽しみです。
ダニー「バンドがやれるもの/やるべきものって、言い方はアレですけど出し切っちゃったところもあるんで。ツアーで何かを感じることもあるやろうし、その間に聴く音楽とか、ツアー先で買ったレコードに触発されていろいろ変わっていくやろうけど、それが次のアルバムにはまた、ごっそりと入るんでしょうし。楽しみですよね」
――では次にまたどういう展開になってるかは、お会いしたときのお楽しみということで。
ダニー「お楽しみに~!」
Text by 奥“ボウイ”昌史
(2012年4月17日更新)
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