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CD再生→即爆笑! 新作携えいざ、なんばHatchへ
ザ50回転ズにしかやれない…いや、やらない!?
やりたい放題の『ロックンロール世界旅行』
ハイテンションでぶっ飛ばす怒涛のインタビューが到着!

 国内外を問わぬツアーで鍛え抜かれた濃厚なライブパフォーマンスで、長きに渡り大阪を拠点にワールドワイドに活動を続ける真性ライブバンド、ザ50回転ズ。昨年11月には2年ぶりの音源となるミニアルバム『ロックンロール・マジック』をリリース。一時代を築いたロックの名盤を大胆不敵にオマージュした3人が、三部作の2作目となるニューミニアルバム『ロックンロール世界旅行』では、ハワイアン/ロシアン/タンゴ/スカ/チャイナ/カリビアン/スウィング/アイリッシュetcをおいしいとこどり! 出過ぎた遊び心にロックンロールのマナーをしっかり忍ばせ、30分の脳内トリップへ誘う最高のアテンドぶりを見せ付けてくれた。このとことん突き抜けた新作を引っ提げたツアーも、10月1日(土)なんばHatchで遂にファイナル。地元・大阪でのフィナーレを前に、反射神経抜群のトークで次から次へと言葉の弾丸を打ち合った、爆笑インタビューをお届けします!

ザ50回転ズの丁々発止の動画コメントはコチラ!

50kaitenzu_interview.jpg――まずは昨年、2年ぶりにアルバム『ロックンロール・マジック』を出して、ツアーを経て改めて感じたことは?
 

ダニー(vo&g)「ライブはどこでいつやっても楽しいんですけど、やっぱ新作を持って廻るツアーは全然意味が違うし、各地の人に新しい音源とそれを表現するライブを届けられるのは、やる側としても嬉しかったです。自分たちの新しいものを表現することが出来て」
 

――言ったらバンドの王道の活動ですもんね、リリースしてツアー廻るっていうのは。
 

ダニー「ライブばっかりやっとったんで、新作を出さずに2~3本ツアーもやっても全然不思議でもなかったんですけど、やっぱり待ってくれてるお客さんも新しいワクワクが欲しいじゃないですか? そういうことを考えると、リリースはやっぱりやる側の責任じゃないですけど、そういう部分を強く感じましたよね。その点で言えば、前作のリリースツアーは結構重みがあったというか、カロリーの高いツアーになったんちゃうかなと思いますね」
 

ボギー(ds)「新曲を持っていける楽しみがやっぱり一番にあったんで。“やっぱCDやろ”と」
 

ダニー「CD出さんかったら生活出来へん(笑)。印税が減るのよ(笑)」
 

――あの、3ヵ月に1回入ってくるものがね(笑)。
 

ダニー「僕らにとってはボーナス感覚ちゃいますからね。生活費ですから(笑)」
 

――如実に減るんや、みたいな(笑)。
 

ダニー「“あ、こんな違うんだ。2年リリースせんとキッツイねー”みたいな(笑)」
 

――音楽を生業とするにはやっぱり、アルバムを作ってツアーを廻る両輪がないとね。それが基本っていう。
 

ダニー「一輪車でずっと走っとった2年間やったんでね。やっぱ二輪あると全然違う」
 

――その前作『ロックンロール・マジック』があって、今回の『ロックンロール世界旅行』は…これ、当初の予定から三部作やったんですかね? それともまさか…。
 

ダニー「へっへっへー。鋭いっ!(笑)」
 

――まさかの後乗せ~の?(笑)
 

ダニー「乗っけーの、後付けーの(笑)」
 

――アハハハハ!(笑)
 

ダニー「最初からあった振りしーの?(笑)」
 

――やっぱり!(笑)
 

ダニー「そうなんです。急に言い出したでしょ、今回から」
 

――そう。取材のために紙資料を見たときに、普通に“三部作”って書いてあって、あれ?って(笑)。
 

ダニー「そう! 気まぐれにね、あのー、S・O・N・Y先生が(笑)」
 

――(笑)。
 

ダニー「先生が、“三部作にしたらいいじゃないの”と。“あ、ラッキー。こっちも3作出せるの確定やったらそら嬉しいわ”と。けどそれ、もしかしたら早めに言っといた方がよかったんちゃうかなって(笑)」
 

――そしたら最初から3作揃えたらどうのみたいな展開出来たんちゃうの?みたいな(笑)。
 

ダニー「そうそう。そういうのを2作目出すときに考え出した(笑)」
 

ドリー(b)「オイオイオイと(笑)」
 

――資料を見て、“コンセプトミニアルバム三部作”って…前聞き忘れてたっけ?ってちょっと自分を疑うような…。
 

50kaitenzu_danie.jpgダニー「ないっす、ないっす。なかったです(笑)。まずは三部作になるのが決まって、前回の『ロックンロール・マジック』が図らずしもコンセプチュアルになったので、さぁ2枚目どうすっかなって考えたときに、今回もコンセプチュアルにいくべきでしょと。だいたい三部作の2作目って1番遊べる位置なんですよね。1作目はロマンチックに王道でガッと攻めて、2作目は本人たちが好きなように遊んで、3枚目はゴリっと本質を見せる。僕らは今まで音楽的にミュージシャンシップを突き詰めたことがほとんどなかったので、その2枚目で楽譜をちゃんと見ながら進行するような“遊び”があったら面白いかなって。華やかでバラエティに富んだ曲を集めてみようっていうのが、取っ掛かりやったんです」
 

――なるほどね。じゃあそれこそ後付けやけど、いいテーマをもらった感じですね。
 

ダニー「そうなんです。これ多分ね、1作目からコンセプトを決めて三部作で作っていくと、戦略が先にあるバンドってどやねん、お前それバンドの本質がズレてないか?と。バンドのやりたいことがあって、戦略のプレゼンスをもらって、僕らがそれに乗っかっていくのが一番美しい形じゃないかなと。まさにその形で遊びに遊びまくったのが『ロックンロール世界旅行』だと」
 

――今回はね、初めて聴いたときに…これは褒め言葉として取って欲しいんやけど、“お前らアホやろ”と(笑)。この21世紀にね、このタイトルと、この短絡的な感じというか(笑)。
 

ダニー「そう!(笑) 底が浅いんですよね~このアルバムって、いい意味で」
 

――ホンマに。でもそこがこのカラッとした抜けの良さにつながってるよね。
 

ダニー「もう浅はかでしょ? 世界の音楽に何も詳しくないような、その上澄みだけをすくいとって表現することによって出た、このあからさまなキャッチーさ(笑)。やっぱり芯までその音楽を知ってると、こういうキャッチーさって出ないと思うんです。生まれたときからレゲエの文化で育って表現してるラスタマンとかは、逆に絶対こんな風に表現出来ないんで。ある意味かなり歌謡曲寄りというか、ポップソング寄りのアプローチですよね」
 

――レコーディングもめっちゃ楽しかったんちゃいます?
 

ダニー 「その通り!」
 

ドリー「毎日スタジオ入って、“中国っぽいの弾いてみよう”とか(笑)」
 

ダニー「“中国っぽかったらこれやろ”って。で、もう完成」
 

――“中国っぽい”って言われたときに、人が最初に思い出すフレーズが入ってますもんね(笑)。
 

ダニー 「そう! 多分、ホンマの中国の音楽はこんなんじゃない(笑)。例えば外国人が日本人はまだちょんまげ結ってるとかいうイメージで表現してしまう、その勘違いのノリが濃厚に出てますよね」
 

50kaitenzu_doly.jpgドリー「でも、そこが狙いでもあるんですよ。バッチリその国の音楽をリアルに反映しようっていうんじゃなくて、自分らが知ってる知識だけで、自分らの音楽と合体させる」
 

ダニー「そうそう、タランティーノの勘違い日本みたいな、ああいう感じですよね」
 

――それこそ『ハワイはいいわ』(M-2)とかも、ハワイ感を出すのもスチールギターに一切任せてるっていう(笑)。
 

ダニー 「あと、ザルに小豆で波の音ね(笑)。あれだってマイクを立ててるところから後ずさりして、自分でフェードアウトしてるから(笑)。“ダニー後ろ気ぃ付けて!”とか言われて後ろのキーボード気にしながら(笑)」
 

――今だったら普通波の音のサンプリング音源とか使いますよね。
 

ダニー「そういうのに対する拒絶感みたいなんがやっぱりあるんですよね。そっち側に迎合したくないというか。やるなら突き抜けた方がカッコいいし、突き抜けるんならやっぱザルでしょと(笑)。あと、波の音を実際に録ると、意外に波の音っぽくないっていうのが認識としてあったし。それやったらよりキャッチーな着地点に向けて飛んでいこうよと。まぁ飛び越えましたけど(笑)」
 

――まさに日本古来から伝わる、王道の波の音の作り方(笑)。
 

ダニー「しかもその小豆とザルは、ラジオドラマをやってるような放送局で実際に使われてたやつで…なかなかタメになりましたよ。“あ、ザルには油紙貼ったらより波の音になるんや”って(笑)。細かい芸を試みながら」
 

――そこまでのこだわりが一応あったんや(笑)。今って時代のムード的にも、きっちりとしたルーツを求めがちというか、それを勝手に意識してしまう傾向があるよね。リスナー側もそうやし、作る側も本格的じゃないとやったらあかんみたいな空気が。
 

ドリー「俺たちにはロックンロール以外は必要ないんですよ」
 

ダニー「我々がやる意味合いですよね。曲作りのときも今は情報がいっぱいある時代なんで、ある程度制限を設けようと。インターネット禁止、新しいレコード買うの禁止、分かりやすく言えばYou Tube禁止みたいな。パッとお手軽に入ってくるものじゃなく、自分の家のレコード棚から紡ぎ出そうと。その足かせがある意味良かったのかなと」
 

――情報がない中で、どうやって具体的に探したりしたんですか?
 

ダニー「それは脳内検索ですよ(笑)。何となくイメージで“こんなんやった気がする”っていう感じでやっていったら、こういうキャッチーさが出た」
 

――そうなるともう、このド真ん中感が出るという。
 

ダニー 「自分たちの引き出しの中からハワイアンを探したんですけど、加山雄三とか、プレスリーとか、アロハとか、ポヤーンとしたものしかなかったんですよ(笑)。そこからウクレレと波の音が必須やなとか、ある程度音楽的な要素も思い出しつつやったんですけど、ハワイアンって上質なポップスなんですよね。だからそれをロックンロールにやると、逆にパンクになるというか」
 

50kaitenzu_boggie.jpgボギー「定義がないもんね、なんかね」
 

ダニー「カリブ音楽も、俺たちがやろうとするとアニソン的なキャッチーさになる」
 

ドリー「楽器がその地域特有のトラディショナルなイメージを出してるだけで、メロディに特筆して特徴があるわけじゃない」
 

ダニー 「だから結局、日本人としてのアティテュードというかアイデンティティで作るもんやなって。結局こうなって正解ではあったなと思うんです。本職では絶対辿れへん、紡ぎえない音というか」
 

――逆にいろんな国(=ジャンル)の音楽に50回転ズが片足ずつ突っ込んでいくことによって、ブレないものが見えてくるというか。ロックンロールであること、50回転ズとは何なのかっていうことが、浮き彫りになった気がしたんですよ。
 

ダニー 「意外に俺たちやれば出来る子やったなっていうのを、やり終わった後に思いましたね(笑)。自分たちが音楽的にどの辺まで出来るのか分かった部分もあるし。てんでバラバラな印象になるかとも思ったけど、意外にええアルバムなったなぁと」
 

ドリー「“意外に”って(笑)」
 

ダニー「もちろん全力の充実感とね、自分のレコード棚に一生置くべきレコードが出来たと思いますけど。やっぱこのコンセプトのキャッチー過ぎるが故のおちゃらけ感に勘違いする人がおるかもしれないですけど、やってる方は真剣なんですよ。コレ、なかなか伝わりづらいんですけど、僕ら音楽に関しては結構真面目にやってるんで(笑)」
 

――中のブックレットの写真とかもホントにねぇ…。
 

ダニー「ふざけてますよね?(笑) これで真面目にやってることが伝わらんと嘆いてもね(笑)」
 

――この写真って、確実に現地に行ってない感があるんですよね(笑)。
 

ダニー「明らかに合成っていうね(笑)」
 

ドリー 「それが大事です(笑)」
 

――あと、なんかちょっと安心感のある懐かしさもあったというか。
 

ダニー「確かに。ここ20年ぐらい聴いてなかった感じのキャッチーさですよね」
 

ドリー 「そうそう。『みんなのうた』とかの」
 

ダニー「俺らが何しろ『みんなのうた』通ってるからね。あのキャッチーさに弱いんよ。『みんなのうた』ってそれこそカリビアンミュージックをポップに研ぎ澄ましたメロディとかが多いじゃないですか。それこそタンゴやったら『赤鬼と青鬼のタンゴ』とか、まぁ『だんご3兄弟』もそうですけど、あれってね、やっぱセンスがいると思いますよ。俺らもね、そのセンスの必要なところに敢えて身を投げ出して。これがまた上手いこといってしまうという」
 

――結果うまくいったから良かったものの(笑)。
 

ダニー 「いやホンマに(笑)。コケたり、あるいはマジに突き詰めたりしてたら目も当てられんかったと思うよ」
 

50kaitenzu_interview2.jpg――そもそもテーマを“世界旅行”にしたのは何だったんですか?
 

ダニー「前作の『ロックンロール・マジック』に伴って、時代をさかのぼっていろんな場所でプレイするっていうロマンチックなテーマに光を当てた『四次元ツアー』を廻って。次は単純に『三次元ツアー』でいったらどうかと。僕らも普段はロックンロールをバンバカ聴いてますけど、スタジオに入ったときには、レゲエっぽいリズムとかをふざけてやってみたりして、それが意外にカッコいいんですよ。本職には絶対出せない、表層だけをすくい取ったキャッチーさが。だから1回、そういう世界地図が見えるようなコンセプトのアルバムを作ってもいいんちゃうかって。あとは、僕らツアーで海外に行くこともあるし、あの空気をパッケージングしよっていうノリですね。俺らがやったら絶対に俺らのロックンロールになるから大丈夫!って自分に言い聞かせながら(笑)」
 

――それをちゃんと具現化したアルバムになりましたよね。それにしても今どき珍しいアルバムですよ。
 

ダニー「これええアルバムやと思うんですけどね。ただ多くの人が感動するアルバムではない(笑)」
 

――言い切るな言い切るな(笑)。
 

ダニー 「心震わせるとか、涙が自然にこぼれてしまうとか、そういうアルバムでは間違いなくない(笑)。まぁ今は世の中もぐちゃついとるし、こんなバカバカしいアルバムが1枚ぐらい世に出てもいいんじゃないかなと。カラッとね、その9曲24分間は“何も考えとりましぇ~ん!”ってやつをね」
 

――あとね、さっきの掘り下げる掘り下げないの話でもあるんですけど、それを実際にパッケージングして世に出すのって、楽しいけど勇気のいることでもあると思うんですよね。
 

ダニー「こういうキャッチーさでずっとバンドもやりたかったし、その通りにレコードも出せて僕らはもう幸せいっぱいなんです。けど、他のバンドに対するアンチみたいなところもなきにしもあらずでね。どいつもこいつも似たような歌ばっかり歌いやがって、励ましとか恋愛とか友情だなんだ、ホンマにしょーもないことばっかり歌いやがってと。俺らはもっとしょーもないぞと(笑)」
 

――普通ね、逆行くのに、そこ追い抜いて行くんや(笑)。
 

ダニー「そこは追い抜きます(笑)。普通はもうちょっとインテリジェントにとか、もうちょっとセンシティブにとか、表現をぼかしにかかって多くの人にアピールするのが、一般的な音楽ビジネスだと思うですけど、突き抜けてよりリスナーの幅を狭めるという、まさかの方式を取ってしまったんですね(笑)」
 

――アハハハハ!(笑)
 

ダニー「だから誰もが到達したくもないところに行きたい(笑)。もうね、自分たちだけの一里塚を築けばいいんじゃないかと。その後を誰かが歩いて…行かんと思うけどね、誰も(笑)。でも、それがバンドやと思う。誰も到達してない場所を目指す、到達しようとも思わなかった場所をね。こんなバンドのやり方があったんかと」
 

――ロックバンドとはこうあるべきとか、日本で音楽やるんやったらこうすべきみたいなレールには乗らないと言いながら、知らない間に割とその道を進んでるバンドが多いと。
 

ダニー「ガッチリ受け皿があるようなところにね。俺たちは受け皿ないからね(笑)。ロックンロールとかパンクとか言うけど、どのシーンからも“やっぱちゃうな”って言われるっていう(笑)」
 

――いい意味での異物感があるかもしれない。もう、ザ50回転ズしか出来ないというか、やらないというか(笑)。
 

ダニー「今のすごくいい表現(笑)」
 

――あと、ジャケットの体裁も懐かしいというか…分厚いブックレットを期待して開けたら、ちょっとしたライナーノーツと詞と対訳がペラ1だけ入ってるっていう、昔の洋楽アルバム特有のあの感じ(笑)。
 

ダニー「そうそうそうそう、良くご存知で!(笑)」
 

――分かる人はニヤってする作りというかね。
 

ダニー「単純な懐古趣味じゃなくて、今まで聴いてきた音楽とか自分たちの持ってるレコードって、やっぱりそういうもんやから。まぁ今日びダウンロードでね、1曲単位で、もしくは半曲とかサビだけ聴く人いるらしいんですけど、やっぱり実際のモノに対する憧れや愛着はすごく大きいし、自分らで実践していこうかなと。そういうのって音楽を誠実に聴いてる人にしか分からんかったりするかもしれないけど」
 

――そういう部分も盤を出すひとつの面白味でもあるし、自分たちの意志を伝える手段ですもんね。
 

ダニー「デザインに口を出さんバンドはあかんと思う。自分たちの我が子に服着せるような作業やから。そこはしっかり考えなあかんとこやと思います」
 

――最近、ジャケがめちゃくちゃダサくて、でも聴いてみたら意外にカッコ良くて、何でこのジャケにしたんやろ…って思ったことあったなぁ。
 

ダニー「お前の美意識はどこに生きてるんだと」
 

――音とメロディにそれだけこだわるのに、このジャケはないやろって。それでリスナーから聴いてもらえる機会を逃すのは、やっぱり本意ではないはずやから。
 

ダニー「ただ、僕らのこだわりの世界観でジャケットにも固執していくと、やり過ぎてて逆に手に取りづらいこともあるらしく(笑)。ジャケが尖り過ぎてて試聴しにくいみたいな、逆説的な危うさがね(笑)」
 

――お店で視聴してるときに、“え? それ聴いてんねや”って思われたくないみたいな(笑)。
 

ダニー「人が後ろを通るときにジャケ隠すみたいな(笑)。でも、まさにそういうジャケですよね(笑)」
 

50kaitenzu_urajacket.jpg――最初、裏ジャケをちゃんと見てなかったけど…ホンマ、アホやろ?(笑)
 

(一同爆笑)
 

ダニー「いやいや~楽しくてしょうがないですよ!(笑)」
 

――これすごいよな~(笑)。今回のアルバムは、とにかく作ってる側がめちゃくちゃ楽しそうやなと。
 

ダニー「今回のレコーディングも、魂をすり減らすような作業ではなかったよね、いい意味で(笑)。歌入れのときはもちろん集中して、そのことばかり考えて過ごすっていう踏み込み方なんですけど、必要以上にキュウキュウとした中でモノ作りするのはふさわしくない曲たちだったんで。あと、アルバムにはDr.KyOn(key)さんとかプロフェッショナルな人たちにも参加してもらって、曲に新しい風が吹くわけじゃないですか。そのときに卓の方から3人で聴いてて、“最高でした!”ってライブ並に盛り上がったりして。本人たちが一番楽しいみたいなところは、ひょっとしたらあったかもしれないですね」
 

――今はね、CDを聴いてる30分だけは何もかも忘れるみたいな、そういう本質的なというか、単純な喜びとか楽しみが日常になかなかなかったりするんで。そういう意味ではこのアルバムにはそういう趣がありますね。
 

ダニー「僕らも“何にも考えさせへん30分にしよう”と作り出したんですけど、よく考えると自分の家のレコードってそんなんばっかりなんですよ。歌詞がダブルミーニングになってて、そこには鬱々とした世間への恨み辛みが閉じ込められている…みたいなレコードは1枚も持ってない。聴いててステータスにならないレコードやとは思うんですけど、やっぱキャッチーなんが好きっていう自分に正直な音作り、曲作りの集大成という感じです」
 

――出来上がったときにはどう思いました?
 

ドリー「最後にマスタリングスタジオで通して聴いて完成になるわけですけど、もう1曲目から大爆笑(笑)」
 

ダニー「でも、9曲目の頃にはホロッと泣けるロマンチックさがあり」
 

ドリー 「ただ全体の空気としてはすごくカラッとしてると」
 

ボギー「さっきホンマにいい言葉を頂けたと思ったんですけど、“俺らアホやな~”って思いましたね(笑)。でもそのアホさでずっとやってきたし、今作の曲は今までの曲といっしょにやっても全然ロックやし、僕ら的には超王道なんですよ。それがまた違うベクトルに振り切れた感じがして、アホで良かったと思いましたね(笑)。これが分かる人間で良かったなとホンマに思います」
 

――50回転ズのメンバーは、集まるべくして集まった3人かもしれないですね。
 

ダニー「そんでまた転がるべくして転がっていくからね。全員が同じ方向に向いてるから、すぐ転がっていく。落とし込むところがすぐに決まる。バンドやなって感じでしょ」
 

――バンドってそこが大事ですよね。音楽性の違いはそれぞれあるやろうから、そのテンションや向いてる方向がいっしょかどうか。そこが続ける上では肝やなと思いますもん。
 

ダニー「例えばボギーは重点的にハードロックをよく聴くとか、ドリーはシャッフル系のロックンロールをよく作るとか、そういう違いはあるんですけど、実は聴いてきた音楽はほとんどいっしょなんですよ。だから次のレコードに向けて家でギター弾きながら曲を作ってても、もうだいたいこうなるやろなと分かる。逆にそこを乗り越えることがまず最初の課題で。“やっぱりもうワンステップステージが上じゃないと出す意味ない”という話を結構しますね。“もうちょっとカッコいいフレーズ頼むよドリーちゃん!”みたいに、スタジオでは盛り上げていくというか(笑)。結構地味な作業やなと思いながらやってるんですけど、同じ方向を向いてるからこそ、そこが大事でしょと」
 

――なるほどね。この2作目が出て、最後の3作目はいったいどうなるんですかね?
 

ダニー 「ロマンチック王道でガツンと言わす『ロックンロール・マジック』という1作目があり、“やっぱりこの人たちアホでした”っていう2作目の『ロックンロール世界旅行』があり(笑)、“このままでいいんだろうか?”という疑問符を投げかけた後は、3作目でゴリっとド真ん中をね。一発録りのライブっぽいものかもしれないし、コンセプトだけで言えば四次元、三次元と来て、次は二次元ツアーになるかもしれない(笑)」
 

――普通は世界が広がっていくのに、まさかの狭まっていくという(笑)。
 

(一同爆笑)
 

ダニー「例えば架空のアニメソングを作るとかね。ちょっと面白い方向に考えればそういうアイディアも出て来る。そんなこんなも考えつつね、まぁ今回のレコードの総括と致しましては、“松鶴家千とせ”って感じですね(笑)。“わかるかなぁ~わかんねぇだろうなぁ~”っていう」
 

――アハハハハ!(笑)
 

ダニー「でもこの良さを分かって欲しいんですよ。50代オーバーのニュアンスですけど(笑)」
 

ボギー「30代でも一瞬分からへんかったわ(笑)」
 

――アホなりのこだわりがあるんですね。
 

ダニー「そうそう…って誰がアホやねん!(笑)」
 

――で(笑)、ツアーもあってね、10月1日(土)のなんばHatchでファイナルと。そこに向けては何かありますか?
 

ダニー「今回の『ロックンロール世界旅行』って、普段入ってない楽器が今までで一番鳴ってるから、それを3人だけでどう表現するのかを楽しみにして欲しいのはありますね。ライブでは自分の自意識ですけど、“ガツンと、でもなんか華やか”っていうところを目指してるんですよ。エンタテインメントに3000円払って来てくれる人に、3000円分以上のものを返さなあかん。そういう意味でも、今回は目指しがいのある曲たちですね」
 

ボギー「今作はいろんな楽器が入ってるけど、自分らの音を一番大きくしてるし、今までやってきたことも変えへんようにコントロールしてる。他の楽器がなくても自分らだけでやれる自信が、ふたりもそうやと思うけどあるんですよね。ホンマに常々言ってることなんですけど、いつも通りのロックンロールをちゃんとやる覚悟は出来てます」
 

ダニー「いいこと言ったね!」
 

――いい締め頂きました。いいファイナル迎えられたらいいですよね。で、次の3作目でね、この取って付けたような展開がどう回収されてるのかが楽しみですわ。
 

(一同爆笑)
 

ダニー「俺らとしても、“やりおったな”と思って欲しいね。いい意味で裏切りたい」
 

――じゃあまたの再会を楽しみにしていますよ。
 

3人「ありがとうございました!」
 
 

Text by 奥“ボウイ”昌史
Photo by 渡邉一生(SLOT PHOTOGRAPHIC)




(2011年9月29日更新)


Check

Release

コンセプトミニアルバム三部作
第2弾はなんちゃって世界旅行!?

Mini Album
『ロックンロール世界旅行』
発売中 1890円
Sony Music Associated Records
AICL-2260

<収録曲>
1.首狩り族の逆襲
2.ハワイはいいわ
3.ベラルーシより愛をこめて
4.荒野のタンゴ
5.KILLER
6.ロッキン・カンフー
7.カリブ野郎に気をつけろ!
8.Trip! Trip!
9.船乗りたちのメロディ

Profile

ざ・ごじゅっかいてんず…写真左より、“出雲の妖怪”ドリー(b)、“浪速のドラ息子”ボギー(ds)、“徳島の酔いどれ”ダニー(vo&g)。大阪・富田林の“大阪ロックンロール少年院”に収容されていた(という設定)の3人が少年院にて奇跡の出会いをし、‘04年に結成。チャック・ベリー、ラモーンズ、マミーズなどロックンロール/パンク/サーフ/ガレージ等のバンドから多大なる影響を受ける。’06年にアルバム『50回転ズのギャー!!』でメジャーデビュー。その強烈なルックス&パフォーマンスで各地を賑やかし、’08年にはテレビアニメ『ゲゲゲの鬼太郎』の主題歌を担当するなど話題に。また、デビュー以来、アメリカ/オーストラリア/ドイツと海外ツアーも精力的に行い、国内のみならず海外のロックファンも虜に。昨年11月には、レーベル移籍第1弾となる約2年ぶりのミニアルバム『ロックンロール・マジック』をリリース。

ザ50回転ズ オフィシャルサイト
http://www.50kaiten.com/


Live

新作に伴うツアーファイナルは
地元・大阪でワンマンライブ!

『50回転ズの
ロックンロール世界旅行ツアー』
チケット発売中 Pコード140-977
▼10月1日(土) 18:30
なんばHatch
スタンディング3000円
サウンドクリエーター■06(6357)4400
※小学生以上は有料。

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vs撃鉄で京都、vsキノコホテルで大阪
12月に特濃2マンライブが決定!

『生きてるってか死んでるツアー』
一般発売10月1日(土)
Pコード152-447
▼12月1日(木) 19:30
Club METRO
[共]撃鉄
オールスタンディング2500円
ZAC UP■075(752)2787

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一般発売10月29日(土)
Pコード150-720
▼12月12日(月) 19:30
心斎橋JANUS
[共]キノコホテル
スタンディング2800円
清水音泉■06(6357)3666
※小学生以上は有料、未就学児童は入場不可。

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