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Don't Think, Feel…!!
エレクトロでマッシブなポップソングの応酬
男女ツインボーカルで魅せる1000sayが
2年の沈黙を経て生まれた1stアルバム『APOLLON』を語る!

 キュートなルックスとは裏腹に、ブリブリに弾きまくるベースラインでバンドをフルドライヴさせるAPI(vo&b)、浮遊感漂う神秘的でポップなメロディを彩るMICHELLE(syn)、正確無比にタイトなビートを叩き出すNON(ds)、そして高揚感昂ぶるギターリフでバンドを扇動するMAN(vo&g)…。確かな演奏力に支えられた強烈ダンサブルなグルーヴ、ファンタジックなポップソングの応酬で観る者を魅了するエレクトロ/ロックバンド、1000say(ア・サウザンド・セイ)。’08年の1st『STARGAZER ORCHESTRA』、'09年の2nd『MICROWAVE HEARTBEAT』3rd『LIGHTNING AMPLIFIER』と立て続けに発表された三部作が評価されながらも、突如潜伏期間に突入した彼らは、バンドのアティチュードに多大な変化をもたらした2年間に及ぶ地道なライブ活動を経てシーンに帰還! この夏にはいきなりヨーロッパ最大のカルチャーイベント『JAPAN EXPO 2011』に出演を果たし、10月12日にはギリシャ神話の音楽と太陽の神・アポロンをタイトルに据え、収録曲12曲を12星座に見立てたという2年越しの1stフルアルバム『APOLLON』をリリースした。11月17日(木)心斎橋JANUSで行われる新作ツアー大阪公演を前に、バンドの両翼を担う男女ツインボーカル・MANとAPIに、ターニングポイントとなる重要作『APOLLON』に着地するまでの2年間の旅路を語ってもらった。

MAN(vo&g)とAPI(vo&b)のハキハキ動画コメントはコチラ!

――そこそこ付き合いが長い割には、こうやってインタビューするのは初めてですね(笑)。
 

MAN(vo&g)「最初に呼んで頂いたイベントが、WEAVERとかと対バンでしたよね?」
 

――そうそう。『Thousand Wave Vol.2』かな。当時WEAVERはオープニングアクトで。
 

MAN 「まさかWEAVERがあんな有名になるとは(笑)」
 

――ナオト・インティライミとかも出てたからね。
 

MAN「そうだ、ナオト・インティライミ!」
 

API(vo&g)「そうそう!」
 

――WEAVER、1000say、未完成VS新世界、ナオト・インティライミ、Bahashishiの5組でしたから。
 

MAN「実は学生時代にも、ナオト・インティライミとイベントで一緒になったことがあるらしいんですよ。ナオト・インティライミも覚えてないと思うんですけど(笑)。観に来てくれた友達が“当時それぞれ違うバンドで対バンしたのを覚えてる”って」
 

――そうなんや!
 

MAN「意外にも(笑)。東京の国立のリバプールっていう…」
 

――国立なのにリバプール(笑)。
 

MAN 「という(笑)ものすごい老舗のライブハウスがありまして、そこで一緒にやったことがあるみたいです」
 

――じゃあMAN君も結構、活動歴が長いんやね。
 

MAN 「バンド自体もやっぱ長いんでね、はい」
 

――1000sayも現在の編成になってもう6年で。それこそあのイベントの頃は、『STARGAZER ORCHESTRA』('08)『MICROWAVE HEARTBEAT』('09)が出て、その後リリースされた『LIGHTNING AMPLIFIER』('09)の三部作で1000sayをみんなに知ってもらった第一の時期だったと思うけど、その頃から今作『APOLLON』に至るまでには、ちょっと時間が空いてて。アルバムを作るに至ったこの2年間は、1000sayにとっていったいどういった時期だったのかを教えて頂きたいなと。
 

MAN「もう次はフルアルバムでいこうとずーっとイメージしていて、当初はその3枚のミニアルバムの延長上にあるもの…それこそ3作から2曲ずつぐらいリカットして、新曲を加えてフルアルバムにしてもいいじゃないかみたいな話もあったんです」
 

――確かにそうですね。
 

MAN「その延長上で新曲を作っていったら何となくいい曲も出来て、ライブでも演奏して、お客さんからも反応があったんですけど…自分的には正直あんまりグッとこなかったんですよね。結局、3枚作ってきた自分たちの枠の中で曲を作ってる感じがしちゃって、新鮮味を感じないというか。三部作はそれで完結したものなので、もう1回新たにリスタートを切って、またゼロから1000sayってどんなバンドなんだろう?ということを見つめ直した方が、自分たち的にもエンジョイ出来るんじゃないかって。後は、なんだかんだ結構レーベルが変わったのもあってリリースも開いたんですよ。そういうのもあったんで、こんなに期間も開いて既発の曲をそのまま持ってくるのはちょっとないだろうみたいな気持ちもあったし、どんどん新しい曲も生まれてたんで、もう思い切って全曲新曲で、まっさらな1000sayを提示出来たらいいなっていう気持ちでしたね」
 

――APIさんはどう?
 

API「新作を出したい気持ちはみんなあったんだけど、MAN君が言うように曲は出来てもちょっと新鮮味がなかったりとか、あと単純にリリースする機会に恵まれなかったりとかもあって。何て言うんですかね…よくアーティストとレコード会社の関係って、結婚みたいなもんだって言うじゃないですか?(笑) いい時期が来なかったんですよね。その間はライブで自分たちを見直す期間にもなったんで、今振り返ればすごく大事な時間だったなって。だからこそ、今回の『APOLLON』が出来たので」
 

MAN「曲作りと平行して、自分たちの伝えたい世界観をより理解してもらえる環境作りも同時に行っていた感覚がありましたね」
 

――実はそういうことって、活動を左右するすごく大事なことやったりするもんね。あと、そもそも3枚のミニアルバムって、三部作を想定してスタートしたものだったの?
 

MAN「僕は1stを作ってる時点から考えてましたね。自分たちの持ってる要素をそれぞれに特化して、1枚目はクールに、2枚目はキュートに、3枚目はライブ感を重視してアグレッシブにって何となくイメージとしてはあったんですけど、ただ、曲自体は3作分はなかったですね(笑)」
 

――ある種、コンセプトに曲を追い付かせるという。
 

MAN 「まさにそういう感じでした。ただ、多様な要素を持ってるバンドだとは元々思ってたから、1000sayのこの要素を全面に出せばこういう曲が生まれてくるだろう、みたいなところまでは結構見えてましたね」
 

――実際にあの三部作で1000sayの多面性も見せられたし、それを評価してくれるオーディエンスや関係者もいてという中で、そこを伸ばしていけばある種のステップアップというか、分かりやすい未来もあったわけじゃないですか? それを選ばなかったのは勇気の要るジャッジだったなと思ったんですけど。
 

MAN「でもやっぱり…地に足が着いてない感じがすごく嫌だったというか。ぶっちゃけて言えば、メンバー間で十分な話し合いをしてきたつもりではあるけど、リリースが立て続けにあってどこか漏れちゃう部分だったり、意思の疎通がし切れなかったりする部分がどこかしらある中での全力疾走っていう感じだったから。リリース間隔が開くっていうのは、単純にセールスとかバンドの評価という面で見れば大変なことだけど、何となくフルアルバムを出してもその先はないなと思ったし、曲作りにしろライブにしろ、やっぱりしっかり固めていかないと…これから先、何年もバンドを続けてく上では必要な時間だったと思いますね」
 

API「ただ単純に売れるかどうかとかだけを考えてても、やっぱり満足出来ない自分たちがいたというか…自分たちの音楽性だったり、精神的な満足感が得られないところで活動していくのは…あ~なんかうまく言えない。どうしたらいいの?(笑)」
 

MAN「結局、自分たちから生まれた音楽をきっちり伝えていくことが、聴いてもらえる人たちに対する誠意だろっていうのは当然思うし。そういう意味ではもしかしたら、プロフェッショナルになり切れなかったというか…完全にビジネスとは思えなかった部分はありますね」
 

――与えられたスケジュールの中で、満たされないモヤモヤの中で責任を持てない作品を出し続けても、いずれ破綻が来るのを肌で感じてたんでしょうね。そういう外的要因はあったにせよ、バンドにとっては改めて考える時間を持てて、今回の制作には向かえた感じですね。
 

MAN「そうですね。その分ケンカも増えたし(笑)」
 

(一同笑)
 

――例えばどういうこと?(笑)
 

MAN 「そういうレーベルだったりマネージメントが何もない期間=自分たちで考えて動く時間がすごく長かったので、例えばメンバーの中でちょっとブレてる人間がいたら、それはメンバー間で怒らなきゃダメなんですよね。そういう1人1人の責任感みたいなものは、まだまだではありますけどこの期間で多少は上がったんじゃないかと思います。どうしても締めるべき存在が必要になるんで…この2年間が一番怒ったかもしんないですね(笑)」
 

――MAN君は今までの発言を聞いていてもめちゃくちゃしっかりしていて、まさにバンドの舵取りをしてると思いますけど、僕が最初にMAN君に会ったときの印象はもっとヤワだったというか(笑)…当時はそういうエネルギーを特に感じなかったというか。
 

MAN「やっぱりどこかで“自分は曲を作る人間だから”みたいな割り切りがあったと思うんです。けど今はメジャーで活躍してるアーティストにしろそうじゃないにしろ、曲さえ作ってりゃいいってもんじゃないと僕は思ってて。やっぱり届けるまでがアーティストの仕事だし、自分たちで活動してるとそう感じる局面がすごく多い。いい曲を作っても、聴かれなきゃ何の意味もない。やっぱりアーティストは常にそのマインドを持ってないと、面白い波は起こせないんじゃないかなって、今話してて思いました」
 

――そう思いますね。やっぱり届けるまでがアーティストの使命というか。そこまで意識がいってないと、バンドは変わらないと思うんですよね。
 

MAN「実際この数年で、僕に限らずメンバー全員にそういう意識は出てきましたね。責任を持ってやっていくのは大変なんですけど、みんなでバンドのアウトプットをいろいろと模索するのは、実は楽しかったりもするんですよね。例えばファッションブランドとコラボしたりとか、フランスに行ってライブしたりとかも、基本的に自分たち主導で全部話を進めていったんで。やっぱり大変は大変だけどやり甲斐があるし、山を越えるたびにバンドの結束力がグッと固まるのを感じられたんで」
 

――それこそ今年は、フランスで行われるヨーロッパ最大のカルチャーイベント『JAPAN EXPO 2011』に出演したのも大きなトピックとしてありましたけど、きっかけは何だったんですか?
 

MAN「いずれは海外で活動したい気持ちは、おぼろげながらみんなが持っていて。それと同時に1000sayの音楽って、実は国境を越えるエネルギーがものすごくあるんじゃないかってずっと思ってたんですよ。最近は、海外でツアーする身近なバンドもいっぱいいるし、結局アクションを起こすか起こさないかじゃないかって。海外のフェスはいろいろと調べてて、ヨーロッパで最も動員力がある『JAPAN EXPO』も何年か前から知ってたんですよ。で、今回は一般公募という形でエントリーしてみたという」
 

――そうなん!?
 

MAN 「それでまぁ見事通ることが出来たという。フランスに個人的な思い入れは全然なかったんですけど、1stミニアルバムの『STARGAZER ORCHESTRA』を出した頃から、フランスの音楽番組から“1000sayのPV流してもいいですか?”ってオファーがあったり、いきなりホームページのメールフォームから“私はフランス人です”みたいなメールが来たり(笑)」
 

――すげえ(笑)。
 

MAN 「“1000sayのCDを頑張ってゲットしました。いつかフランスでもライブしてください” みたいなことが書いてあって。活動していく中で要所要所でフランスが関わってくるなぁとは思ってたので、これはすごく縁があるんじゃないかって」
 

――実際にライブしたときってどう思いました?
 

MAN「とにかく、エネルギーがすごかったですね」
 

API「日本だと、ライブを楽しむにしても周りの目を気にしちゃう部分があるじゃないですか? 周りの様子を伺ってから、自分の出方を考えるみたいな(笑)。でも、海外の人はもう自分が発信源だから、自分が楽しみたいように楽しむ。かなり盛り上がってくれましたね」
 

MAN 「ライブだけじゃなくていろんな催し物がある中で、3000もの人が僕らのステージを観に集まってくれて…。多分YouTubeとかで観たんだと思うんですけど、サビになると手を振り上げて、一緒に日本語で歌うんですよ(笑)。それが一番衝撃的で。フランスでは今、日本の文化がものすごく盛り上がってるみたいで、日本で言うところのK-POPみたいなムーブメントというか」
 

――なるほどね。ああいう感じでフランスではJ-POPが流行ってると。
 

MAN 「それこそ漫画、アニメ、アイドル、あとはビジュアル系とかが向こうではすごく人気なんですけど、1000sayってある意味そういったものを象徴する部分をたくさん持ってるというか。例えばAPIはアイドルとは言わないけどそれに通ずるアイコン性を持ってるし、まぁMICHELLEもある意味ビジュアル系というか(笑)。ビジュアル系の人にはホント失礼なんですけど(笑)」
 

――アイキャッチする特徴的にね(笑)。
 

MAN「サウンド的にも僕らの曲って基本的にメロディが分かりやすい…ある意味、アニメソングにも通ずる何かがあるなっていうのは、自分たちもずっと意識してたことなんで。ステージに立ったときには“イケるぞコレは”じゃないけど、賞賛みたいな空気を結構感じたというか。とんでもない現象をフランスで起こしてやるぞっていう気持ちはすごくありました」
 

――となると、もらったエネルギーはすごかったですよね、やっぱり。
 

MAN 「そうですね。向こうで取材も何本か決まってたんですけど、ステージが終わった後にオファーがドッと増えたんですよ。ヨーロッパ中からメディアが来てるので、“ドイツからお前らを観に来た”とか、イタリア人も僕らのCDを持ってて“サインしてくれ”みたいな(笑)」
 

――マジで!? amazonとかで買うんかな?(笑)
 

MAN 「手に入れるのにすごく苦労したとは言ってましたね。でも、例えばフランスだったら、今は日本のCDを卸してる会社もちゃんとあるんです」
 

――日本で言うところの洋楽みたいにJ-POPを取り扱うレーベルやCDショップがあると。そう考えたら今後いろんな可能性も感じられますね。
 

MAN 「まだ具体的に決定したわけではないんですけど、またフランスでライブをしないかっていうお誘いだったり、“タイでフェスをやってるんだけど、お前らに出演してもらいたい”みたいなことを言ってくれる人がいたりとか」
 

――日本での状況を越え始めてるやないか(笑)。
 

(一同笑)
 

MAN 「小さい頃から音楽には国境を越えるパワーがあるって何となく思ってたけど、自分たちの経験を通してホントにそれを実感することが出来たのが、バンドにとってすごく大きな自信になったというか。海外で活動するんだったらせめて英語詞じゃなきゃとかいう感覚は一昔前だったらあったかもしれないけど、今はもう全然そんなこと関係ない。音楽ってそもそもその場で鳴ってるだけで素晴らしいもので、そういうことを改めて実感することが出来たというか。もちろん日本での活動を大切にしたいんですけど、長いスパンで考えて、もっとちょくちょくいろんな国で演奏してみたいという野望は広がりましたね」
 

――そんな出来事があると、今回の作品における自分たちの期待感も高まりますね。そろそろ今回のアルバム制作に向けての話を聞きたいんですけど、今作を作るにあたってテーマみたいなものはあった?
 

MAN 「一番の柱になったのは、12曲入りの12星座をモチーフにしたアルバムにしようっていうことですね」
 

――そのコンセプトがスタート地点なんですね。
 

MAN 「そうなんです。12星座とは全く関係なく曲のストックは結構あったんですよ。ひとつモチーフさえ決まれば、それまで作ってきた曲の中でコレはOKとかちょっと違うとか、取捨選択が出来てくるというか。それまでは何となくいいなと思う曲をただ量産してただけだったんですけど、柱が決まってからは早かったですね」
 

――そもそも曲を12星座に見立てるコンセプトはどこから来たんですか?
 

API「なんか最初は“クラシカル”や“クラシック”をテーマに作りたいって話だったよね?」
 

MAN「1000sayって“ロックとエレクトロの融合”が一番のキーワードみたいな感じだったんですけど、それで終始したくない気持ちもあって。これからどういう曲を作っていくのかを話したときに、いわゆるシンセサイザーで鳴らす音に関して、ピコピコ系やバキバキ系の電子音に縛られることはないんじゃないかって。楽曲を活かすためにはシンプルにピアノ音が入ってもいいし、チェロが鳴ってたっていい。もっと視野を広げて、もっと自由な発想で音の取捨選択を出来るようになりたくて。その上で、バイオリンとかクラシックで使われるような楽器の音をより多く取り入れていきたいっていう話をしてたんですよ。でもそれはあくまで、頭の中にある何となくのイメージをなんとか具体的に言うとこんな感じっていうレベルなんですけど、12曲っていうことだけはなぜか決まってた(笑)」
 

――何でやろ?(笑)
 

MAN「何でなんすかね?(笑) 1000sayをアルバムで表現するサイズとして、何となく12曲がいいなって…多分12という数字とそのクラシカルな響きが12星座に結び付いたのかな…。多分、元々12星座の世界観をモチーフにしたい気持ちがどこかにあって、でもそれがなかなか意識の中で言葉と一致してなかったのがようやく結び付いて、“あ、俺12星座で作りたかったんだ!”みたいな感じかな?(笑)」
 

――かなり感覚的(笑)。じゃあ全曲この曲が牡羊座で、乙女座で、とか設定があると。
 

MAN 「1曲目が牡羊座から始まって、魚座までですね」
 

――その割り当てって、既にある曲で星座のイメージにたまたま適合する曲もあれば、例えば、“射手座っぽい曲ないよね?”とかいう謎の事態も起きてくると思うんやけど(笑)、それはどうやって選んでいったんですか? 詞の世界観でそっちに寄せていこうとか?
 

API 「もうギャグみたいに当てはめてる(笑)」
 

――そうなん!?(笑)
 

MAN 「例えば『BASKET SHOES』(M-4)は蟹座にあたるんですけど、蟹座の歌を作れって言われても、まぁそうそう出来ないんで(笑)」
 

――だよね(笑)。
 

MAN 「でも、バスケの選手がディフェンスしてるときの姿勢が蟹に見えるなぁとか」
 

――あぁ、なるほどね(笑)。
 

MAN 「もうそういうのも込み」
 

(一同爆笑)
 

――強引やね~(笑)。
 

MAN 「乙女座にあたる『LOVE ABC』(M-6)も、乙女座=ラブみたいな(笑)」
 

API「(笑)」
 

――すげぇ感覚的(笑)。まぁ射手座=『サジタリウス』(M-9)はね、まんまだけど。
 

MAN 「そうですね。一番親切な(笑)」
 

(一同笑)
 

――誰もが“だよね~”って言えるかどうか分からない、このコンセプト(笑)。
 

MAN 「ウチのバンドもそうだし僕っていう人間もそうなんですけど、感覚主導な部分がすごくある(笑)。でも、今回のアルバムで一番意識したのは、実はそこなんですよ。結局、音楽って良いか悪いか好きか嫌いかしかない。その良いとか好きを実現するための知識とかテクニックとか経験は必要かもしれないけど、最終的にジャッジに大きく左右するのって、辻褄が合うかどうかじゃなくて感覚的にマッチするかどうかなんです。すごく当たり前のことをすんなり理解して、臨めた作品な気がします」
 

API 「結構、考え方が変わりましたよね。以前はすごく論理的で、“この道から外れたら許さねぇ!”みたいな感じだったんですけど(笑)、柔軟性が出てきたというか」
 

MAN「確かに昔はもっと理詰めでやってた感じがしますね。今はもっと感覚的。でも、柔軟性ではないんだけどね、結局」
 

API「違うんだ(笑)」
 

MAN「結局のところ、従う部分が感覚になっただけっていうか」
 

API 「みたいです(笑)」
 

(一同笑)
 

――まぁ音楽は結局、さっきの良いか悪いか好きか嫌いか…やっぱり趣味嗜好のものなので。どんな一流のプレイヤーやエンジニアを集めて、最高級のスタジオで録ってめちゃくちゃ音が良くても、そこが大事じゃない人には響かないしね。
 

MAN「そうなんですよ」
 

――それこそ天秤座にあたる『RIDIN’ ON STARS』(M-7)だったり、魚座にあたる最後の曲『PRIZM』(M-12)曲だったりとかは、今までの1000sayにない新鮮さを醸し出してますよね。今までの1000sayのエレクトロでロックなイメージに無理に寄せずに、楽曲とか声とかメロディ、それにマッチする楽器の使い方にシフトしてるというか。
 

MAN 「あとは今回はセルフプロデュースなんで、ちゃんと最初から最後まで自分たちでジャッジしてやっていこうっていうのも、何気に初めてですね」
 

――今までの話を聞いてると制作に向けた明確な意思があるから、自ずとそうなるよなっていう感じですよね。
 

MAN「もうそれが出来てもいい頃かなって。今までももしかしたら出来たかもしれないのに、なんか先送りしてたなと思ってて。“全部自分たちでやります”って言う勇気がなかっただけじゃないかなとも思うし」
 

――この2年間の自分たちの活動の中で、頭でこうしなければいけない、した方がいいというところを抜けて、感覚で“良い”と思える方を選べる確信と自信が付いたというか。やっぱりバンド初期だったらそういう風にはならなかったと思うし。
 

API「そうですね」
 

MAN「例えば仮に三部作が100万枚とか売れてたら、きっとそうは思えてなかった(笑)」
 

――“これでいこう! 全然オッケー! 問題なし!”って(笑)。
 

(一同笑)
 

MAN「決して挫折ではないと思ってるんですけど、やっぱりいろいろ勉強させてもらったからこそ、自分たちで思案出来るようになったなって。バンドとしてちょっとずつ筋肉が付いてきたというか」
 

――今回のアルバムでプレーヤーとして心掛けたこととか、変化したことはありますか?
 

MAN 「今まではいわゆるスタジオに入ってギターを弾いて、アンプを鳴らしてマイクで拾って…っていう一番オーソドックスな録り方だったんですけど、今回はほぼ全部のギターを、98パーセントぐらいは自宅で録ってるんですよ」
 

――へぇ~!
 

MAN「自宅で録ったテイクをスタジオのアンプでもう1回鳴らして録るという。家でプレイは済ませてるから、スタジオでは純粋にどの音がいいかを集中して精査することが出来る。僕はプレイする脳みそと音作りの脳みそは結構違うと思ってて。プレイするときはちょっとしたアスリート的な感覚もあるし。でも音作りってホントに集中しないと、ちょっとしたさじ加減で耳に痛くなったりこもっちゃったり、繊細な鳴り方をするんで。あと、実は今作では僕もシンセをプレイしてるんですよ。そういったことも含め、自宅での作業の割合が増えたのも今回のアルバムのすごく大きな要素だと思ってます。ちょっとずつ自分たちも知識が付いてきて、しかも今回はセルフプロデュースで自分たちでジャッジも出来るから、わざわざスタジオ借りる必要がない。自宅にそういう環境を構築出来たのはすごく大きいですね」
 

――APIさんはどうですか?
 

API 「今回初めてやった試みは、『GAIA』(M-8)でベースの音を拾ってシンセで鳴らすっていう…」
 

MAN 「そういうややこしい、マニアックなことをやりました(笑)。普通にベースを弾くんですけど、その音に反応してシンセサイザーの音が鳴るんですよ。だから、プレイのタイム感はベースなのに、鳴ってる音はシンセベースの音みたいな。面白いですよ」
 

API「なんかみんなの方が楽しそうだったよね?(笑) 最初は打ち込みでやる話もあったんですけど、やっぱり1000sayのリズムは生で鳴らしたいのがあったんで。1000sayにおいてドラムは結構要だと思ってるので、自分がどれだけNONちゃんに合わせていけるのかを、ベースに関しては意識して弾きましたね。寄り添っていくっていう」
 

――プレーヤーとしてもいろいろな試みをして、より没頭しやすい創作環境も整ってきてるとなると、ホントに満を持しての作品ですね。出来上がったときにはどう思いました?
 

API 「ヤバい作品が出来ちゃったなっていうのが第一印象で。なんかこういうジャンルは聴いたことがないっていう、そういう感覚がすごく強かった。エレクトロとロックの枠を飛び越えて、1000sayの新しい扉になる1枚を作れたかなって」
 

MAN 「今の話の延長なんですけど、どうしてもどこかのジャンルに当てはめようとする風潮が、聴く側の手引きとするためなのか、やもすると演る側にも出てきちゃってる感じがなんか違うよなぁとずっと思っていて。どこにも属さない自分たちの音でもいいじゃんって思うんですよね。最近はいわゆるギターロックとも言い切れない音楽だったり、ヒップホップとも割り切れない音楽だったり、そういうボーダレスなバンドがどんどん出てきてる。そういう意味では、今っていう時代にもすごくマッチした作品なんじゃないかなって」
 

API 「コレを聴いてもらって、音楽っていいなぁとか、バンドって楽しそうだなぁとか、バンドやってみようかなぁとか、音楽じゃなくても何でもいいんですけど、その人が何かを始めるきっかけになれたら嬉しいなって、すごく思います」
 

――それがまさに音楽の持つ力だったりしますもんね。音楽をきっかけにして人が行動する起点になるというか。今作に伴うツアーもありますけど、この2年間はホントにライブに明け暮れた日々だったと思いますが、ライブのスタイルもだいぶ変わりましたよね。最近なんかは特に、ゴリゴリのリズムでむちゃくちゃマッシブな感じというか。
 

MAN 「はいはい(笑)」
 

――僕あの感じがめっちゃ好きですね。めちゃくちゃカッコいいと思います。
 

MAN&API「ありがとうございます!」
 

――それこそ過去の三部作を聴いててポップでキュートな感じなのかな?ってライブに来たら、ガツンと殴られる感覚(笑)。
 

MAN&API「アハハハ(笑)」
 

――みんなプレーヤーとして華があるし。APIさんなんかね、かわいい顔してブリブリにゴツいベース弾くギャップが…(笑)、あれは文句なしにカッコいい。
 

API 「ありがとうございます(照笑)」
 

――最後にリリースツアーに向けては何かありますか? 大阪公演は11月17日(木)心斎橋JANUSで開催されます。
 

MAN「まぁライブはホントに年中やってますけど、リリースツアーってやっぱり特別なんです。きっちり練習もするしいろいろ想定もしていくんですけど、アルバムの曲ってツアーの中でどんどん表情を変えていくし、どんどん育っていく。それがまさにリリースツアーだと思ってて。だから一緒に目撃して欲しいというか、どんどん表情を変えていく曲たちを一緒に育てていって欲しいなと思います」
 

API「今回は自分たちにとってもすごく思い入れのあるツアーになると思う。普段のライブとはちょっと違った一面を絶対に見せられると思うので、期待して来てもらえたらいいなと思います!」
 

――今回の音源を聴いてやっぱり思いましたけど、このレベルの音を鳴らしてる割にはまだまだ知られてないと思いますもん。ホントに勝負はこれからだなって感じがしますね。
 

MAN「そうですね。ホントにここから始まるんだよっていうのを、この作品とツアーで伝えたいですね」
 


Text by 奥“ボウイ”昌史
 




(2011年11月14日更新)


Check

Release

シューゲイザー、ニューウェイブetc
徹底的に研磨されたポップアルバム!

Album
『APOLLON』
発売中 2300円
nine music/Rock Chipper Records
IKCQ-1007
【初回生産限定盤特典】
プラスチックジャケットカバー封入

<収録曲>
01.WONDER……牡羊座
02.BRAND NEW WORLD……牡牛座
03.PHANTOMAGIC……双子座
04.BASKET SHOES……蟹座
05.HANE……獅子座
06.LOVE ABC……乙女座
07.RIDIN’ ON STARS……天秤座
08.GAIA……蠍座
09.サジタリウス……射手座
10.BABY UNIVERSE……山羊座
11.KAZE……水瓶座
12.PRIZM……魚座

Profile

ア・サウザンド・セイ…写真左よりMAN(vo&g)、MICHELLE(syn)、API(vo&b)、NON(ds)。大学在学中にMAN を中心に結成。幾度かのメンバーチェンジを経て、’05年に現編成に。男女ツインボーカル×エレクトロサウンドを基調としたバンドサウンドで、コンセプトである“次世代ファンタジー”を体現。’08年には1stミニアルバム『STARGAZER ORCHESTRA』をリリース。同年秋には関西最大のライブサーキット『MINAMI WHEEL 2008』に出演。初出演ながら入場規制がかかる盛況ぶりに。‘09年には2ndミニアルバム『MICROWAVE HEARTBEAT』をリリース。iTunes STOREの“今週のシングル”に抜擢され異例のダウンロード数を記録。さらにはFM各局のパワープレイに選ばれるなど話題に。同年夏にはファッションブランドHONEYPHICKとコラボし、ブランドの新商品に未発表音源を付属する画期的なアイディアで新たな世界観を提示した。同年末には三部作完結編となる3rdミニアルバム『LIGHTNING AMPLIFIER』をリリース。翌’10年には、ライブでのアンセム『CANARY -KAZE NO TANI Remix- 』を収録したCD-R付きTシャツを、デザイン事務所OICHOC とコラボし発売。そして、11年7月にはフランス・パリにて開催されたヨーロッパ最大のカルチャーイベント『JAPAN EXPO 2011』に出演。念願の海外公演を実現させた。10月12日には約2年ぶりのリリースとなる1stフルアルバム『APOLLON』を発表。

1000say オフィシャルサイト
http://1000say.main.jp/


Live

ポップでもライブはゴツい!
『APOLLON』に伴うツアーも終盤へ

『1st full album release tour
 [トロイのROCK OUT!!!!]』
チケット発売中 Pコード151-202
▼11月17日(木) 18:30
心斎橋JANUS
オールスタンディング2500円
[出演]1000say/folca/SCARLET/Uchuu,
GREENS■06(6882)1224
※小学生以上は有料。

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