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大ヒットシングル『I Will Get Your Kiss』から10年
シンガーソングライター/舞台俳優として活躍する
中川晃教にとっての音楽とは、演劇とは?
デビュー10周年のアニバーサリーインタビューが到着! (2/2)

――デビューして早10年経つわけですけど、率直にこの10周年というキャリアを経て何を感じますか? 長かったのか短かったのか、辞めようと思ったことはあるのか。とかね。

「いや~もうホントに…いい経験をさせてもらってますね…どれ1つをとっても得難い、替え難い経験をさせてもらってますよね。10年が長かったか短かったかというより…濃かったですね。長いか短いで言うと短いですね。この間な感じしますね(笑)。まだデビュー3年か…と思ってた感覚と、そういう意味では変わらないですね」

――出演した作品数を見ていると、いつ休んでるんだ?っていう(笑)。

「でも、10年やってる人たちは、CDのリリースはもっとしてますよね。そこなんですよね。残ってないところがね…その瞬間の舞台でしか観れてないお客さんがいるってところがね…ここがまたミソなんですけどね(笑)」

――ある年を境にね、止まっているという(笑)。でも、それは今後の楽しみですよね。10年を経た自分が何を残せるか、残るものを作る作業っていう。

「また違いますからね。特別ですから」

――そして、9月9日(金)には、6月に舞台を踏んだ『風を結んで』と同じくシアターBARVA!にて、『中川晃教コンサート2011 The 10th anniversary “Yellow”』が開催されます。前回は役者としてステージに立ち、今回はシンガーとしてコンサートのステージに立ちます。そちらに向けてはどうですか?

「BRAVA!はステージから見ていると、赤い客席の重厚感と、ちょっと正装した感じのお客さんが観ている雰囲気があるんですけど、それを大阪という場所がいい意味で消し去ってくれていて、でも変わらないそのシアターの居心地の良さみたいなものがあって。僕たち作る側もそれを加味して、いろんなナンバーで楽しんだり踊れたり、じっくりと聴いたりしっとりと思い出したり、というような構成で魅せていきたいですね。ホールコンサートで言うと、’08年に厚生年金会館で2DAYSやらせてもらったのが大阪は最後なんですよ。3年ぶりなので、ライブハウスとはまたちょっと違ったイメージでやれるという期待、楽しみはありますね」

――そこで、披露される楽曲は動画コメントでも頂きましたが、大ヒット曲であり代表曲である『I Will Get Your Kiss』のアンサーソングであったり新曲、今ままでやってきたミュージカルからのナンバーだったりということでしたが、セットリストに関しては如何ですか?

「7月に仙台で『東北六魂祭』という東北の6つの祭が一挙に集まる祭があって、そのときに初めて歌った『そして、僕は魚になる』という新曲を、このコンサートでも歌いたいなと思っています。“自分の記憶をさかのぼって人間が原点に回帰していく。その途中にはいろんな景色やメモリーがある。そこには今もなお生き続けているものがある。その普遍的なもの、変わらないもの、そしてその道をさかのぼっていく魚のように生きていく…”という不思議な曲なんですけど。そういう地震以降の今の自分もそうだし、この10年間書きためてきた自分の想いみたいなものがかたちになった曲が、たくさん生まれています」

――『I Will Get Your Kiss』のアンサーソングに関してはどうですか?

「なぜアンサーソングを作ろうと思ったかと言うと、『I Will Get Your Kiss』って“ゆずれない想い”をテーマにしてるんですね。ゆずれないものって、みんな持ってると思うんです。それは変わっていくものかもしれないし、変わっていく中で、またそれがゆずれないものになっていく…’01年から10年を経た今の僕の『I Will Get Your Kiss』が書けたらいいなと思ったんですよ。それをどういう世界感にしようかというところで、試行錯誤していましたけど…今は、素直に自分の思いを言葉に出来そうな気がしています。合わせ鏡のように自分の中に何十枚も鏡がどんどん生まれてきて、そこに映る景色や心象風景…整理出来ない感情、それが今生きている自分だとしても、核心はひとつというか。その核がアンサーソングになりうるんじゃないか?と思っています。あと、久しぶりにバラードを書いてみようかと。これも今後新しいアルバムの中にぜひ入れたいと思っています。シンガーソングライターとしてのアンサーが、それなのかもしれません」

――『I Will Get Your Kiss』からすべては始まったわけですけど、すごくいろんなことを考えるきっかけをくれる曲ですね。

「自分の身に重大な出来事が訪れたとき、それまでと180°見方が変わる、考え方が変わることがあるじゃないですか? 変わったときに、見るもの、感じるもの、触れ合うものすべてに新鮮な感動や実感を得る…音楽も舞台も生きていくことも、続けていくために1番忘れてはいけないことがそこにある気がするんですよね。営みの中にさえも忘れちゃいけないものがある。そういうところに今日本人は気付いてる、僕自身が気付かせてもらっていると思うと、新曲だけじゃなくて今まで書いてきた曲だってまったく違いますよね」

――今の自分が歌ったらまた変わりますよね。

「それは僕のオリジナルだけではなくて、日本にはたくさん素敵な曲があるから。ミュージカルの曲も歌うけど、それ以外にもカバーの曲も、あたかも自分が書いたように自然な構成で入れてます(笑)。観に来てくれたお客さんが、2~3時間のコンサートの中で違和感なく音楽の中に身を投じてもらえる演出が、僕自身のコンサートの特徴になっていけばいいなという想いもありつつ、そういう曲も入れてたりしてますね」

――今は率直に楽しみなんじゃないですか?

「メンバーがまたぶっ飛んでて、デビューからずっといっしょにやってる大坪正(key)さんは、実は『I Will Get Your Kiss』のアレンジャーでもあって。ギターの是永功一さんは初めてなんですけど、僕の周りのミュージシャンがみんな絶賛しているし。大阪から始まっていく期待感はありますし、セットリストもそうだし、バンドのメンバーもそうだし、今の僕自身の状態も含めて、ホントに楽しみですよね。いろんなことを感じている10周年の今のこの時期に、そういう準備が出来ているのにも、運命を感じますね」

――ホームページを見ていても、昨年10月のプライベートページに、“僕自身から切っても切り離せない「歌」を聴きにきてほしい。そこにこそ存在できる僕が居るから”とありました。歌い手としての中川晃教としての表現の場があるのもすごく嬉しいですよね。

「やっとね…ホントに皆さんに感謝です。中川晃教を何とかしようって本気で思ってくださる方との出会いを待って待って探して探して(笑)、やっと出会ってきた人たちとこうやって続けてこれたこと、そしてそれがまた大阪で実現出来る…もう語り尽くせないいろんな想いがあって。だからこそ1回1回妥協出来ないですよね。妥協して突き詰めていくことに果たしてホントに答えがあるのか?ってたまに迷うこともあるんですけど(笑)、そうやって得てきた替え難い10年間だと思っているので。このコンサートを機にまた11年目に向かっていく想いもやっぱり強くありますね」

――それでは、最後に大阪のお客さんの方々にメッセージを!

「ミュージカルを観て僕の歌に興味を持って来てくださる方もたくさんいらっしゃると思います。そして、去年、今年とビルボードライブ大阪でやったライブをどこかで知って、頭の片隅に僕のことを思い出して足を運んでくれた方も、来てくださると思うんですね。そして僕のことをずっと応援してきてくれたお客さん、僕が舞台をやり始めたことでなかなかライブが出来なかった間に来れなかったお客さん…そういう皆さんを大切に思う気持ちが、このコンサートの幕を開けると僕は思ってるんです。そこに僕の全身全霊の集中力と自分の今をぶつけていくことによって、閉じた幕がまた開いていく。続いていく、やり続けていく、やり続けていける、それだけの歌を、このコンサートでお客さんに伝えたいと思っています。10年目の集大成としながらも、11年目の扉を開けていくエナジーの爆発が起きる、そういうコンサートにしたいと思います!」
 


Text by 奥“ボウイ”昌史




(2011年9月 5日更新)


Check
こちらの写真、撮影の前に中川さんが一言。
「じゃ、見返り美人で!」

Live

名曲、ミュージカル曲にカバーetcまで
10周年コンサートが間もなく!

『中川晃教コンサート2011
The 10th anniversary "Yellow" 』
▼9月9日(金)19:00
シアターBRAVA!
全席指定7000円

【出演】
中川晃教(vo&p)
大坪正(key)
日野JINO賢二(b)
是永巧一(g) 
アーミン・T・リンツビヒラ(ds) 
シアターBRAVA!
■06(6946)2260(10:00~18:00)
※未就学児童は入場不可。

シアターBRAVA!
http://theaterbrava.com/

Profile

なかがわ・あきのり…'82年生まれ、仙台出身。'01年、シングル『I WILL GET YOUR KISS』でデビューし、20万枚の大ヒットを記録。その翌年、ミュージカル『モーツァルト!』の主演に抜擢される。そして同作品にて第57回文化庁芸術祭賞演劇部門新人賞、第10回読売演劇大賞優秀男優賞、杉村春子賞を受賞する。以後、音楽活動はもちろん、ミュージカルでの主演も多数。'11年は東京COTTON CLUB、名古屋ブルーノート、Billboard LIVE 大阪などでのライブを行っており、シンガーソングライターとしての存在感も輝きを増すばかり。シアターBRAVA!では、蜷川幸雄演出『エレンディラ』、岡村俊一演出『女信長』、地球ゴージャスプロデュース公演vol.11『X day』で登場、6月末に上演された『風を結んで』も記憶に新しい。ミュージカルでは11月3日(木・祝)に兵庫県立芸術文化センター 中ホールで行われるオフ・ブロードウェイ・ミュージカル『I LOVE YOU,YOU’RE PERFECT,NOW CHANGE』への出演も控えている。

中川晃教オフィシャルサイト
http://www.akinori.info/