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大ヒットシングル『I Will Get Your Kiss』から10年
シンガーソングライター/舞台俳優として活躍する
中川晃教にとっての音楽とは、演劇とは?
デビュー10周年のアニバーサリーインタビューが到着! (1/2)

 ‘01年に大ヒットシングル『I Will Get Your Kiss』でシンガーとしてセンセーショナルなデビューを飾り、翌年にはミュージカル『モーツァルト!』に主演。以来“神の声の持ち主”として、俳優としても伝説的な舞台を重ねてきた中川晃教が、今年デビュー10周年を迎えた。息継ぐ間もなく様々なプロジェクトが入り乱れる10周年イヤーを走りぬける彼が、10年間のすべてを込めたコンサート『中川晃教コンサート2011 The 10th anniversary “Yellow”』を9月9日(金)・シアターBRAVA!にて開催する。そのコンサートを目前に控えた彼に、自身にとっての音楽、そして演劇へのスタンス、10周年への想いを語ってもらったアニバーサリー・インタビュー!

――先日、舞台『風を結んで』(6/28~30 at シアターBRAVA!)を見させて頂いたんですけど、4年ぶりのミュージカルということでしたが、終えてみてどうでした? 何か自分の中に感じるものはありました?

「和モノのミュージカル、しかも4年ぶりということで、蓋を開けてみて、“ああミュージカルってやっぱり大変だな”というのが最初の実感でしたね。一時期はミュージカルばかりやっていたんですけど、やっぱりインターバルを開けてやってみたら…ミュージカルってある種それを専門的にやる俳優がちゃんといるように、これは片手間でやるものじゃないんだなと実感しました。ただ、僕がここ4年間の間にミュージカル以外のことを経験してきたことも逆に活かせた。有意義でしたね。物語は意外に単純で、(片山)平吾という人間が“時代に翻弄されながら生きていく強さ”というか。どんなときも人間は命ある限り生きていく。それを全うしていく瞬間に本当の希望が見えていく。またそれを見出していくのも人間…そういう直感的な役柄を演じられたのも、この4年間の、またはこの10年間の僕のいろんな経験がこの役に活かせたなとホントに感じました。今までは『モーツァルト!』とかもそうですけど、どちらかと言うと繊細というか、思い悩むような役柄が多かったんですね。でも今回は思い悩むどころかスパンと竹を割ったような役柄だったんで。自分がそういう役を演じられるようになったというのも、自分の中で得た実感でしたね」

――4年ぶりのミュージカルということでしたが、ただそれだけではなく自分の中に蓄積されてきた音楽であり演劇の経験が感じられる、いい機会だったかもしれませんね。

「また出会うんですね。こういうタイミングで、こういう作品とね。ちょうど1年前ぐらいに、“もっともっと日本のオリジナル・ミュージカルが増えていって欲しい、作っていきたい”という想いがあるから出て欲しいというアプローチをされて。もちろん内容、ナンバーを含めて申し分ない作品だとは重々分かっていたけれど、そういう想いを持って作っていく、そういう場所に声をかけて頂ける自分になれたことにも悦びを感じましたね」

――今年はデビューして10周年の節目の年で、9月にはコンサートも控えていますが、音楽に対するスタンスは今自分の中でどういった位置にあるんですか?

「変わらないと思うんです。デビューしてから…いや、デビューする前、その頃の自分と。僕が幼稚園とか小学生の頃からピアノを習い始めて、学校帰りに友達と遊ぶよりもすぐ家に戻って、好きなピアノを弾き続けていた、そのときの自分と音楽のスタンスと、今のスタンスは基本的には変わらない。気がついたときには、ピアノに向かい、メロディを奏でる。それがいつも変わらない僕の日常で…僕にとってはそういう10年間でもあるんですよ。10年間の中で僕がたくさんの他の経験を得て、今の質問に自分が向き合ったときにも、“変わらない”と言える。それが僕にとっての音楽だと思うんです。それだけの確信を持てるものになってるっていうことですよね」

――僕はやっぱり’01年の『I Will Get Your Kiss』のメジャーデビューの頃の印象が鮮烈に残っていて。でも、割と早くに違う畑(=演劇界)のお話があって…音楽活動がこれからどうなっていくのか、その結果も何もまだ始まったばかりの内から。

「そうなんですよ! よくぞ言ってくれました(笑)。なんであのときもっとコンサートを組んでくれなかったんだろうって思いますもん。割と中途半端なところで(演劇の世界に)足を踏み出しちゃって、しりきれトンボみたいな感じでね…(笑)」

――まぁある種それは早くに別の才能をも見出されたという、いいお話ではありますけどね(笑)。

「ありがとうございます(笑)」

――二足のわらじじゃないですけど、シンガーでありながら、むしろ今となっては舞台俳優としても確固たる地位を築いてますけど、これはすごく特殊なパターンだと思うんです。この2つを両立していくこと、舞台に立つからこそ分かる音楽の良さであったり、音楽をやるからこそ分かる舞台のスゴさだったりはありますか?

「両方やっているからこそ感じることは、ホントに瞬間瞬間にすごくあります。ちょうどさっき押尾コータローさんのラジオ番組の中で、僕の『My song』という曲をいっしょにセッションしたんです。僕は仙台出身なんですけど、そのセッションのときに、仙台の街並みとか景色というものが音楽の中にあることを自分が確信して歌うことが出来たんですよ。リハーサルを軽く1回やって歌ったんですけど、そのときに押尾さんから“僕の瞬間的にパンッと変わる集中力が違う”って言われたんです。押尾さん曰く、ミュージシャンってリハーサルの雰囲気と本番の切り替えがうまくいかない人も意外にいると。それがいい意味で同じ人もいるけど、僕に感じたのはそうじゃなくて、一瞬で変わるその感じ…それは舞台を経験してるからなんだろうなと思った、という感想を直接もらって」

――なるほど!

「でも、僕にとっての音楽はそうなんですよ。ただ、これが自分でピアノを弾いて歌う場合と、そこに相手がいて、その人から発せられるものを全神経で受け止めながら自分がアンサンブルする場合と、ケースによって自分の対応は違うんですけど。基本的にはその瞬間の集中力と、そこから今何を自分は感じるか、それをどう表現するのか? そして、その連続が舞台なんですよね。だからそれだけ体力も消耗するし、それが滞りなく、毎回何十ステージとやるための稽古期間があるわけなんですけど。だからこそ今日みたいな瞬間に、どちらもやっているからこそ感じる相乗効果、違いがあって、それが=僕のオリジナリティというか。中川晃教という人間の中でろ過されたときに、それが集中力とか気迫とか勢いに変わって出てくる。でも、それは音楽を作る瞬間に感じる気持ちがすべてのルーツだったり…全てがつながってくることだと思いましたね」

――音楽と演劇のアウトプットの仕方やタイム感は変われど、今何を感じて、それを自分の中でどう消化して、また外に出すかということで言えば、通じるものがすごくある表現方法というか。

「そういう自分をひとつ、確立し始めたのかなという実感はありますね」




(2011年9月 5日更新)


Check
こちらの写真、撮影の前に中川さんが一言。
「じゃ、見返り美人で!」

Live

名曲、ミュージカル曲にカバーetcまで
10周年コンサートが間もなく!

『中川晃教コンサート2011
The 10th anniversary "Yellow" 』
▼9月9日(金)19:00
シアターBRAVA!
全席指定7000円

【出演】
中川晃教(vo&p)
大坪正(key)
日野JINO賢二(b)
是永巧一(g) 
アーミン・T・リンツビヒラ(ds) 
シアターBRAVA!
■06(6946)2260(10:00~18:00)
※未就学児童は入場不可。

シアターBRAVA!
http://theaterbrava.com/

Profile

なかがわ・あきのり…'82年生まれ、仙台出身。'01年、シングル『I WILL GET YOUR KISS』でデビューし、20万枚の大ヒットを記録。その翌年、ミュージカル『モーツァルト!』の主演に抜擢される。そして同作品にて第57回文化庁芸術祭賞演劇部門新人賞、第10回読売演劇大賞優秀男優賞、杉村春子賞を受賞する。以後、音楽活動はもちろん、ミュージカルでの主演も多数。'11年は東京COTTON CLUB、名古屋ブルーノート、Billboard LIVE 大阪などでのライブを行っており、シンガーソングライターとしての存在感も輝きを増すばかり。シアターBRAVA!では、蜷川幸雄演出『エレンディラ』、岡村俊一演出『女信長』、地球ゴージャスプロデュース公演vol.11『X day』で登場、6月末に上演された『風を結んで』も記憶に新しい。ミュージカルでは11月3日(木・祝)に兵庫県立芸術文化センター 中ホールで行われるオフ・ブロードウェイ・ミュージカル『I LOVE YOU,YOU’RE PERFECT,NOW CHANGE』への出演も控えている。

中川晃教オフィシャルサイト
http://www.akinori.info/