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兵庫県立芸術文化センター「生で聴く“のだめカンタービレ”の音楽会」に注目のピアニスト、石井琢磨が登場!たっぷりと語った
「のだめ」、YouTube、そしてウィーンでの生活について (1/2)

8月12日(土)、13日(日)、兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホールで開催される「生で聴く“のだめカンタービレ”の音楽会」。コミック、ドラマ、映画の枠を超えて大きく広がる「のだめワールド」に今回登場するのが注目のピアニスト、石井琢磨だ。関西でこの公演への出演は初めてとなる。2016年ラドゥ・ルプーら世界的なピアニストを多数輩出したエネスク国際コンクール(ルーマニア)にて、日本人初第2位を受賞。オーソドックスな古き良きクラシック音楽に主軸を置きながら「クラシックをより身近に」をコンセプトにYouTuberとしても活動し、動画配信“TAKU-音TVたくおん”はわずか2年で総再生回数が6200万回超、チャンネル登録数も21万人を超えてなお増え続けるほどの人気を博している。9月からは6都市6会場の全国ツアー『Szene』(場面やシーンを意味するドイツ語)も始まる石井琢磨が、彼自身の学生時代とも重なるという「のだめ」への思いを、たっぷりと語ってくれた。〔音楽ライター/逢坂聖也〕

クラシックをより身近に。そんな活動とリンクする「のだめワールド」

■石井さんの「のだめ」体験について教えてください。コミックやドラマ、映画などがある中で、初めての出会いはどのあたりでしょうか。

石井もう全部観てます。ちょうど世代はどんかぶりですから。まずコミックを読んだ時に、音大生の生活が忠実に再現されてるなっていう印象がありました。音大生ってこうだよね、ピアニストってこうだよね、っていうような、まさしく「こうだよね」が重箱の隅をつつくような感じで描かれていたわけですよ。すごくちゃんとした取材をして作られた作品だなっていうのをまず感じました。

■石井さん自身の学生時代や、当時の心情にも重なるような部分が...

石井めちゃくちゃありました。例えば、のだめがパリに留学するじゃないですか。その時に面白い隣人がいっぱいいるんですが、彼らはアニメを観てフランス語をマスターしようとするんですね。それってまさしくたいていの留学生がやっていて、僕の場合だったら映画の『タイタニック』をドイツ語で観てドイツ語を覚えたりとか、教科書に載っていない話し言葉のドイツ語をアニメや映画を観たりとかして勉強したんですよ。だから、ああまさしく、自分たちの体験と重なっているという気持ちがありました。

■演奏会ではコミックからもいろんな場面が再現されます。

石井楽しみですね。そして、僕自身が活動の1つとしてクラシックをより身近に、ということをコンセプトに置いているので、その中でやはりこの「のだめ」という巨大な愛されるコンテンツと石井琢磨が絡めることに、これからの自分の活動の幅が広がるんじゃないかというようなわくわくする思いもあります。すごく可能性のあるコンテンツに出会えたな、そういう演奏会に出させていただけるんだなっていう、感謝の気持ちがありますね。

石井琢磨をピアニストへと導いた、発表会での不思議な出会い

■石井さんがピアニストになろうと思ったのはいつ頃でしたか?

石井中学生の時です。始めたのは3歳からなんですが、中学2年生で発表会に出た時に、ある人から「あなたの演奏を聴いて幸せになったわ」って言われたんですよ。僕は当時サッカーをやっていて、試合に出た時に「がんばったね」とか「試合を見てて楽しかったよ」って言われたことはありました。あるいはピアノを弾いて、やはり「今日はがんばったね」とか「良かったよ」って言われたこともあったんです。だけど「幸せになった」って言ってもらえたのはそれが初めてだったんですね。それが僕の背中を押してくれたんだと思います。ただ、その人が誰だったのか、いまだにわからないんですよ。

■関係者の方ではなかった?

石井いいえ、発表会って基本的に入場無料で誰でも入れるんですが、たいていは先生の門下の方だったり、両親の知り合いだったりするので関係者ならわかるんです。でもまったく知らないご婦人でした。きれいな方でしたよ。ふらっとピアノを聴きに来られただけだったのかも知れない。その方に「あなたの演奏を聴いて幸せになったわ」って言われて、僕は演奏で人を幸せにできるんだ。なんて素晴らしいんだろう。そう思って、そこでピアニストになろうと思いました。

■素敵な言葉ですね。本当に幸せを感じないと言えないような言葉ですよね。

石井素晴らしいひと言だったと思っています。その頃、僕は迷ってたんですよ。サッカー選手になるか、ピアニストになるか。どちらも好きだったので。でもその言葉がきっかけで、人を幸せにする仕事に就きたいと思ってピアニストなりました。名古屋にいた頃です。中学2年生で、ラヴェルのソナチネを弾いた時。あれは本当に僕の人生を変えてくれた言葉でした。誰だったのか、今でも気になっています。

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(2023年6月27日更新)


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(C)二ノ宮知子/講談社

生で聴く
"のだめカンタービレ"の音楽会

兵庫県立芸術文化センター
KOBELCO大ホール
S席-6800円 A席-5800円 B席-4800円 
2公演通し券-12800円 
Pコード:236-032  チケット発売中
※通し券は2公演同じお席となります。

チケット情報はこちら


●8月12日(土)
シンフォニーの土曜日
ロッシーニ:
歌劇「ウィリアム・テル」序曲より
『スイス軍の行進』
ベートーヴェン:
交響曲第7番 イ長調 op.92
ブラームス:
交響曲第1番 ハ短調 op.68

●8月13日(日)
コンチェルトの日曜日
プーランク:
オーボエ、バソンとピアノのための三重奏曲
 【オーボエ】池田昭子(NHK交響楽団)
 【ファゴット(バソン)】:河村幹子
 (新日本フィルハーモニー交響楽団首席奏者)
 【ピアノ】石井琢磨
ガーシュウィン:
ラプソディ・イン・ブルー
 【ピアノ】石井琢磨
チャイコフスキー:
ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.35
 【ヴァイオリン】高木凛々子

【企画・指揮・お話】茂木大輔
【管弦楽】関西フィルハーモニー管弦楽団

【問い合わせ】
キョードーインフォメーション
      :0570-200-888