ホーム > インタビュー&レポート > 「ビアガーデンフェスをやりたい!」が発想の原点 南船場の立ち飲み店「THE MUSEN IN SHOCK」の 名物店主・テテヤンが乾杯することに見出した新しい価値
「THE MUSEN IN SHOCK」は
新しい交流を生み出す立ち飲み店
――今日は、4月に開催される『KANPAI PARADE cheers.that's culture. ~乾杯は文化だ~』についてお話を伺うのですが、このイベントを企画しているテテヤンの店である「THE MUSEN IN SHOCK」がどういった店なのかというところから伺っていけたらと思っています。
島野「お客さんの立場でここに通っている僕から言わせてもらうと、出会いの場になってくれる店ですね。1人でも来やすいし、店員さんが中心になって他のお客さんたちとつないでくれる流れもすごく自然で。新しい交流を生む立ち飲み店であることがMUSENのいいところだと思います」
――島野さんがここに通い始めたきっかけは?
島野「僕がライブを担当しているBREIMENというバンドのメンバーが店主のテテヤンと知り合いで、飲んでるからおいでよって呼んでもらったのが最初でしたね」
――なるほど。少し遡ってテテヤンが「THE MUSEN IN SHOCK」を始めたきっかけも聞かせていただけますか。
テテヤン「アパレルで働いた後、飲食業界に転身して経験を積み上げていたんです。この店をやる前に5年くらいアメ村でバーをやっていたんですけど、そこではやりたいことが全部やれたなと感じ始めていたのがコロナの前くらい。じゃあ新しいことができる店をやろうと堀江、なんば、北浜とか店を出す場所をいろいろ考えたけど、どこの街もピンと来なくて。考えに考えた結果、ここだと思えたのが南船場でした。20年くらい前にめちゃくちゃ栄えたこのエリアは、今は少し衰退しているようなイメージがあって。僕が店を作って南船場に光を取り戻したい! というのを理由にこの場所に立ち飲み店をオープンしたのですが、タイミング的にはコロナ禍で...。時期が時期だったので、プレオープンが11カ月くらいもあって」

――めちゃくちゃ長いプレオープンでしたねぇ...。「THE MUSEN IN SHOCK」の特色としてひとり客がしっかりいることはもちろんですが、とにかくミュージシャンやアーティストのお客さんが多いのは特筆すべきことのひとつです。関西外のアーティストも大阪に来たらMUSENで飲んでいる写真がSNSにあがったり、大阪在住のアーティストもふらっと飲みに来ていたり。それを見るたびに「なぜこんなにアーティストに愛される店なのだろう」と思ったりしていました。
テテヤン「実はコロナ中におにぎり屋で音楽系のイベントに出店したりしていて、その流れで音楽のWEBメディアでおうち時間を楽しんでもらえるための1時間の配信をやろうとなったんです。ゲストアーティストを迎えた1時間の対談の生配信だったんですけど、そのホスト役を僕が務めたんですね。それが回を重ねて97組のアーティストと対談させてもらったんですよ」
――97組!? めちゃくちゃすごいですね、それ。
テテヤン「SIRUPやTENDRE、BREIMEN、saccharinともそこで出会いましたね。その対談の自己紹介の時に必ず"僕、南船場で「THE MUSEN IN SHOCK」っていうお店をやろうとしているんです"って言っていたら、みんなコロナが落ち着いたら行くわって言ってくれていて、今本当に来てくれているんです。彼らの大阪でのライブの時にはおにぎりを差し入れに行ったりもしますし」
島野「BREIMENのライブの時は、おにぎりを本番中のステージに届けるっていう演出でもテテヤンさんが出演されていました。しかも東京公演で(笑)」
――すごー! ちなみにこの店には、アーティストのお客さんも多いですけど、島野さんと同業のライブ・コンサート制作に関わるイベンターさんもいらっしゃっていますよね。
島野「同業他社のイベンターさんも、テテヤンが紹介してくれたりするんです。酒飲む人も飲まない人もここに来ているのはすごく面白いなぁと思いますね」
ジョッキガチーン! 泡が散る!
みんなで乾杯できる場所を僕らが準備する
――そんな南船場の立ち飲み店の店主が、この春初開催される『KANPAI PARADE』というイベントの発起人なわけですが...立ち上げの経緯を教えてください。
テテヤン「実は僕、ずっとビアガーデンフェスをしたいっていうのをずっと考えていて、頭の中ではやりたいことが膨らんだりしていたんです。それをうちの周年イベントを開催した時(無線遊宴-MUSENの誕生日-THE MUSEN IN SHOCK 3rd Anniversary)に関わってくれたイベントの企画運営のプロたちにそれとなく相談していたんですよ」
――ビアガーデンフェス?
テテヤン「お酒にまつわるフェスは既にあるけど、クラフトビールやナチュールワインなど、ちょっとおしゃれな飲み物をフィーチャーしたものが多いなと感じていました。でも個人的にはもっとビールとか焼酎とかを楽しく飲みたいなあって」
島野「僕、この話を聞くまでナチュールワインって何か知らんかったんです。ワイン飲まないから」
テテヤン「ナチュールワインの店は女の子に人気やでって話してたんやんな? でもとにかくどこよりも早くてどこよりも遅いビアガーデンをフェスの形で、年に2回やりたいっていう思いがずっとあったんです」
――それ、「ビアガーデンをやりたい」ではなく「ビアガーデンフェスをやりたい」だったのはなぜだったのでしょう?
テテヤン「ビアガーデンって、どうしてもビルの屋上で屋台が並んでっていうのがテッパンですけど、そうではなくてもっと広い場所で音楽が鳴っていてってちょっと違うものを想像していたので、それはフェスなのかなあっていう発想でしたね」
――なるほど。ただ、キョードー大阪さんが街場の店とタッグを組んでイベントを開催するというイメージがなかったせいか、テテヤンのアイデアをキョードー大阪さんが具体化するということに少し意外性を感じたと言いますか...。
テテヤン「島野くんから電話をもらったんです。"前にちょっと話していたビアガーデンフェス、○月○日に開催地が押さえられそうなので...一緒にやりません? って」
――島野さんは話を進めていたってことですか?
島野「頭に入れていた、くらいですかね。僕が進めていたあるイベントが予定変更になって開催地のスケジュールが空いたので、お? これはいけるのでは? と。前からテテヤンのアイデアを面白いなと思っていたんです。それが結構急な日程だったんですけど、ビアガーデンフェス開催に向けて進めてみた結果...」
テテヤン「ちょっと急ピッチすぎて"その日程では難しい"と一度断念したんです」
島野「もう一度ちゃんと全てを整えて、改めてやりましょうと。それがついに今回実現となります」
テテヤン「ちなみに今回のイベントは、THE MUSEN IN SHOCK presentsというわけではないんです。お店が主催しているという形ではなくて、あくまでも僕個人が発起人くらいの感じで」
――あ、そうなんですか? てっきり「THE MUSEN IN SHOCK」主催イベントだと思っていました。
テテヤン「とにかく乾杯することを楽しんでもらいたいから、お店が主催するとなるとどうしてもそのお店の常連さんばかりが集うイベントになってしまうと思うんですけど、それはちょっと意図と違うんです。そういうことがやりたいなら、店の周年イベントでいいというか。あくまでも、乾杯を楽しむ人に来てもらいたいと思うからこそ、店の名前を出すことはせずに」
――そういう意図があるんですね。このタイトルにもありますが、乾杯をフィーチャーした理由を伺えますか。
テテヤン「ビアガーデンフェスというのが頭にあったので、タイトルを作るにあたってビアガーデンで一番楽しいことってなんだろう? と考えてみました。その結論が、ジョッキガチーン! 泡が散る!...乾杯しかなくない? と。考えてみたら、乾杯をイベント名に使っているのが意外となくて。乾杯をテーマにするって、意外と盲点なのかなとも思いました。ちょっと変な話ですけど、今イベントが増えすぎている状況があって、アーティスト頼みではもう成り立たなくなってきているなと感じているんです」
――というと?
テテヤン「イベントにしっかりしたコンセプトや付加価値がないと、お客さまが行動するまでに至らないというか。乾杯すること、乾杯を楽しむことがその付加価値の部分になりえるんじゃないかと思ったんです。お客さまが主役で、お客さまが乾杯できる場所を僕らが準備する。そういう方向で物事を見た時に、一気に視界が開けた気がして。地域のお祭りや盆踊りと同じイメージで、そういう場所を作りたいなと思いました」
――テテヤンの頭の中にどんどん広がっていくイメージを、島野さんはどう受け取っていたのでしょうか。
島野「基本とにかく話をしました。僕、盆踊りイベントを担当したりもしていたので、テテヤンが言っている方向性はすごくいいなと思いましたね。イベントを作る側としては、みんなで楽しく乾杯できる空間の中にフードやドリンク、アーティストのステージをどう作るかだけが課題だなと。考えたのはそれくらいです」

――関西でお酒系のイベントというと『愛酒でいと』や『CRAFT BEER LIVE』など、完全にお酒がメインでライブは彩りを添えるような感じでもありましたが、『KANPAI PARADE』では飲食と音楽の比率をどう考えているのでしょう。
テテヤン「どちらかに比重を置く感じではないですね。いいお酒と、いいご飯と、いい音楽でいい雰囲気になったらいい。それだけじゃなくて、THE GOODLAND MARKETやBRÚ NA BÓINNE、BOKU HA TANOSIIなど物販も出店してもらう予定にしていて」
――飲食だけでなく、そちらでも関西を代表するお店が続々と名を連ねますね。
テテヤン「酒のイベントって、やっぱり酒になるじゃないですか。そこをちょっとハイブリッドな感じにしたくて。前は好きでナチュールワインも飲んでいたけど、今は麦の水割りが一番いいよねみたいな感じだったり、めちゃくちゃオシャレな人が赤提灯の店で夜な夜な飲んでるバランス感が好きで。だからこのイベントで目指すのは"感度は高めだけど、ちょっといなたい感じるする酒イベント"です。でも結果的にライブの方に音楽偏差値の高いアーティストが揃ったので、蓋を開けてみないと本当にわからない感じはしています。"酒で盛りあがろう! 大合唱!"みたいなアーティストがズラリと並んでいるわけでもないその絶妙な温度感は、一般的お酒イベントとは一線を画したいというところでもあります」
――これまでのお酒系イベントで、こういう関西のローカルないい店が顔を揃えたとしたら、アーティストも関西色強めになっていた気がしますが、音楽はいい意味で関西色のない感じがしますね。
テテヤン「確かにそうかもしれないですね。東京っぽくもあるし。まぁ、まずBREIMENは絶対で」
島野「うん、それは絶対でした」
テテヤン「あとは僕らと関係値のあるアーティストに声をかけさせてもらいました。結構みんなMUSENに来てくれている面々ですね」
――そして食の方に目を向けると...こちらは大阪色というかミナミ色強めのラインアップですね。本当に人気で話題のお店揃いという感じで。
テテヤン「まずはみなさんがよくご存知で、僕がこういうところに出たら面白いなと感じたお店に声をかけました。ラムのラヴソングのラム串、POLPO INXのオシャレなビストロ料理、bistro.ENISHIはタコスかな。山椒は今実店舗を持っていないので、ここで楽しんでもらえるのもサプライズかなと思います」
――お店にはなにかリクエストはしているんですか?
テテヤン「いや、そこはもう委ねています。とりあえずビアガーデンだよ! っていうことだけ伝えておけば問題なく美味しいものを作ってくれる人たちですし。あとお酒は...僕が大分出身なんですけど、そのご縁で麦焼酎といえば! の、いいちこさんが協賛してくださるんです。全店でいいちこを出すんですけど店によってどう出すかは自由なので、どうアレンジしてくれるのかも楽しみなところです」
――新しいいいちこの飲み方に出会えそうですね。ちなみに島野さんはこの飲食店のラインアップをどのように見られていますか?
島野「そこはもう、信頼してお任せしています! って感じです。むしろ僕も楽しみにしているくらいで」
――個人的に思うのは、大阪以外の方が遊びに来たらめちゃくちゃ大阪を感じつつ楽しめるラインアップだと思います。
テテヤン「あぁ、そうかもしれないですね。この仕組みでうまく行ったら、移動したいんです。東京、名古屋、福岡、札幌とかにも持って行けたらすごくいいですよね」
――ちなみに当日おふたりが楽しみにしていることはありますか?
テテヤン「個人的には、自分が何人と乾杯できるかめちゃくちゃ楽しみにしていますね」
――カウンターを持って、乾杯ごとにカチャカチャやるのもいいですね。
テテヤン「いいですよね! あとはとにかくいろんなところで乾杯を誘発させたいんですよ。なんでかちょっと"乾杯!"ってやるの、恥ずかしくないですか」
――最近飲み屋でも「乾杯」じゃなくて「おつかれー」とか「うぃー」って、グラスを鳴らす人が増えましたよね。
島野「うぃーって言うの、確かに増えましたね」
テテヤン「それをちゃんとみんながいる場所で乾杯! って言わせたいんですよ! 乾杯は文化なんです! 僕は恥ずかしくないよ、乾杯しようって場をなめらかにする役割を担っていると思っているので、率先していろいろなところに乾杯しに行こうと思っています」

――島野さんは何を楽しみにされていますか。
島野「僕としては自分たちが準備した空間の中で、どうやって知らなない人同士が関わりあったり喋ったり、乾杯したり...それ以降どういうつながりになっていくかが楽しみですね。そのきっかけになるためのお酒やフード、ライブなど、種はしっかりとまいておきますので。この店と同じで『KANPAI PARADE』で人と人がどうつながってどう広がりを作っていけるのか本当に楽しみです」
――ちなみに当日は現金オンリーですか? お酒のイベントだと、杯を重ねるとその辺が訳わからなくなってくるんですよね...。おつりの小銭を落としたり。
島野「実は現金か電子マネーかを統一することはしていないので、お店次第って感じなんです。なので、両方準備していただけるとありがたいです!」
テテヤン「あとはブルーナボインとのコラボグッズが出たりもするんで、やっぱり現金もちゃんと準備しておいていただけると! とにかくこの『KANPAI PARADE』は接しやすいノリのイベントにして行けたらと思っています。乾杯を謳っているからと言って、飲めない・飲まない人も大歓迎。美味しい料理と楽しいライブが待っています」
島野「とにかく1フード食べてもらえたら、その味にも感動できるでしょうし」
テテヤン「アルコールだろうがノンアルコールだろうが、なんでもいいんです! 乾杯からいろいろなことが広がっていけばいいなと思ってます!」
Text by 桃井麻依子
Photo by 桃子
(2026年4月14日更新)
▼4月18日(土) 12:00
Creative Center OSAKA
入場券-6500円
3枚セット券-6000円(1枚分、3枚単位 合計18000円での販売)
5枚セット券-5500円(1枚分、5枚単位 合計27500円での販売)
[FOOD/DRINK]
THE MUSEN IN SHOCK/横目/ねづく/ラムのラヴソング/ムコウガワ製麺所/山椒/bistro.ENISHI/POLPO INX/TASOGARE COFFEE
[SHOP]BRÚ NA BÓINNE/BOKU HA TANOSII/THE GOODLAND MARKET
[出演]荒谷翔大(solo set)/S.A.R./奇妙礼太郎/グソクムズ/CRAZY BLUES/saccharin /新東京/Chilli Beans./BREIMEN/微笑坦々(NIKO NIKO TAN TAN DJ set)/YONA YONA WEEKENDERS/luv/Rol3ert
※小学生以下保護者同伴の元入場無料。中学生以上はチケットが必要となります。ドリンク代別。OPEN/START時刻を変更する可能性がございます。その際の払戻は行いません。予めご了承下さい。出演者の変更・キャンセルに伴う払戻はいたしません。客席を含む会場内の映像・写真が公開されることがあります。詳細はオフィシャルサイトをご確認ください。
[問]キョードーインフォメーション■0570-200-888
「人と人、街と街の境界線をなくしWEBからリアルへ生産者(クリエイター)をコネクトする」をコンセプトに掲げる立ち飲み店。小バコながら美味しいアテと酒で、毎夜満員御礼の人気ぶり。
▪️住所/大阪市中央区南船場4-11-25
▪️営業時間17:00〜24:00 ※予約不可
▪️定休日/不定休(Instagramのカレンダーにてお知らせ)
公式Instagram
https://www.instagram.com/the_musen_inshock/
THE MUSEN IN SHOCKから歩いて5分ほどのところにある2号店。こちらはカウンターメインながらしっかり椅子も完備&ソファー席もあり、THE MUSEN IN SHOCKで飲み終えた人がこちらへと流れていく姿も珍しくない。
▪️住所/大阪市中央区博労町4-3-14-3F
▪️営業時間/20:00〜3:00 ※24:00~カラオケ可、予約可
▪️定休日/火・水・木曜日
公式Instagram
https://www.instagram.com/the_hanare_inshock/