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4試合の見どころ4試合の見どころ

ラグビーワールドカップは4年に一度開催され、
夏のオリンピックやサッカーのワールドカップと肩を並べる
世界的イベントである。今年の第9回大会は日本を舞台に、
9月20日に開幕。神戸では予選リーグの4試合が開催される。
日本ラグビーのスター選手だった大畑大介は現役時代に
神戸製鋼でプレーし、日本代表としてワールドカップの
ピッチにも立った経験の持ち主。
神戸、そしてラグビーワールドカップとも縁深い大畑が、
神戸開催の試合の見どころ、神戸で行われる
ラグビーワールドカップの楽しみ方を教えてくれた。

4年に一度の世界のお祭り。
神戸にラグビーワールドカップがやって来る!

ラグビーワールドカップ(RWC)は1987年に始まってから4年に一度開催され、今回が9回目の大会です。アジアで行われるのは、今回の日本が初めて。全国12都市で試合が行われ、神戸はそのひとつです。普段はあまりラグビーと距離が近くない人もいるでしょうけど、あまり難しく考えず、単純に「神戸で大きなお祭りがある」と思って会場に来てもらえばいいんですよ。

今までは、ラグビーが根付いている伝統国で行われてきた大会です。僕はウェールズで行われた1999年の第4回大会とオーストラリアで行われた2003年の第5回大会に、日本代表として出場しました。ともに、ラグビーが文化になっている地域です。応援するチームの試合を見ることもそうですが、それ以上に、自分たちもいっしょにRWCを楽しもうという人たちが集まっているんだなと感じました。そういう意味では、本当にお祭りですよね。これも、RWCならではなんですよ。

今回の日本大会も、それでいいと思います。4年に一度、世界のどこかで行われる大きなお祭りが初めて日本で開かれる。しかも神戸にも、やって来る。日本人は、お祭りが好きじゃないですか。そんな感覚で、神戸に来てもらいたいですね。

RWCを通じて開催地は、街の魅力を発信することも重要です。神戸まで距離があったり、行ってみたいけどなかなか機会がなかった人にも、このRWCは神戸を知ってもらうきっかけになると思います。開催地の街に触れて、その魅力を知れるのもRWCの楽しみのひとつなんです。西洋文化の香りがある神戸は海外の人も来やすいでしょうし、国内の人もRWCに神戸観光をプラスして、楽しんでいただければと思います。

ラグビーはルールが難しい?
いいえ、そんなことを気にしなくても楽しめます!

ラグビーはルールがわからないと敬遠される方もいるようですが、そんなに細かいことまで知っておく必要はないんですよ。ボールを前に投げてはいけない、ボールを前にこぼしてはいけない。それくらいを知っておけば、充分に楽しめます。頭でっかちにルールのことばかり考えてプレーを追っても、気持ちが入りません。

それよりも、それぞれのチームがどうやって前に投げられないボールを、前に運ぼうとしているのか。あるいは選手同士の近距離での肉弾戦に注目するほうが、間違いなく面白いです。大柄な選手たちが防具なしの生身でぶつかり合うプレーは、迫力が満点。ラグビーは野球やサッカーのように鳴り物の応援がないのが普通なので、選手がぶつかり合う音がダイレクトに聞こえるんです。これもラグビーの醍醐味のひとつで、その音を聞けば知らず知らずのうちに、見ているほうも熱くなります。ルールを追いかけるよりも、目の前で起こっているプレーを見て熱くなるほうが、絶対に楽しいですよ。

球技専用の神戸市御崎公園球技場は
ピッチとスタンドが近くて、観客も一体になれる

神戸で開催されるRWCの4試合は、すべて神戸市御崎公園球技場で行われます。このスタジアムはピッチと客席が近いのが特徴です。先述したように、音はラグビーの大きな魅力のひとつ。その音がより届くのがこの神戸市御崎公園球技場です。

ここは僕が、現役で最後の試合をしたスタジアムなので思い出があるのはもちろん、プレーヤーとしてピッチで試合をしていた立場からしても、スタンドが近い分、歓声をダイレクトに感じられるんです。僕はウィングというライン際のポジションの選手で、客席に近かったから余計ですね。

選手同士のぶつかり合う音を聞いて客席が反応してくれれば、選手のテンションも上がる。それで選手が良いプレイをすれば、また観客も盛り上がる。そういう相乗効果の連続で、いいゲームが見られる環境だと思います。観客も試合をつくる一員になれる空間なんです。

RWCに向けてグラウンドの改修もされて、より素晴らしくなりました。ハードであるスタジアムが充実すると、ソフトである選手たちのプレーも充実するものなんです。良いスタジアム環境に気持ちが乗って、良いプレーができる。そういった意味でも神戸市御崎公園球技場では、見応えのあるゲームが繰り広げられるはずです。

神戸開催の4試合は、優勝候補がこぞって登場。
見応えたっぷりの各戦を大畑が解説

神戸で行われる4試合にはイングランド(世界ランキング3位。以下カッコ内は世界ランキング)、アイルランド(1位)、南アフリカ(4位)、スコットランド(7位)と、世界ランキングひとケタの強豪が続々と登場します。これだけのレベルのチームの試合がひとつの街で見られることは稀で、とても贅沢なことなんです。ここからは神戸開催の4試合を、それぞれに解説します。

9/26(木)19:45~

プールC

イングランド(3位) VS アメリカ(14位)

ラグビー発祥の地であるイングランドは2003年の第5回大会で、優勝を経験しています。現在のヘッドコーチ(HC)は、前回のRWCで日本のHCだったエディ・ジョーンズ。日本を躍進に導いたエディ率いるイングランドが、どんなラグビーをするかに着目しても楽しいでしょう。アメリカのラグビーはまだまだこれからですが、個人ではポテンシャルの高い選手が多くいます。ラグビーの母国と、新興国の対戦。それに日本が勝ち上がれば、イングランドと決勝トーナメントで対戦する可能性も大いにある。そういった意味でも、気になるカードです。

9/30(月)19:15~

プールA

スコットランド(7位) VS サモア(16位)

ともに日本と同じ予選グループであり、個人的に神戸開催の試合では、いちばんに注目しているカードです。サモアは一発があるチームで、彼らの調子が良いと、どの大会もすごく盛り上がるんですよ。スコットランドはもともと、オーソドックスなラグビーでしたが、近年は爆発力がすごく出てきた。勢いに乗ったら、すごい力を発揮します。ラグビーのスタイルは日本に似ていて、選手たちは勤勉で、攻撃力があるランナーもいる。日本と同じ予選グループである両者がどんなプレーを見せるのか。それを含めて、注目ですね。

10/3(木)19:15~

プールA

アイルランド(2位) VS ロシア(20位)

こちらもともに日本と同じ予選グループのカード。世界ランキングに表れているように、アイルランドはこの神戸開催の4試合の中では、もっともチーム力が高い存在です。アイルランドが見せる、世界トップレベルのラグビーを堪能するのも見どころのひとつ。また、ラグビーは番狂わせが少ない競技で、力の差がはっきりと出ます。アイルランドとロシアの力の差も、世界ランキング通りです。そのなかでロシアがアイルランドに対してどこで、どう一太刀を浴びせるかを見るのも、ラグビーの面白さ。世界トップクラスのラグビーが見られると同時に、ロシアがそれにどう抗うかも見どころです。

10/8(火)19:15~

プールB

南アフリカ(5位) VS カナダ(21位)

南アフリカは強豪国のひとつ。前回の2015年イングランド大会では格下とされた日本が破って、日本国内は大いに盛り上がりました。南アフリカはあのころを境に勢いが落ちてきていましたが、そこから盛り返して、今年はすごく勢いがあります。今、いちばん勢いがあるチームのひとつと言っても過言ではないでしょう。選手たちの前に出る力は半端ではなく、個々のフィジカルの強さが際立っています。このカードは、ラグビーの力強さの魅力が見られるかと思います。先のアイランドvsロシアのように、南アフリカとカナダの力の差は大きいです。そういう意味で見どころの構図は、アイルランドvsロシアに似ていますね。

※世界ランキングは9月16日現在

ラグビーに興奮し、試合後は街に出て、お酒を楽しむ。
それがラグビーワールドカップ

RWCはそれぞれのチームを応援する人がいる一方で、それ以外に試合そのものを楽しみに来られる人もいます。ラグビーは力の差がはっきりと結果に出る競技ですが、どちらかが一方的に勝っても、あるいはまさかの番狂わせが起こっても、見ている人たちはどちらでも理屈なしに楽しめるものなんです。試合が終わると、それぞれのファンが肩を組んで歩いていたりすることも、よくある光景。そんなことがあるのも、ラグビーの良さです。

RWCの良いところは、自分自身がその世界的イベントの一部になれること。応援しているチームの勝ち負けも大事ですが、試合会場にいて、グラウンドで行われている現象、スタジアムの雰囲気に自分自身が溶け込むことができる。それが、いちばんのよろこびなんです。そういう感覚は、ほかでは味わえません。

そうして試合が終わってからは、お酒を楽しめばいい。試合中もお酒を飲んで、盛り上がるでしょう。神戸市御崎公園球技場は、三宮や元町といった神戸市の繁華街まですぐです。試合が終わって酔いも興奮も少し醒めるころに、三宮や元町あたりに着きます。そこで今日の試合を思い出して、ラグビーを語り合いながら、またお酒を楽しめばいい。その絶妙な距離感に街とスタジアムがあるのが、神戸の魅力です。スタジアムでRWCの試合を堪能し、その後のお酒や観光なども満喫できる街。それが神戸なんです。

プロフィール

おおはた・だいすけ

1975年11月11日、大阪府大阪市出身。小学生でラグビーを始め、東海大仰星高から京都産業大を経て’98年に神戸製鋼に入社。国内の強豪の中心選手として活躍し、チームが数々のタイトルを獲るのに貢献した。日本代表でも不動の存在で、通算58キャップを保有する。現役時代は快足を武器にしたトライゲッターで、テストマッチ通算69トライは世界記録。今大会のアンバサダーを務める。近著に『ラグビーまあまあおもろいで! あなたの知らない楕円球の世界』(潮出版社)。

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