ホーム > マンスリー・センチュリー > 第5回「8月 August」
ドヴォルザーク:序曲『謝肉祭』作品92 (8/28) ドヴォルザーク:序曲『オセロ』作品93(8/29) ドヴォルザーク:『テ・デウム』作品103 ドヴォルザーク:交響曲第7番 ニ短調 作品70 |
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日本センチュリー交響楽団は、8月28日(金)、29日(土)に行われる第202回定期演奏会に、飯守泰次郎を迎える。演目は交響曲第7番を中心とするオール・ドヴォルザーク・プログラム。センチュリーと飯守の共演は、1998年9月以来、実に17年ぶりとなるという。7月10日、コンサートに先駆けて、服部緑地のセンチュリーオーケストラハウスを訪れたマエストロが抱負を語った。 「ドヴォルザークは、僕の大好きな作曲家のひとりです。中でも今回演奏する7番というのは、僕にとって特別な曲と言えると思います。9番『新世界』、8番 ―これは『イギリス』などと呼ばれたこともありますが― このあたりの作品というのは、言わばドヴォルザークの音楽の完成した形。ですが7番というのは、これはドヴォルザークが円熟する直前に、彼が自分の世界を見つけようと非常に努力している作品です。その生みの苦しみ、生みの喜びがあり、そこには彼が苦労して到達した技術や彼のパーソナリティまでもがにじみ出ていて、僕は大好きなんです」。 現在、新国立劇場オペラ部門芸術監督を務める飯守泰次郎。ドイツ、オーストリアの音楽、とりわけワーグナーの演奏においては第1人者として知られる。「ヨーロッパの文化の中心的な型としてベートーヴェン、ブラームス、そしてワーグナー、というのは当然出て来ます。これは正統派ですね。ですがそれに対して、ヨーロッパはまた、その中心から離れた地域にも素晴らしい音楽があるんです。僕は若い頃からそうしたものに非常に魅力を感じて来ました」と飯守。近年では“正統派”の演奏に取り組む機会が多いだけに今回は「ボヘミア(※①)の音楽がセンチュリーと演奏できる。うれしくてしょうがない」と顔をほころばせる。 ドヴォルザークは、チェコの国民楽派を代表する作曲家。その音楽の魅力は彼の人柄によるところも大きいと飯守は言う。 ※①:ボヘミア=現在のチェコの西部・中部地方を指す歴史的な呼び名 (聞き手・文 逢坂聖也/ぴあ関西版WEB) |
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日本センチュリー交響楽団が拠点とする、豊中市服部緑地のセンチュリー・オーケストラハウス。そこに隣接するのが、服部緑地野外音楽堂だ。この野外音楽堂で8月22日(土)と23日(日)第20回「星空ファミリーコンサート」が行われる。 両日とも、19:30開演。日本センチュリー交響楽団のテーマともいうべき、和田薫の『祝響~日本センチュリー交響楽団のためのファンファーレ~』で幕を開ける。宵闇が迫る中、明るく照らされた野外音楽堂のステージは、日常からちょっと離れた夏休みの楽しみをたっぷりと感じさせてくれるはずだ。『夏の日の恋』や『恋は水色』など、夏をイメージしたイージーリスニングのメドレー(22日)や、映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』からのメドレー(23日)など、センチュリーの磨きのかかったオーケストラサウンドを味わうことができる。そして後半には「アニメ古今東西」と題して、ゲストの森季子(メゾソプラノ)とともに『ルパン三世』『宇宙戦艦ヤマト』から『ようかい体操第一』まで、アニメソングの怒涛のメドレーも。家族揃っての夏の思い出づくりに、ぴったりのプログラムとなっている。指揮とお話は首席指揮者、飯守範親。いつものコンサートホールとは違ったくつろいだロケーションだけに、センチュリーとの自在な呼吸が、より身近に感じられることだろう。 来場には、公共交通機関がおすすめ。野外音楽堂は北大阪急行(地下鉄御堂筋線)「緑地公園」駅から東へ徒歩5分。緑地公園内には、都市緑化植物園や日本民家集落博物館、バーベキュー広場“バーベックマルシェ”(要予約)やウォーターランド(有料)などの施設もあるので、少し早めに訪れて、周辺を散策してみるのもいいかも。なお、雨天中止の場合は当日18:15に発表されるから、センチュリーのHPなどをチェックしてほしい。 |
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日本センチュリー交響楽団の演奏活動はホールでのオーケストラ演奏に留まりません。いずれ劣らぬ腕利きの(!)楽団員が、ソロやデュオ、カルテットなど、自由な室内楽の単位で演奏活動を行っています。こうした演奏の多彩さもセンチュリーの個性のひとつ。そこで今回は、そんな楽団員のホールを飛び出したアンサンブル活動にスポットを当ててみました。 JR大阪駅「時空(とき)の広場」で行われる「センチュリー・エキコン」。JR大阪駅や周辺の商業施設を結ぶこの場所で、30分の演奏を2公演というミニコンサートが、センチュリーのメンバーによって行われています。弦楽四重奏や金管五重奏などによるライトクラシックを中心としたプログラムが好評。今では多くのリピーターも生まれるほどの、街角コンサートの定番です。楽団員にとっても、お客さまの表情を身近に感じることのできる貴重な時間となっています。同じく大阪市街地でのアンサンブル公演としては、関西アーバン銀行心斎橋本店の1階ロビーを中心に行っている「アーバンイブニングコンサート」、また、京阪なにわ橋駅地下1階コンコースにある“アートエリアB1”で行う「アートエリアB1ミュージックカフェ」があります。ともに本格的なクラシックはもちろん、時にはジャズや邦楽なども取り上げ、センチュリー楽団員の音楽性を表現できる場所として、多くのファンの支持を集めています。 こうした街角コンサートの発展した形として、センチュリーが参加しているのが滋賀県守山市の「ルシオール街かどコンサート」。音楽を市民生活により近づける試みとして、ホタル(ルシオール)の里として知られる守山市の文化体育振興財団と提携し、市民会館を中心に市内の各公民館などで、年5,6回程度のアンサンブル公演を行っています。今年11月8日に行われる「ルシオール音楽塾第5回」(有料)にも、ピアノのイリーナ・メジューエワさんとともにセンチュリーのアンサンブルが参加。シューベルトの魅力をより深く伝えるレクチャー・コンサートで演奏を行います。 またセンチュリーのアンサンブル公演を語る上で欠かせないものとして、「豊中まちなかクラシック」があります。これはセンチュリーの地元・大阪府豊中市と提携し、例年秋に市の重要文化財であるお寺や教会、福祉施設など、複数の会場でコンサートを展開するというもの。バッハの無伴奏チェロ組曲や、1920年製のベーゼンドルファーを用いたピアノ五重奏など、豊中市のロケーションを生かした演奏が高い評価を呼び、今やセンチュリーの隠れた人気公演となっています。そして、秋のアンサンブル公演といえば、忘れてはならないのが「大阪クラシック」。街中にクラシック音楽があふれる1週間、センチュリーも大阪を代表する音楽団体のひとつとして、大阪市内各所で展開されるアンサンブルコンサートに参加しています。 そして、最後に。センチュリーではこうしたアンサンブル活動を通して、大阪府下の病院や支援学校で、普段コンサートに足を運べない患者さんや生徒の方に音楽を届けています。クラシックの名曲から、ジブリシリーズやディズニーの名曲など、時には歌や手拍子で参加してもらえるような、楽しさにあふれた演奏会を作っています。 さまざまなユニットに分かれて展開するセンチュリーの演奏。これからの季節、その活動が増えて行きます。ヴァイオリンやチェロ、クラリネットやオーボエなどの響きは、普段、私達が思うよりもずっと身近にあるのです。もしセンチュリーの楽団員たちのアンサンブルを見かけたら、気軽に聴いていただき、演奏者に声をかけてください。 ●センチュリー・エキコン(隔月1回程度) |