ホーム > マンスリー・センチュリー > 第2回「5月 May」
ハイドン:交響曲 第35番 変ロ長調 Hob.Ⅰ:35 ハイドン:チェロ協奏曲 第2番 ニ長調 Hob.Ⅶb:2 ハイドン:交響曲 第17番 ヘ長調 Hob.Ⅰ:17 ハイドン:交響曲 第6番 ニ長調 Hob.Ⅰ:6 「朝」 |
|
交響曲の父フランツ・ヨーゼフ・ハイドン(1732-1809)。その104曲の交響曲をすべて演奏、録音しようという画期的なシリーズが飯森範親と日本センチュリー交響楽団の「ハイドンマラソン」だ。古典作品への継続的な取り組みによって、オーケストラに磨きをかけると同時に、音楽の魅力をていねいに紹介していこうというこの企画。その記念すべき第1曲目は交響曲第35番。イタリア風の色彩感豊かな響きの中に巧まざるユーモアを湛えた、ハイドンならではの作品で幕を開ける。 この「ハイドンマラソン」には、交響曲以外の作品も登場する。また、時にハイドン以外の作品も登場する。ハイドンの交響曲を中心に、その周辺との関連や影響を浮かび上がらせようという狙いだ。今回演奏されるチェロ協奏曲第2番は、ハイドンの友人でもあったチェロの名手アントン・クラフトのために書かれたとされている作品。ソリストとして登場するアントニオ・メネセスは、ボザール・トリオのメンバーとしても知られたブラジル出身のベテランだ。この曲の優雅な魅力を、充実した響きで届けてくれるに違いない。 さて、ハイドンを語る上で、彼が生涯の大半を務めたハンガリーの大貴族エステルハージ家(後年一時離職)との関係は欠かせない。今回、比較的小規模な17番に続いて演奏される交響曲第6番『朝』は、7番『昼』、8番『晩』と並んで、ハイドンがこのエステルハージ家の宮廷の副楽長に就任(後に楽長)してすぐに書かれた作品である。ハイドンはここで、フルートや、ヴァイオリン、チェロなどの独奏楽器が絡み合う、華やかな協奏曲風の作品を作り上げた。この後、エステルハージ家で多くの作品を生み出すハイドンの最初の収穫である。なお、ハイドンの交響曲には『告別』や『V字』『時計』など、名前で呼ばれる作品が多いが、彼自身が名前を付けたのはこの『朝』『昼』『晩』だけ。こうしたエピソードの数々も、この「ハイドンマラソン」の中で折々に語られていくことだろう。センチュリーにとってはハイドンの足跡をたどる、長い道のりの第1歩。だがハイドンの音楽に気負いは似合わない。まずは『朝』から香り高くスタート! |
|
びわ湖ホールで行われる「ラ・フォル・ジュルネびわ湖2015」に今年も、3公演、2日に渡って日本センチュリー交響楽団が出演する。リーズナブルで高水準、1時間単位のコンサートが目白押しの「ラ・フォル・ジュルネびわ湖」が2015年に掲げるテーマは「パシオン・バロック」。“情熱のバロック”だ。バロック期(17世紀初頭~18世紀半ば)のバッハ、ヘンデルの作品を中心に数々の演奏が行われる。ぜひ、プログラムを片手にセンチュリーの演奏を見つけてもらいたい。まず5月2日(土)、12:30から本名徹次の指揮でバッハの「ブランデンブルク協奏曲第5番」がスタート。さらにピアノのアンヌ・ケフェレックを迎えてピアノ協奏曲第4番、5番を演奏する。そして15:45からはヘンデルの組曲「王宮の花火の音楽」とバッハの「管弦楽組曲第2番 ロ短調」を。豪壮な宮廷風の響きを持つ「花火」に対して「管弦楽第2番」では、悲しみを湛えた旋律をフルートの繊細な響きが彩る。「ラ・フォル・ジュルネびわ湖」ならではの魅力的なプログラムだ。 5月3日(日・祝)には隣接するピアザホールで12:30から「0歳児からのコンサート④日本センチュリー交響楽団弦楽四重奏&どいかつえ」が行われる。こちらはセンチュリー選抜チームとどいかつえさんのお話をまじえた楽しい内容のコンサート。家族揃って楽しんだあとは、まだまだ続く「ラ・フォル・ジュルネびわ湖2015」を満喫しよう。 |
|
日本センチュリー交響楽団では、これまで数多くの演奏を録音し、CDなどのメディアを通じて配信しています。そこで今回取り上げておきたいのが、3月25日にリリースされた「山田一雄 ベートーヴェン交響曲第3番『英雄』」。日本を代表する指揮者であった、山田一雄(1912-91)が1991年3月に大阪センチュリー交響楽団(現・日本センチュリー交響楽団)の第4回定期演奏会に客演した際の録音です。当時センチュリーは発足してまだ1年あまり。この若く、編成も小さなオーケストラから、指揮者は剛毅で輝かしい音色を引き出しています。アンコールとして、山田が愛したというモーツァルト「『イドメネオ』のためのバレエ音楽」を併録。巨匠とセンチュリーの邂逅が生んだ貴重な記録として、多くの人に聴いていただきたい演奏です。 近年の録音としては、飯森範親指揮による『ブラームス:交響曲全集』がリリースされています。これは2014年、日本センチュリー交響楽団首席指揮者に就任した飯森範親が、そのフレッシュな情熱を記録したもの。飯森は録音当時の対談の中で「特に3番は精神的な成熟度が問われる作品。でもセンチュリーのポテンシャルに触れて『このオケなら面白い演奏ができるのでは』と感じた」(「Phile-web」インタビューより)と語っています。結果はセンチュリーの弦の中から厚みと温もりを引き出した鮮やかな演奏。3番の仕上がりにも納得です。こちらもまた、多くの人の耳に届けていきたい演奏です。 日本センチュリー交響楽団では、この分野での新たな取組みとして「PCM 96kHz/24bit」などのハイレゾ音源のインターネットを通じた音楽配信を始めています。「ハイレゾ音源」とは、一言で言えばCDを圧倒的に上回る音の解像度を持った音源のこと。臨場感や豊かな倍音の響きなど、クラシック、特にオーケストラの演奏においてその強みは発揮されます。上記の「ブラームス:交響曲全集」はハイレゾ音源サイト「e-onkyo music」を通じてすでに配信開始。より迫力あるセンチュリー・サウンドが多くの人に届けられています。様々なメディアに展開してゆく日本センチュリー交響楽団の演奏に、ご注目ください。 |