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チャイコフスキー:ピアノ協奏曲 第1番 変ロ短調 作品23 指揮:小泉 和裕 |
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日本センチュリー交響楽団は2月20日(土) 、指揮に小泉和裕を迎え京都特別演奏会を開催する。演奏されるのはチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番と、ドヴォルザークの交響曲第9番『新世界より』。センチュリーの精緻で情感豊かな演奏が堪能できる、絶好のプログラムだ。 ピアニストに迎えるのはロシア出身のアンドレイ・コロベイニコフ。1986年モスクワ生まれのコロベイニコフは7歳でチャイコフスキー記念青少年音楽コンクールに優勝、モスクワ音楽院に学び、04年スクリャービン国際コンクール優勝、05年ラフマニノフ国際コンクール第2位及び聴衆賞受賞というコンクール歴に輝いている。前回登場した「センチュリー四季コンサート2014夏」では、異色のオール・アメリカン・プログラムでガーシュウィン『ラプソディ・イン・ブルー』を共演し強い印象を残した彼が、今回は母国の作曲家、チャイコフスキーを演奏。協奏曲第1番の色彩感に満ちた魅力を存分に味わうことができることだろう。 そしてボヘミアへの郷愁が渦巻くドヴォルザークの第9番。今シーズン、センチュリーは指揮者の異なる3つの『新世界より』を演奏したが、その掉尾を飾るのが今回のステージだ。端正な中に深い情熱を秘めた小泉の音楽。注目の顔合わせによる『新世界より』に期待したい。 |
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2月26日(金)、今シーズン最後のハイドン・マラソンとなるいずみ定期演奏会No.30。前回の「ハイドンの優等生たち」に続き、ベートーヴェンの作品が登場する。1曲目は、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲ニ長調。ベートーヴェンが残した唯一のヴァイオリン協奏曲である。印象的なティンパニの音に始まり、それが大きく展開してゆく第1楽章。木管の変奏の上をヴァイオリンが表情豊かに歌う第2楽章、そしてロンド形式で大きく盛り上がる第3楽章まで聴き応え十分の傑作だ。ヴァイオリニストは1993年生まれ、現在ウィーン在住の郷古廉(ごうこ・すなお)。2006年ユーディ・メニューイン青少年国際ヴァイオリンコンクールジュニア部門では史上最年少の第1位。’13年にはスイス、ティボール・ヴァルガ シオン国際ヴァイオリン・コンクールで優勝ならびに聴衆賞・現代曲賞を受賞した期待の新鋭だ。センチュリーの定期初登場となる彼の演奏に注目したい。 ハイドンの作品は初期と後期から1曲ずつ。第18番はエステルハージ家に仕える以前の作品とも言われる3楽章形式のチャーミングな曲。そして第96番『奇蹟』は後期を代表する傑作のひとつだ。『奇蹟』の由来はこの曲が初演された時に、シャンデリアが落下したにも関わらず、誰も怪我をしなかったというエピソードに基づくが、実際に演奏されていたのは第102番だったという説もあり、このあたりのおおらかさもまたハイドンらしい。 なお演奏会に先駆けて、2月9日(火)には、島村楽器グランフロント大阪店で第4回「ハイドン大學」を開催。音楽評論家の響敏也氏を講師に迎え「解りやすいハイドン」と題した講演を行う。何かと“地味”だの“とっつきにくい”とされがちなハイドンを、今回はちょっと変わった視点で眺めてみよう、という切り口だ。オペラと落語のコラボ作品の創作など、クラシックの敷居を低くする活動を展開してきた響氏がどんなハイドン像を描き出すか、ぜひぜひご参加の上、お楽しみください。 |
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5月2日(月)、ロームシアター京都メインホールで「ゴジラ音楽祭in京都~伊福部昭没後10年に寄せて~」が開催されます。これはデジタルリマスターされた映画『ゴジラ』(1954)全編の上映とともに、映像に添えられた音楽を日本センチュリー交響楽団の生演奏を楽しもうというもの。東京オペラシティ、NHKホールに続き、ぜひ関西で、との多くのファンの声に応える形で今回の京都公演が実現しました。2016-17シーズンにセンチュリーが取り組む、エンジョイ・センチュリーシリーズの第1回公演でもあります。 伊福部昭は日本のクラシック音楽に多大な足跡を残した作曲家です。西洋に生まれたクラシックの中に東洋的な生命力を融合させた作風は今なお、多くの人々を魅了しています。映画音楽も数多く手掛け『釈迦』(63)『大魔神』(66)などの傑作を残していますが、やはり伊福部の名を不朽のものとしたのは、この『ゴジラ』。第1作に描かれた怪獣ゴジラは、まさに戦争と核の化身であり、シリーズ化された後の作品には無い、荒々しい迫力を持っています。この傑作に伊福部は重厚で忘れがたい音楽を与えました。 その『ゴジラ』に使用された音楽をすべて楽譜に起こし、この企画を実現させたのが、伊福部昭の愛弟子である作曲家の和田薫。映像はオリジナルから音楽部分のみを取り除いてデジタルリマスターを行うことにより、生演奏との共演が可能になりました。指揮は作品を熟知する和田薫自身が担当。現在、和田氏でなければ務まらないとも言われる『ゴジラ』の、映像と音楽の完璧なシンクロに息を呑むことでしょう。 |
オープニングを飾るのは伊福部昭自身が東宝特撮映画のために書いた作品を、演奏会用に編曲した「SF交響ファンタジー第3番」。『地球防衛軍』(57)や『海底軍艦』(63)のテーマも登場するこの作品から、一気に伊福部ワールドへと引き込まれます。またトークゲストとして予定されているのが映画監督の大森一樹。『ゴジラvsキングギドラ』(91)ほか、数々の“平成ゴジラシリーズ”の監督・脚本を手掛けた大森氏がゴジラへの愛と未来を語ってくれることでしょう。 なおチケットぴあでは、2月3日の一般発売に先駆けて、この公演のプレリザーブ(事前に申し込みの上、抽選でチケットを購入する先行抽選)を1月23日(土)より受付。ゴジラと伊福部昭の真価を明らかにする「ゴジラ音楽祭in京都」。チケットはお早めにお求めください。
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