ホーム > 劇団 石塚朱莉 > 第7回 劇団柿喰う客 七味まゆ味さん(後編)
七味まゆ味(写真右)
しちみまゆみ●12月3日生まれ、神奈川県出身。劇団柿喰う客・副代表。2004年、『サバンナの掟』より柿喰う客に参加。2006年、柿喰う客の劇団化とともにメンバーに。以降、ほぼ全ての公演に出演。柿喰う客の国内ツアーや海外公演に積極的に参加する一方、蜷川幸雄、野田秀樹などの舞台にも出演。主役、脇役、飛び道具、老若男女に化け物から宇宙人まで、舞台上で七色 の魅力を放つトリックスター。中性的なコケティッシュさ、しなやかさ、その声音で自由自在に演じわけ、繊細な芝居にも定評があり、客演も多い。
石塚朱莉(写真左)
いしづかあかり●1997年7月11日生まれ、千葉県出身。ニックネームはあんちゅ。NMB48チームBII。趣味は映画鑑賞。2016年夏、悪い芝居の『メロメロたち』で初舞台、初主演を果たす。2017年4月、悪い芝居『罠々』に出演。
公式サイト
http://www.nmb48.com/
七味の一味 第一回公演
▼8月4日(金)~7日(月)
インディペンデントシアター2nd
「家族百景」
8/5(土)12:00/17:00
8/6(日)14:00/19:00
8/7(月)11:00/15:00
一般-3500円 当日-4000円
学生-2500円 当日-3000円
[脚本]藤丸亮(集団as if~)
[演出]七味まゆ味(柿喰う客)
[出演]石井歩/伊藤駿九郎(KING&HEAVY)/上原日呂(月曜劇団)/浦賀わさび/太立健/おくむらたかし/掛江つばさ(劇団赤鬼)/風速純/桂雲呑(満劇/堕天使)/木村聡太/金田一央紀(Hauptbahnhof)/国本クイナ(学園座/オフィスエイト)/小久保宏樹(アカル塾)/爽田いもり/椎名桂子/進信也(べろべろガンキュウ女)/諏訪いつみ(満月動物園)/空山知永(劇団空組)/田中亨(劇団Patch)/たはらもえ(劇団レトルト内閣)/谷野まりえ(PEOPLE PURPLE)/としこ/中村ノゾム/中村るみ/ナカメキョウコ(エイチエムピー・シアターカンパニー)/前田紀美枝(月刊少年ワンダー)/東千紗都(匿名劇壇)/真嶋秀典(劇団ひまわり)/美輝明希/山岡美穂/吉本考志(劇団Patch)/渡辺綾子(VOGA)
七味まゆ味 新作一人芝居
「かかづらふ」
8/4(金)19:30
8/5(土)20:00
8/6(日)11:00
一般-3000円 当日-3500円
学生-2000円 当日-2500円
脚本・演出:藤丸亮(集団as if~)
[出演]七味まゆ味(柿喰う客)
2016年7月、京都の劇団・悪い芝居の『メロメロたち』に出演し、女優として初舞台を踏んだNMB48の石塚朱莉さん。役者としての第一歩を踏み出したばかりの彼女が、さらなる高みを目指すべく、脚本家や演出家など演劇界の諸先輩方に「演劇のいろは」をお聞きします!
今回は、石塚さんも大好きな劇団柿喰う客より、看板女優の七味まゆ味さんに登場していただきました。舞台上でのキレのある動き、繊細な演技、圧倒的な存在感で観客を惹きつける七味さん。劇団活動はもとより、数々の外部作品でも活躍されています。さらに、これまで女優一筋でやってきた彼女が、自身のユニット・七味の一味を結成し、旗揚げ公演『家族百景』で演出に挑戦することに。石塚さんが出演した悪い芝居『罠々』を観ての印象や、演技のアドバイス、七味の一味での挑戦について、たっぷりとお聞きしたうえに、近い将来の目標も生まれ…!? 後編をどうぞ。
いろんな人とつながること
石塚
七味の一味では、二作品上演するんですよね。
七味
そう。30人くらい出演する『家族百景』と、一人芝居の『かかづらふ』。旗揚げなので、やっぱり女優としての私も観てもらいたいと思って。
石塚
神奈川と大阪でキャストも変わるんですよね。
七味
うん。演劇をやっていて面白いのは、いろんな人と出会えることだと思うの。いろんな人と話して、いろんな考えを知ると、自分が変わっていったりもするし、“七味の一味”をやることでそんな輪が広がっていけばいいなと思ったんですね。元々は、世界の演劇を知ったり、日本の中でも東京と大阪では演劇事情が違っているのを知って、それを自分が架け橋となってつなげていけたら面白いなという思いがあるんです。ただ私がいろんな人とつながりたいって思うだけなんだけど、例えば朱莉ちゃんとこうして知り合っても、何か一緒にできたら面白いなって思うんですよね。人生ってつながっていくことだと思うから。そんなつながりをみんなにも作ってもらいたいなと思ってるんです。
石塚
オーディションで募集されて、選ばれた基準ってあるんですか?
七味
基本的には、一緒にやりたいと思うかとか、人柄とか。でも審査するというよりは、来てくださる方に、私自身も見てもらおうという気持ち。私はやりたいと思っていますけど、あなたは私を受け入れられますか? って。
石塚
神奈川と大阪とでは、メンバーの雰囲気とかは変わりますか?
七味
あえて雰囲気が違う人を選んでるのね。それに、東京は標準語で、大阪は関西弁でやるので、結構舞台の雰囲気も変わる気がする。
石塚
そうなんですか。楽しみですね! 神奈川も大阪も、どっちも観たいです。関西弁ということで言うと、私、柿喰う客さんの『露出狂』を関西弁バージョンでやりたくて。
七味
それ、めっちゃええやん!(笑)
石塚
七味さんの演出でどうですか?(笑)。
七味
やろう、やろう! いつする!?(笑)。
石塚
オーディションもちゃんと受けて。私も、七味さんみたいなことをいずれはやってみたいなって思っていて。
七味
できるでしょ! 時間と“よし、やるぜ!”って思う気持ちがあれば協力してくれる人がいっぱいいるから。
石塚
私本当にバカで、作も演出もできないから(笑)。そのときはよろしくお願いします!
七味
ぜひぜひ。優しい演出なんでね(笑)。そこは間違いないので大丈夫。
一人芝居『かかづらふ』
石塚
一人芝居の『かかづらふ』も楽しみです。
七味
一人芝居は、旗揚げのご挨拶も込めて、女優としての一面を見てもらおうと思っています。一つは私が演出する、もう一つは演出されるっていうので挑戦してみようと思って。今回、脚本を書いてくれる藤丸亮(集団as if~)さんの作品って、元々はブラックコメディが多いんだけど、『家族百景』ではそれを全然出していないんですね。なので、一人芝居の方でそれを思う存分書いてもらおう、と。どちらも観たお客さんが、“同じ人が作ってるの?”って思うくらいのギャップが生まれたら楽しいですよね。『家族百景』を観てホロッときた方が、『かかづらふ』を観て心臓バクバクみたいな(笑)。そんなふうになったらいいなと思っています。
石塚
面白そうですね! 私、一人芝居を観たこともやったこともないんですけど、孤独じゃないんですか?
七味
普通の芝居をやるのと同じだよ。私は一人芝居でも、二人芝居でも、30人芝居でも心持ちは変わらないなと思う。作品にもよるかもしれないけど。でも、支えてくださる方へのありがたさは一人芝居になるとより強く感じるかも。私のためだけにやってくれているからね。あと、お客さんは私しか観る人がいないから、一人ひとりとダイレクトにつながるというか。そういう意味では濃密な空間になるんじゃないかなっていう気はします。朱莉ちゃんの一人芝居もいつか観てみたいな(笑)。
石塚
できますかね(笑)。とりあえず、今は女優として成長できるように頑張ります!
滑舌の悩み
七味
朱莉ちゃんは、すごく声が魅力的だなって思ったよ。
石塚
本当ですか! でも滑舌が悪くて…。自分でもやりながら何言ってるか分からないときがあるんです(笑)。
七味
自分で分かってるなら、直していけるやん。
石塚
でも七味さんって声も通るし、言葉がめっちゃ入ってくると思ってて。
七味
それは演じてるときだけですよ!(笑)。本当に普段は何言ってるか分からないって言われる(笑)。
石塚
どんなことをしたらいいんですかね? めちゃくちゃ悪いから。意識されてることとかってありますか?
七味
ないですね(笑)。「ここ、聞こえないよ!」って言われたところを気をつければいいんだと思う、きっと。演じているときの1時間半とか2時間、3時間だけ気を付けるっていう意識でいいんじゃないかな。言いにくいなって思うところとか、聞こえにくいんだろうなって思ったら、稽古中に少し意識してやっていけば、いつの間にか無意識にできるようになる気がする。
石塚
セリフによって、重要な単語とかを意識したらいいんですかね。
七味
うんうん。でもそれは演出家さんにもよるかもね。ハッキリした芝居だったら言葉を立たせたらいいと思うけど、ナチュラルな芝居だったらあえてしっかり喋らない方が自然に聞こえたりするじゃないですか。普段のトーンで、あまり口は開いてないけど自然だなっていうのが良さになる場合もあるから。1ヵ月の稽古期間のときだけじゃなくて、インタビューのときとかも気を付けて喋ってみるとか、自分で考えながらやるのもいいかもしれないね。
石塚
なるほど。頑張ります! ありがとうございます!
対談を終えて
七味
朱莉ちゃんとは、柿喰う客のアフタートークに出ていただいたときにご挨拶したのが初めてですよね。それからずっと喋りたいと思っていたので、今回機会をいただけて良かったです。「演劇が好きだ!」って言って、悪い芝居というアバンギャルドな劇団に単身乗り込んでいく感じがカッコイイなと思ったし、『メロメロたち』は観れなかったけど、すごくいい噂を聞いてたから、どんなお芝居をする人なんだろうって興味を持っていたんです。それから『罠々』を観て、存在感があって、キラキラした素敵な女優さんだなって。また今後も、こういう時間を共有したいなって思える人だなと思いました。
石塚
ありがとうございます! よろしくお願いします(照)。
七味
私の印象はどうだった?
石塚
柿喰う客の『艶情 夏の夜の夢』でアフタートークに出させていただいたときから、“この人はなんて優しい方なんだ!”と思っていて。舞台上で大暴れした後に、あの優しさを見せてくれたから、どっちが本物の七味さんなんやろって思ってて(笑)。今日喋ってみて、もっともっと聞きたいことがあるなって思ったし、私もいつか、何か一緒にさせていただけたらいいなって。
七味
そうですね。楽しみにしてます! 『露出狂』の関西弁バージョンもやりましょう! 私が書いた作品にもぜひ出てください。滑舌悪い役で(笑)。
石塚
ぜひお願いします!(笑)。今日はありがとうございました!
第8回は9月更新予定です。
取材:石塚朱莉(NMB48)
撮影:奥田晃介(松鹿舎)
文:黒石悦子
企画:葛原孝幸
企画・構成:岩本和子