ホーム > 劇団 石塚朱莉 > 第1回 MONO 土田英生さん(前編)

 

 

 

Profile

MONO 土田英生(写真右)
つちだひでお●1967年3月26日生まれ、愛知県出身。劇作家・演出家・俳優/MONO代表。1985年に立命館大学入学と同時に演劇を始める。1989年に「B級プラクティス」(現MONO)を結成。1990年以降全作品の作・演出を担当する。1999年『その鉄塔に男たちはいるという』で第6回OMS戯曲賞大賞を受賞。2001年文学座に書きおろした『崩れた石垣、のぼる鮭たち』で第56回芸術祭賞優秀賞を受賞。2003年文化庁の新進芸術家留学制度で一年間ロンドンに留学。劇作と並行してテレビドラマ・映画脚本の執筆も多数、活動は多岐にわたる。

公式サイト
http://www.c-mono.com/


石塚朱莉(写真左)
いしづかあかり●1997年7月11日生まれ、千葉県出身。ニックネームはあんちゅ。NMB48チームBII。趣味は映画鑑賞。2016年夏、悪い芝居の『メロメロたち』で初舞台、初主演を果たす。2017年4月には同じく悪い芝居『罠々』に出演決定!

公式サイト
http://www.nmb48.com/

Stage

MONO「ハテノウタ」
[作・演出]土田英生
[出演]水沼健/奥村泰彦/尾方宣久/金替康博/土田英生/高橋明日香/松永渚/松原由希子/浦嶋りんこ

【大阪公演】
Pコード:455-955
ABCホール

▼3月3日(金) 19:00
一般-3500円(指定)
U-25-2000円(指定、25歳以下)
ペアチケット-6200円(当日指定、2名分)

▼3月4日(土)14:00
▼3月4日(土)19:00★
▼3月5日(日)14:00
▼3月6日(月)19:00★
▼3月7日(火)18:30
一般-4000円(指定)
U-25-2000円(指定、25歳以下)
ペアチケット-7200円(当日指定、2名分)

★=終演後、トークイベントあり。
※未就学児童は入場不可。公演当日、U-25は要身分証明書。

[問]キューカンバー
[TEL]075-525-2195

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【北九州公演】
Pコード:450-196
北九州芸術劇場 小劇場

▼3月11日(土)14:00
▼3月11日(土)18:00★
▼3月12日(日)14:00
全席指定一般-3500円
全席指定学生(小~大学生)-3000円

★=終演後、トークイベント実施
※未就学児入場不可。有料託児サービスあり、詳細はテノ.サポートまで(0120-400-829、093-882-5063/公演前日までに要申込)。高校生〔的〕チケット(1000円/高校生限定)は劇場窓口・前売のみ販売。詳細は問合先まで。

[問]北九州芸術劇場
[TEL]093-562-2655

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【三重公演】
Pコード:455-215
四日市市文化会館
第1ホール舞台特設ステージ

▼3月18日(土)14:00
▼3月19日(日)14:00
一般-3000円大学生以下-1500円

※大学生以下券は、当日要証明書提示。3歳未満は入場不可。

[問]四日市市文化まちづくり財団
[TEL]059-354-4501

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【東京公演】
Pコード:455-982
東京芸術劇場 シアターウエスト

▼3月24日(金) 19:00
指定席 一般-3700円
指定席 U-25-2000円(25歳以下対象、当日要身分証)
ペアチケット-6600円(2名分/座席指定引換券)

▼3月25日(土)14:00
▼3月25日(土)19:00★
▼3月26日(日)14:00
▼3月27日(月)19:00★
▼3月28日(火)19:00
▼3月29日(水)14:00★
指定席 一般-4200円
指定席 U-25-2000円(25歳以下対象、当日要身分証)
ペアチケット-7600円(2名分/座席指定引換券)

★=終演後、トークイベントあり。
※未就学児童は入場不可。

[問]サンライズプロモーション東京
[TEL]0570-00-3337

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石塚朱莉、悪い芝居『罠々』に出演決定!

悪い芝居vol.19『罠々』
[作・演出]山崎彬
[音楽]岡田太郎
[出演]渡邊りょう/山崎彬/野村麻衣/植田順平/中西柚貴/北岸淳生/畑中華香/長南洸生/東直輝
川人早貴/松尾佑一郎(以上、悪い芝居)

石塚朱莉(NMB48)/緒方晋(The Stone Age)

【大阪公演】
▼4月8日(土)18:00
▼4月9日(日)13:00/18:00
▼4月10日(月)19:00
▼4月12日(水)19:00
▼4月13日(木)14:00/19:00
▼4月14日(金)19:00
▼4月15日(土)13:00/18:00
▼4月16日(日)13:00
HEP HALL
※4/11(火)=休演

【東京公演】
▼4月18日(火)19:00
▼4月19日(水)19:00
▼4月20日(木)14:00/19:00
▼4月21日(金)19:00
▼4月22日(土)13:00/18:00
▼4月23日(日)13:00
東京芸術劇場シアターウエスト

[前売]
一般-3900円
U25-3000円
高校生以下-2000円

[悪友割]
一般-3500円/人
U25-2500円/人
高校生以下-1000円/人

※U25(25歳以下)・高校生以下は、要証明。
※当日券は前売料金+500円。
※悪友割 … 3人以上1組割引。事前予約のみ。枚数限定。

1月21日(土)10時~チケット先行発売開始

特設サイト
http://waruishibai.jp/wannawana

2016年7月、京都の劇団・悪い芝居の『メロメロたち』に出演し、女優として初舞台を踏んだNMB48の石塚朱莉さん。役者としての第一歩を踏み出したばかりの彼女が、さらなる高みを目指すべく、脚本家や演出家など演劇界の諸先輩方に「演劇のいろは」をお聞きします!

記念すべき第1回は京都の劇団・MONOを主宰し、劇作家・演出家・俳優として活動する土田英生さんにご登場いただきました。ひと癖ある人たちが、絶妙な間と軽快なテンポで会話を繰り広げ、笑いの中に人間の悲哀を潜ませて見せる作風で人気の土田さん。石塚さんが生まれる前から演劇をされている大先輩から、役者をするうえで大事なことを教えてもらいました!

 

ふたりの意外な共通点

石塚

初めまして!私は演劇を観るのが大好きで2016年は初舞台も経験させていただいたのですが、まだまだ分からないことばかりで…。今日はいろいろとお聞きさせてください。

土田

何でも聞いてくださいよ!

石塚

早速ですが、土田さんはどうしてお芝居をやろうと思ったんですか?

土田

僕、元々はお笑いが大好きで。だから、愛知県出身なんですけど、お笑いのイメージが強くあった関西に行こうと思って、こっちの大学に進学したんです。でもお笑いをやれる場所がなかったから大学の演劇部に入って演劇を始めて、そこから東京で役者を目指そうとして大学を辞めたんだけど、1年くらいで挫折しちゃって。友達に見送られて東京へ行ったのに、すぐ帰ってきてカッコ悪いでしょ。

石塚

そうですね(笑)。

土田

だから、「劇団作るために帰ってきたんだ!」ってハッタリで言って作ったのがMONOの最初で、21歳の頃。最初は嘘から始まったんですよ。

石塚

嘘で始めたのがこんなにも長く続いているんですね。

土田

28年になるかな。石塚さんが生きているより長いからね(笑)。

石塚

でも、私も共通する部分があります。元々、千葉県に住んでいたんですけど、私もお笑いが大好きで。特に吉本新喜劇が大好きで。

土田

一緒だ! 僕も新喜劇が大好きだった。

石塚

なので、大阪で活動しているNMB48というグループに入りたいと思って、オーディションを受けたんです。

土田

東京じゃなくて大阪でと思ったんだ。

石塚

だから、そこは共通するなと思いました。

土田

うんうん。そこだけね(笑)。でも最初の動機が一番肝心だもんね。

 

人の気持ちと自分の意思

石塚

私、普通に生活している中で、どういうことを感じながら生活したらいいのかな?って思っているんです。すごく引きこもりで、ずっと天井見たりして1日が終わってしまうこともよくあるんですよ。普段からどういうことを考えながら生きていけば、お芝居の幅とか考えが広がるのかなって。

土田

でもその天井を見ることって、すごく大事だと思うんだよね。お芝居だけじゃなくて、歌でも何でも、表現するってことじゃない。

石塚

そうですね。

土田

もちろん、お客さんが喜ぶことをやろうという気持ちは大事だと思う。それは僕にもあるんだけど、お客さんの期待に沿ったことだけをやるのでは、あまり人の心を動かさないと僕は思うんですよ。実はどんな人も無理をしていて、例えば「友達は大事」って常識でしょ。そんな中で自分が「友達いらんよね」って言い出したら、「何言ってんの?」って思われるでしょ。

石塚

なりますね。

土田

そうすると、もうそれが言えなくなる。だから、普段の生活では「友達大事だよね」って周りに合わせていけばいいと思うんだけど、「本当にそうかな?」って自分で感じることがすごく大事だと思う。

石塚

自分の意思を大事にするということですね。

土田

そう。天井を見ながら「人と会いたくない」とか、「実は友達いらんと思っているのかもな」とか、いろんなことを考えてみる。一人のときはそう考えて、みんなといるときはちょっと合わせてみる。どっちかを消そうとすると、何でもない人になっちゃうと思うから。天井を見てボーッとすることで、みんなと違うものが見えてるのかもしれない。

石塚

あ~、なるほど。

土田

人の気持ちも理解しつつ自分が見た景色も大事にする。お芝居って、そういうところで人の心に触れると思うから。単純なことを言ったり一般的にいいということだけをやっていては心を揺さぶらないけど、「あ、私もそうなのかもな」って思うのが表現の力だから、それでいいんじゃないかな。だから結論は、これからも天井を見ていこう!ってことかな。

石塚

そうですね。それぞれの考え方にもズレがありますもんね。人の考えも、自分の考えも大事にしていきます。

 

お芝居の呼吸の仕方

石塚

私、DVDで『ぶた草の庭』(2015年上演)を観させていただいたんです。土田さんの舞台では、何気ない日常の中で会話のやり取りが続くと思うんですけど、例えば、私と土田さんがこうやって会話しているのと、お芝居で見せる日常って違うじゃないですか。そこは何をどう意識したらいいのかなって。

土田

それは演出家さんによっても変わってくると思うんだよね。僕の場合は、まずこの普通の会話をちゃんとすることから始まるんだけど、それをただ舞台でやるだけじゃお芝居にならないというか、面白くないなと思う。そこで一つ大げさにするといいのは、呼吸。例えば驚くときに「はっ!」って大きく息を吸ってみる。その呼吸を日常よりも少しきちんとして会話をするだけで、観ている人にも感情が伝わるからね。それとか「なんでやねん」って突っ込むときって、息を吐いているでしょ。

石塚

吐いてますね。

土田

例えばお客さんが「え!」って驚いて息を吸った後に、「いや、なんでやねん」ってなると、力が抜けて笑いが起きる。だから舞台上では、その息の仕方を日常会話よりもハッキリしていくことを意識した方がいいと思う。そうすると、普通に喋っているように見えて、お客さんも楽しめる日常会話が作れるんじゃないかな。

石塚

舞台の表現ってすごく繊細ですもんね。

土田

そうだね、呼吸をちょっとでも間違うと終わりなので。僕らは特に、あまり大声を出すお芝居じゃないから。でも次の一言で笑いが起きるっていうときに、お客さんがちょうど咳払いをしてウケない日があったりするけど(笑)。

石塚

お客さんの環境によっても変わりますもんね。

土田

僕ら28年もやってるからお客さんの年齢も上がってきていて、最近咳払いが多い(笑)。あと、喋る人も増えてきた。

石塚

え!喋るんですか !?

土田

「あいつ死んだよ」っていうセリフの後で「うそ~!」って言ったり、「大丈夫!大丈夫!」とか。いやいや、お芝居やから!って(笑)。

 

MONO新作『ハテノウタ』

石塚

3月に上演される『ハテノウタ』のあらすじを読ませていただいたんです。『ぶた草の庭』もそうだったんですが、お芝居の設定が、地獄の中で天国を見るというか…。

土田

ものすごく絶望的な状況の中で希望がある、ということですか?

石塚

そう、そうです!

土田

そういう感じです、毎回。

石塚

それは土田さんの中でそういう思いがあるからですか? 人生絶望だらけだ、みたいな。

土田

似てるからかなぁ…初対面なのに見抜かれた感じがする(笑)。僕は割といつも世界が灰色に見えていて、あんまり幸せじゃないんです。ただ幸せなことって、すごく小さいところにあるでしょ。例えばニュースを観ていても、人と喋っていても落ち込むことが多いんだけど、お風呂に入った瞬間とかは気持ちいい、とか。

石塚

そうですね。

土田

あと、明治のミルクチョコレートがすごく好きで、あの板チョコと素焼きアーモンドを交互に食べるのが至福の時間なの。だから、どんな嫌なことがあっても、そういう小さな幸せを頼りに生きていこうっていつも思うんだよね。だからお芝居でもいつも絶望的な状況を書くけど、嫌なことばかりじゃないよねという思いで書いています。

石塚

小さな幸せって持続性がありますよね。次の作品もそういうことが描かれているんですか?

土田

そうだね。『ハテノウタ』はみんな100歳という設定なんだけど、若返りの薬を飲んでいるから見た目は若くて。死を身近に感じながら、楽しく歌って暮らすという話。実際に長寿遺伝子に作用して、長生きできるっていう若返る薬があるらしいよ。

石塚

そうなんですか!

土田

それと同時に、顔とかも若返る。まだ今はそこまでじゃないけど、お芝居だからそういう効き目のある薬が一般的になっている設定にしていて。例えば石塚さんが今から薬を飲み始めると、60歳になってもそのままの顔っていう。飲まない人は老けていくし、飲んでいる人は若いまま100歳になっちゃう。元々、24歳から50歳くらいまでの役者が全員同級生という設定にしたら面白いかなと思ったんです。

後編に続く。後編は1月末更新予定です。

 

取材:石塚朱莉(NMB48)
撮影:奥田晃介(松鹿舎)
文:黒石悦子
企画:葛原孝幸
企画・構成:岩本和子
取材協力:キューカンバー


 

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