ホーム > 劇団 石塚朱莉 > 番外編 「劇団アカズノマ×劇団壱劇屋」特別座談会
石塚朱莉(写真左)
いしづかあかり●1997年7月11日生まれ、千葉県出身。ニックネームはあんちゅ。NMB48チームBII。趣味は映画鑑賞。2016年夏、悪い芝居の『メロメロたち』で初舞台、初主演を果たし、2017年4月、悪い芝居『罠々』に出演。9月、劇団アカズノマを旗揚げ。2018年4月、柿喰う客の七味まゆ味を演出に迎えて、同劇団の人気作『露出狂』をABCホールにて上演する。
NMB48公式サイト
http://www.nmb48.com/
七味まゆ味(写真右)
しちみまゆみ●12月3日生まれ、神奈川県出身。劇団柿喰う客・副代表。2004年、『サバンナの掟』より柿喰う客に参加。2006年、柿喰う客の劇団化とともにメンバーに。以降、ほぼ全ての公演に出演。柿喰う客の国内ツアーや海外公演に積極的に参加する一方、蜷川幸雄、野田秀樹などの舞台にも出演。主役、脇役、飛び道具、老若男女に化け物から宇宙人まで、舞台上で七色の魅力を放つトリックスター。中性的なコケティッシュさ、しなやかさ、その声音で自由自在に演じわけ、繊細な芝居にも定評があり、客演も多い。自身が主宰するユニット「七味の一味」でも活躍。劇団アカズノマ旗揚げ公演『露出狂』演出・出演。
柿喰う客公式サイト
http://kaki-kuu-kyaku.com
七味の一味
https://ameblo.jp/shichimi-info/
久代梨奈(写真左)
くしろりな●1月29日生まれ、大阪府出身。2011年、NMB48第3期生オーディションに合格。チームBⅡキャプテン。2017年8月に竹村作・演出・殺陣の壱劇屋5ヵ月連続公演『五彩の神楽』「憫笑姫-Binshouki-」に初出演。2018年4月上演の壱劇屋ワードレス×殺陣芝居『二ツ巴』に同じくNMB48の谷川愛梨とW主演を果たす。
NMB48公式サイト
http://www.nmb48.com/
竹村晋太郎(写真右)
たけむらしんたろう●1987年3月9日生まれ、大阪府出身。ジャパンアクションクラブ出身。劇団壱劇屋に所属し、DANCE COMPLEX2008審査員特別賞受賞、第13回公演『ブラックスペース』でロクソドンタフェスティバル2010優秀賞受賞など、受賞歴多数。
劇団壱劇屋公式サイト
http://ichigekiyaoffice.wixsite.com/
ichigekiya
劇団アカズノマ『露出狂』
チケット発売中 Pコード:483-355
▼4月12日(木) 15:00/19:00
▼4月13日(金) 19:00
▼4月14日(土) 13:00/18:00
▼4月15日(日) 12:00/16:00
ABCホール
全席指定-4000円
学生-3000円(引換券/公演当日要学生証)
[作]中屋敷法仁
[演出]七味まゆ味
[出演]石塚朱莉/あがぺる/あだちせり/古賀成美/新名希弥/高安智美/長尾友里花/中村るみ/水川華奈/山本奈臣実/るりこ/深谷由梨香/兵頭祐香/七味まゆ味
※岡田あがさの出演は体調不良により深谷由梨香と変更になりました。チケットはそのまま有効。公演内容に関する詳細はinfo@akazunoma.meまで。
劇団壱劇屋10周年記念公演
『二ツ巴-Futatsudomoe-』
チケット発売中 Pコード:483-724
▼4月6日(金) 15:00/20:00
▼4月7日(土) 15:00/20:00
▼4月8日(日) 13:00/17:00
ABCホール
一般-4000円(指定席)
学生-3000円(指定席、要学生証提示)
[作][演出]竹村晋太朗
[出演]久代梨奈/谷川愛梨/赤星マサノリ/他
※未就学児童は入場不可。
【お問合せ】劇団壱劇屋 ichigekiya_office@yahoo.co.jp
2016年に京都の劇団・悪い芝居の『メロメロたち』で初舞台を踏み、2017年に上演された同劇団の『罠々』でも稀有な存在感で魅せたNMB48の石塚朱莉さん。同年9月には、演劇の魅力を広く伝えるべく、自ら劇団アカズノマを旗揚げ。そんな石塚さんが、舞台女優としてさらなる高みを目指すべく、脚本家、演出家、俳優として活躍している演劇界の諸先輩方に「演劇のいろは」をお聞きします!
今回は“番外編”と題して、特別座談会を実施しました。ご登場いただいたのは、劇団アカズノマ旗揚げ公演『露出狂』で演出を担う七味まゆ味さん、ワードレス×殺陣芝居『二ツ巴』の作・演出を務める壱劇屋の竹村晋太朗さん、そして同作に主演するNMB48の久代梨奈さんです。石塚さんは座談会ではMCも担当。石塚さんの悩み相談の場になりつつ、俳優、演出家、アイドル…とそれぞれの立場から交わした演劇トークをお楽しみください!
私、どうですか?
石塚朱莉
(以下、石塚)
今回は特別座談会ということで集まっていただきました。七味さんは劇団壱劇屋の東京公演の日替わりゲストで登場されたというつながりもあります。りなっち(久代梨奈)とは初めましてですよね?
七味まゆ味
(以下、七味)
七味まゆ味です。柿喰う客という劇団の女優で、去年から七味の一味というユニットも主宰していて演出活動もしています。よろしくお願いします。
久代梨奈
(以下、久代)
初めまして! あんちゅ(石塚朱莉)と同じNMB48に所属しております久代梨奈です。よろしくお願いします!
石塚
今日はいろんなことをお聞きしようと思っているのですが、まず、どうですか…? 私、変わりましたかね?
竹村晋太朗
(以下、竹村)
私(笑)!? イメージはあんまり変わってないよね。
石塚
演劇は難しくてなかなかできていないと思うのですが、普段の劇場公演では、竹村さんや七味さんから教わったことをアウトプットしてやっていこうと思っていて…。
七味
ちなみに、竹村さんから教わったこととは?
石塚
お芝居とか、アイドルとか関係なく、舞台は全部一緒だよ、と教えてもらいました。だから難しく考えないでいいんだよって。壱劇屋の『憫笑姫-Binshouki-』で言うと、りなっちが演じていたような、頑張って戦う真っ直ぐな女の子とかをイメージしながらやっているんですけど、難しい(笑)。
七味
アカズノマの『露出狂』は、NMB48から古賀成美ちゃんも出演してくれるんだけど、彼女もお芝居は初めてなんだよね。緊張していると思うけど、竹村さんが言ってくださったように、ステージ上はショーもお芝居もダンスも一緒だからっていうことを伝えて、楽しんでもらえたらなって思いますね。楽しんで舞台に立っていないと、そこがお客さんに伝わるから。
石塚
楽しいにたどり着くまでが、めっちゃしんどいなって思うんです。
七味
真面目やもんなぁ。
竹村
真面目そうじゃないふりして、めっちゃ真面目やなって思います。
石塚
それ、いろんな人に言われます。…なんか、泣きそうになっちゃった(笑)。意外と真面目なんだねとか、目の奥が暗いねって言われることがあって…。それは演劇ではよくないじゃないですか。楽しんでやるものだし、暗くなっちゃダメだなと思ったんですけど…(泣)。
竹村
ちょっと座談会、止めましょか(笑)。
石塚
(笑)、すみません。りなっちは竹村さんと信頼関係も築けていると思うんですけど、新しい演出家さんとやっていくにはどうしたらいいのかなって。りなっちも今後、女優として生きていくのだったら、役に立つかなと思ってこの質問を用意してきました。
七味
あんちゅは真面目だけど、飛び込んでいく姿勢があると思うし、劇団石塚朱莉でもいろんな人と話してみようって、姿勢はオープンだから「何も分からない私ですけど、ぜひ教えてください」という気持ちそのままでいるのが一番いいと私は思いますよ。
愛するということ
石塚
すべての演劇作品で思うことは、結局は愛なんだなと。でも、その愛が分かんなくて…。自分が演じるキャラクターも愛さなきゃいけないし、対になるキャラクターも愛さないといけない。愛し方が分からなくて。
久代
稽古してたら自然と好きにならへん?
石塚
自分のキャラクターはもちろん好きになるし、周りのキャラクターも好きになって、作品ももちろん愛しているんですけど、自分が作品の中に入っていった時の愛が分からないんです。ゆがんだ愛、真っ直ぐな愛、家族への愛とかあるんですけど、それが分からなくて。
七味
今まで出た悪い芝居の2作品も、突き詰めればシンプルなのかもしれないけど、一筋縄ではいかない作品だと思うんです。でも、もっとシンプルな、単純なコメディとかやったら、着地点とか分かるかもしれない。
石塚
なるほど…。普通に向き合って、普通に状況を把握して…。
七味
うん。で、何か気付いたら、「ああ、めっちゃ深く愛しているのかも、私」って思うかも。本当はすごく深く愛しているんだけど、「ああ、めっちゃ好き!」ってならないから、これは愛してないんじゃないかなって思うのかもしれない。けど、周りからはちゃんと愛しているように見えているんじゃないですかね。
石塚
お芝居って何が正解で、何が間違っていて、どう向き合っていけばいいか…。連載でいろんな方にお話を聞いてきた中で、皆さん「お芝居に正解はないよ」っておっしゃるんですけど、それでも、人それぞれ違う中で、本当に分からないです。
あんちゅの将来は…?
七味
連載で対談している方はあんちゅより年上の方が多いじゃない? だから、あと20年ぐらいしたらあんちゅなりの答えが出るんじゃない?
石塚
そうなのかな…。台本の読み方も分からなくて。普通に小説を読んでいるみたい、「ああ、楽しかった」って読んで、あとはセリフを覚えるって感じなんですけど、それから、どういうふうにやったらいいんですかね…?
久代
気になる! いつも背景をいただいていて、こういう話の流れっていうのは分かるんですけど、実際にセリフを覚えることが今までにないので…。
石塚
最初は普通に面白いなぁって思っているんですけど、「ここでどう見せよう」って考えちゃうんです。そんな、最後にやればいいことばっかり思いついちゃって。先にキャラクター作りでしょって自分でも思うんですけど、ここであぁ見せて、こう見せてって…。
七味
あんちゅは今、女優さんだけど、そういうアイデアが浮かぶんだったら、プロデュースとか演出もやったらいいんじゃない?
石塚
無理です無理です! でも、アイドルの演出はやってみたいって思います。アイドルステージの演出だったら自分でもできるんじゃないかなって思って。
七味
振付とかの演出も?
石塚
それもやりたいです。
七味
お芝居と同じだよね。
竹村
うん。5年後には演出してそうな(笑)。
石塚
無理無理無理無理!
竹村
年を重ねたらやりたくなるかもよ。大枠を見るのっていうのは、演出家と似てる気がする。
本番前のルーティーン
石塚
あの、ステージとか本番前にやっていることってありますか?
竹村
俺はゲネプロでやったことを絶対やってます。ゲネプロでお茶を飲んだら、本番でも同じタイミングで飲んで。モニター見たら、同じタイミングでモニター見たりとか。
七味
え~、忘れちゃうでしょう、絶対(笑)。
竹村
それが割と覚えていて。このタイミングでこの人が通るとかも覚えているんです。だから、通らなかったら異変を感じる(笑)。一度、それをやってしまった公演があって。それをやったせいで次もそれやらないと失敗するんじゃないかと思って。
七味
あ~、めっちゃ縛られてるやん!
竹村
縛られてる(笑)。
石塚
初めて聞きました! そのルーティーン。 じゃあ…次の『二ツ巴』のゲネプロの日にアカズノマから変な差し入れしますね! 七味さんはどうですか?
七味
ルーティーンとか全くないんですよ。いろんなことがのろくて、すぐギリギリになっちゃう。「今日は2時間前に入った、ゆっくりメイクしよ!」って思っても、今度はゆっくりやりすぎちゃってギリギリになっちゃう。
久代
あ~、分かる。同じや~。あの、初めて壱劇屋に出たときにびっくりしたことがあるんです。私たちはいつも15分前に円陣を組むので、それまでに着替えているんですけど、壱劇屋の皆さんは、ギリギリまでのんびりしていて…。
石塚
確かに、演劇をされている方ってスタンバイがギリギリですよね? 私たちは出番よりも何シーンも前に扉の前で待つとか、何曲前に用意するというルールがあるんです。
久代
あと、公演の合間にステージ上で寝ているのが一番ビックリしたんです(笑)。ステージで寝るなんて、めちゃくちゃ怒られる。
石塚
神聖な場所とされているので。
久代
『憫笑姫-Binshouki-』の時は緊張して寝れなかったのですが、『二ツ巴』の時は公演の合間にセンターで寝てみたいなって(笑)。
七味
普通できないことしてみたいよね。
石塚
確かに(笑)!
『二ツ巴』と『アカズノマ』
石塚
壱劇屋さんは間もなく『二ツ巴』がありますね。
竹村
はい。プロジェクションマッピングとかある時代に、超絶アナログでいろんなことをしています。これが演劇だと思いながら、ひたすら人力で、いろんなものを動かしながらやっているので。オープニングも人力が多用されています。
久代
いや~、あれは感動しますよ~!
竹村
りなっちは谷川愛梨ちゃんとオープニングで舞台上にいるんですけど、いろんな人が走り回ってセットを動かしているので、そこは見応えがあると思います。あとはひたすら殺陣。ぜひそこを見てもらえたらと思います。
久代
前回の経験を生かしたいと思ってます。あの……竹村さんにお聞きしたいんですけど、なぜ、私を選んでくださったんですか?
竹村
いつも言うんですけど、頑張っている人が好きなんですよ。あと、アクションが好きな人が好きで。それで言うと、りなっちはいいよね。めっちゃ頑張るやん!って思う時があります。頑張っている人が幸せになれば世界平和にもなるんじゃないかって(笑)。そんなしょうもないことを考えているので、それかな(笑)。
久代
そうなんですね…! 今回、主演をやらせていただくので、殺陣も前回よりレベルアップした私を見せられたらいいなと思います。谷川愛梨ちゃんとのW主演ですが、自分の中ですごいプライドがあって(笑)、負けたくないんですよ。前回出ているっていうプライドがすごいあるので、負けず嫌いのところもガンガンに出していけたらなって思います。
石塚
そうなんや~、楽しみー! 私がいつも演劇に対して思っているのは、舞台を観た次の日がもっと明るいものになればというのがあるので、そこを目指して頑張りたいと思います!
七味
あんちゅの熱い思いで始まった劇団アカズノマで、しかも1作目に選んでくれたのが『露出狂』なので、その思いを受け取り、これからどうしていこうかなっていう段階ですね。私は、演出家としては稽古をやりながら一緒に作っていくタイプなので、みんなに迷惑をかけないように、いいものを作っていきたいと思います。
竹村
アカズノマは関西小劇場に突発的にすごいものが出てきた感があって。あんちゅもすごいし、それを動かした演劇人たちによくやった!って思って、それが純粋にうれしいですね。僕らも負けじとやっていきたい。たぶん、5年後にあんちゅは演出しているので(笑)。
石塚
無理です無理です!
七味
アカズノマの旗揚げであんちゅも一演劇人の仲間入りというか、元々それがあったのでしょうけど、いよいよ演劇人として対等に話ができるなと。あんちゅの熱い気持ちがあったからこその今なので、当然の流れなのかなって思うけど、関西でもあんちゅの動きは注目されているんですね。頑張ろう!
久代
私もあんちゅからすごく刺激を受けています。同じチームで、同期なんですけど、私にはできないようなことをたくさんしていて。初めて出た舞台を観たとき、今までと違うあんちゅで「ああ、舞台女優の石塚朱莉がいるんだ」と思ったんです。そうやって一人の女優として新しい道を開いて、輝いているなと思いました。
石塚
そんな……泣いちゃうよー!! 早く立派な演劇人になれるように、共演の女優さんからいっぱい盗めるものを盗んで、私もアイドルとしての6年間の経験をお見せすることができたらと思います。それでより演劇界も、アイドル界も盛り上がればいいなと思います。……もう、やるしかない。私は演劇が大好きで、語れるほどではないですけど、日本の演劇はすごいんだぞってことを広められたらなと思います!
取材:石塚朱莉(NMB48)
撮影:森 好弘
企画:葛原孝幸
構成:黒石悦子
文:岩本和子