イギリス七日目

とうとうNight Flowersとのライブツアーも終わってしまった。昨日は疲れてダンスを楽しむ力もライブの余韻に浸る暇もなく眠ってしまったけれど、今朝目が覚めて改めて実感する。今日はみんなとお別れをして、ロンドンへ帰る日。寂しい。

ホテルをチェックアウトして、Night Flowersのみんなと食事をするため、ヒラリーが運転するヴァンで港の方へ向かう。みんなが来るまで少し時間があったので、辺りを散策。港にはたくさんのクルーザーや可愛い船が停まっていた。海だと思っていたところは、ハンバー川というとても大きな川だった。地元の人なのか、観光客なのか、とにかく可愛い犬と散歩している人が多くて、ぽんちゃんと私とヒラリーは大興奮！　みんな人懐っこくて、どの子もものすごく愛されてるのがわかった。（ビールも犬が好きみたいで、見かけると「ほら、来たよ！」と声をかけてくれた。）川沿いにはアパートやレストランがいくつもあった。店先の排気口からモクモクと出てくる煙はなんだか美味しいそうな匂いがする。アパートの窓から見える照明がどれも可愛くてついつい覗いてしまう。少し歩いた先にジェラート屋さんがあって、福富さんは一目散に駆け寄ったと思ったらべリー味？のアイスクリームを買っていた。

お店の方に戻ると、ちょうどNight Flowersの大きな赤いヴァンが到着していた。遅めのブレックファーストは港のすぐそばにあるTHIEVING HARRY’Sというお店。たくさんの人で賑わっていた。（グッズがとっても可愛くてみんなロンTやスウェットを買っていた。）二階席の丸いテーブル二つをみんなで囲う。グレッグとフレッドが丁寧にメニューを説明してくれた。注文をして、料理が届くまでしばし歓談。ツアーの間も何度か一緒に食事をしたけど、出番前や移動中のSAでいつも急ぎ足だったので、こうしてゆっくりと食事をしながら話せるのが嬉しい。他愛もない話や冗談もなんとなくわかるようになってきた。福富さんのコントショーにもいつも楽しそうに付き合ってくれる。（今日は料理が待ちきれず、iPhoneに表示させたフィッシュ&チップスの画像を机に置いてフォークとナイフでつついてた。）ほなちゃんはフレッドのヒゲが触りたくてそれを伝えたら、少し恥ずかしそうにしながら「いいよ」と言ってくれた。彼はいつも穏やかで優しい。みんなで少しずつ交換しながら食べた料理はどれも本当に美味しかった。

食事を終えて、別れを惜しむように少し遠回りしながら歩いてヴァンへ戻る。ゼブはいつもオシャレで、今日は黒いジャケットにハット、履き潰したマーチンがかっこいい。Night Flowersの5人がふと揃うと、どこに居ても絵になる。（今のアーティスト写真はハルのこの港で撮ったらしい！）みんなで大砲のオブジェに跨って集合写真を撮った。途中のSAで落ち合う約束をして、それぞれのヴァンでロンドンへ出発した。

待ち合わせたSAは軽い休憩だと思っていたら、ここでお別れすることになった。一人ずつ最後のハグを交わして、またすぐに会おうね！と言い合った。ハグをするとぐっと寂しさがこみ上げてきて、泣いてしまいそうになるのを堪えるのが大変だった。この旅で気付いたことといえば、ハグや握手というコミュニケーションがすごく大事だということ。そして英語では誰にでもフラットに話せるということ。赤いヴァンの前に並んで、ほんとのほんとに最後の集合写真を撮って、“ジャケットポテト！”の合言葉で旅は締めくくられた。

始まった当初はどんなに過酷な旅になるだろうと不安だったけれど、毎日が本当に楽しくてあっという間に時間が過ぎていった。

Night Flowersのみんなやヒラリーにジョシュがいてくれたおかげで、ツアーで訪れた街や出会った人達のことが大好きになった。本当にありがとう！　またね！　Hull Downを聴くたびに、この旅のことを思い出せる。

text by 石田成美