イギリス六日目

9時に起きて朝の支度。とても晴れていたけど窓の汚れが白く光ってあまり外が見えなかった。昨日着いたばかりのときは遠くまで綺麗に見えて、奥には茶色い海が広がっていた。カーディフはカモメがいっぱいいる街。昨日の会場だったThe Moonからの帰り道も大きなカモメが歩いていて、ぽんちゃんは後ろをついて歩いていた。カーディフ城へ行けなかったことが心残り。

途中サービスエリアで休憩。何か見たことのあるお店の配置だなと思っていたら、ロンドンからバーミンガムへ向かうときに寄ったサービスエリアだった。何を食べるか迷って結局バーガーキングにした。バーガーキングやKFCなどのファストフード店は、お店の手前に大きな画面の端末が四つぐらい置いてあって、そこで注文してカードで支払いする仕組み。支払いが終わったらレシートに書かれた番号が呼ばれるのを待つ。効率的。

1回目にこのサービスエリアに寄ったときに、WHSmithで売っていたハリネズミのアームウォーマーを妹に買って帰るか一瞬悩んで、でもかさばるしなあと思ってやめたけれど、そのことを妹にLINEで伝えたら残念がっていた。奇跡的にまた寄ることがあったら買って帰ると言ってしまったので、結局買うはめになった！お店のお兄さんにショッピングバッグをくださいと言ったらちっちゃいのしかなくて、半笑いで無理やり詰め込んでくれた。ソファイアはM&Sで買ったスシを食べていた(最後に残っていたスシにはマンゴーが入っていた！)。味はどうかと聞くと「半分良くて半分ダメね」と言っていた(ストレンジとも)。

外に出たらソファイアがかばんから縄を取り出して縄跳びをしだした！とみさんが「日本では小学生のときに軍隊のように二重跳びを習得させられる」と言っていた。みんなで縄跳びを楽しんでからもう一度車に乗る。

モーターウェイを走る車内から見える景色は日本とは全然違っていて、大きな木が生い茂った林や遠くのほうまでよく見えるひらけた原っぱとか、たまに牛や羊が放牧されているのが見えたりして、とてものどか。たまにNight Flowersが乗っている赤いバンがクラクションを鳴らしてから追い越してきて、手を振り合ったりするのが楽しい。みんなお茶目で優しくて可愛い。大好き。こちらに来て5日目だけれど、日本のことが恋しくなるよりも、帰る日のことを考えて寂しくなっている。

移動中の車の中では寝るか、外の景色を眺めるか、この旅のことを記録している。車内BGMはラジオ。当たり前だけれどずっと英語で流れているラジオは、単語をぽろぽろ拾うレベルでしか聞き取れないのでついうとうとしてしまうけどそれが心地よい。今日は天気もよくて車内もあったかいからなおさら。英語をちゃんと理解できるようになりたい。Night Flowersのみんなやライブハウスで声をかけてくれるお客さんと話している時も、何となく大まかにはニュアンスでわかるけれど本当に少しだけ。せっかく思いを伝えてくれているのに、受け取る側の私が全然理解できていないのがすごく悔しい。帰国したら本気で英語の勉強をしようと思う。

ハルはレンガ造りの古い建物がたくさん並んでいて素敵な街。曇っている天気さえもイギリスっぽくていいなと思うぐらい。今日の会場の The Polar Bearも重要文化財的な建物らしく、ビクトリア様式で最高にクール！　中には大きな白くまが立っていた(Night FlowersがグッズのTシャツを白くまにかけていて可愛かった)。ドラムのゼブが置いてあったピアノを弾いていて(すごく上手！)、とみさんも負けじと弾いて(トイストーリーの“You've Got a Friend in Me”をみんなで熱唱したり)最後には二人で連弾していた。

Night Flowersのリハ中に少しだけ4人で街を散策。いろんな国の料理屋さんが並んでいて、外は寒いのにテラスでみんなお酒を飲んでいた。おばあちゃんがやっているヴィンテージショップ(服とかアクセサリーとか雑貨がごちゃ混ぜに置いてあった)や古着ではない普通の服屋さんもあって少し立ち寄った。

戻ってリハ。リハのときにベースのフレッドがいつも準備を手伝ってくれたり様子を見てくれていて、終ったあとには「大丈夫だった？」と気にかけてくれる。本当に優しくてとても紳士的！　PAのマットも親切でフレンドリー。とてもスムーズにリハができた。

リハが終わってからNight Flowersのみんなと一緒に近所のCRISP 'N' FRYというお店へ。お店は家族経営？のようで、内装とか制服とか袋とか全部可愛かった！　おまけでセブンアップとペプシの2リットルのペットボトルまでくれた！　11個のフィッシュ&チップスをオーダーして、出来上がるまでみんなで談笑している時間が楽しい。私とぽんちゃんはMash peas(豆をつぶしたソース)、とみさんとなるちゃんはガーリックマヨを頼んだ。そして、なんとNight Flowersのみんながおごってくれた(今度Night Flowersが日本へ来たときには美味しいお寿司をご馳走したい)！　最後に写真を撮ってもいいか聞くとみんな並んで快く撮らせてくれた(フィルムカメラで撮ったので現像をお楽しみに)。持ち帰ってみんなで暗闇の中フィッシュ&チップスをがつがつと食べる。写真写りはあんまりだけど、揚げたてのフィッシュ&チップスは本当に美味しかった！　ギターのビールがパティ？(ポテトを揚げたコロッケのような料理)やソーセージのフライ、ビーフバーガー(ハンバーガーに入ってるようなお肉を揚げたもの)もすすめてくれて、それも美味しかった。

ハルはグレッグとゼブと元ギターのクリスの地元で、みんなの家族がライブを見に来ている感じがすごくグッときた。グレッグのお母さんが「うちの部屋も空いてるから泊まりに来てね」と言ってくれた。みんなとてもチャーミングで優しい人たち。

1バンド目のJoe Ruseell-Brown(ソロ？)はめっちゃかっこよくて、とみさんが「来日していてもおかしくない」と言ってとても興奮していた。個人的にドラムの子がめちゃくちゃかっこよくてずっと見てた。

Joe Ruseell-Brown

次は私たちの出番。UKでの最後のライブだと思うととても悲しくなった。でもNight Flowersがライブを盛り上げてくれて、お客さんも楽しんでくれているのがわかって、私たちもリラックスして楽しく演奏できた。みんなの地元ハルでライブができているんだという気持ちを噛み締めながら演奏していた。

Homecomings

そしてNight Flowersのライブ。今回こちらでライブを見られるのは最後なんだと思いながら食い入るように見る。Night Flowersはやっぱりすごいかっこよくて、ぐっときて、少し泣きそうになった。最後に元ギターのクリスがステージに上がってみんなで演奏していたのは本当に感動的だった！

Night Flowers

Night Flowers and CHRIS

こちらに来る前は5カ所で移動しながらライブなんてとてもハードで大変だろうなと思っていたけど、本当にあっという間だった。Night Flowersのみんなや運転をしてくれているジョシュとヒラリーのおかげで、移動は快適でとても楽しいUKツアーになった。Night Flowersが誘ってくれなかったらこのUKツアーも実現しなかったし、本当に感謝している。このUKツアーでさらにみんなのことが大好きになった！　明日でお別れだなんて悲しすぎる…。

text by 福田穂那美