ホーム > NEWS > 日本の伝統文化に触れ、 観客参加でも楽しむ『五節句の会』京都へ
人間国宝の大倉源次郎(能楽小鼓方 大倉流十六世宗家)が立ち上げた『五節句の会』。昨年の大阪・関西万博で"伝統文化未来共創Project"に参画後、さまざまなゲストと共に上演を重ねてきた。第六回の今回は"星まつりと住吉の神"と題し、人間国宝で京舞の五世井上八千代と住吉大社の小出英詞禰宜(ねぎ)を迎えて開催する。公演日は旧暦で"重陽の節句"の前日。会場は、常時営業する能楽堂として京都最古の木造建築の能舞台を持つ大江能楽堂で初開催だ。「ここで改めて日本文化の原点を皆さんも一緒に感じていただきたい」と言う源次郎が、その内容と『五節句の会』への熱い思いを語った。
プログラムの第一部、源次郎の独鼓『天鼓』は、五節句のひとつ、七夕に所縁(ゆかり)のある曲で、謡(うたい)は喜多流能楽師の高林昌司。次に井上が自ら選曲した京舞『菊』を舞う。健康長寿を祈る菊の節句とも言われる"重陽の節句"にちなんだ。「『菊』は、なんやろな~と思ってる間に済むような曲ですが、このなんとも言えないめでたさみたいなものが、日本の文化の中にはたくさんあるんやないかなと、年を重ねて思っております次第でございます」と古希を迎える井上がビデオレターで取材会に参加した。源次郎は「今回の『五節句の会』は、これが見どころ聴きどころです」と語る。
第二部は、井上、小出、源次郎による鼎談(ていだん)。小出が禰宜を勤める住吉大社は、航海安全の神様で有名だが和歌の神としても親しまれ、芸能ともゆかりが深い。「"重陽の節句"にならい、舞台でともに季節の移り替わりを五感で楽しみ、豊かな日々を一緒にお祝いしたいと思います」と小出はコメントを寄せた。「今、五節句の時期にはコンビニでもコーナーができます。文化に基づいた経済は、こうやって消えることなく私たちの生活の中で育まれている証拠。現代の経済社会に対するアプローチが、伝統文化を通してできるのではと考えています」。3人で語るテーマは、伝統文化の見直しになりそうだ。
そして第三部では毎回披露している『能楽 五人囃子』。「五人囃子の笛太鼓を繰り返しやることで、皆さんの心の中に定着していくように」。観客参加型コーナーも用意されている。「"高砂"の待謡(まちうたい)を全員で謡っていただきます」。"高砂や この浦舟に帆を挙げて"で始まる、古くから結婚式で謡われてきた曲は、聞いたことがある人も多いだろう。住吉明神も登場する、夫婦愛と幸せを届ける能の祝言曲"高砂"。歌詞は先に手渡される。
また「エア鼓で、お囃子を囃す楽しさを体験していただくようにしています」。エア鼓の演奏は、源次郎が「500人のマンモス校に能の体験授業に行った時に編み出しました。その前日にたまたま見たテレビのニュースで、日本人がアメリカでエアギターのグランプリで優勝したと。これや! と思って学校でやったら、めちゃくちゃウケて(笑)。それ以来、ニューヨークやパリ、インドでもやりました」。このエア鼓を前回の『五節句の会』で体験した。まず、左手でグーを作る。右手をパーにしてその下に。それを右肩に上げる。右手を下ろして打ち上げる。「よぉ~」と掛け声も一緒に。源次郎は教えながら舞台で実際に鼓を打つ。客席の全員が戸惑いながらも真似ていた。繰り返すうち、だんだん形ができてくるのが自分でもわかって楽しくなる。会場にみんなの笑顔が広がった。「謡ったり、囃したりすることの原初的なおもしろさを伝えたくて続けています。西洋音楽の教育が主体の今、体の中から起こってくるリズムや、十人十色の音から一番いい音を作っていくという、違う価値観のベースがあることを少しでも五人囃子の笛太鼓を通して聞いていただきたいと思って」これからも地道な努力を「草の根運動のように」続けていくと話す。
「『五節句の会』って、伝統回帰、古めかしいものと思われるかもしれませんが、その伝統の中に新しいものが見え隠れしているのを、よりリアルに、クリアに、示していきたいです。今一度、改めて世界に発信する日本の文化とは何かということを明確にするために。日本の伝統文化の世界を見直していただくという意味で、この『五節句の会』をこれからも大切に続けていきますので、ぜひ応援していただけるとありがたいと思っております」。
取材・文/高橋晴代
(2026年10月15日更新)
【一部】独鼓「天鼓」 京舞「菊」
【二部】鼎談
【三部】能楽 五人囃子
チケット発売中 Pコード:544-260
▼10月18日(日)14:00
大江能楽堂
正面椅子 SS席-10000円(指定) 正面・ワキ椅子-7000円(指定) 座布団桟敷-5000円(指定) 2階 正面学生席-3000円(自由、中学生以上、要学生証) 2階 脇正面学生席-3000円(自由、中学生以上、要学生証)
[出演]井上八千代(舞)/小出英詞/菊央雄司(地歌)/大倉源次郎(小鼓)/高林昌司(謡)/左鴻泰弘(笛)/大倉伶士郎(小鼓)/上野義雄(大鼓)/前川光範(太鼓)
※未就学児童の入場は可能。お席については事務局までお問い合わせください。
[問]gosekkunokai2026@gmail.com