ホーム > NEWS > 天満天神繁昌亭が開場20周年、 桂文枝ら約60人が天神橋筋商店街をお練り
上方落語の定席「天満天神繁昌亭」が2026年9月15日に開場20周年を迎えたのを前に、14日、桂文枝、桂春團治、桂福團治ら上方落語家が大阪・天神橋筋商店街で記念のお練りを行った。
大阪天満宮から無償で借り受けた土地に、地元の天神橋筋商店街や多くの落語ファンから寄せられた浄財をもとに建設され、2006年9月15日に開場した天満天神繁昌亭。戦後約60年にわたり、上方落語を常時上演する定席がなかった大阪に誕生した寄席で、その復活は上方落語家やファンにとって長年の悲願だった。以来、昼席を中心にほぼ毎日公演を行い、若手が高座経験を積む場であると同時に、ベテランの芸にも触れられる上方落語の拠点となっている。

お練りの出発地点となった大阪市立住まい情報センター前には、上方落語協会の協会員や関係者ら約60人が集結。文枝は、繁昌亭が大阪天満宮や地元の天神橋筋商店街、多くの落語ファンからの支援によって誕生したことに触れ、「20年たって、こうして迎えることができたお礼を言いたい」と感謝を伝えた。
笑福亭仁智上方落語協会会長も「繁昌亭ができて、明日で20年。大阪天満宮さん、地元天神橋筋商店街の皆さん、何よりファンの皆さんの浄財で建ちました。明日からの特別公演9日間、噺家一同、精いっぱい頑張ります」とあいさつ。繁昌亭を支えてきた地域や観客に改めて感謝を伝えた。
お練りに使われたのは、初代桂春團治が寄席を回る際に乗ったという逸話にちなむ赤い人力車。20年前の開場時にも三代目桂春團治を乗せ、当時の桂三枝(六代 桂文枝)が引いて天神橋筋商店街を練り歩いた、ゆかりの一台だ。

この日、まずは文枝が乗り込み、弟子の桂三語が引いて出発。法被姿の噺家たちが後に続くと、商店街を行き交う人々が足を止め、手を振ったり、スマートフォンを向けたりするなどして一行を迎えた。
人力車はJR天満駅付近で文枝から当代春團治へ、天三おかげ館で春團治から福團治へと交代。天神橋筋六丁目から商店街を南へ進み、繁昌亭を目指した。最後に乗車した福團治は、人力車の上から大阪締めを披露。沿道から手拍子が起こり、約1時間にわたる祝賀の列をにぎやかに締めくくった。

お練りを終えた文枝は、9日間にわたる20周年記念特別公演について、こう語った。「今回は中入りを2回設けた、4時間近い番組です。もっと若い人にチャンスを与えたい。我々の仕事は、次の世代をつくることです。皆さんに退屈していただかないような番組を考えました。ご自宅で過ごしている方やご高齢の方にも来ていただきたい。そして、20年前の活気を取り戻したいですね」。

お練りの後、繁昌亭では開場20周年を機に新調した緞帳がお披露目された。新しい緞帳は、明治から昭和にかけて大阪で活躍した女性日本画家・生田花朝が天神祭を描いた作品をモチーフに、川島織物セルコンが製作。神輿を中心に、祭りに集う人々やかがり火などが細やかな色の重なりによって表現され、天神祭の熱気が舞台いっぱいに広がるデザインとなっている。続いて、今年の「上方落語若手噺家グランプリ」で優勝した桂三実が、観客や落語家たちに見守られる中、落語を一席披露した。


記者会見で仁智は、お練りで沿道から声を掛けられたことについて、「商店街はありがたいものですね。思った以上にいろいろな店があって、歩く価値が十分にあると思いました」と感想を述べた。また、文枝の「20年前の活気を取り戻したい」との言葉を受け、「お客様に喜んでいただいて、また当時のような活気が戻ってくるように、頑張っていきたい」と語った。
そして、開場20周年を節目に緞帳の刷新を決め、アサヒビール、パソナグループ、ニジゲンノモリの3社から寄贈を受けたことに改めて謝意を示した。館内では照明のLED化なども実施され、「新しい次の20年の幕が開く。そんな気持ちで、噺家全員に心地よい緊張感があると思います」と話した。
20周年記念特別公演については、「若手にとって次の20年のスタート」と位置づけ、「繁昌亭でますます精進し、次世代に引き継ぎ、これからの上方落語を一層盛り上げてもらいたい」と期待を寄せた。
上方落語協会副会長の桂米團治は、新しい緞帳を嬉しそうにしげしげと見つめながら、「表情も一人一人違い、微妙なグラデーションによる細かな色で天神祭のにぎわいが表されています。神輿と、そこに関わる人たちの活気や喜びを感じてほしい」と呼びかけた。

開場記念日の9月15日には、繁昌亭前で文枝、仁智、米團治、桂吉弥らが参加して鏡開きを実施。同日から23日(水)まで、「天満天神繁昌亭 開場二十周年記念特別公演」が開催されている。
文枝のプロデュースにより、若手から重鎮まで幅広い噺家が日替わりで出演。松旭斎天蝶の手品や「なつかしの漫才」も交え、各日の大トリを文枝、桂南光、桂文珍、米團治、月亭八方、春團治、仁智、笑福亭福笑、福團治が順に務める。20周年を祝うにぎわいとともに、繁昌亭の次の10年、20年へ向けた新たな一幕が始まった。
取材・文/岩本和子
(2026年9月17日更新)
▼~9月23日(水・祝)
天満天神繁昌亭
一般-3000円(指定)
65歳以上-2800円(指定、要証明書)
障がい者-2400円(指定、要証明書)
30歳未満-2000円(指定、要証明書)
小中学生-1000円(指定、要証明書)
※18:10終演予定。
※出演者は天満天神繁昌亭ホームページ(https://www.hanjotei.jp/)でご確認ください。
※未就学児童は入場不可。出演者は変更になる場合がございます。
※「開場二十周年記念特別公演」は全公演完売。その他のスケジュールは公式サイトをご確認ください。
[問]天満天神繁昌亭■06-6352-4874
公式サイト
https://www.hanjotei.jp/