ホーム > NEWS > 「一番恩返しをしたい小劇場への感謝を込めて」 岸谷五朗の新プロジェクト 「プライムヴィンテージ」始動、大阪公演が開幕!
岸谷五朗が寺脇康文と共に率いる演劇ユニット「地球ゴージャス」。大人数で繰り広げるゴージャスな大舞台の作品は、結成30年を超えてもなお衰えない人気を博す。そんな岸谷が、小劇場空間で魅せる新たな演劇プロジェクト「プライムヴィンテージ」を始動、その旗揚げ公演が、東京に続き大阪で開幕。記念すべき第1弾は『ジャコメッティのように』。岸谷は自らのオリジナル作品を演出・主演、共演に渡部豪太と純名里沙を迎え、大駱駝艦のダンサー2名が参加する。大阪公演の初日を控えた前日、上演会場のABCホールで取材会を開催、岸谷が新プロジェクトのスタートと作品への思いを語った。

プライムヴィンテージの立ち上げには、小劇場演劇に対する岸谷の熱い思いがある。大学生時代の19歳で劇団スーパー・エキセントリック・シアターに入団。「がむしゃらに芝居がしたかった我々を救ってくれたのが小劇場。忘れてないよ、と思いながら、ずっと置いてきぼりにしてきた」。地球ゴージャスは1994に結成、翌年の旗揚げから人気が爆発した。そこから約30年。岸谷は「60歳を過ぎたんだから、一番恩返しをしなきゃいけない小劇場への感謝を込めて、もう一丁カンパニーを作ってやろうとプライムヴィンテージを立ち上げました。勇気を出して、改めて小劇場専門のカンパニーを作らなきゃ、小劇場に戻れないと思ったんです」。
作品は、細く長い針金のような人物像"歩く男"などで知られる、スイス出身の彫刻家・画家のアルベルト・ジャコメッティの生きざまがモチーフ。岸谷の母がジャコメッティの大ファンで身近に多くの本があり、幼い頃から興味を引かれていたと言う。配役は、岸谷がジャコメッティ、妻アネットに純名、ジャコメッティと深く親交のあった日本人の哲学者・矢内原伊作を渡部が演じる。「ジャコメッティのすごい人生、3人の数奇な愛の関係を演劇にしたい」と考えた岸谷は、伝記物ではなく、現代を生きる3人の男女(夫婦と弟)を登場させ「観客の皆さんとの共通のパイプを作り、ジャコメッティたちの1960年からの時代と2026年の現代がオーバーラップするというたくらみが非常にうまくいき、とてもいい作品になりました(笑)」。
純名は、地球ゴージャスが大阪に初登場した3作目の『地図にない街』(1997年)と4作目『さくらのうた』(2000年)以来の岸谷作品だ。「2作品、まったく違う役を見事に演じてくれた」と今回の勝算を確信してのオファー。渡部は、2023年の『歌うシャイロック』(作・演出:鄭義信チョン・ウィシン)で岸谷と共演、「いつか違う作品で、という思いがずっとあり、今回はまず矢内原伊作にルックスがとても似ているから」と声を掛けた。ダンサーたちは、岸谷と長く付き合いのある大駱駝艦・麿赤児に「メンバーの力を貸してと話しに行ったら、麿さんもジャコメッティが好きで意気投合して。この作品に絶対に不可欠な2人です」。作品について「派手なダンスの群舞がなくても、エンターテインメントのにおいはプンプンしてるはず。純名は歌いますよ。それを鼻歌と評価するか、素晴らしい歌と評価するか(笑)。史実をもとにした歌うべき歌です。渡部も本当に歌がうまいので、ちょっと楽しいシーンがあります」。

東京公演の反応は「恐ろしいぐらいよかったです」と自信をみせる。「大劇場で演出し、作品を作ってきた経験がなければ小劇場はできなかったと思います。でも、驚くほどお金がなくて(笑)」。舞台セットの壁面は、岸谷が自宅で溜めたダンボールを運んで加工、床の麻の敷物も家からはがして持ってきた。「私の家のものがいっぱいあります(笑)。でも、貧乏な中でお金をかけずに演劇を作っていくことを久々に思い出して、とても愛おしいステージになりました」。ただ、東京の小劇場シアター・アルファー東京とABCホールでは施設空間が違うため「作品が新たに生まれ変わるという意識があります。ダイナミック感はこちらの方が出るので、その辺もおもしろく観られるかな」。
芝居は休憩なしの1時間40分。「人生を駆け抜けたジャコメッティと比例する作品の勢い、駆け抜け方があって、いい感じになってます。こういうタイプの芝居を、違うジャンルの演劇として好きになってくれれば演劇ファンが増えるのでは。地球ゴージャスで大きい劇場を楽しんでくださっている皆さんには、ぜひ体験してほしいですね」。
取材・文/高橋晴代
(2026年8月14日更新)
チケット発売中 Pコード 543-803
▼8月13日(木)~20日(木)
(火)(日)13:30 (水)(土)13:30/18:00 (木)(金)18:00
※8/20(木)13:30。
ABCホール
S指定席-8500円 A指定席-8000円
[作・演出]岸谷五朗
[出演]渡部豪太/純名里沙/岸谷五朗/小田直哉(大駱駝艦)/石井エリカ(大駱駝艦)
※未就学児童は入場不可。公演中止以外の払い戻しは行いません。ご了承の上、お買い求めください。
[問]キョードーインフォメーション■0570-200-888
公式サイト
https://www.giacometti-pv.com/