ホーム > NEWS > 三谷文楽の新作「人形ぎらい」を 人形遣いの吉田一輔が監修・出演
三谷幸喜が文楽に挑戦し、作・演出を担う新作の舞台『人形ぎらい』が京都劇場にお目見えする。三谷文楽とうたわれ、大きな話題となり2012年に上演された第1弾の『其礼成心中』から13年ぶり。第2弾の今回は、万年引き立て役で悪役の人形が主人公で、かつ人形遣い自身にも光があたる。第1弾から三谷文楽を監修し、出演する人形遣いの吉田一輔が、三谷をモデルにした三谷くん人形と共に取材会に臨んだ。

「大好評だった『其礼成心中』は、各地で再演を繰り返すほどで、早い段階で三谷さんが『次の作品を書きたい』とおっしゃっていて。ぜひ書いてくださいと毎年繰り返しお願いしていたんです」と一輔。しかし、なかなか実現には至らなかった。「2020年にお会いした時に『そろそろ書いてくださらないと、人形は年取らへんけど、我々は皆、年取っていくんです』と三谷さんに最後の訴えをしたら、トントン拍子に書いてくださり、上演に至りました」とほがらかに笑う。待った甲斐があり、人形が主人公の物語だと三谷から聞いた時は、「もう最高に嬉しかったですね。第1弾で信頼関係を築き、13年間いろんな話をして、こういう作品を作ってもらえたんかなと。今まで頑張ってきてよかったなと最高のプレゼントをもらったような気持ちですね」と顔をほころばせた。
「人形ぎらい」はモリエールの戯曲「人間嫌い」をモチーフにした作品。三谷は、モリエールで描かれる三角関係を近松門左衛門の古典「鑓の権三重帷子(やりのごんざかさねかたびら)」に重ね、劇中劇として登場させた。現代の大阪を舞台に、いつも脇役で、たまには主役やラブシーンを演じてみたいと文句たらたらの人形、陀羅助(だらすけ)が主人公。ある日、陀羅助は不満が爆発して、劇場を飛び出し、スケートボードで大阪の街を疾走したり、通天閣を登ったりと、通常の文楽では起こりえない、三谷流の爆笑を誘うシーンが会場をわかせる。「普段の文楽では、笑いというものをやることは少ないんです。"チャリ場"という、いろんな物語の間にちょっとだけ笑いの場面というのはあるんですけど、全編通してずっと笑えるような作品はない。文楽で笑いを取るという初めての試みを『其礼成心中』でやらせてもらって、みんな、その感覚もなんとなくつかめてきたところで、 この作品で同じように笑ってもらえる。昨年の『人形ぎらい』の東京公演では、爆笑の渦の中で舞台に立てて、すごく新鮮でした」。
その陀羅助を、一輔が人形遣いで担う。文楽はかしらで主役や悪役が決定する。「陀羅助は憎まれ役しかできない。前回の作品もそうだったんですけど、普段絶対主役をやらない人形にスポットを当ててくれるのがいかにも三谷さんらしいと思います」。
主役の人形遣いは通常3人だが、陀羅助ら登場人物がスケートボードに乗るシーンでは、スケボー操者を含めて4人にした。「僕らは誰一人、スケボーにも乗れないし、乗ったこともないんですが(笑)、堀米雄斗選手の動画を見て研究しました。京都公演では、スピード感をもっと上げてもいいかなと。どう"ゴン攻め"できるか考えています」と意気込んだ。

さらに、通常の文楽の人形遣いとしては描かれることのない、人形と人形遣いの絆を表した意表を突いたシーンも。「ネタバレになるので詳しくは言えないんですけど、それはもう感動的です。人形遣いの僕らの人形に対する思いを三谷さんに汲み取ってもらえた」と絶賛する。一輔にとって、人形は「最高の相棒」だという。「千秋楽の後は、手や足をバラバラにして解体するんですけど、悲しい思いをします。今まで一緒に頑張ってきた、本当に大事に丁寧に扱ってきた子たちという感じですね」と深い愛情をにじませた。
今回、文楽が初めてという観客も多いはずだ。「三谷文楽を観て面白いなと思ってもらえるのは非常に嬉しいんですけど、古典の文楽を観た時に、難しいなと敬遠されたら困ります。今回をきっかけに通常の文楽も観ていただきたいのですが、1回観ただけでは、多分、分からない。何回も観続けてもらって、その良さを分かっていただければ一番嬉しいですね」と打ち明ける。
三谷くん人形は本編には出ないが、前説として登場予定だ。一輔が三谷くん人形を動かすだけで、人形に命が吹き込まれ、いきいきとした表情になる。最後にふたりで仲良く「古典の流れを汲んだ新しいエンターテインメントとして観てもらえる作品です。暑い夏ではございますが、ぜひ京都までお越しいただいて、存分に楽しんでもらえたら」と締めくくった。
取材・文/米満ゆう子
(2026年8月19日更新)
チケット発売中 Pコード:542-556
▼8月21日(金)15:00
▼8月22日(土)12:00/17:00
▼8月23日(日)13:00
▼8月24日(月)13:00/18:00
▼8月25日(火)13:00
▼8月26日(水)13:00
京都劇場
全席指定-11000円
[作・演出]三谷幸喜
[監修・出演]吉田一輔
[作曲・出演]鶴澤清介
[出演]竹本千歳太夫
豊竹呂勢太夫/豊竹睦太夫/豊竹靖太夫/鶴澤清志郎/鶴澤清公/鶴澤清方/吉田玉佳/吉田玉勢/桐竹紋秀/吉田玉翔/吉田玉誉/吉田簑太郎/吉田玉彦/吉田玉路/吉田玉延/吉田簑悠/吉田玉征/豊松清之助/吉田一大/
囃子 望月太明蔵社中
※未就学児童は入場不可。ひざ上での鑑賞不可。車いす席をご利用のお客様はチケットをご購入の上、事前にお問い合わせ先にご連絡ください。公演中止の場合を除き、チケットの払い戻しはいたしません。やむを得ない事情により出演者が変更になる場合もございます。出演者の変更による払い戻しは致しません。2枚でご購入されたお客様は、状況によっては連席でご案内できない場合がございます。予めご了承ください。チケットご購入の際には、ご自身の体調や環境をふまえご判断くださいますようお願いいたします。ご来場前に必ずオフィシャルサイトにて最新の情報をご確認ください。
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