ホーム > NEWS > 「晴(そら)の会」が歌舞伎を気軽に楽しめる 初の“夏休み特別企画”開催
2015年、松竹・上方歌舞伎塾第1期生を中心に結成した「晴(そら)の会」。片岡仁左衛門の監修により近鉄アート館で毎年公演を開催(2021年のみコロナ禍で休演)、昨年第10回を迎えた。今年は、夏休み特別公演『瀧汗舞踊顔見晴(たきのあせおどるかおみせ)』と銘打ち、8人で例年とは異なる内容構成で上演する。これまでは大阪松竹座で七月大歌舞伎に出演、終演後に稽古をして臨んできた「晴の会」だが、今年5月に大阪松竹座が閉館、今回は各々で稽古できる舞踊公演として苦しい状況を乗り越えての開催だ。そしてこの舞台が、今年大阪で唯一観られる上方歌舞伎公演となる。仁左衛門監修のもと、山本友五郎が演出・振付を担当。片岡松十郎、片岡千壽、そして亀屋東斎の名で脚本も担う片岡千次郎を中心に、片岡りき彌、中村翫政(かんせい)、片岡千太郎、中村鴈大(がんだい)が参加(片岡佑次郎は記者会見欠席)、公演への熱い思いを語った。
プログラムは3部構成。1部の昼の部は、実演を交えたトークや体験コーナーもある歌舞伎ワークショップ"ようこそ歌舞伎へ"。夜の部の"ようこそ晴の会へ"では、映像などを使い過去10公演の思い出話や質問コーナーも予定。どちらもファンのすそ野を広げるべく、観客参加型で歌舞伎の魅力を伝える。「一体となってみんなで楽しく、和気あいあいとやりたい」と千次郎。2部は、ふたりで踊る『舞踊三題』。まず『傾城(けいせい)』。遊女で最高位の傾城(けいせい)が、若い見習い遊女の新造と切ない恋心を舞う。「衣裳もかつらも絢爛豪華ですが、重くて大変。大汗はかきますが涼しい顔をして、りき彌さんと息を合わせてしっとりと傾城の位を持って踊りたい」(千寿)、「傾城と新造の華やかさや品を大切に踊りたい」(りき彌)。
『粟餅』は、にぎやかに客を呼び込み粟餅を売る、仲睦まじい粟餅屋の杵造・お臼夫婦の軽快な踊り。「千次郎さんが妻という共演は初めて。暑い夏に負けない熱い愛を刻めれば」(翫政)、「女方に初挑戦です。精いっぱいの愛を込めて勤めたい」(千次郎)。『橋弁慶』は、京の五条橋で弁慶と牛若丸が主従の契りを結ぶ話だ。長刀で勇壮に戦う弁慶と身軽にあしらう牛若丸の立ち廻りが見どころ。「(客席が舞台を三方から囲む)近鉄アート館の舞台空間を生かし、弁慶の大きさと存在感を出せるように」(松十郎)、「一本芯が通っている中にも子どもらしさも表せたら」(千太郎)。そして3部に"新編 上方笑作事(しょさごと)"と題した『三人ほら吹き』を披露する。かつての狂言舞踊を亀屋東斎が大胆に脚色、8人全員が出演する楽しい作品だ。舞台は大坂・住吉あたり。世間の盗賊騒ぎに、晴岡主馬(しゅめ・佑次郎)は一芸に秀でた腕利き自慢の強者を募集し、3名を用心役に召し抱える。主馬は彼らに留守番を命じて出かけるが...という物語。力自慢の"剛の権蔵"に松十郎、鼻が利く"おきゃんのお花"は「私にピッタリのお役」と言う千壽、身軽ですばしっこい"はしこい半平"の千次郎は「舞台いっぱい踊りまくって汗かいて演じます」。
キャラクターは東斎が「みんなの個性を生かし、完全に当て書きしました。題名のごとく、みんながほらを吹き倒します。そのバカバカしい感じを一生懸命やる。そして主人が出かけた後、3人がどうなっていくかがお楽しみ。音楽もとても楽しくウキウキします」。目指すは「気軽に楽しめて笑いもあって、上方のにおいがほんのりする"和製ミュージカル"」。それが"上方笑作事"だ。「あくまで所作事としての品格を保ちながら、大阪らしい人間臭さを深く描くのが上方歌舞伎のひとつかなと意識して書いています」。
3人から意気込みを。「大阪松竹座がなくなった大阪の街で舞台に立てる幸せ、『晴の会』を歌舞伎をできる喜びを、この舞台にぶつけたい」(松十郎)。「『どんな役でもうまくやろうとせず、楽しんで勤めなさい』という師匠(片岡秀太郎)の言葉を胸に、上方役者の誇りを持ってこの公演に挑みたい」(千寿)。「今回は初心に帰る、原点回帰の思いで挑戦します。"夏休み特別公演"なので、気楽に観に来てください。高校生は破格の1000円。若い方にも来ていただいて、上方歌舞伎の役者になりたいと思ってくれる人が出てきたら、うれしいです。ピンチをチャンスに、上方愛・大阪愛で、みんなで一致団結してやっていきたいと思っています」(千次郎)。
取材・文/高橋晴代
(2026年7月16日更新)
チケット発売中 Pコード:543-395
▼7月31日(金)~8月3日(月)12:30/17:00
近鉄アート館
全席指定-7500円 全席指定(高校生以下)-1000円(当日要学生証)
[監修]片岡仁左衛門 [演出・振付]山村友五郎 [脚本]亀屋東斎
[出演]片岡松十郎/片岡千壽/片岡千次郎/片岡りき彌/中村翫政/片岡千太郎/片岡佑次郎/中村鴈大
※3歳以下の入場不可。4歳以上チケットが必要。高校生以下は公演当日、学生証のご提示をお願い致します。車椅子をご利用のお客様は事前に【問】までご連絡ください。
[問]近鉄アート館■06-6622-8802