ホーム > NEWS > 安田顕が『死の笛』で取り戻した、芝居をつくる喜び
安田顕が企画・プロデュースし、林遣都と二人で演じる舞台『死の笛』が、2024年の初演から2年ぶりに再演される。脚本は坂元裕二、演出は水田伸生。初演と同じ顔ぶれが集まり、坂元自身が改稿した脚本で、新たな『死の笛』を立ち上げる。
舞台は、とある戦時下。敵国同士の炊事班に所属する二人のコック、カノオとウスダが、緩衝地帯にある一つの厨房で出会う。安田が演じるカノオを突き動かすのは、娘を殺されたことへの復讐心。一方、林が演じるウスダは想い人への恋心を生きる糧にしている。二人が交わすのは、意味が分かりそうで、すぐには理解できない独特の言葉だ。
「言葉が分かりそうで分からなければ、人は聞こうとする。坂元さんには、そういう発想があったそうです。興味のある人の話は聞くけれど、興味のない人の話は聞かない。ずっと自分のことだけをしゃべる人もいる。言葉が通じなければ、理解しようとして聞くしかない。聞くという作業がどれだけ大事か、そんなことを感じます」。
『死の笛』には、戦争や平和、生と死、美しさと醜さ、考えることと考えないことといったテーマが通底している。だが、決して身構えて見る舞台ではない。坂元ならではの独特な言葉と、カノオとウスダのどこかかみ合わないやり取りが笑いを生み、安田も初演で観客に楽しんでもらえた手応えを感じたという。ただ、作品が投げかける問いへの答えが、説明されることはない。
「劇中で"死の笛"を吹く行為がありますが、そこにも説明はありません。その笛が何を意味するのか、どう感じるのかは、見る方によって違う。その違いが面白いんです。お客様にお見せするものは、とにかくバカバカしくて面白い舞台です」。
初演は安田の俳優人生において大きな転機となった。当時は、かつてあれほど楽しかった芝居に対して悩むことが多くなり、「なぜ芝居をしているのだろう」と考えてしまうこともあったという。
「正直、あの時は、『これをやったら、もう最後でもいい』というほどの強い気持ちで初演に取り組んでいました。一つひとつが自分にとって最後かもしれないと思いながら、これまで培ってきたものを全部出してやろう、と」。
だが、坂元の脚本を水田の演出のもとで掘り下げ、林と二人で舞台に立つうち、安田の中にもう一度芝居をしたいという思いが芽生えた。
「今は、まだ伸びたい、まだ吸収したい、もっと良い役者になりたい、この本をもっと解釈したいと思っています。それをお客様に届けたいということは、先の自分を見ているということですよね。2年前の自分に言うなら、『また楽しんでお芝居ができていますよ』。自分に伸びしろがあるなら、伸びたいです」。
林遣都という存在にも刺激を受けている。林の魅力を「一つの言葉や意味を徹底的に考え、自分の演技を突き詰めていく姿勢」と語る。「林さんの芝居に取り組む姿勢には、見習うところがたくさんあります。林さんと二人で芝居ができることほど、贅沢でうれしいことはありません。林さんと一緒に芝居をしていても全然飽きないし、芝居をしているときの輝きが本当に素晴らしい。約2時間、その人と舞台を共有できることを幸せに感じています」。
長いキャリアの中で生まれた縁が、坂元、水田、林との舞台を実現させた。そして、その舞台が、芝居を続けることに迷っていた安田に、ものをつくる楽しさと、俳優として先へ進みたいという気持ちを取り戻させた。
「この座組がまた集まれるとは限りません。だから、一公演一公演を大切にしたい。お客様に少しでも楽しんでいただき、何かを感じていただけるよう、誠心誠意演じていきたいと思います」。
取材・文/岩本
(2026年7月23日更新)
チケット発売中 Pコード:543-651
▼7月24日(金)~8月2日(日)
(月)(木)13:00/18:00 (水)(金)(土)18:00 (日)13:00
※8/1(土)13:00/18:00。
※7/28(火)休演。
COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール
全席指定-11000円
[出演]安田顕/林遣都
※未就学児童は入場不可。本公演チケットは「チケット不正転売禁止法」の対象となる「特定興行入場券」として購入者の氏名・連絡先を確認のうえ販売致します。主催者の同意のない有償譲渡は禁止されております。ご本人確認のため身分証明書をご提示いただく場合がございます。車椅子の方はチケット購入後に問い合わせ先へご連絡ください(スペースに限りがございます)。主催者都合による公演中止以外の変更、払い戻しは行いません。その他注意事項はご来場前に公式サイトを必ずご確認ください。
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