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ヨーロッパ企画、2年ぶりの新作舞台は
金子大地、呉城久美を迎えての“冒険コメディー”

京都を拠点に活動し、企画性のあるコメディーが定評のヨーロッパ企画が2年ぶりに新作を上演する。第44回公演『インターネ島エクスプローラー』は、冒険をテーマにした物語で、幻の島・インターネ島をめぐって様々な冒険家が登場する。記者会見では、作・演出の上田誠をはじめ、劇団員と客演の呉城久美、金子大地が出席。それぞれの役柄を説明し、意気込みを語った。

今回、1213日(土)の栗東芸術文化会館 さきらでのプレビュー公演を皮切りに、20263月までの間に全国14都市を巡る彼ら。「アルピニストで冒険家」を演じる石田剛太は、「冬山にはあまり登ることはないですけれども、ツアーは厳しい冬の中を乗り越えていくわけでして、風邪をひかず、体調を崩さず、最後まで走り切って、無事生還したいと思っております」と意気込んだ。

酒井善史は「理系であり冒険家」という役。「冒険といえばギアだったりガジェット、こういう道具が欠かせないと思います。私、小道具も作っておりますので、自前の小道具とともに、理系であり冒険家を演じられたらと思っております」。

「世界を股にかける冒険家」役の諏訪雅は、物語の中盤以降に出てくるという。「冒険とは何かという本をみんなで読んだんです。そこに冒険の定義みたいなものがありまして、今も僕は冒険しています。今、ノープランでコメントしています」と笑いを誘った。

角田貴志は「北欧から来た冒険家」。「まるでオーロラのように、出たり出なかったりするかもしれないですね」と謎めいたメッセージを残した。

土佐和成は「インターネ島の伝説を知り、一攫千金を狙う冒険家」役。「僕も俳優として一攫千金を狙っているみたいなところがありますし、世の中に大きなインパクトを与えたいという気持ちがありますので、今回の役はアタリ役になったらいいなと思います」と意欲を示した。

中川晴樹は「隠れている冒険家」。「僕もびっくりしたんですけど、隠れている冒険家という役です。僕はものすごく保守的な人間で、朝食は毎日同じものを食べるし、お店も新規開拓しない男なんですけど、今回は冒険家役ということで、全身おニューで来ました」と、ファッションの冒険を明かした。

永野宗典は「インディペンデントで中南米あたりのことを研究している研究者かつ冒険家」。「役作りから冒険だという気持ちで臨みたいと思っております!」と力強く話した。

藤谷理子は、「祖父から聞いた伝承を頼りにインターネ島にたどり着いた冒険家」。「実は昨日、設定が決まりました。私自身は新しいことに二の足を踏むタイプですが、劇団の後輩もできたし、頼もしい客演のお二人もいらっしゃるので、このクルーだったらどこへでも行けるんじゃないかと息巻いております」と笑顔を見せた。

昨年末にヨーロッパ企画に入団し、今回は座長という大役も務める金丸慎太郎は、主人公である「無頼の冒険家ハタノ」を演じる。「昨年、半年かけて世界一周の旅に出たんですけれども、その冒険の香りがまだこの肉体に残っておりまして、そんな僕以外に座長は務まるものかと、そういう気概で臨んでおります! 昨年末に入団させていただいたんですが、いやいや若輩者なので...という殊勝な態度ではなく、俺がヨーロッパ企画の新しい座標だ!というくらいの粗野で猥雑な姿勢で、今回の新作本公演臨んでまいりたいと思います!」と気合を入れる。

座長に稽古場の様子を尋ねると、「過去最高の雰囲気で、すでにヨーロッパ企画の歴史が塗り替わっている最中にあるかと思います。見たことのないシステムで、見たことのない劇になっているので、僕自身もめちゃくちゃ楽しみですし、観てもらえることも非常に楽しみです」と自信をのぞかせた。

客演の呉城久美は「無頼の冒険家ハタノの元妻の冒険家」。「ヨーロッパ企画さんとは何度かご一緒させていただいていたのですが、本公演は初めてなので、とてもうれしいです。上田さんが、みんながやることに笑ってくれるので、みんなも喜んでそれに応えるみたいな感じで、いい現場だなと思います。チームワークもばっちりです」とにこやかな表情を浮かべた。

同じく客演の金子大地は、「ハタノのライバル冒険家」を演じる。「エリートで、とにかくハタノをライバル視していますが、ゆくゆくは切磋琢磨していく関係になるのだろうなと思います。この冒険に自分もしっかりついていけるよう頑張りたいと思います!」と抱負を語った。

最後に上田誠がこう挨拶した。「上田といえば冒険といいますか、学生の頃のあだ名は『冒険』だったというくらい、冒険心を持っている男で、作・演出家の僕があらすじを言う前に、みんながぽろぽろと断片を出すという、今も記者発表で冒険しています。今回は、ポリネシアのイースター島よりもさらに東にあると言われている幻の島『インターネ島』が舞台です。ここ何年か、香港やロンドンの劇をやっていまして、そういう旅シリーズのニュアンスもあります。最近はなんとなく集大成っぽい感じの公演が続いていたので、新作らしい新作を作りたいなと思い、作り方も本当にゼロイチでといいますか、僕が考えてきたことを稽古場でみんなにやってもらいながら、僕が脚本を書いていくという、ヨーロッパ企画の作り方の中でもかなりストロングなスタイルで、稽古をしているところです」。

客演の二人については、次のように紹介した。「呉城さんとは、いつかご一緒したいなと思っていました。物語の定型みたいなものをひっくり返すような役をお願いしようと思います。金子さんとは、僕が脚本を手掛けた『魔法のリノベ』(2022年放送)というドラマに出演いただいたのですが、実はお会いしたことはありませんでした。そのドラマをテレビで見て、『めっちゃ面白いな』と思っていたので、今回、お願いしました。ハタノとキクチという冒険家二人が競い合いながら進むイメージがあったので、そういう役どころをお願いしております」。 

なぜ冒険なのか。上田はこう話す。「『新冒険論』という本を読んだからというわけでもないですが、その本に僕が日頃考えていたことをすべて言い当てられたようなところがありました。どうやら『探検』と『冒険』は違っていて、探検は『場所』を探検する。冒険は『人』が主語であると。そこがヨーロッパ企画と重なるところがありました。僕らが京都にへばりついてやっている理由は、できるだけオルタナティブなことをやっていたいという思いがあり、もっと言うなら──特に僕がそうなんですけど、見たことのあることはやりたくないというか、この世の中にないものを作りたい。それは演劇のみならず、映画など、いろんなところでなるべく未踏のところを行くようにしようとしています。今回も『あれによって、こういう道が開けた』と思えるような、ゆくゆくはスタンダードなものになればいいなという思いがあります」。

『ロベルトの操縦』(2011年上演)や『ビルのゲーツ』(2014年上演)など、過去にも「移動」をテーマにした作品を上演してきた。本作は、その系譜にも連なるものであり、なおかつ「すごくプリミティブでかなり強い方法を見つけた」という。「めちゃくちゃ面白い方法が見つかりました。そこにみんなで一丸となって挑戦しています」と、手応えを語った。

取材・文/岩本




(2025年12月10日更新)


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写真前列左より)中川晴樹、呉城久美、金丸慎太郎、金子大地、永野宗典、藤谷理子
(後列左より)上田誠、石田剛太、酒井善史、角田貴志、諏訪雅、土佐和成

ヨーロッパ企画第44回公演
『インターネ島エクスプローラー』

チケット発売中 Pコード:537-307
〈栗東プレビュー公演〉
▼12月13日(土)15:00
栗東芸術文化会館さきら 中ホール
全席指定〈一般〉-3000円 〈学生〉-2000円 
※学生券は小、中、高、大学、大学院、専門学校に在籍している方を対象としています。小学生以外は入場の際に学生証の提示が必要です。

【京都公演】
▼12月18日(木)18:30
▼12月19日(金)18:30
全席指定・一般(平日)-7000円 
▼12月20日(土)13:00/18:00
▼12月21日(日)13:00
全席指定・一般(土日)-7500円 
京都府立文化芸術会館

【大阪公演】
▼2026年2月6日(金)19:00
全席指定・一般(平日)-8000円 
▼2026年2月7日(土)13:00/18:00
▼2026年2月8日(日)13:00
全席指定・一般(土日)-8500円 
梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ

※2/6(金)19:00公演、2/7(土)13:00公演は、ビデオ収録のため、客席にカメラが入ります。
※2/7(土)18:00公演終演後、出演者による「おまけトークショー」あり。

※【バリアフリー字幕タブレットの貸し出しについて】この公演では、耳がきこえない・きこえづらいお客様にも作品をお楽しみいただけるよう、バリアフリー字幕のタブレット貸し出しを実施いたします。事前予約が必要です。
※未就学児童は入場不可。【車椅子でご観劇を希望される方へ】車イスのまま観劇できるスペースへご案内します。チケットご購入後、公演日の3日前までに必ず【問い合わせ先】にご連絡ください。

[作・演出]上田誠 [音楽]王舟
[出演]石田剛太/金丸慎太郎/酒井善史/角田貴志/諏訪雅/土佐和成/中川晴樹/永野宗典/藤谷理子/呉城久美/金子大地

(栗東公演)
[問] 栗東芸術文化会館さきら■077-551-1455
(京都・大阪公演)
[問] サウンドクリエーター■06-6357-4400

公式サイト
https://www.europe-kikaku.com/e44/

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