ホーム > NEWS > 柚希礼音が“師”の湖月わたると ダンス&語りで紡ぐ『マイ フレンド ジキル』
元宝塚歌劇団星組でトップスターとして時代を駆け抜けてきた湖月わたると柚希礼音。ふたりがダンスと語りで紡ぐ舞台『マイ フレンド ジキル』で、宝塚退団後、初共演を果たす。柚希に思いを聞いた。
ロバート・ルイス・スティーヴンソン作の怪奇小説『ジキル博士とハイド氏』を原作に、日本でも上演を重ねてきたミュージカル『ジキル&ハイド』をご存じの方は多いだろう。人格者で医学博士のジキルが、自分が調合した薬によって、ジキルの分身である悪の権化ハイドに豹変していく物語だが、『マイ フレンド ジキル』では、ジキルのことが、彼を尊敬する友人アタスンの視点で描かれる。そのうえ、ジキルとハイドをダンスで表現するパフォーマーと、アタスンの目線で物語を進める語り手の二役を、湖月と柚希が回替わりで演じる。「退団してから、いつか、わたるさんと舞台をご一緒したいと思っていましたし、しっかりと絡める役でと願っていました。満を持してオファーをいただき、ふたりでがっつりと組めて、しかも、お互いの役をチェンジする。本番も楽しみですが、わたるさんとその過程を作れるというのも、とても楽しみです」と期待に胸を膨らませる。
同作の初演版は人気ダンスグループ「s**t kingz」のshoji(持田将史)とOguri(小栗基裕)が出演・振付を手掛けた。「映像を拝見して、語り手もすごく踊るんだ、と(笑)。朗読とダンスが分かれているのではなく、新しい演劇のスタイル。通常、朗読する人は椅子に座って読むイメージですが、今作は、たくさん動き回るし、話もして、ふたりでも踊る。これは大変な作品になると思いました」と気を引き締める。
物語については、「人にはいろんな顔がある。自分も柚希礼音の顔と、そうじゃない本名の顔もありますし、男役だった顔と、だんだん女性に移行していった顔もある。ジキルはいい子になるように育てられた結果、抑圧されてハイドが生まれたわけですから、かわいそうで、単に善と悪だけでくくらないようにしたいです。また、アタスンから見たジキルへの愛や、最後にはすごく心温まるメッセージも感じます」。
今回はヒップホップやボールルームラテン、コンテンポラリーダンスなどを生かしたスタイルでイギリスを拠点に活動するダンサー・振付家の益井悠紀子が振付を担当。上演台本・演出は、初演に引き続き瀬戸山美咲が担う。宝塚時代から抜群のダンス力でファンを魅了してきたふたりがどう踊るかが楽しみだ。ダンスが得意な柚希だからこそ、「振付のアイデアを出してみることは?」と問うと、「私、振付ができなくて有名なんですよ」という意外な返答が。「宝塚音楽学校では振付という試験があるんですが、大の苦手だった。なんというか恥ずかしいんですよね(笑)。自分のコンサートで『歌詞を書いてみては』と提案され、歌詞を書くのはヘタだろうと思われていると思うと書けたんです(笑)。ダンスはすごくいいものが作れるだろうと思われていると考えたらハードルが高くて。わたるさんは振付もされていて、『ちえ(柚希)もやりなよ!』とおっしゃるんですが、やってみて、『めちゃくちゃダサい振付だな』と思われたら...」と笑わせた。
今年10月から11月まで再演されたミュージカル『マタ・ハリ』では、タイトルロール役を凜とした力強い女性として演じきった。さらに、舞台に登場した瞬間に引き付けられたのは、その女神のような妖艶で完璧な肉体美だ。役によって身体を作り上げる柚希の強いプロ意識が窺える。『マタ・ハリ』の初演の時に男性陣から、「マタ・ハリは、男性から見たら触りたいような柔らかさがあった人だろうから、今のままではちょっとカッコよすぎて、ムキムキすぎて、マタ・ハリとしては...」と苦言を呈されたという。「しっかり、はっきりとおっしゃるなぁ、でもその通りだなと(笑)」。今年4月から激しい筋トレを止め、大好きなお酒やお菓子を断ち、ピラティスやダンスをして6キロの減量に成功した。
今回はどんなジェンダーと身体を目指すのだろうか。「ジェンダーとしては一応男になるみたいです。男役でもないし、男装でもない、人間。わたるさんも人間を演じると思ってやろうと。昔の自分の芸風の男役を引っ張りだしてくることは、私もわたるさんもしない。アタスンとジキルの心や感情で表現したいです。身体は、マタ・ハリのようではなく、ムキムキでもなく、舞台の設定がロンドンなのでアンニュイな感じでしょうか(笑)」。ちなみに自身は、ミュージカル『ボディガード』のポップスター役で見せてくれた、ムキムキのアスリートのようなカッコいい身体がお気に入りだという。
湖月が星組トップスターに就任した当時、柚希は入団5年目だった。柚希にとって湖月の存在は? と聞くと、しばらく沈黙した後、「恐ろしいほどの愛情で、本当に損とか得とか、こう見えるからとかまったく関係なく、私を良くすることにすべてをかけて教えてくださった。わたるさんが自ら恥をかきながら下級生の前で必死に稽古している姿を見て、一生、こんな舞台人でいたいと思わせてくださった方です」と少し目を潤ませて答えた。
ふたりで踊るシーンは感慨深いものになるはずだ。「わたるさんと踊ると思うだけで胸がいっぱいになるんですよね。アタスンとジキルはすごく思い合っている。長い年月をかけてわたるさんが、私を育てるために心を鬼にして怒ってくださったことや、その気持ちをありがたく受け止めて、何がなんでもついていった思い、いろんなことがきっと走馬灯のように蘇ると思うと、今から感動するんです。そんな思いもすべて込めたいですね」。
取材・文/米満ゆう子
撮影/吉原朱美
(2025年11月14日更新)
チケット発売中 Pコード:536-390
▼12月27日(土)13:00A/17:00B
▼12月28日(日)13:00B/17:00A
▼12月29日(月)13:00B
A=踊り 湖月わたる/語り 柚希礼音
B=踊り 柚希礼音/語り 湖月わたる
梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
全席指定-12500円
[上演台本・演出]瀬戸山美咲
[出演]湖月わたる 柚希礼音
ギター:jin tanaka(back drop bomb) 飛田雅弘
※12/27(土)17:00公演は来場者プレゼントあり。
※12/28(日)17:00公演終演後、アフタートークショーあり(出演:湖月わたる、柚希礼音、瀬戸山美咲)
※未就学児童は入場不可。本公演チケットを「チケット不正転売禁止法」の対象となる「特定興行入場券」として販売致します。興行主の同意のない有償譲渡は禁止されています。
[問]梅田芸術劇場■0570-077-039