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壮絶な母親同士のバトルを描く『かたき同志』
演出の石井ふく子×藤山直美×高島礼子
インタビュー

9月21日(日)まで新歌舞伎座にて上演中の橋田壽賀子作『かたき同志』について、演出の石井ふく子と、江戸下町の飲み屋の女将・かめを演じる藤山直美、呉服問屋を切り盛りする女主人・お鶴を演じる高島礼子に話を聞いた(取材は開幕前)。

藤山が本作に同役で出演するのは2015年以来となる。石井は「次に上演するときも、かめは直美さんじゃなきゃ嫌だなと思っていた」と語る。藤山の魅力については、「人にはない唯一無二の魅力がある。直美さんにしかできないことがある」と石井。さらに、「高島さんも同じ。それが魅力というものです。誰でも同じことができるなら、魅力とは言えません。私のなかでは、かめ役は直美さん以外考えられない。それほどはっきりとした像が心にあるんです。今回は直美さんと高島さんのお二人が組んだらどうなるのか、私自身も楽しみにしています」と期待を込めた。

橋田壽賀子×石井ふく子という"ゴールデンコンビ"による作品に出演経験のある藤山と高島。このコンビならではの魅力は、どのように発揮されているのだろうか。

藤山は次のように語る。「橋田先生と石井先生の作品は、江戸前が多いので、関西弁の私は本来はご法度です。でも『かたき同志』では、大坂から江戸に流れてきた女将という設定にしていただきました。人間がきちんと描かれているから、土地は関係ないと実感できて、とても嬉しかったですね」。

一方の高島は、『渡る世間は鬼ばかり』でのエピソードを交えて、橋田と石井の関係性を語った。「石井先生と橋田先生は、言いたいことを言い合いながらも、最終的には素晴らしい作品に仕上げてしまう。その関係性がすごいと思います。『かたき同志』でも、人の嫌な部分をえぐるようなセリフがたくさん出てきますが、そうした本音をぶつけ合った先に、本当の友情が出来上がる。それがこの作品に凝縮されていると感じています」。

また、高島は石井から受けた影響についても触れた。「役に魂を込めるというか、先生はご自身のかんざしや着物など、小道具として何か一つ提供してくださるんです。2012年に出演した『女たちの忠臣蔵』以来、私も何か作品に出るときは、自分の持ち物を使うようになりました。魂を役に注ぐというこのやり方は、先生から教えていただきました」。

長年にわたり、橋田とともに「家族」の姿を描き続けてきた石井。橋田から託された"想い"をこう明かす。

「やっぱり家族はこの世の中で一番大事だと思います。今の時代、自分のことばっかり考えて、親に育ててもらった感謝の気持ち、兄弟仲良くやる気持ちがなくなってきているように思います。橋田さんが亡くなる少し前に、病室で私に"ちょっと話がある"と。"家族や友達との心と心のつながり、これをあなた、ずっと続けてね。私は一緒にやれないかもしれないけど"と言うから、怒ったんですよ。そんなこと言わないでよ!って。"でも、私が思っていることは、そうなんだから。私にもしものことがあったら、ちゃんとやってね。くれぐれも頼むわよ"と言われました。そういうことを、仕事をしているときにふと思い出します」。

劇中で「女の闘い」を繰り広げる藤山と高島。互いにどう見ているのかを尋ねると、藤山は温かなまなざしでこう語った。「初めてお見かけしたとき、『きれいな方やなぁ』という印象でした。でも、その後の人生のなかで、嬉しいことも苦しいことも、傷ついたことも、寂しい思いも、全部重ねてこられて。今、とてもいい年齢になられて、これからさらに舞台や映画、テレビで活躍されることを楽しみにしています。"かたき"なんて、思えへん」。

高島もまた、笑顔で応じた。「まさか『かたき同志』で直美さんと共演できるなんて。憧れの直美さんが相手ですが、かめとお鶴はまったく違うキャラクターなので、遠慮せずに、作品のためにしっかりと闘いたいと思います」。

取材・文/岩本和子
撮影/髙村直希




(2025年9月 8日更新)


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写真左より)高島礼子、石井ふく子、藤山直美

石井ふく子 白寿記念公演『かたき同志』

チケット発売中 Pコード:532-164
▼9月21日(日)まで上演中
新歌舞伎座
1階席-13000円 2階席-7000円 
3階席-3500円 特別席-14000円 
[作]橋田壽賀子 [演出]石井ふく子
[出演]藤山直美/熊谷真実/金子昇/木戸邑弥/込山榛香/高島礼子
※スケジュールの詳細は公式サイトを参照。
※未就学児童は入場不可。席種によっては取り扱いのない場合あり。3階1列目は転落防止柵により見えづらいところが出る可能性があります。やむを得ぬ事情により出演者、曲目などを変更する場合がございます。予めご了承ください。ご購入時・ご来場前には、必ず新歌舞伎座ホ-ムペ-ジをご確認下さい。車椅子の方はチケット購入前に新歌舞伎座テレホン予約センター■06(7730)2222(10時~16時)までお早目にお問合せ下さい。
[問]新歌舞伎座■06-7730-2222

公式サイト
https://www.shinkabukiza.co.jp/perf_info/20250830.html

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