ホーム > NEWS > ミュージカル『赤毛のアン』、17年ぶりに京都へ!
1908年に出版されたカナダの作家、ルーシー・M・モンゴメリーの代表作『赤毛のアン』。幼い頃に孤児となったアンが、11歳でプリンス・エドワード島の小さな村で暮らすマシューとマリラの老兄妹に引き取られ、美しい自然と人々の中で成長していく姿を描いた物語だ。1965年にミュージカル化され、劇団四季では1980年に浅利慶太の演出で初演し、繰り返し上演してきた。2024年にモンゴメリーの生誕150周年を迎え、13年ぶりにミュージカル『赤毛のアン』全国ツアーがスタート、巡演後に京都劇場で上演される。京都へは2008年の公演以来、17年ぶりの登場。小学生時代に劇団四季の『ライオンキング』でヤング ナラを演じ、入団後『赤毛のアン』で初舞台を踏んだ奈良出身の林香純(かすみ)が作品への思いを語った。
半世紀を経ても愛され続けている『赤毛のアン』。その理由を「都会に生きている私たちにとって、日常の幸せとか、忘れてはいけない普遍的なものがたくさん詰まっているから、いつの時代にも人々に響くものがあるのではないでしょうか」と話す。林とアンの出会いは幼い頃だった。「母が『赤毛のアン』のファッションが好きで、小さい頃はアンが着ているような服を着せられていました。私はまず、そのファッションから『赤毛のアン』を知ったんです」。その母に連れられ、11歳の時に近鉄劇場で劇団四季のミュージカル『赤毛のアン』を観劇。「すごく感動して、立ち上がれないほどでした。その時母が『いつかこの役をあなたにやってほしいわ』と言った言葉がすごく頭に残っていました。劇団四季に入って、実現して良かったです。観劇した後で本を読みましたが、舞台のイメージそのままでした」。
母の願いを叶え、アン・シャーリー役を演じた林。「2010年、入団2年目ぐらいにいただいた大きな役で、経験もない中、溺れるようにトライしました。とても好きな役でしたし、もっとこうすればよかったと心残りがあったので、もう一度やれる機会があるならチャレンジしたいと思って、今回のオーディションを受けました」。12年ぶりの再挑戦だ。今は「技術面では、自分の引き出しが増えたことで、以前言われていたことが俯瞰してみえるようになりました。この作品の深さも」。
明るくて元気、空想とおしゃべりが大好きなアンを「とても難しい役」と言う。「感情の起伏が激しいのは、彼女の暗い生い立ちにあると思っています。小さい頃から厳しい環境で過ごしてきて、想像力を使って前向きに生きていかなければ、生きることができなかった。だから想像力が豊かになり、前向きに生きる力ができたのだろうと。セリフには急に飛躍する言葉がたくさんあるので、それがわざとらしい言葉にならないよう、彼女の実感として伝えることがとても難しいです」。
昨年プリンス・エドワード島を訪問し、『赤毛のアン』のゆかりの地を巡ってみた。「東京とは全然違う、すごくゆったりとした時間の流れの中で幸せの価値観が自分の中で大きく変わりました。本当の心の豊かさってどういうことなんだろうと、島に行ってからずっと考えています」と思い出を語る。「海に沈む夕日がすごく美しくて、作品の中で学芸会のあとに歩いて帰るシーンでは、その時の夕焼けを思い出しながら歩いています」。その風景を舞台では光と影の照明で巧みに表現し、深く心温まる歌詞と共に紡がれる美しい楽曲の数々でアンの世界を描きあげる。また、英国製の特注品を用いたという500点以上の衣裳が際立つ、明るいダンスも楽しい。「アンが歌う"私は私でよかった"という曲があります。どんなものにならなくたって、自分自身でいいんだという、そこにアンらしさが詰まっているような気がします。どこにいたって、どんな境遇だって、自分の心を羽ばたかせることはできるんだよって。それがアンのメッセージかなと思います」。今、心をはばたかせている林。ツアー公演では「それぞれの土地のお客様の反応が毎回楽しみ」と言い、今回17年を経て初舞台を踏んだ地・京都へ。「また京都に戻って来られる、それも『赤毛のアン』で戻って来られるのが本当にうれしくて。今回の『赤毛のアン』は、私にとって特別な舞台だと思っています」。
子どもの頃に観て感動した作品を大人になって観た時、年月を経た人生の味わいを持って、また新たな発見と深みを増した感動に出会える。名作の醍醐味が、ここにある。
取材・文/高橋晴代
(2025年7月 4日更新)
7月5日(土)一般発売 Pコード:597-192
▼10月4日(土)~11月24日(月・休)
京都劇場
〈平日夜〉
S席-10000円 A席-8500円 B席-6500円 C席-3500円
S席学生-6500円 A席学生-4500円
〈平日昼・土曜夜〉
S席-11000円 A席-9000円 B席-7000円 C席-4000円
S席学生-7000円 A席学生-5000円
〈土日祝昼〉
S席-12000円 A席-9500円 B席-7500円 C席-4500円
S席学生-7500円 A席学生-5500円
※公演当日3歳以上要入場券(ひざ上観劇不可)。3歳未満の入場不可。有料託児サービスあり。
※学生=大学生・専門学生以下(公演当日、入場時に学生証をご提示ください。ただし、中学生以下で学生証をお持ちでない方は、入場時にその旨をお伝えください。)
※京都劇場の2階席をご利用の場合、エレベーター・エスカレーターのご用意はございません。階段のみのご利用になりますので、予めご了承ください。
※ご来場前に劇団四季公式ウェブサイトをご覧いただき、劇場及び公演に関する最新情報をご確認ください。
[問]劇団四季■0570-008-110(ナビダイヤル)
公式サイト
https://www.shiki.jp/applause/anne/