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関西初上陸!
藤井颯太郎が語るカレル・チャペック作品の魅力

大阪・関西万博開催を記念して、チェコ共和国よりブルノ国立劇場ドラマ・カンパニーが来日し、6月4日(水)と5日(木)にフェニーチェ堺で公演が行われる。

上演されるのは、チェコの国民的作家カレル・チャペックの傑作『母』。第二次世界大戦前夜の1938年、ヨーロッパに不穏な空気が漂う時代に書かれた作品だ。

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戦争で夫と4人の息子を失った母ドロレスは、最後に残った末っ子トニまでもが軍隊に志願することに葛藤する。霊となってあらわれた家族はトニの決断を支持し、ドロレスは懸命に抵抗するが、ついにある決断にいたる―。

卓越した知性で未来を見通し、ユーモアあふれる筆致で平和を訴えた、カレル・チャペックならではの作品になっている。

mother250511-5.jpgフェニーチェ堺でも自身の劇団公演を実施し、チャペックに傾倒した経験のある関西演劇界の若き旗手・藤井颯太郎が、公演に向けてコメントを寄せてくれた。




<藤井颯太郎コメント>

現在も世界中で繰り返され続けている「危機」を描いた物語

17歳の夏、僕はカレルチャペックに出会った。彼の代表作『RUR』を読み衝撃を受けた僕は、数日のうちに、彼が生涯で書いた全ての戯曲を読みきった。あれから十年以上経ったが、未だに彼の作品から受けた熱の余韻は僕の中に残っている。
あらゆる立場、あらゆる思想、あらゆる肩書きをもつ人間たちが一つの場所に集められ、一つの危機について語り合う。彼の作品はいつも、世界が抱える普遍的な危うさをほんの数時間の中に凝縮し、封じ込めていた。
彼の書く演劇はどれも良質な旅みたいだ。それは遠い異国からさらに遠い異国へ移動するような、横移動の旅じゃない。近距離にいながらも出会うことはなかった、全く背景が異なる人たちとの出会いと対話が繰り返される「縦の旅」を彼の作品は体験させてくれる。現実世界では出会うことが出来なかったかもしれない人たちが物語の中で出会い、語られなかったかもしれない言葉を紡ぎ、現実に起こり得るかもしれない未来へ辿り着く。カレルチャペックはそんな体験をさせてくれる稀有な作家なのだ。

(2025年5月12日更新)


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プロフィール

藤井颯太郎(俳優・作家・演出家)
1995年、滋賀県生まれ。2013年『ミルユメコリオ』で幻灯劇場を旗揚げ。同作でせんだい短編戯曲賞を最年少受賞。近年はホテル一棟を舞台に上演される“泊まれる演劇シリーズ”の演出を手がけたり、オーケストラに四つの小説を書き下ろしたり、NHK連続テレビ小説『おちょやん』に出演。


カレル・チャペック(1890ー1938)
チェコスロバキアを代表する小説家、劇作家、評論家、ジャーナリスト。旅行記や童話、評論なども執筆したほか、園芸や愛犬にまつわるエッセイも人気を博す。SF作家としても広く知られ、戯曲『RUR』(1920年)で初めて「ロボット」という言葉を生み出した。1937年に書かれた戯曲『白い病』は、近年の新型コロナウィルス蔓延の様相に酷似した、疫病下の社会描写で話題となった。ノーベル賞候補に7度も挙げられた、20世紀初頭の中欧にそびえ立つ知性のひとり。


ブルノ国立劇場ドラマ・カンパニー「母 Mother」

チケット発売中 Pコード:532-655

▼6月4日(水) 19:00開演 18:30開場
▼6月5日(木) 15:30開演 15:00開場

堺市民芸術文化ホール(フェニーチェ堺) 小ホール

指定席-5000円

[原作]カレル・チャペック
[演出・上演台本]シュチェパーン・パーツル
[キャスト]ブルノ国立劇場ドラマ・カンパニー

※チェコ語上演/日本語・英語字幕付
※未就学児童は入場不可。やむを得ない事情により公演内容が変更となる場合があります。車いす席をお求めの方は堺市文化振興財団チケットセンター0570-08-0089にお電話ください。

[問]フェニーチェ堺■072-223-1000

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