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内藤裕敬が学生40人と作り上げる「すげぇ舞台」
『真田風雲録』上演!

南河内万歳一座を率いる内藤裕敬が、2015年より教授を勤める母校の大阪芸術大学舞台芸術学科の学外公演で福田善之の戯曲『真田風雲録』を上演、構成・演出を担当する。関ヶ原の戦いで親を失った4人の少年少女が、敗残兵や超能力を持つ少年・佐助と出会い、成長後、大坂夏の陣で真田幸村の部隊に加わり、徳川との戦いに挑むという青春群像劇だ。内藤は2010年に兵庫県立ピッコロ劇団の依頼で初めて本作の演出を手掛け、ダイナミックな合戦シーンが評判に。2015年には長野県上田市で市民参加での上演、翌年、大学の学外公演として特別公演を実施した。4度目の演出公演となる今回、現学科長・山本健翔と共に会見に参加した内藤が、演劇や作品の見どころ、学生へ思いを熱く語った。

初演は1962年、学生運動の時代だった。「素浪人や百姓が大徳川の権力に対抗するために蜂起する『真田風雲録』を、学生運動と大坂夏の陣・冬の陣のパロディのような構造で書いたところが現代的。世の中で自分に何ができるのか、自分が何者であるか、すべての若者が抱くアイデンティティの問題など、1年たったら卒業する学生たちが取り組む芝居としては、演じてリアリティがあると思う。同年代の若者にとても刺さるセリフもいっぱいある」と、内藤は学生たちが上演する意義を語る。

今回の出演者は学科枠を超え、手を挙げた3回生の有志を中心に40人以上。またスタッフは60名以上、担当教員らを合わせると総勢140名前後のプロジェクトに。稽古は授業外で2月1日から始まった。発表会?いやいや、手掛けるのはほかならぬ内藤だ。「授業発表会は学内公演でやりゃあいい。わざわざ学外に持っていくのに、学生だからこの程度でいいやって言うなら、オレ、やらねぇもん」。内藤節、教授であっても健在。内藤は学生たちに激を飛ばす。「わざわざお粗末なものをみせて、ウチの大学ひどいでしょって宣伝しに行ってどうすんだ。ちゃんと評価の土俵に上がれるクオリティで発表できなかったら持っていかない。そこまでやるぞ!だから結果出せ!!」と。この熱さ、低体温と言われる今の若者に届くのか?「学生が内面に持っている温度感は、決して冷たくない。温度は持ってるけど、その動機や考え方が甘いだけ。その甘い連中が、甘かったことを知ると火が付く」。

内藤も山本もアングラ演劇系の温度感の中で育った強者だ。「ものすごく熱い先輩たちに、追いつけねぇなと過ごしてきたので、気持ちはわからないことはない」とうなづき合う。山本は「今の子たちはどんどん個になっている。個をいかに集団として燃やすか。この題材や内藤演出は、まさにそのために肉体の温度をより前面に出していきます」。言葉通り、見せ場は最後の「今の若さと肉体でしかできない夏の陣の合戦」だ。それは刀を抜いて戦う殺陣ではない。映像も使わない。「敵味方に分かれて、40人越えの肉弾戦をやります」。熱気と共に伝わるその迫力は、生の舞台ならでは。「演劇作品は舞台でやっているんだから、映像技術にすりよっていく発表は演劇のためにならない。映像技術を使わなくても、演劇のおもしろさは発表できる。だから僕は、肉体や舞台上に実存として存在することにこだわって、大劇場でも小劇場でも、しっかりした演劇の専門性に向かった芝居作りをしたい。それがこの作品で純粋にできる」。

また「暗転嫌い」な内藤は、俳優たちが自ら道具を動かし、転換の間に場面や時間が変わる「全編が見せる転換」を取り入れる。1幕1時間、休憩が入り2幕1時間の芝居で、暗転なし。「どこをとっても退屈する暇がないぐらい各シーンをダイナミックに作って、若者の勢いとそれがクロスオーバーする舞台になる。1000円だから観に来てよ、すげぇの見せるから!」。

取材・文/高橋晴代  




(2025年3月 7日更新)


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写真左より)内藤裕敬、山本健翔

前学科長 浜畑賢吉追善 大阪芸術大学 舞台芸術学科 学外公演 「真田風雲録」

チケット発売中 Pコード:530-968
▼3月15日(土)17:00
▼3月16日(日) 13:00
SkyシアターMBS
前売-1000円(指定)
[原作]福田善之 [芸術監督]山本健翔
[構成・演出]内藤裕敬 [音楽監督]中村康治
[振付]栗原めぐみ
[出演]演技演出コース/ミュージカルコース/ポピュラーダンスコース
※未就学児童は入場不可。
※3/16(日)公演終演後、教員による個別学科紹介を実施予定。
[問]大阪芸術大学舞台芸術学科■0721-93-3781

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