ホーム > NEWS > MONOの最新作は明治初期と現代を行き来して デマの正体を探る物語
京都を拠点に活動するMONOの最新公演は、明治初期と現代というふたつの時代を行き来しながら「デマ」の正体に迫る物語『デマゴギージャズ』。
1989年に「B級プラクティス」(現MONO)を結成して以降、基本的に1幕ものの作品を作り続けてきたが、昨年上演した『御菓子司 亀屋権太楼』で初めて、頻繁な舞台転換で場所を変化させ、10年の歳月を描くことを試みた。それは彼らにとって大きな挑戦だったが、好評を博したことで「味をしめた」といい、『デマゴギージャズ』ではさらに時空の幅を広げ、人々の弱さ、愚かさ、滑稽さを描いていく。
山間部の古民家と土地の利用を巡り、土地の所有者を名乗る人物や役人、郷土史家、町おこし隊など様々な人が集まり、会議をするも話はまったくまとまらず、やがて「自分の先祖はこうだった」などと根拠のない言い争いに発展する。中庭にある「大きな石」も問題だ。神聖なものであるこの石には謂われがあり、移動させるなどもってのほかという。時代はさかのぼること明治初期、同じ場所に人が集まっている。彼らはあの「大きな石」に何か物語を与えようとアイデアを出し合っているのだった。
劇団代表で作・演出の土田英生は、「人はなぜ根拠のない物語を信じてしまうのか。その疑問から作品はスタートした」と話す。「最初のシーンでは、デマを信じる側のことを観客もどちらかというと"あの人、ちょっと変な人だね"という目で見ると思います。途中からデマを信じる人が集団になって、"じゃあ、これはどう反論しますか?"と詰め寄ってきます。そこで揺さぶられず、踏ん張る人たちの話です。ブレずに一生懸命、問題に向かおうとしている人々の姿に、自分を重ねてくれたらいいなと思っています」。
第1場が現代、第2場が明治時代と交互に時代を変えながら、第5場の現代で完結する。劇中にはコロナ禍を彷彿させる場面や、デマが選挙に大きな影響を及ぼす場面もあり、現実と隣り合わせの出来事だと思えることだろう。
土田は次のように続ける。「僕らが体験したことをかまそうと思っています。昔からあるデマの信じ方と体験を重ねることで、デマの正体が見えたらいいなと。SNSの"炎上"も、会社内で人の悪口を言ってまことしやかに盛り上がることと同じ真理だということを重ね合わせることができたらと思います」。
時代を行き来するロマンやワクワク感も感じられるだろう。「僕は元々お城が好きで、お城に立った時、"戦国時代の人がここにいた!"とか、"(歴史の有名人が)ここをこうやって歩いて、ここをこう見てたんちゃう?"と思って、単純に感動するんですね。お芝居ではありますが、普段頭の中で想像していることが目の前で展開するのは、見ていて楽しいと思います」。
MONO第52回公演『デマゴギージャズ』は2月14日(金)~17日(月)まで、大阪・ABCホールで上演。チケットは初日割引があるほか、はじめてMONO公演に来場した方には公演当日受付で500円のグッズ割引券のプレゼントも実施する。
取材・文/岩本
(2025年2月13日更新)
チケット発売中 Pコード:531-039
▼2月14日(金)19:00
▼2月15日(土)13:00/18:00
▼2月16日(日)14:00
▼2月17日(月)14:00
初日割引-4000円(指定・2/14のみ)
一般-4300円(指定)
35歳以下-3000円(指定、要身分証明書) 25歳以下-2000円(指定、要身分証明書)
ABCホール
[作・演出]土田英生
[出演]金替康博/水沼健/奥村泰彦/尾方宣久/渡辺啓太/石丸奈菜美/高橋明日香/立川茜/土田英生
※未就学児は入場不可。
[問]キューカンバー■075-525-2195
りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館 劇場
▼2月22日(土)
吉祥寺シアター
▼2月28日(金)~3月9日(日)
穂の国とよはし芸術劇場PLAT アートスペース
▼3月15日(土)・3月16日(日)