ホーム > NEWS > 市川團十郎×嶋﨑斗亜×クリエイター陣で挑む新舞台
市川團十郎が演じる陰陽師・安倍晴明の世界を、新しいエンタテインメントとして舞台化した邦楽劇『SEIMEI』。19日に大阪で初日を迎えた舞台を観劇、ゲネプロを終えたばかりの演出・広井王子、團十郎、嶋﨑斗亜(Lil かんさい)が参加し、囲み取材が行われた。※ネタバレ注意
舞台はSUGIZOの音楽で幕開き。上演中は舞台両端に位置した2階建ての舞台セット内で、琴や三味線、太鼓、尺八や笛など和楽器の生演奏で。華やかで情感あるSUGIZOの楽曲の中、物語の発端は神と民が集う年に1度の祭礼と収穫祭の場。多聞天・帝釈天・韋駄天の神々と共に人間たちを守護する四神が現れる。北の守護神・玄武(中村鷹之資 たかのすけ)、東の守護神・青龍(市川右團次)、西の守護神・白虎(大谷廣松)、そして南の守護神・朱雀(嶋﨑)が勢ぞろいし名乗りを上げて見栄をきる。村人たちも共に集って舞い踊る楽しく躍動的な振付はケント・モリ。
場面は変わり、大鳥居前で夜空を見上げる安倍晴明(團十郎と、不吉な妖霊星の出現を案じる家臣の保明(市川九團次)。そんな中、祭礼の人々が消える騒ぎが起こり、晴明は四神たちを召喚し羅生門に向かう。冥界では、人間を滅ぼし神々を従わせようと冥界の王・第六天魔王や魔物が集結。そして羅生門での壮絶な戦いへ。ゲームクリエイターの広井が得意とする世界感を、歌舞伎の世界に取り込んだ演出。附け打ち(歌舞伎の効果音)の音が際立ち、歌舞伎ならではの立ち廻りやアクションを巧みに盛り込んで繰り広げる迫力のシーンだ。魔物ゾンビ相手に苦戦の晴明。さらに朱雀が、おごり高ぶった人間の慢心に怒り「鬼門を開いて天魔王たちを都に引き入れたのは自分だ」と晴明に告げ、戦いを挑んで打ち負かす。
神と人間の関わりに疑問を抱く青龍と共に、朱雀は「この世の終わりを見届けよ」と晴明に言い捨てて去り、1幕が終わる。客席を使っての登退場も多く、青龍は眷属(けんぞく)の龍も一緒に客席を行くのでダイナミックだ。
休憩は30分。ロビーには第六天魔王の手下で魔物おばばの鈴鹿御前(市川右若)が、"暗闇神社"の占いコーナーを出店。1回1000円と高い凶占い、写真を撮って拡散だけでもOK。営業は開演30分前から開幕までと休憩中のみ。物語の後半はお楽しみに。
ゲネプロ後の取材会で今作のテーマについて嶋﨑が語った。「晴明自身が考えさせられる、昔と変わってきた人間のおごり高ぶりや慢心、欲の部分などが、このリアルな現代にも通ずるものがあると思います。楽しんで、は大前提ですけど、今の人類や世の中と重なる部分も少し気にかけながら観ていただければ、より深い観方になるかなと思います」。團十郎が言葉を継ぐ。「昨今の地球や日本、何か不安じゃないですか。本当に我々は明るい未来に向かっているのかと、戸惑う時もあるのでは。それは人間が作った現実で、与えられているのが今の環境。台本には、神々と人間や精霊がともにひとつの世界に生きていた。だからともに向き合って、剣を使わず、闇ではなく光の方向に歩もうと。今の時代に一番大事なメッセージだと思うので、それを伝えられたらと思います」。
皆さんへのメッセージを。「スタッフの皆さんの力が結集してできた。それをキャストのみなさんが華にした、という舞台だと思います。歌舞伎は常に進化しているので、そういう意味では新しい歌舞伎になったかな? ぜひ若い方や、まだ歌舞伎を観たことがない方にもご覧いただきたいと思います」(広井)。「僕の年齢に近い20代の方でも観やすいような演出を広井さんが考えてくださって。いろいろな要素が組み合わさり、老若男女、誰もが楽しめるような舞台になっていると思います。僕にしか出せない花や若さを、この舞台にプラスできたら」(嶋﨑)。「多くの方々の才能を感じます。SUGIZOさんやケント・モリさんなど、歌舞伎と別の世界で活躍されている方々が力をくださり、建設的に立てた演劇。歌舞伎をひとつのベースにしながら多くの方々に観ていただけるこんな作品を、海外の方々にも観ていただける機会を作っていけたらと思います」(團十郎)。
取材・文/高橋晴代
(C)松竹
(2025年2月21日更新)
チケット発売中 Pコード:529-013
▼2月24日(月・祝)まで上演中
(金)(月・祝)13:00
(土)(日)13:00/17:00
オリックス劇場
一等席-12000円 二等席-9000円 三等席-4000円
[脚本]今井豊茂 [演出]広井王子
[楽曲]SUGIZO [邦楽作曲]今藤長龍郎
[神楽振付]ケント・モリ
[歌舞伎音楽]田中傳次郎
[出演]市川團十郎 / 嶋﨑斗亜(Lil かんさい)
市川右團次 中村鷹之資
市川男寅 大谷廣松 市川九團次
※未就学児童は入場不可。営利目的の転売禁止。公演中止の場合を除き、お客様のご事情によるチケットの払い戻し不可。車いす席ご利用の方はチケット購入の上、事前にお問い合わせ先にご連絡ください。
[問]キョードーインフォメーション■0570-200-888