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『東海道四谷怪談』をベースに描く、現代の物語
札幌拠点の劇団「yhs」が、
好評作『四谷美談』を大阪で初上演

脚本家・演出家の南参(なんざん)を中心に、札幌を拠点に活動する劇団「yhs」。さまざまな社会現象をシニカルな視点でとらえ、巧みな「笑い」を取り入れながら問題点や矛盾点を浮かび上がらせる脚本と、俳優たちの個性を前面に押し出し、「人間」を強く浮かび上がらせる演出で高い評価を得ている。今回、1月17日(金)より大阪・in→dependent theatre 1stにて上演する『四谷美談』は、2013年に初演し、「札幌劇場祭Theater Go Round 2013」で特別賞・演出賞を受賞した好評作。2016年の再演を経て、さらにブラッシュアップしてお届けする。大阪で初上演する本作への思いを、南参に聞いた。

自身の作風について、「元々はコメディが好きで、コメディ作品を作ることが多かったのですが、段々といろんな題材を使うようになって。基本的には、コメディでもシリアスでも、社会とつながるような作品にしたいという思いで作っています。観ていただいた方が、日常生活のことや自分の価値観を振り返ったり、ちょっと考えてもらうような作品になればうれしい」と話す南参。今回上演する『四谷美談』は、四世鶴屋南北の代表作『東海道四谷怪談』がベース。物語の舞台を現代の芸能界・SNSの世界に移し、「愛」と「美」にとらわれた人々をサスペンスタッチで、得意のユーモアも交えて描く。「『四谷怪談』に登場する伊右衛門さんとお岩さんというのは実在した人物で、鶴屋南北が歌舞伎として描く前からお話としてはあったそうで。本当は仲のいい夫婦だったらしいという説もあって、もともとは"美談"だった。それがいろんな噂話とかで怪談話になっていったというのが、現代のSNSとかマスコミの状況、真実とかけ離れてイメージが創られていく感じに似ているなと思ったんです」。それが着想のきっかけとなり、SNSの世界、現代に舞台を移して創作することに。

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3度目の上演となる今回、大筋を変えることはないが、現代のSNSの状況に合わせてブラッシュアップさせたり、「どんな劇場でも上演できるように」と、客席の構成を初演・再演の挟み舞台から、通常のプロセニアムでの形に変更している。「11月にこの作品を「札幌劇場祭」で上演して、優秀賞をいただいて。お客さんからも"とてもSNSのことを考えさせられた"とか、自身を重ねて観てもらえたような感想を多くいただけたので、描きたいことがちゃんと届いている感じがしています」。

そして、間もなく開幕する大阪公演に向けてはこう語る。「北海道は歴史が浅くて、歌舞伎とか人形浄瑠璃などの伝統芸能に触れる機会も少ないのですが、関西の方々は北海道の人よりは伝統文化に触れやすい環境にあると思いますし、知識もあると思うんですよね。そういう場所で、結構大胆に変えた古典作品を観ていただいて、どう感じてもらえるかというのはすごく興味があります。北海道の人間だからこそ、好き勝手にいじれた部分であったり、歌舞伎のこういうところが面白いなというエッセンスも自分なりに込めているつもりですので、そういった部分も楽しんだり、考察してもらえるとうれしいです」。

取材・文/黒石悦子




(2025年1月15日更新)


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yhs『四谷美談』

▼1月17日(金)19:30
▼1月18日(土)13:00/18:00
▼1月19日(日)13:00
in→dependent theatre 1st
(前売)一般-3800円 学生-1000円
(当日)一般-4300円 学生-1500円
[原作]四世鶴屋南北『東海道四谷怪談』
[脚本・演出]南参
[出演]能登英輔/曽我夕子/青木玖璃子/小原アルト/増田駿亮/小島彩歌/向山康貴/岡田 怜奈/小西 麻里菜/佐藤亮太/宮下諒平/てん
※未就学児童は入場不可。
※学生は証明書提示。
[問]mail@yhsweb.jp

公式サイト
https://www.yhsweb.jp/

公式X
https://x.com/yhsweb

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