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能楽の次世代を担う27歳・大槻裕一、注目の記念会

大阪文化に貢献し、将来の大阪文化を担う人たちに大阪市が1983年から毎年贈呈している「咲くやこの花賞」。2023年度の第41回、演劇・舞踊部門で能楽師・大槻裕一が受賞、1月28日(火)、近鉄アート館にて「大槻裕一 咲くやこの花賞受賞記念の会」が開催される。関西を代表する人間国宝の能楽師・大槻文藏の芸養子となり、芸歴25年。伝統の継承と共に異分野との共演や新作能に挑み、2022年には能狂言『鬼滅の刃』を企画・主演、能楽初心者にも能の魅力をアピールしたことが受賞につながった。2023年には能の大曲『道成寺』を披き、同年に大阪文化祭奨励賞も受賞。そんな彼が受賞の喜びや今回の催しへの思いを語った。

「僕、受賞は初めてなんです。この賞は、大阪で活躍しているさまざまな分野の方が受賞されていて、簡単にはいただけないイメージがありました。能狂言でシテ方では今回が初めてですし、頂戴できてすごくうれしかったです」。記念の会の上演に当たり、過去の能部門で受賞した先輩たちの出演を希望、小学生時代からの小鼓の師匠でもある人間国宝・大倉源次郎と福王和幸の出演が叶った。また、会場は敢えて能楽堂ではなく「お客様との距離が近い小ホールで」と近鉄アート館に。

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90年代、源次郎が企画した斬新なシリーズ「近鉄アート館 能」の映像が印象に残っていた。プログラムの最初は『高砂』。記念やお祝いなどでよく上演されるおめでたい曲を、紋付き袴姿で舞う。トーク"能に出会って"をはさみ、半能『融(とおる)』を上演。平安時代の貴族の霊が昔を懐かしみながら幻想的な舞を舞う。「舞台のド真ん中でひとりで舞う。自分の姿を観ていただけるような演目に」と選んだ。「『高砂』は神舞。住吉明神の荒々しさや気迫を舞で表現し、どれだけ早いスピードで舞うか。『融』はその風情と、いかに優雅に舞うかが大事」。

能の演出は、シテが担う。「お囃子の人の演奏とみんなが、その時の阿吽の呼吸で融合してできる独特の世界です。今回は能楽と大槻裕一の両方を大切に、お客様に楽しんでいただける催しにしたいと思います」。2歳の初舞台から紙で作った面を付けて遊ぶほど能楽が大好きだった裕一が、16歳で文藏の芸養子となり11年。82歳の文藏は今も疲れを見せず裕一を稽古に誘う。「ありがたいです。お稽古をずっと欠かさずやってきたことが、この受賞につながったのではないかと思っています」。能の次代を担うシテ方のひとりとして、今後の活躍と成長が期待される注目の舞台だ。

取材・文/高橋晴代  




(2025年1月24日更新)


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〈咲くやこの花コレクション〉
大槻裕一 咲くやこの花賞受賞記念の会

一、舞囃子『高砂(たかさご)』
二、トーク「能に出会って」大槻裕一×亀岡典子(聞き手)
三、半能『融(とおる)』

チケット発売中 Pコード:530-267
▼1月28日(火)18:30
近鉄アート館
前売-2500円(指定)
[出演]大槻裕一/大倉源次郎(人間国宝)/福王和幸/他
※未就学児は入場不可。
[問]一般社団法人 アーツインテグレート■06-6372-6707

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