NEWS

ホーム > NEWS > 演出・藤田俊太郎「今の時代を痛烈に問うている」 新年の幕開けにパワーあふれる絢爛豪華な祝祭音楽劇

演出・藤田俊太郎「今の時代を痛烈に問うている」
新年の幕開けにパワーあふれる絢爛豪華な祝祭音楽劇

2020年に上演され、コロナ禍で関西公演がすべて中止になった井上ひさしの名作『天保十二年のシェイクスピア』が、新たなキャストで関西に初登場。江戸末期の人気講談『天保水滸伝』に、シェイクスピア37作から名場面やキャラクターを織り込み、祝祭音楽劇として描く任侠物語だ。舞台は天保時代の清滝村。旅籠(はたご)街を仕切る老侠客と三人の娘の身代譲りによる争い(『リア王』)を、陰から操る異形の流れ者・佐渡の三世次(『リチャード三世』)。そこへ父の死を知った跡取り・きじるしの王次(『ハムレット』)が帰ってきて...。演出は藤田俊太郎。蜷川幸雄が2005年に演出した本作の演出助手を務め、今やさまざまな舞台で活躍中の藤田が、作品への意気込みを熱く語った。

「今回は再挑戦と新たなる創作、この両面で取り組みます」と言う藤田は、先月東京で上演した『リア王の悲劇』でシェイクスピア作品を初演出、それは今作へ新たな思いと深みをもたらした。「シェイクスピアは趣向のひとつで、この作品は井上さんが、時代が変わる瞬間を克明に描こうとした時代劇ではないかと。またこの作品には悲劇と喜劇がものすごい価値観で混在していると思い、ドラマを構築しました。なので、今回は祝祭音楽劇として、三世次の一代記を中心に日本人の江戸の時代劇を特に強く打ち出し、時代や価値観が変わる中で登場人物全員の鮮烈な生き様や死に様を描きたいと考えています」。

初演が50年前の1974年という作品でありながら、現代に通じる部分も多い。「弱い者がさらに弱い者から搾取するという作品の構造は、ここ数年で格差が顕在化してきた今の時代を痛烈に問うていると思います。時代が変わり、作品が届けるメッセージの深さもまた変わってきたのでは。底辺から這い上がろうとするパワーは、大阪、関西で強く受け入れられるんじゃないかな」。百姓から侠客の親分、そして村の代官となる三世次を演じるのは浦井健治。「すごく純度が高くて、僕は稽古場で戦慄が走るぐらい。ぜひ、目撃してほしいです」。

舞台は百姓と女郎たちが立ち上がっていく姿から始まり、上演時間は約3時間30分。「あっという間だと思います。まさに今の時代に楽しんでいただけて、共鳴できる作品。お客様ご自身の物語であるということを舞台の最後、エピローグに表現したいと思っています。心躍るとても華やかな祝祭の気持ちを感じていただきたいです。2025年の幕開けに、ご家族やお友達など大事な方たちと一緒にこの作品で初観劇して、どうぞ豊かさを持ち帰ってください」。

取材・文/高橋晴代




(2024年12月13日更新)


Check

絢爛豪華 祝祭音楽劇『天保十二年のシェイクスピア』

【東京公演】

▼12月29日(日)まで上演中
日生劇場

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中 Pコード:528-385
▼2025年1月5日(日)14:00
▼2025年1月6日(月)12:00/17:00
▼2025年1月7日(火)12:00
梅田芸術劇場メインホール
〈平日〉S席-15000円 A席-10000円 B席-5500円
〈土日祝〉S席-16000円 A席-11000円 B席-6000円
[作]井上ひさし [音楽]宮川彬良
[演出]藤田俊太郎
[出演]浦井健治 大貫勇輔 唯月ふうか
   土井ケイト 阿部 裕 玉置孝匡/瀬奈じゅん 中村梅雀/
   章平 猪野広樹 綾 凰華 福田えり/
   梅沢昌代 木場勝己 他
※1/5(日)公演は、お正月特別イベントあり。
※全日程昼公演は、ご来場者全員に公演グッズ(非売品)プレゼントあり。
※1/6(月)17:00公演終演後、アフタートークショーあり。(司会:藤田俊太郎 登壇者:浦井健治×大貫勇輔)
※未就学児童は入場不可。本公演チケットを「チケット不正転売禁止法」の対象となる「特定興行入場券」として販売致します。興行主の同意のない有償譲渡は禁止されています。
[問]梅田芸術劇場■06-6377-3800

【福岡公演】

▼1月11日(土)~13日(月)
博多座


【富山公演】

▼1月18日(土)・19日(日)
オーバード・ホール 大ホール


【愛知公演】

▼1月25日(土)・26日(日)
愛知県芸術劇場大ホール

チケット情報はこちら