ホーム > NEWS > 土田英生と南野陽子が語る、神戸港の千年を刻む物語
兵庫県立芸術文化センターのプロデュース企画として、MONO代表で劇作家・演出家・俳優の土田英生と組んだ"神戸シリーズ"第2弾『神戸の湊、千年の交々(こもごも)』が上演される。物語の舞台は神戸港。奈良時代に築かれ、日宋貿易の玄関口だった大輪田泊(おおわだのとまり)から現代まで、港に集った人々の千年の悲喜こもごもがつづられる。
2022年に好評を得た前作の朗読劇『アネト』に続き、兵庫県出身の南野陽子が出演し、相手役には西宮出身のベテラン・大谷亮介。ほかの出演者も関西の劇団で活躍する8名と一般オーディションで選ばれた10名で、関西出身の俳優と関西在住者たちを中心にキャスティングされた。土田と南野が作品と神戸への思いを語った。
土田と夫婦役を演じたドラマ『半沢直樹』での共演がきっかけで前作の出演につながった。今回は「普通の主婦のおばさんです。でも、おばちゃんだっていろいろあるのよ、という思いがあふれ出る」という、元歴史教師の夫・大谷との夫婦役。気の強いイメージがある南野だが、土田は「実は思った以上に細やかで人に尽くす人。その根の優しい部分を役柄にしました」。
作品は、千年それぞれの時代の物語をオムニバス形式で描く。南野は最初と最後にある現代の物語の部分に登場する。台本を読み「最初ファンタジーですごくおもしろくて引き込まれて。でも最後には、観た人が自分も登場人物のひとりだと感じることができるんじゃないかな」。物語に通底するテーマは「人は変わらないということ。でも、未来が少しでも良くなるようにと思う気持ちは失わずにいたい。兵庫運河沿いのショッピングモールのあたりで、いろいろな時代にいろいろな人たちが交錯し、そこで生きているという話なので、ひとつひとつの物語より全体を楽しんでいただければ」。
土田は愛知県出身、18歳から京都在住で「神戸には高架下に古着や洋服、靴を買いに来ていました」、南野は「幼い頃、ディズニーの映画がきた時は父と私と2人でドライブして、映画観て、パフェ食べて、神戸港で話して」と懐かしい「父とのデート」を思い出す。ポートピア博覧会や阪神淡路大震災など、多くの人が知る神戸のエピソードが盛り込まれた作品。「こんな作品が兵庫県でできるのは、地元の友達にちょっと鼻高々、自慢できる感じでうれしい(笑)。神戸の方はもちろん、どの土地の方にも観てほしいです」。
取材・文/高橋晴代
(2024年12月 2日更新)