ホーム > NEWS > 中村壱太郎が「顔見世」で新作『蝶々夫人』に挑む!
江戸時代から続く京都・南座の年中行事「吉例顔見世興行」に、新作歌舞伎『蝶々夫人』が初登場。今年はプッチーニ没後100年、『蝶々夫人』初演120周年という節目の年、初めてオペラを題材にした新作歌舞伎の誕生だ。「顔見世」の序幕でタイトルロールの蝶々夫人ことお蝶を演じるのは中村壱太郎。昼の部は、おしどり夫婦の温かな感動作『ぢいさんばあさん』、夜の部は片岡仁左衛門の監修で、三角関係の物語に歌舞伎の様式美あふれる『曽我綉俠御所染(そがもようたてしのごしょぞめ)』の『御所五郎蔵』に出演する。「三月花形歌舞伎」を4年連続で引っ張り、意欲的に挑む壱太郎が「顔見世」への思いを語った。
「顔見世」には幾度となく、上方歌舞伎の俳優として出演している壱太郎。「野球のオールスター戦のように先輩たちが東西から集まり、セリフが一言の役でも、そこにいるだけでもありがたく、かつ古典の名作がずらっと並ぶというイメージの公演でした」。そこで新作歌舞伎『蝶々夫人』が上演される。『蝶々夫人』は2021年に企画されたがコロナ禍で見送りになった作品だった。プッチーニの周年というタイミングでの熱いオファー。そして演目を見て「義太夫狂言がない」と気付いた。オペラが音楽ありきなら、歌舞伎は義太夫ありきで、「それなら」と引き受けた。限られた上演時間の中で「義太夫歌舞伎として蝶々夫人の世界観をどう伝えるか」。9月中旬、台本を新たに企画が再始動した。
物語はオペラの後半、ピンカートンの帰りを信じ、お蝶が子どもと待つシーンから。蝶々さんに言い寄る実業家のヤマドリは「ちょっと三枚目的な敵役」の山森酉蔵となり、中村錦之助が演じる。ピンカートンの思いを伝えるのはお茶屋の花月楼女房・お駒で、壱太郎の父・中村鴈治郎。その後、子別れ、義太夫の入る道行きへ。「歌舞伎舞踊として美しく魅せることも意識して。幕開きにふさわしいと思っていただける作品にしないと、と思います」。
『ぢいさんばあさん』で演じる若妻・きくは「相手の俳優次第で演じ方が変わっていくお芝居。今回は虎之介君と久々にガッツリなので、虎の意見も聞いて一緒にいい若夫婦像を作っていきたいです」。『御所五郎蔵』はヒロイン・皐月。中村隼人演じる恋人・五郎蔵に本心を隠した愛想尽かしの場面が見どころだ。何度もタッグを組んでいる隼人と1歳上の巳之助との同世代共演。「平成世代で主をはって顔見世でガッツリしたお芝居を一緒にできるのはうれしい。仁左衛門のおじさまのエキスをたっぷり吸いながら、やっていきたいです」。
取材・文/高橋晴代
(2024年11月20日更新)
チケット発売中 Pコード:529-057
▼12月1日(日)~22日(日)10:30/16:00
南座
特別席-27000円 1等席-25000円
2等席B-10000円 3等席-8000円
[出演]片岡仁左衛門/中村梅玉/中村萬壽/中村鴈治郎/中村扇雀/中村錦之助/片岡進之介/片岡孝太郎/片岡愛之助/市川中車/中村亀鶴/中村萬太郎/坂東巳之助/中村壱太郎/中村隼人/中村虎之介/中村鷹之資/
※12/10(火)・16(月)休演。21(土)昼の部は貸切。
※2等席A、4等席の取り扱いはございません。日時・席種により取り扱いのない場合あり。4歳以上はチケットが必要。本公演チケットを「チケット不正転売禁止法」の対象となる「特定興行入場券」として販売いたします。興行主の同意のない有償譲渡は禁止いたします。
[問]南座■075-561-1155