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「良い舞台をお届けしたい」
萬壽と時蔵の襲名披露、梅枝の初舞台
萬屋三代が七月大歌舞伎に向けて語る

大阪松竹座での関西・歌舞伎を愛する会結成四十五周年記念「七月大歌舞伎」(7月3日初日~26日千穐楽)に出演する初代中村萬壽、六代目中村時蔵、五代目中村梅枝という萬屋三代が、都内で行われた合同取材に出席した。

6月の歌舞伎座公演に続いての萬壽と時蔵の襲名披露であり、梅枝の初舞台。萬壽は「襲名披露狂言を一所懸命に勤め、皆様に喜んでいただけるような芝居をお見せしたいと思っております」と意欲を語り、時蔵も「5年ぶりの大阪松竹座に、襲名披露として、父と息子と三代で伺えることを嬉しく思っております。関西・歌舞伎を愛する会の結成四十五周年をお祝いする意味でも良い舞台をお届けできれば」と意気込みを聞かせた。

萬壽の襲名披露狂言は、昼の部で上演される『恋女房染分手綱(こいにょうぼうそめわけたづな)』。「重の井子別れ」の通称で知られる演目で、由留木家の息女・調姫の乳人重の井が、嫁入りのための東下りを嫌がる姫君の機嫌を取ろうと座敷に呼んだ馬子・自然薯の三吉と、実は生き別れた親子だったと分かる物語だ。「重の井は過去に2回演じております。(七世尾上)梅幸のおじさまが重の井をなさった時に調姫を演らせていただき、優しく接してくださった思い出がありましたので、梅幸のおじさまにお願いしたところ、丁寧に教えていただきました」と萬壽。子役の大役である三吉は、再会した実母の重の井に思いをぶつける「大事な役」(萬壽)で、「孫の梅枝と演らせていただきます」と微笑んだ。三吉に初めて取り組む小学3年生の梅枝は「格好よく演りたい」と抱負を語った。

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時蔵の襲名披露狂言となる夜の部の『八重桐廓噺 嫗山姥(やえぎりくるわばなし こもちやまんば)』の荻野屋八重桐は、曽祖父の三代目時蔵、祖父の四代目時蔵も襲名時に手掛けた役。「襲名披露で何が演りたいと聞かれて、最初に思い浮かんだのが『嫗山姥』。古風で華やかな演目で、大阪のお客様にも合っていると思います。父にきっちりと教わり、心して掛かりたいなと思っております」と意欲を燃やす。八重桐が廓勤めをしていた頃、恋人を別の遊女と取り合った話を語る"しゃべり"が前半の見どころで、後半では大力の山姥に変貌して敵を蹴散らす。「眼目の"しゃべり"をきっちり演じないと、最後の派手な立廻りで超人的な存在に変わった感じがしないと思います。どれくらい八重桐として、"しゃべり"を勤められるかが重点ですね」と時蔵。指導する萬壽は「最後に立廻りがあって、見得をして終わる。スカッとする気持ちがいい役です。一生懸命教えます」とにこやかな表情を浮かべた。

大阪での歌舞伎興行を定着させるのに貢献してきた「関西・歌舞伎を愛する会」の45周年。萬壽は、「最初に伺ったのが昭和62年6月の中座での公演でした。『伊勢音頭恋寝刃(いせおんどこいのねたば)』のお紺を演らせていただいた懐かしい思い出があります。夏の大阪は皆様が喜んで、待ちに待った感じで観てくださるので励みになります」と嬉しげ。

時蔵と梅枝の今後について萬壽は、「時蔵には『俊寛』の千鳥などの娘役から女房役を勤め、最後には片はずし(『伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)』の政岡など、御殿女中や武家女房の大役)を演ってくれれば。梅枝は、見得を切る立役の方が今は好きですけれど、女方の面白さも分かってくれたらと思います。うちは女方と立役の両方に取り組む家。女方の大事な役を受け継いでもらいたいですね」と期待を語った。この言葉を受けて時蔵は、「父と同じく古典のお芝居が好きで、義太夫狂言などを必死に父から学んでいるところです。これからも古典を大事にして、古典を通じてお客様に感動していただきたいですね」と今後の目標に触れた。梅枝は、これから演ってみたい役を問われ、「いっぱい拍手がもらえる役」と回答。その天真爛漫ぶりで会場を和ませた。




(2024年6月27日更新)


Check

関西・歌舞伎を愛する会 結成四十五周年記念
七月大歌舞伎

〈昼の部〉
『小さん金五郎』/『藤娘 俄獅子』/『恋女房染分手綱 重の井』
[出演]中村鴈治郎/片岡孝太郎/中村壱太郎/中村隼人/坂東彌十郎/中村扇雀/尾上菊之助/中村時蔵/中村萬太郎/中村萬壽/中村梅枝/中村歌昇/上村吉弥/中村歌六

〈夜の部〉
『義経千本桜 木の実 小金吾討死 すし屋』/『汐汲』/『八重桐廓噺 嫗山姥』
[出演]片岡仁左衛門/中村萬壽/片岡孝太郎/中村歌昇/中村壱太郎/上村吉弥/坂東彌十郎/中村歌六/中村扇雀/中村萬太郎/中村時蔵/尾上菊之助/中村鴈治郎

チケット発売中 Pコード:526-888
▼7月3日(水)~26日(金)11:00/16:00
※休演=7/10(水)、7/18(木)。
大阪松竹座
一等席-18000円 二等席-9000円 三等席-5000円 
※日時・席種により取り扱いのない場合あり。4歳以上はチケットが必要。本公演チケットを「チケット不正転売禁止法」の対象となる「特定興行入場券」として販売いたします。興行主の同意のない有償譲渡は禁止いたします。
[問]大阪松竹座■06-6214-2211

公式サイト
https://www.kabuki-bito.jp/theaters/osaka/play/887

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