ホーム > NEWS > 新歌舞伎座で毎春恒例の独演会開催! 桂雀々が添乗員となって古典落語の世界をご案内!?
東京を拠点に活躍する桂雀々が、今春も新歌舞伎座で恒例の独演会を開催する。照明や舞台装置など見魅せ方にこだわる本会公演。7年目となる今回は昼夜公演ともに、一席は"スケッチ落語"を取り上げ、斬新な演出で"見魅せる"という。前代未聞の趣向とは?
ひるの部の目玉は大阪の四天王寺が舞台の『天王寺詣り』、夕方の部は奈良名所が綴られる『猿後家』を口演する。共に史跡や名所の"説明"が肝となる噺だ。「新歌舞伎座さんは1500人入る大バコなので毎回、魅せ方を考えなければいけない。落語を分かりやすく、どう魅せたらいいのか。そこで、『天王寺詣り』なら四天王寺さん、『猿後家』は奈良名所をイラストや映像などを用いながら演出を工夫しようと思っています。さながら僕が添乗員になって案内するという趣き。また、じっーと座ってるのも面白くないので、歩きながら落語するのもいいかなと思てるんです。奇想天外な演出が出来るのも新歌舞伎座さんならではのこと。この劇場ではどんなことでも出来ると思ってるんです。お客さんには、今までとは違った落語の感触を体感してもらい『また行ってみたい』という気持ちになってくれれば嬉しい」。映像としゃべりをどのようにドッキングさせるかなど、現在検討中だ。
『天王寺詣り』は35年ほど前に兄弟子の桂雀三郎に、『猿後家』は20歳の頃に五代目桂文枝に教えを請うた演目。ただ、若い頃は敬遠していた演目だと言う。「労力は使うんですけど、笑いが少ない。今は、そうでもないな。やっぱり歳の功ですかね(笑)。説明することがすごくしんどかったんですけど、今はかえって噺のリズムによって助けられ面白く仕上げています」。
雀々が自身にとって特別な舞台と断言する新歌舞伎座。「ホームグラウンドをどこかに作らなアカンなと思てた時に、有難いことにお話をいただいて。大劇場でありながら、客との距離感がすごく近い。身近に感じたんですよ。3階の方も手を振ったらリアクションをしてくれるような状況で。テンションが上がります!1回目の公演で終わると思てましたが今ではなんと7年目。今は自分なりのひとつの道ができたかなと。この会が大阪の風物詩になればいいと思てるんです」。
年に一度の凱旋公演は「1年が早いなと。ここに目標を持ってきてるんで、気持ちも体も整え、引き締まる思いで臨んでいます」と語る。7年目を迎えるホームグラウンドの独演会には「憧れであり、道しるべ」と敬意を表する六代桂文枝をゲストに迎え、対談も予定。眼前に広がる、新たな雀々ワールドに期待したい。
取材・文/松尾美矢子
撮影/福家信哉
(2024年1月26日更新)