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桂塩鯛、恒例の独演会で
「あまりやってこなかった噺を」

2023年で15回目を迎えるサンケイホールブリーゼでの「桂塩鯛独演会」。「この会だけはちょっと襟を立たせると言いましょうか、いつもより気合を入れてやらせていただく年1回の独演会です」と、塩鯛にとって特別な一日だ。

今年は『代脈』、『どうらんの幸助』、『まめだ』の三席を披露。「今回も自分の得意ネタというよりは、今まであまりやってこなかった噺を3つ、並べてさせていただきました」と、独演会ならではのラインナップで聞かせてくれる。

『代脈』は、医師の内弟子が先生に代わって商家のお嬢さんのもとへ代理往診(代脈)に行った顛末を描いた噺。塩鯛は、今から40数年前に(笑福亭)仁鶴の『代脈』を聞き、感銘を受けたという。「すごく面白くて。噺家になってからいずれやってみたいなと思ったのですが、手掛けたのは5、6年前くらいです。桂文之助さんにご協力いただいて、それをやらせていただいています。仁鶴師匠の音源は持っていないのですが、感銘を受けた時のイメージがすごくあるので、それを大切にやらせていただいています」。

中入前の『どうらんの幸助』が今年のメインとなる。「(桂)米朝師匠の『どうらんの幸助』も幾度かは聞いているのですが、一番印象に残っているのが(桂)枝雀師匠がおやりになっていたものです。こじんまりとしたお寺で、枝雀師匠の噺をうちの(桂)ざこば師匠と一緒に袖で聞いていて。すぐ近くで真の当たりにして、息ができんくらい笑ったんですよ。このまま死んでしまうんとちゃうかというくらい、おもろかったです」。

今回、塩鯛が披露するのは米朝が高座にかけていたものがベースになっている。「ただ、ところどころに枝雀師匠のエッセンスが入っています。この噺も非常に好きな、自分のテリトリーの噺のひとつです」。

大トリで披露する『まめだ』は、落語作家の三田純市が作った大阪の三津寺界隈を舞台にしたタヌキが出てくる噺で、まめだとはタヌキのこと。「私が大学生の時でしたが、米朝師匠が京都での独演会でこの噺をおやりになって。非常に爽やかと言いましょうか、ちょっとホロっとするような、可愛らしい、いい話だなと思って聞いてました。落語家になって一回やってみようと、米朝師匠にお稽古に行ったんです。そうすると「こんなのは稽古する噺と違う」と。小噺なので勝手にやりなさいと言われて。ただ「三田はんには断っておきなさい」と言われて、当時、三田先生がご存命でございましたので、先生に「やらせていただきます」とご挨拶したら、「大いにやってください」というお墨付きをいただきまして、やらせていただいています」。

小噺のような小品で時間も短いということもあり、マクラでいろいろと話したいと構想を練る。「昔は大部屋の役者さんは芝居だけでは食えなかったため、(噺にも出てくるように)家で膏薬を売りながら役者を続けていたそうです。今の若い噺家は結構仕事がありますから、アルバイトをしている人もあまりいませんが、僕らが若い時はほとんどの落語家がしていました。お昼間にアルバイトして、夜は落語会のお手伝いに行ってお仕事もらうみたいな日々が続いていて。マクラではそんな話をしようかいなと考えています」。

特に『まめだ』は秋を感じさせる風情がある。「10月ということで、秋の噺でちょうどよかったです。今回初めてこんな噺をさせていただきます。好きな三席でやらせていただこうと思います」と塩鯛。まだまだ知られざる魅力を堪能できそうだ。

取材・文/岩本




(2023年10月10日更新)


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桂塩鯛独演会

チケット発売中 Pコード:520-622
▼10月15日(日)14:00
サンケイホールブリーゼ
S席-4500円 A席-4200円 
[出演]桂塩鯛(「まめだ」「どうらんの幸助」「代脈」)/桂まん我(「応挙の幽霊」)/桂弥壱(「軽業」)
※未就学児童は入場不可。都合により、出演者・演目等が変更となる場合がございます。
[問]ブリーゼチケットセンター■06-6341-8888

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