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「観たことも聞いたこともないような舞台」
渡辺大知主演の舞台『ねじまき鳥クロニクル』が
大阪で初上演

村上春樹の長編小説の中でも、世界的な人気を誇る同名小説原作の舞台『ねじまき鳥クロニクル』が、いよいよ大阪で初上演される。2020年に東京で初演を迎えたものの、コロナ禍で大阪公演を含め中止に。村上ワールドの主人公を演じる、俳優・ミュージシャンの渡辺大知が取材会で語った。

演出・振付・美術はイスラエルの鬼才、インバル・ピントが担う。日本でも『100万回生きたねこ』などを手掛けた彼女は、コンテンポラリーダンスをメインに歌や芝居を取り入れたユニークな作風が特徴だ。ダンス未経験だった渡辺は、初演の一年前からコンテンポラリーダンスの稽古に励んだ。「最初は、踊りそのものの意味が分からなかった。音にあわせて体をゆらすのは楽しいのですが、何もない空間で好きなように踊ってと言われても戸惑ってしまって(笑)」。なぜ踊りがあるのかと原点まで考えたという。「言語では補えない表現が確かにある。例えば、『嫌い』は口で言うと強いですが、身体で距離を取ることで伝えられる。言葉の逆もあって、楽しいといいながら体は怒っていたりと、表現のレイヤーが増やせる。そんなダンスの奥深さと面白さを勉強中です」。

渡辺と成河がふたりで演じ分ける主人公の僕こと岡田トオルは、妻の失踪をきっかけに様々な事件に巻き込まれていく。「自分の何が悪かったのか自問自答しながらも、女子高生のメイ(門脇麦)や戦争で片腕を失った中尉ら、いろんな人と出会っていく。接点がないと思っていた戦争体験が自分の潜在意識の中でかかわりのあることだと気づいていくんです」。

原作は特に熱狂的なファンが多い。舞台は原作ファンを裏切らないか? という質問には、「物語の核にリスペクトを込めている。特にファンに面白いと思ってもらえるのは、トオルの内面を成河さん、外面を僕が演じること」だと自信を見せる。「もうひとりの演出家のアミールから、『トオルはいろんな人が話をしたくなるいいリスナーなんだ』と。でもいい話し手ではない。聞いて吸収するけど、アウトプットができずもがいている。そんな空虚さを持っているんです」。さらに小説で大きな話題となった、ある衝撃的なシーンも舞台で表現されるというから見逃せない。

村上作品は『ノルウェイの森』しか読んだことがなかったが、本作ではまり、長編小説はほとんど読破したそうだ。また村上のデビュー作『風の歌を聴け』に描かれた芦屋市の公園にある「猿の檻」が撤去されると聞き、聖地を訪れたという。「僕は神戸市出身なので、芦屋で育った村上さんに個人的に縁を感じています。関西でも上演できたらと願っていて、今回叶います。観たことも聞いたこともないような舞台になっているので、刺激を求めている人にぜひ、来てほしいですね」。

取材・文:米満ゆう子




(2023年10月25日更新)


Check

舞台『ねじまき鳥クロニクル』

【東京公演】

▼11月7日(火)~11月26日(日)
東京芸術劇場プレイハウス

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中 Pコード:521-130
▼12月1日(金)17:30
▼12月2日(土)12:30/17:30
▼12月3日(日)12:30
梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
全席指定-12000円 
[原作]村上春樹 [演出・振付・美術]インバル・ピント
[脚本・演出]アミール・クリガー
[脚本・作詞]藤田貴大 [音楽]大友良英
[出演]成河/渡辺大知/門脇麦/大貫勇輔・首藤康之(Wキャスト)/音くり寿/松岡広大/成田亜佑美/さとうこうじ/吹越満/銀粉蝶/加賀谷一肇/川合ロン/東海林靖志/鈴木美奈子/藤村港平/皆川まゆむ/陸/渡辺はるか
※12/1(金)17:30公演終了後、キャストトークあり([登壇者]成河、渡辺大知、大貫勇輔(予定))。
※12/2(土)17:30公演終了後、ミュージシャントークあり([登壇者]大友良英、イトケン、江川良子+門脇麦、松岡広大(予定))。
※未就学児童は入場不可。一部Wキャストあり。
[問]梅田芸術劇場■06-6377-3888

【愛知公演】

▼12月16日(土)・17日(日)
刈谷市総合文化センター大ホール

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