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初心者も通も見逃せない、斬新な演出で楽しむ文楽

文楽や古典芸能を気軽に親しんでもらうきっかけにと、大阪中央公会堂で始まった「中之島文楽」が9回目を開催。コロナ禍の公演中止、人数制限を経て、昨年度はほぼ満席の観客で埋まった。今回は、昨年3月に斬新な演出で上演した「COOL文楽SHOW」の上々の評判を受け、人形浄瑠璃 文楽×講談×現代美術プロジェクションマッピングのコラボレーションで、わかりやすく観やすい文楽を届ける。演目は第1部が『日高川入相花王(ひだかがわいりあいざくら)~渡し場の段』、第2部が『増補大江山(ぞうほおおえやま)~戻り橋の段』。どちらも字幕スーパー付きだ。出演者の竹本織太夫(太夫)、鶴澤燕三(三味線)、吉田玉男(人形)、吉田一輔(人形)、旭堂南海(講談)が、見どころや意気込みを語った。

『日高川』は、恋しい安珍を追って船着き場へ来た清姫が川を渡れず、嫉妬心と怨みから鬼に変わり、大蛇となって川を渡っていく物語。『戻り橋』は、鬼が美しい娘・若菜に化けて屈強な武将・渡辺綱に近づくが、正体を見破った綱は大格闘の末、鬼の腕を切り落とし...というお話。この2演目に共通するのは"ガブ"。美しい娘の顔が、ガブッと一瞬で恐ろしい鬼の形相に変わる特殊な首(かしら)を遣う、文楽ならではの表現だ。その"ガブ"をクローズアップ画像で、また、チラシのイラストを描いた現代美術家・後藤靖香の絵をマッピングで投影する新演出が見ものだ。

『日高川』で清姫、『戻り橋』で若菜を務めるのは織太夫。初参加の弟子・硯太夫(ひろたゆう)に「だんだん鬼になっていく表現を、師匠の教えをしっかり伝える機会に」。三味線に加え、若菜が舞う場面で"八雲琴"という二弦琴の演奏もある燕三。「何か普通じゃない雰囲気を醸し出すのにちょうどいい。それが鳴らない空白の時間で鬼の本性を表すので、聴き逃さないで」。7月に人間国宝に認定された玉男は綱を遣う。「主役の首を遣うので、思いっきりかっこよく見せたい」。若菜を遣う一輔は「綱を口説く場面は可愛らしく、舞を踊る時は優雅に、ガブを見せる3回は怖い雰囲気、最後に鬼となって綱との荒々しい立廻り。それぞれの見せ場を楽しんでいただければ」。南海は講談で物語を解説。「なぜ渡し場へ、なぜ戻り橋へやって来たのか」今回の物語に至る前段の話を「講談で削ぎ落して、大胆に」紹介する。

構成は、出演者が日替わりで作品の魅力を語るトークタイムから。各演目の前に南海の講談、そして文楽上演へ。終演後には出演者全員が登場し、フォトセッションタイムも用意されている。

取材・文/高橋晴代




(2023年10月11日更新)


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写真左より)竹本織太夫、鶴澤燕三、吉田玉男、吉田一輔、旭堂南海

中之島文楽2023

人形浄瑠璃 文楽×講談×現代美術プロジェクションマッピング〉

当日引換券発売中 Pコード:521-486
『日高川入相花王』渡し場の段/『増補大江山』戻り橋の段
▼10月13日(金)18:30
前売 一般-2000円(指定) 前売 高校生以下-500円(指定、要学生証)
▼10月14日(土)12:30
前売 一般-2000円(指定) 前売 高校生以下-500円(指定、要学生証) 2階席 一般-2000円 2階席 高校生以下-500円(要学生証)
大阪市中央公会堂 大集会室
[出演]竹本織太夫(太夫)/鶴澤燕三(三味線)/吉田玉男(人形遣い)/吉田一輔(人形遣い)/旭堂南海(講談)
[司会]藤川貴央
※未就学児童は入場不可。字幕スーパーあり。幕前にトークあり。終演後フォトセッションタイムあり。2階席は座席位置により一部見えづらい可能性がございます。予めご了承の上、ご購入下さい。
[問]一般社団法人 アーツインテグレート■06-6372-6707

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