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ノゾエ征爾の代表作『ガラパコスパコス』で
竜星涼と藤井隆が兄弟役に

劇団はえぎわの主宰で、脚本家、演出家、そして俳優としても活躍し、2012年には『○○トアル風景』で第56回岸田國士戯曲賞を受賞したノゾエ征爾。2010年に始まった高齢者施設、障害者施設を巡る世田谷パブリックシアター@ホーム公演を機に生み出されたノゾエの代表作のひとつ『ガラパコスパコス~進化してんのかしてないのか』がこの秋、竜星涼主演で上演される。

派遣会社でピエロとして働く青年・太郎がある日、道端で老婆に出会う。彼が手品で花束を渡すと、老婆はどこまでもついてくる。ついには太郎の家に上がり込んだ老婆をすぐに返そうとするも、いつのまにか太郎と老婆の不思議な共同生活が始まっていく。太郎の兄夫婦や仕事先の女性社員、老婆を探し回る家族やホームの職員など、ふたりを中心に様々な人物が登場する群像劇。「老い」と「進化」をテーマにした人間賛歌の物語だ。

太郎を演じる竜星涼と、太郎の兄役の藤井隆、そして自身も兄の後輩役として出演するノゾエが大阪市内で取材会を行い、作品にかける意気込みなどを語った。

竜星演じる太郎は、他者とのコミュニケーションが苦手な青年。それを、正反対の印象を持つ竜星に演じてもらいたいと思ったとノゾエは明かす。「今までは割とそういう役がハマりそうだなと思う方にやってもらっていたのですが、この先、作品自体が新しい境地に行くために、ちょっと摩擦的なものがほしいなと思って。竜星さんは、とても健やかで陽気なイメージがあるので太郎とは結構、遠いなと思っていたのですが、その遠さがほしいと思って、今回、お声掛けさせていただきました」。

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そんなノゾエの期待に、竜星は次のように応える。「僕はどちらかというと信じられないぐらい自己肯定感が高いタイプなので、真逆な役どころは思いつかない部分もたくさんあるのですが、いい意味での化学反応を望んで、冒険しようというノゾエさんの心意気に僕も一緒に冒険してみたいなと思いました。それがきっと僕も成長につながるであろうと。一生懸命、今を生きられたらなと思います」。

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藤井が演じる太郎の兄は、これまでノゾエが演じていた。「藤井さんの理屈抜きの突飛なエネルギー、この世のものとは思えないような瞬発力は、すごく興味深くて、すごく好きで。今まで僕がやっていた中ではたどり着けなかった領域が確実にこの役にはあって。藤井さんが普段も持っている優しさも含めて、この役に必要だったかもと思って出ていただくことになりました」。

ノゾエ作品の出演が決まり、「とても嬉しかった」と藤井。「ご自身がされていた役を私にやらせていただけるということは、絶対に思い入れがあるはずですから、少しでも藤井にやらせてよかったと思っていただけるように、"よし、やってやろう"と思っています。ノゾエさんは人に対する優しさがすごく溢れていらっしゃるので、セリフもそういう愛情が溢れています。すごく面白い場面もいっぱいありますが、"こういう優しさを忘れていた!"とハッとするような優しさをノゾエさんから教えていただけるのではないかなと思っています」。

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また、竜星との兄弟役には「骨格がおかしいですよね⁉ 同じ父と母から生まれてきたように見えなくて、どういうお父さんなのかな、どういうお母さんなのかなとか想像しているのがすごく楽しくて」と冗談を交えて笑いを誘う。そして、「弟の太郎君はかわいらしいと思う。それは竜星君が本当にかわいらしい、愛らしいから」と、舞台『大地』(2020年)以来の共演に、さらに距離を縮めていきたいと話した。

一方、竜星にとっての藤井は「テレビで見ていたスター」。「ノゾエさんもおっしゃいましたが、藤井さんは何を起こすかわからない爆発力がすごくて、稽古場でもすごくいい刺激をもらえますし、学びもあって。またこうやってご一緒させてもらえることは、とても嬉しくもあります。藤井さんは年齢が20歳ぐらい違うのですが、とにかく謙虚。その姿に毎回、お辞儀したくなります」と敬意を込めた。

舞台美術はシンプルで、黒板とチョークが置かれているだけという。物語が始まると、俳優たちが黒板にチョークで絵や線などを描きながら、世界を立ち上げていく。「チョークで描いて展開していくというお芝居は、ノゾエさんの作品以外では見たことがないですし、そこも面白いと思いました。お客さんにも想像してもらって、一緒に作り上げていく。それがどういうふうに受け入れられて、どう感じて帰ってもらえるのか、すごく楽しみです」と竜星。

老婆を演じるのは高橋惠子。その他、山田真帆や芋生悠、菅原永二ら錚々たる顔ぶれだ。「脚本自体は10年以上前にひと通り形は作られていますが、描かれているテーマは何ひとつ止まっていない。僕らが生き続けていく限り、この作品もしっかりと並行して、息をして、生き続ける。そういう作品だと思っています。今回、このように素敵でちょっと変で面白い俳優さんたちが集まってくださった。皆さんともがいて作っていくこと自体に、言葉では言い表せないもの生まれるでしょう。僕自身もそれを楽しみにしていますし、"ノゾエくん、これだけの方々が集まりましたよ。まずまずでしたね"では許されませんよと、僕自身、とても身が引き締まる思いです」とノゾエ、改めて気を引き締めた。

取材・文/岩本




(2023年9月11日更新)


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COCOON PRODUCTION 2023 『ガラパコスパコス~進化してんのかしてないのか~』

【東京公演】

▼9月24日(日)まで上演中
世田谷パブリックシアター

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中 Pコード:520-387
▼9月30日(土)13:00/18:00
▼10月1日(日)13:00
京都劇場
全席指定-11000円 
[作・演出]ノゾエ征爾
[出演]竜星涼/藤井隆/青柳翔/瀬戸さおり/芋生悠/駒木根隆介/山本圭祐/山口航太/中井千聖/ノゾエ征爾/家納ジュンコ/山田真歩/菅原永二/高橋惠子
※未就学児童は入場不可。出演者変更に伴う払戻し不可。車いす席をご利用のお客様はチケットをご購入の上、事前にお問い合わせ先にご連絡ください。2枚以上でご購入されたお客様は、状況によっては連席でご案内できない場合がございます。予めご了承ください。公演中止の場合を除き、チケットの払い戻しはいたしません。
[問]キョードーインフォメーション■0570-200-888

【岡山公演】

▼10月11日(水)18:30
▼10月12日(木)13:00
岡山芸術創造劇場 ハレノワ 中劇場


【新潟公演】

▼10月21日(土)13:00
▼10月22日(日)13:00
りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館・劇場

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